2008年05月16日

姿勢改善のために有効なエクササイズ part2

さて、前回書いたことはサッカー選手の肉体・コンディショニング管理について普段私が考えていることと、今回の日本での滞在中に出会った「ピラティス」というエクササイズについてでした。

正直前回書いてからまた自分の頭で整理してみましたが思った以上にまとめ切れませんでした・・・。
なんとなく自分の中では少しずつ掴んだものがあったのですが、それを文章で説明しようとするとうまくできなくて、自分のアウトプットの能力のなさに嫌気がさします。
わかりにくい部分もあるでしょうが書き始めたことなので一応最後まで書いていきます。

今回の日本滞在中、日本での大学時代に知り合った、元ホワイトソックスルーキーリーグヘッドアスレティックトレーナー(現メディカルフィットネスクラブKフィット中之島ウェスト)の桑原匠司さんが日本人で初めてピラティスの国際指導者ライセンスを取得され、それを用いて一般人からアスリートまでの運動指導、コンディショニング管理を行っていると聞き、ピラティスを用いてどういったトレーニング指導をされているのか興味を持ち、桑原さんの指導現場を見学させて頂きました。

ピラティスというものに対して全く無知であった私ですが実際にそれを見て体験したところ、特別なトレーニングというよりはむしろ普段行っているストレッチや体幹の補強運動を正しい姿勢・呼吸方法を意識して行うとても身近なエクササイズだといった印象を受けました。

桑原さんは指導を行う前に相手の姿勢・歩き方などの特徴を見て筋肉のどの部分が弱いか、アライメントに異常がないかをチェックしそれに関わる部位にアプローチしたエクササイズを指導します。
つまり特別変わったエクササイズというよりは、本当に一般的なストレッチのようなもので、ただきちん狙った部位を刺激するための姿勢を意識したものでありました。
これを体験するといかに普段自分が行っているストレッチや補強運動が曖昧なものだったかを痛感させられます。
例えば一般的な「シットアップ」にしても単に座って身体を上げ下げするのでなく、どういった角度で体を起こすか、骨盤の位置はどうしなければいけないのか、それを正しい姿勢で行うことによって狙い通りの部位を刺激する。
また、ストレッチにしても単に間接を曲げるのでなく、どういった姿勢からどの方向に曲げていき筋肉を伸ばしていくのか、それによって刺激される部分がまったく変わってきます。
身体の表面にあり大きな筋肉であれば比較的簡単に行えますが、身体の内側の方の筋肉や小さな筋肉へのアプローチは本当に細かいとこまで気をつけないと効果がありません。
なので普段行っているような運動でもその姿勢とやりかたに注意して正しく行うことでかなりしんどい運動でした。(それだけ普段使われていないということ)

今回の体験、また桑原さんとした話の中から感じたのは、まず人間は日常生活のあらゆる原因から身体のあちこちに負担がかかりアンバランスな状態となっていて、その状態でさらにスポーツ選手は日常生活以上の大きな負荷をかける、それによって引き起こされる障害に苦しむ選手が多く、そういった障害を未然に防ぐための人間本来の姿勢を取り戻すことが重要なのでは?となりそのための手段としてピラティス等のエクササイズが有効であるといったことです。

姿勢が悪くても競技レベルの高い選手は多くいます。私もそのことから「姿勢を正すことが必ずしもいいことではないのでは?姿勢の悪いトッププレーヤーはたくさんいるじゃないか」といった考えを持っていました。
しかしおそらくそういった選手たちは姿勢やバランスが悪いなりにも技術(ここでは身体を動かす技術を指します)や筋力でそれを補っているのではと思うようになりました。

つまりセンスのある選手はバランスの悪い状態から強引にバランスを保つ状態にはもっていけるのですが、その分身体に負担がかかり故障しやすい。
そのために怪我で早期に引退する選手や、長年怪我に苦しむ選手が多いのではと。
逆に姿勢が悪くても寿命の長い選手は元々そういった強靭な身体に生まれたのか、もしくはその姿勢の悪さからくる身体への負担の管理が徹底できてるのではないかと思うのです(自分のどこが弱いか自分で把握しそれを管理できている)。

「よい姿勢」といってもスポーツによっても競技によってどういった姿勢が一番「よい姿勢」か一概には言えません。それぞれ異なると思います。
ならばゆがんだ状態からその種のスポーツに適した姿勢にもっていくのでなく、一度ニュートラルな状態に戻すことによって余計な負担を軽減しスポーツ障害の予防になると思うのです。

今まで述べてきたことはパフォーマンスの向上のためというより、「障害の予防」のための部分が大きいです。
このことによって各競技のパフォーマンスが向上するかどうかはわかりませんが、「怪我をして競技を続けられなかったら意味がない」というのが僕と桑原さんが最後に一致した意見でした。

そのための手段の一つとして、ピラティス等のエクササイズが存在しており(別にピラティスでなくても他の手段があるのならそれでもいい)、それを有効活用することでスポーツ選手のコンディショニング管理をうまく進めていけるのではと今回の経験から感じました。

しかしそのためにはもっと身体の構造(解剖の知識、筋・骨格・神経の働き等)について知らなければ正しい指導はできないというある意味当たり前のことを痛感させられました。

うまくまとめ切れずに自己満足のような形になってしまいましたが、自分の中では「姿勢改善」ということに関して今まで自分が考えてきたことに+αの考えがつきました。

最後にこの場をお借りしまして、お忙しい中お時間を作って頂きました桑原匠司さん、また突然の訪問にも関わらず見学させて頂いた「Kフィット中之島ウェスト」のスタッフの方にお礼を言わせて頂きます。

posted by イダリア |00:30 | その他 | コメント(4) | トラックバック(0)
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2008年05月14日

姿勢改善のために有効なエクササイズ part1

私は以前から「姿勢改善」・「動作改善」のサッカー(広く言えばスポーツの)に対する有効性について考えてきました。
球技でも野球のようにフォームの重視するスポーツならまだしも、サッカーのように必ずしも決まったフォームが重要だと思われていない(姿勢や走り方がきれいではないが世界のトッププレーヤーと呼ばれる選手が多くいる)競技に対して、果たして「姿勢改善」や「動作改善」を指導することが良いことなのか?それがパフォーマンスの向上に役立つものなのか?むしろ今まで養ってきた技術や感覚を失う可能性があるのではないかと思っていました。

巷では日本古来の武道の動作や二軸動作など様々な情報が飛び交っており、実際に経験したことのない私はその具体的な効果を知ることができなかったり、説明をみてもかなり高度な技術を要したり、また感覚的に行うものが多く誰もが気軽に取り入れられるものではないという印象を持っていました。

日本でトレーナー活動をしていた(現在もその類の仕事をさせてもらっていますが)私は大学時代から「スポーツ障害の予防」ということについて興味を持っていました。
サッカーのような接触のある競技ではコンタクトの際による外傷はいた仕方ない部分があるのですが、肉離れや腰痛等の障害の予防がなんとかできないものか、それを予防するためのトレーニングはどういったものが有効なのか考えていました。
「障害予防」という観点からの「姿勢改善」や「動作改善」は良いのではないかと考えることもあったのですが、具体的にどういった方法がより効果的でサッカーにも取り入れやすいかということで悩んでいました。

この「取り入れやすい」ということ、私の中ではかなり重要な要素であります。
団体競技で練習も基本的にチーム単位で行うことがほとんどであるサッカーにおいて、もちろん個人個人でのセルフケアの部分でそれぞれが独自の体調管理を行うことは大事なことですが、現実問題自分の自己管理を徹底しているプロ選手でもない限り特別に練習以外の時間にセルフケアのための特別な運動等を行っている人は少ないと思います。
それは自己意識が低いからだという指摘も受けるかもしれませんが、実際プロ選手ですらそれができてる選手は少ないだろうと私は思っています。(やっているとしても一般的なストレッチ程度でしょう)
特別な器具を使ったり個別指導の下でそういった管理ができる人もお金のある一部の人だけでしょうから

ならばチーム全体でまとまって練習する際に少しでもそういった効果のある運動を行えれば良いのではないかと考えてました。
実際に現場でやられていることは、全体でストレッチや体幹の補強として腹筋や背筋のトレーニング程度でしょう。
そういった一般的なストレッチや体幹の補強運動が悪いとは言いませんが、障害を引き起こす根本的な問題の解決にはならないことが多いと思います。

ならばより効果的且つできるだけシンプルで必要以上の道具を使わずに、コスト面でもあまりかからないものでチーム全体的に行えるものはないものかと思っていました。
良いとこどりのような気もしますが、それが理想だと思っています。

前置きが長くなりましたが、今回短期の日本への一時帰国の際にそのヒントとなるあるエクササイズと出会いました。
それが「ピラティス」です。
大学時代に友人の紹介で知り合った「桑原匠司」さんが大阪にあるメディカルフィットネスジム「K-FIT」(http://www.m-kfit.com/atc/index.html#personal)にて指導されている「ピラティス」の指導現場を見学させて頂き、また自分にも簡単なエクササイズを体験して、その内容、即効性を目の辺りにして、「これをうまくサッカーの現場でも取り入れられればコンディショニング管理の面で役立つかも」という実感を得ました。

以前まで「ピラティス」というものに対しての印象は「女性の美を追求するためのエクササイズ」といった浅はかな印象しか持っていなかったのですが、元々ピラティスは「リハビリテーション」を目的としたエクササイズであることを教えて頂きました。

長くなりましたのでひとまずここで一回切ります。
次回は「ピラティス」を実際に体験して感じたことをもう少し具体的に説明していきます。

posted by イダリア |19:00 | その他 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年04月16日

10万アクセス

先日、このブログの10万アクセスを突破しました。
1月から書き始めて3ヶ月、自分なりにイタリアで感じたことを書いてきましたが、予想以上に多くの方に読んで頂いてコメントも頂き、書いている自分としても学ばせていただいてることが多々あります。
今後も読んで下さるみなさんの興味をそそるような内容を提供していければと思います。
今後とも「カルチョイダリアーノ」をよろしくお願いします。

                                              井田征次郎

posted by イダリア |01:03 | その他 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年03月11日

日本人が西洋人に勝るもの

先週末はいつものチームとは違い、二つ下の年代の試合にトレーナーがいないということでそちらに派遣されて行って来ました。
いつも一緒にいるチームだけでなく他のチームの仕事も任せられるようになり、クラブに認められてきたうれしさと少しの自信がついていっています。

さて、この試合の行く途中に車で送ってもらっていたマネージャーの人との会話でで面白い話があったので紹介したいと思います。
彼は日本の文化や技術にとても興味があり、そして日本のそれらをとても関心していました。

アメリカなんかは機械が壊れるとその機械を捨てて新しいものを作る。一方で日本はその機械の故障の原因をさぐり、直して再び使う。ダメだったらはい終わりでなく、何でダメだったかを考えそれをより良くしようとする考え方がとても素晴らしいと彼は言っていました。

そこで私はある話を彼にしました。
それは以前ACミランの日本人トレーナーの方から聞いた話で、イタリア人のトレーナーやフィジオセラピスタは、例えば膝を怪我した選手がいたら膝しか見ようとしない。そこでその日本人トレーナーが足の裏や大腿部、腰なんかを見ていると「おい、こいつは膝が悪いんだぞ、わかってるのか?」って言われたそうです。
その方は膝を怪我するなら他の部位にも原因があるのではと思い(もちろん怪我をしている膝は見たうえで)他の部分からのアプローチをして見事にその選手の痛みを緩和させたそうで、それを見たイタリア人は大そう驚いてたそうです。

その話を聞いたイタリア人のマネージャーは、「それもさっきの話に当てはまるね。日本人は広い視野をもっている。悪いとこだけでなく、その原因がどこにあるのか見れる能力を持っている」って言ってました。

一つのことに専門的に強いことって素晴らしいことだと思います(実際にイタリア人のドクターはそれぞれの部位の専門化が多いそうです)が、広く見渡せる能力というのもとても重要なことだと思います。
なぜなら身体にしろ機械にしろ、それらは全て繋がっているからです。

広い視野や考え方を持ち全体を見渡せることは、日本人が西洋人に勝るとても素晴らしい能力だと思います。

posted by イダリア |05:08 | その他 | コメント(7) | トラックバック(0)
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2008年03月04日

タイミングと巡り合わせ

あっという間に3月に突入しました。
私がPerugia Calcioでお世話になり始めてもう半年近くが過ぎました。

イタリア3年目とはいえこのクラブにやってきたのは初めてで、クラブ側からしてみれば「なんだこいつ?」といった感じだったでしょうが、今はクラブの関係者、選手、そして選手の親御さん達にも顔を覚えられてとても居心地よく勉強させて頂いてます。

クラブに来た当初は「日本からわざわざイタリアサッカーを学びに来た青年」という感じで「偉いね」なんて言われてたものの、いくら体育系の大学を卒業したと言っても単なる研修生というか練習見学者のようなものであったのですが、あることがきっかけで自分のことを少しずつ認められていくことができました。

私は大学時代にサッカー部のトレーナーを務めていたこともあり、練習前に毎日クラブのトレーナールームを見学させてもらっていました。
このトレーナールームの責任者のトゥーフォは27年間Perugiaのトップチームのトレーナーとして働いており、中田選手のことももちろん知っています。

3年前から育成のトレーナー責任者となりここにいるのですが、彼の仕事を毎日見学させてもらっていたある日、トゥーフォが急用でトレーナールームを離れていた際に1人の選手がバンテージを巻いてもらうためにトレーナールームにやってきました。
「トゥーフォは今出てるよ」と言ったらとても困った様子でいたので「俺がやってあげるよ」といって私が代わりに選手にバンテージを巻いてあげました。

選手も喜んでくれて私も満足していたのですが、その次の日にはその噂がクラブに伝わり、トゥーフォから「今日から俺の仕事手伝ってくれ」と言われました。
ほんの些細なことですが、これが初めてイタリアのサッカー現場で自分のことを認められた時でした。そしてまた今まで日本で学んだことが活きた時でもありました。
今では毎日の練習前の選手のケアだけでなく、試合時にトレーナーの人数が足りない時はベンチ入りもさせてくれるようになり、トゥーフォからは「来年も俺の仕事を手伝ってくれ」と言ってもらえるようにもなりました。

以前ACミランの日本人トレーナーの方と話をさせていただいた際にその方も言っていたのですが、仕事を得たりするにはタイミングと巡り合わせが必要で、そのトレーナーの方も日本でイタリア人選手と知り合いイタリアに渡り、ちょうどいいタイミングでミランの医療スタッフのが変わりそこに入ることができ、それからトップチームのスタッフに欠員が出たところでヘルプとして行ってた際に鍼灸の治療が何人かの選手に認められてそのままトップで働いているということでした。

そういったタイミングや巡り合わせっていつ来るかわからないものです。
しかしそれがいつ来てもいいようにしっかりと今出来ることを学んでおき、その時が来た時にそれを発揮できるようにしておかなければいけません。

これからまたどんなタイミングでどんな巡り会わせがやってくるかもしれません。
その時のためにもしっかりと準備をしておきたいと思います。
tufo


posted by イダリア |19:37 | その他 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年02月22日

壊れていくサッカー選手

今日のスポーツ新聞「corriere dello sporto」の記事で、最近急増している膝の故障についての記事がありました。
イタリアでもつい先日、1週間に3人(ミランのロナウド、インテルのコルドバ、エンポリのポッツィ)が試合中に膝を故障しました。
膝の怪我は場合によっては選手生命にも関わりかねないものとなります。
数年前に比べて明らかに急増しているこの膝の故障について、FIFAとフィジオセラピストの見解が書かれてあったので紹介します。

膝の怪我の2/3が接触のないプレーで起こるものであり、その70%近くが前十時靭帯の損傷だそうです。
数十年前では膝を怪我すると1年以上の長期離脱、もしくは選手生命の危機となるようなものでしたが、医学の進歩により今では約6~9ヶ月位で復帰できるようになりました。
しかし膝を故障の件数は近年増加しています。
この原因はまず試合数の増加が原因とされています。
ビッグクラブになると年間平均で3日に1試合をこなしています。1週間の中で試合後のクールダウンの日を除けば実質的に週に1回しか練習ができないことになります。
ちなみにA.Cミランは多いときでは6日で3試合をこなさなければいけない時もあるそうです。
フィジオセラピストの意見では人体学的に言えば週に1試合が妥当だと言っています。
試合数の増加が選手を危険に曝しているという意見は様々なところで議論されているようです。
実際にセリエAのチーム数を現在の20チームから16チームの減らそうという声もあがっているそうです。

また選手の身体的な変化として、20年前のプロサッカー選手に比べ現在の選手の持つパワーは40%程度高いとこのフィジオセラピストは言っています。
しかし増しているパワーに比べ靭帯や腱などは遺伝的なものであり増加しているパワーに比べ昔と変らず、そのパワーに耐え切れずに故障が増加しているとも言っています。

先日、イタリア研修プロジェクトにて、A.Cミランでトレーナーをされている日本人の方とお話する機会がありました。
その方も「マルディーニなんかは筋肉だけ見れば今でもこれからもバリバリ現役でプレーできるけど、関節や靭帯がボロボロなんだよね」と言っていました。
正にそれがこのフィジオセラピストの言っていることに当てはまるものなんだと思いました。

特にヨーロッパサッカーでは国内リーグだけに留まらず、CL、国内カップ戦、そして代表選手は代表戦に加え、ビッグクラブは夏季にアジアやアメリカなどにエキシビジョンマッチをしに行き、選手は年間ほとんど休みなしに活動しています。
しかしこれを続けることによって選手達がどんどん壊れていくことにななり、それを選手が壊れた後に気づいても遅いでしょう・・・。
そういったこともサッカー界は考えていく必要があると思います。

posted by イダリア |20:20 | その他 | コメント(8) | トラックバック(2)
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2008年01月14日

トッププレーヤーのもつメンタリティーとは?

前回書いたことに対するコメントの中に「メンタリティー」という言葉がよくでてきました。
海外で通用するためにはメンタルが強くなければいけない。トッププレーヤーのメンタルはすごいということをよく聞きますが、いったいトッププレーヤーがもつメンタリティーってどういうものがあるのでしょうか?

今回は僕があるスポーツ選手から聞いた話から、トッププレーヤーのメンタリティについての一考えをを書きたいと思います。


イタリア・フットサル代表キャプテン、ナンド・グラーナの話

昨年の5月半ば、私はある日本人フットサル選手の友人と共に、イタリア・フットサル・セリエAのプレーオフ準決勝の試合を観に行きました。
フットサルはサッカーに似ているようで実は全く違うスポーツだそうです。
私自身、生でのフットサル観戦は初めてで、知識もほとんどありませんが、サッカーとは違うスポーツといえども何か学べるものがあると思い観に行っきました。

対戦カードはその年のセリエAリーグチャンピオンのLuparenzeとセリエA2優勝枠からプレーオフ参加でこの準決勝まで勝ちあがってきたTrevigianaの対戦。

試合は前半はLuparenseが押し気味に進め2-0とリードするも、後半にTrevigianaが同点に追いつく。Luparenseは1点追加し突き放すもまたも追いつかれるというシーソーゲーム。最後にはまた突き放して見事勝利し決勝進出を決めたが、1部のリーグ優勝チームにアウェイでここまで苦しめたTrevigianaも友人曰くかなりいいチームだったとのことです。

Luparenseの中心選手でイタリア代表のキャプテンであるナンド・グラーナという選手はその友人の知り合いで、帰りに私たちをホテル近くまで車で送ってくれました。

車の中での会話は全てポルトガル語(セリエAでプレーする選手のほとんどがブラジル人かもしくはブラジルから帰化した選手だそうだ)で話の内容はわかりませんでしたが、後でその会話について友人が説明してくれたことの中で一つ気になる発言がありました。
それは、友人がナンドに「今日の試合後半に巻き返されてかなりきつい試合だったね」といった時にナンドが言った言葉のひとつの単語「responsabilidade(ポルトガル語)」である。

日本語で訳すと「責任感」という言葉が一番近いでしょう。

ナンドは、「後半追い上げられたけど俺たちは勝った。セリエAのリーグで首位を走り続けた責任感が俺たちの勝利につながった」といったようなことを言ったそうです。

最初はそれを聞いて友人も「んっ?」と思ったそうです。
「responsabilidade」がここでどういうことを意味するのかわからなかったと。

ちなみにブラジルの選手や指導者は「responsabilidade」という言葉を頻発するそうです。

私もそれの話を聞いたときは、Luparenseは最高峰のリーグで1位になった自信が、後半に追いつかれても絶対に勝てるんだという気持ちに繋がったのかなと思いました。
しかしその「responsabilidade」が日本語訳そのままの「責任感」という意味であるとすると少し違うかもという疑問もでてきました。

トップリーグの1位のチームが、2部のチーム相手に追いつかれることはすごいプレッシャーだったのではないのか?
Luparenseは1部のチャンピオンとしての責任感を感じていたのなら、それが余計にプレッシャーとなって自分達を追い込んでしまうのではと思ったのです。

一般的にチャレンジャーの方がプレッシャーは少なく、逆に実力的に上のチームの方が大きなプレッシャーを受けてプレーに精細を欠くことが起こりうるのではと思ったのです。

しかしナンドはこの「responsabilidade」が勝利につながったと言いました。

このことについて友人ともいろいろ話をしました、ナンド本人に聞いてないのでその真相は謎です。
ただ私たちの仮説としては、トップレベルの選手として、試合の流れを読む(試合展開・時間帯・相手の動き)責任感をLuparenseの選手の方が勝っていたのではということでした。

ボールの動きが速く、試合の展開も速いフットサルでは、常にどのように試合が動いていて、選手はそれに合わせてどう動かないといけないのか考えれないといけないそうです。
選手交代が自由であるフットサルだけど、ナンドなんかは自分がベンチにいる時も常に流れを読んで仲間に指示をだしていました。
そういったトップ選手としてプレーするプレーヤーの役割の責任感を持ち続けてプレーしたから勝てたのではないかと思ったのです。

先にも書いたように、この試合のような展開の場合追いつかれ続けたLuparenseは精神的にかなりきつい試合だったでしょう。
しかしこうやって勝ちきることのできるこのチームの選手達の精神力と、その中で自分たちのやるべきことを全うする責任感はかなり強いものだと思います。
それは何回もこういった経験をしてきた選手達だからできたことではないかと思うのです。

大舞台や大事な試合を多く経験してきたLuparenseの選手達はそれによって養われているんだと思います。
だから重圧という意味のプレッシャーの中でも、または敵が迫ってくるプレッシャーを受けながらも自分たちの実力を発揮できるのでしょう。

経験が選手に与える自信、それは経験したものだけが得ることができ、持つことができるものなんでしょう。

posted by イダリア |04:17 | その他 | コメント(10) | トラックバック(0)
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2008年01月13日

海外に渡る選手はどんなことが必要か?(3)

中村選手がUEFAのサイトに答えたインタビューがイタリアのサイトにも載っていて、その内容がちょうど前回・前々回に関係することもあったのでそれについて書きます。

中村選手はインタビューの中で、「ヨーロッパでは日本人選手に対する差別があるため日本人選手が活躍するのは難しい」と言っていました。
特にイタリア時代でのそのことについて言っていたみたいですが、レッジーナ(中村選手が所属していたチーム)側は、「中村は我々のアイドルだったし、そのような問題が起こりえるはずがない」と言っています。
(http://www.gazzetta.it/Calcio/Estero/Primo_Piano/2008/01_Gennaio/11/nakamura.shtml参照)

でも当の本人がそう言っているということは相当な苦労があったのでしょう。
レッジョ・カラブリアという地方はイタリアの中でも決して評判のいい地方ではありません。
日本人が住むにはとても難しい地方なんだと思います。
どのような差別があったかはわかりませんが、サッカーに集中しきれないくらいの差別や問題があったのかもしれないことは想像できます。

ただ彼はインタビューの中でこうも言ってました。
「言葉の問題は大した問題ではない。サッカー自体が言葉のようなものだから」と。

今のセルティックでのような活躍ができていれば多少言葉ができなくてもプレーで見せるということができるかもしれませんが、他のヨーロッパの国でも同じようにできるのかは少し?と思います。
まあ中村くらいの歳になると、必死に言葉を勉強してチームに馴染むより、自分のプレーを最大限披露してチームに認めさせる方が手っ取り早いのかもしれません。
ただそれができるチームならいいですが、もっと上のレベルに行ったり、もっと複雑な戦術を用いるチームに行った場合、おそらく同じことは言えないのではと思いました。

posted by イダリア |06:05 | その他 | コメント(16) | トラックバック(0)
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2008年01月12日

海外に渡る選手はどんなことが必要か?(2)

それでは前回の続きを書いていきます。

4)変なプライドなら無いほうがいい

これはあくまで私の私見です。
海外に渡ってくる選手は皆、代表経験者などで日本ではトップの実力を持った選手ばかりです。
いくらサッカー後進国の日本でとはいえ、国のトップレベルの実力を持っている選手なら、欧州でも地方クラブの選手なんかには負けないという自信を持っていると思います。
実際にテクニックなんかの部分に関して言えば彼らのレベルは欧州リーグでもかなり高い方に入ると思われます。

しかしそれだけでは戦えないのがサッカーです。
いくらサッカーの最終的な局面は1対1といっても、1人で11人を倒すことなんてできません。
戦術があって、味方との連携があって、チームという組織があって、その中で「個」というものをアピールしていかなければならないのです。

いくらボールタッチが優れていても、技術が周りより優れていても一人じゃ何もできません。

多少うまくて1人かわせるくらいの実力があっても、相手は2人3人かけて、もしくはファールをしてでも止めに来ます。

それでは周りとどうやって連携していくか。
やはり前回にも書いたチームメイトや監督コミュニケーションが一番重要だと思います。
普段からチームメイトと話をして、お互いのプレーを確認しあうことが重要です。

なので変なプライドで「俺は言葉なんか覚えなくても実力で勝負する」なんてプライドは捨てた方がいいと思います。
僕は今まで海外に渡った日本人選手の多くが、どこかこういったプライドがあったんじゃないかと思ってます。(そういった噂もよく耳にしますし)

マラドーナのような絶対的な王様の域まで達すれば自然と周りが着いて来るかもしれませんが、日本代表レベルでそれを思うのは過信ではないでしょうか。


5)若ければ若い方がいい

4)で書いたことにも繋がりますが、若いうちに来た選手の方がそんな変なプライドもなく、思いっきり欧州サッカーの世界に飛び込んでいけると思います。
森本なんかがそのいい例ではないでしょうか。
あのくらいの歳で、「海外楽しんでやるぜ」くらいの勢いがあってもいいと思います。
それにもし失敗しても、世界のトップレベルのプレーを肌で感じればまた日本に戻ってやり直して、また再挑戦することも可能ですしね。

なので、去年グルノーブルに渡った伊藤選手や梅崎選手のような若いうちの海外挑戦はとてもいいことだと個人的には思ってます。

長谷部選手なんかがいろんなとこでよく言われてるのをメディアやネットを通して目にする「まだ世界には通用しないから日本でもっと実力つけてからの方がいい。」とかいう意見にはあまり賛成できません。
いくら日本でやっても所詮こっちにこないと世界のレベルは体験できませんから。
世界W杯に日本チームが出場したことで前より世界と本気で戦うチャンスは増えましたが、まだそれができるチームは限られてるし、やったのは昨年のレッズだけ。

もっともっと若い選手が勢いを持って海外に挑戦してほしいものです。


いろいろと長々と書きましたが、私自身が今思うことはこのくらいです。
この冬の移籍で何人の選手が世界に飛び出すのかわかりませんが、是非とも頑張ってほしいものです。
このことを書いたことも含めて、個人的には本田選手の挑戦がおもしろそうで期待できそうだなと思ってます。

posted by イダリア |06:32 | その他 | コメント(15) | トラックバック(0)
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2008年01月11日

海外に渡る選手はどんなことが必要か?(1)

日本サッカーは今オフシーズンということで、いろいろと選手の移籍話で盛り上がっているようですね。
やはり僕はそこで海外移籍の噂のある日本人選手が気になるところです。

このオフで話題になっているのは本田選手、長谷部選手、水野選手あたりでしょうか?
小野選手も怪我で途中帰国したものの、再度チャレンジする可能性もあるみたいですね。

さてみなさんはこれら日本人選手の海外移籍についてどう思ってますか?
人それぞれいろんな意見があると思いますが、行く前から必ず成功する保障なんて誰にもありません。
例えそれがブラジル人やアルゼンチン人なんかであってもです。

海外でプレーするということは当たり前のことながら本当に難しいことだと思います。

サッカーの実力があるということは大前提で、今回は僕が今まで聞いた話やこっちにいて思うことから、海外に挑戦する選手はどんなことが必要かを書いていこうと思います。


1)イタリアに渡って来た日本人選手達の実情

今までイタリア・セリエAに挑戦した選手は三浦知・中田・名波・中村・柳沢・小笠原・森本・大黒の8人。
でも実はこの中で本当に実力を買われてイタリアに渡ってきたのは中田選手だけだと言われています。

そのほかの選手はと言えばわかる人も多いかと思いますが、彼らの連れてくるスポンサー、そして彼らが生み出す日本でのクラブの広告収入、つまりジャパンマネーなのです。

だからといってはなからそれらの選手を戦力として考えずに取っているかといえばそうではないとは思います。
でも現実的に中田はイタリアでも注目されるくらいの活躍があったものの、そのほかの選手達はなぜイタリアサッカーで成功することができなかったのでしょうか?

今でもイタリアに残っている選手は森本と大黒の2名。
森本はクラブ側が彼を育てる気があることと、途中交代ながらも徐々にリーグ戦にも出続けているため今後に期待できますが、大黒にいたってはかなり難しい状況でしょう。


2)生活に馴染めるかということもかなり重要

そもそも海外でプレーをするとしても、練習や試合は1日2時間程度。
それ以外の時間は普段の生活となります。
その1日の大半の時間を過ごすのに、言葉も文化も違う国ではやはり自分の気質と合わない国や地域だとかなりのストレスがかかります。
そんな中で長期間生活をしていくことがどれだけ過酷なことでしょうか。
本当に芯の強い人なら、そんな困難も乗り越えて強くなり、選手としても成長していけるかもしれません。むしろ、海外に挑戦したいと思うのであれば、乗り越えなければいけないことではあります。
ただその苦労は、やっている本人にしかわからない、本当に大変なことだと思います。

またこう見てみてると、イタリアを去っていった選手のほとんどが既婚者です。
家族をつれて海外にやってきて、そこでの生活を気に入ればいいですが、そうでなかったとき、それはまた家族にとっても大きなストレスとなります。
日本人選手の大半が行っているイタリア南部の街は残念ながら生活するにはかなり過酷なとこだと思います。
日本にいる人たちからすれば、南イタリアのリゾート地のようなイメージがあるかもしれませんが、現実は意外とそうではないのです。

メッシーナには私も個人的に行ったことがありますが、あの街は僕が初めてイタリアの都市でイタリアらしくないと思った街でした。
そこは、観光用のイメージで流されるきれいな海の映像なんかとはかけ離れた、住みずらそうなとこでした。
おそらく去っていった彼らは2度と同じ場所に戻りたいとは思わないんじゃないでしょうか。

一方で聞くところによると森本選手はイタリアでの生活も満喫し、選手とのコミュニケーションも積極的にとっていってるとのことです。
個人的に彼の普段の性格を知りませんが、おそらく彼の気質とイタリアの生活が愛称のいいものなのではないかなと僕は思います。


3)言葉を覚えることは本当に重要なポイント

海外に渡る前からその国の言葉を話せる選手はほとんどいないでしょう。
そうなると日本人選手は通訳をつけます。でも欧州国において、他の国の選手で通訳をつけてるような国の選手は日本人以外にはほぼいないでしょう。
そうなると、練習中の指示も、試合での指示も日本人選手に対してだけすべて通訳を通さなければなりません。
指導する監督側からすればそれはかなり面倒なことだと思います。
わざわざ通訳を通さないと自分の考えが伝わらない選手なんかより、自分と直接会話できる選手の方が好まれるに決まってます。
もちろんそんなこと問題にならないくらい選手と監督の関係が成り立ってたり、実力があるのであれば話は別ですが。
先発から使えるだけの能力があれば、試合前に十分な時間がありますが、途中出場で勝つための重要な戦術を指示するのに、通訳なんかを通してチマチマ指示している余裕なんてほとんどありません。

そういった意味でも言葉を話せるということ、コミュニケーションを取れるということはかなり重要なことです。

ちなみに某選手の元チームメイトが「○△はロッカールームでチャオすら言わなかった」って言ってたということを聞いたことがあります。
そんな選手が監督とどころかチームメイトとすらもうまくいかないことは目にみえてるでょう?

また、言葉を覚えればそこでの生活も変わってきます。
言葉がわかるだけで住んでいる街のことを知ることができ、その環境を楽しむことに繋がる大きな要素だと私は思います。


ちょっと長くなったので今回はこの辺で。
続きはまた今度書きます。

posted by イダリア |08:39 | その他 | コメント(4) | トラックバック(0)
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