2008年05月16日

指導者の仕事は選手を作るのでなく、能力を引き出すことだ

前回・前々回と少しまとまりのない文章を書いてしまい、自分の頭の中でもいろいろなことが混沌としてましたが、今回経験したことと今まで得た経験や知識を合わせて再確認したことがあります。
それが「指導者の仕事は選手をつくるのでなく、能力を引き出すこと」ということです。
特に育成年代の指導者・フィジカルコーチやトレーナーなどにそれは当てはまるものだと思います。

以前プロチームで活動されている指導者やトレーナーの方とお話をさせて頂いた際に「プロ選手でもある程度の素質がなければ能力は伸びない」、「カカーのような選手は作ろうと思っても作れない。その才能を見つけ出してよい環境でプレーさせることが必要」といったことを言っていました。

厳しいことを言えば生まれた時点でその人にサッカーの素質があるかどうかは決まっているのかもしれません。
その中でも、よい指導者に出会い、よいトレーニングを積んで、よい環境でプレーした限られた選手だけが大成していくのだと思います。

いくら素質のある人でも良い指導者に巡り合わなければ自分の能力を開花させることができないかもしれません。(よい指導者とは選手の素質を見極め能力を引き出すことのできる人なのだと思います)
間違ったトレーニングをしていては(本来持っているはずの能力を妨げるようなトレーニング)せっかくの素質も開花しません。
悪い環境でプレーしていればその能力はなかなか伸びません。
日本人でもかつて「天才」と呼ばれていた選手がいつのまにか消えていったということは少なくないでしょう。
そこには「運」というものも大きく関わっているのだと思います。
またサッカー以外の時間での巡り合わせも大いに関係するでしょう。
その可能性を広げることが指導者の手にかかっているのです。

チームスポーツであれば個々の能力以外にもチームの団結力・チームでの戦術によって勝利を掴める可能性はあります(個々の能力に優れた選手の揃うブラジルが常に勝てるわけではないのはそういったことからだと思います)

トップチームの監督はある意味出来上がった選手達をまとめ、チームとして完成させることが仕事なのだと思います。
そしてそれ以下のカテゴリーの指導者達はそのトップチームにより能力の高い選手を送り込むことが最大の仕事です。
クラブチームであればお金があればいい選手を買ってきてあとはチームとして仕上げるだけということができますが、国単位で考えるとそんなことはできません(帰化させるといった手はありますが・・・)
なのでその国のサッカーのレベルを上げることは育成年代の指導者の力にかかっているといっても過言ではありません。(もちろん最終的な仕上げをするトップ年代の指導者の力も必要ですが)

自分が専門であるフィジカルの面から言うと、選手にガンガン筋トレをさせて、ガンガン走らせてと選手を作ろうとするのでなく、その選手の持っている資質を開花させる、そんなトレーニングが必要なんだと思います。

前回紹介した「ピラティス」のようなエクササイズは、選手の本来持ってる力を引き出すために選手の身体を整える、そういったものなのではないかと思うのです。

単に筋肉をつけたりパワーをつけるだけでは逆にその選手の能力を妨げている可能性もあります。
それをする前に、まずは選手が一番能力を発揮できるような身体づくりをし、その後で必要なもの(筋肉やパワー等)をつけていけばいいのではないでしょうか。

そのためには選手の資質・能力を見極める指導者としての目を養うこと、そしてその選手に対して適切な指導を行い選手の能力引き出す力が必要です。
そういった指導者が増えることが、選手にとっても成功する可能性を大きく広げ、それがその国のサッカーのレベルを上げる重要なポイントとなると思います。

posted by イダリア |21:10 | 指導者 | コメント(4) | トラックバック(0)
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この記事に対するコメント一覧
指導者の仕事は選手を作るのでなく、能力を引き出すことだ

能力を引き出すだけでなく、作ることも必要だと思います。


まず、能力と言っても色々あって、

筋肉や身長等のいわゆる身体能力。飛んだり、走ったりの部分は
先天的なものが大きいでしょう。
とはいえ、プロのトップレベルやオリンピック(陸上競技etc.)レベルになるにはと言う前提条件尽きですが。
カカの様な選手は、オリンピックレベルの運動能力を持ち合わせているので、
それを潰さないように伸ばすことが重要でしょう。

しかし、プロになれるかなれないかボーダーラインの運動能力の持ち主を
作り上げることでプロレベルに持っていくことは可能でしょう。
(筋トレさせまくるとか、何キロも走らせるとか、もちろん個人の性質を考慮して)
当然、トレーニングでの伸び率では足りない、先天的に(プロ)スポーツ選手に向いていない人もいると思います。


それから、脳科学の話。
小脳レベルのバランス能力、反応速度といった者は
先天的でしょう。それを生かしたトレーニングをするべきです。

しかし、ことはそう単純でなく、
大脳での情報処理の部分も非常に重要な要素で、
こちらの方は、後天的に能力を発展させることができます。
繰り返しのトレーニングによって、反応速度を上げることは可能です。
もちろん、トレーニングの効果の大小も個人の資質によって決まってきます。


最後に難しいのがサッカーセンスというものの評価です。
ボールコントロールの場合、身体能力と、脳での情報処理の複合物です。
もちろん幼年期にある程度、複合物の基本形が出来ていなければ、あるレベル以上の発展は望めません。それから、その複合物も個々で出来上がりが違って、いわゆる個性というものを持っています。
見極めるべきは「この個性」でしょう。
この個性を潰す練習は確かにナンセンスです。
(とはいえ、この個性は主観的であり、見極めるのが非常に難しい)

ただし、勘違いして欲しくないのは、若年層の場合、この個性はあくまで雛形・ベースであって、それにいろいろ修飾させたり、それの発展の方向性を決めたりすることが可能です。
ある程度の年齢に達したあとも、成長速度と成長量は少ないでしょうが、発展は望めるはずです。

修飾させるものや、方向性は、指導者や環境要因によって決まるでしょう。
よって、指導者なり環境なりが、これからのサッカーに必要な能力、ポジション、役割を想像(あるいは創造)してこれを作り上げなければなりません。
とはいえ、選手が持っている能力が逆にその修飾物や方向性を導いてしまうことも多々あると思います。
また、発展可能な容量というものもある程度決まっている可能性もあります。



それから、判断力、戦術のようなものは後天的に勉強でも身に付くものです。
もちろん、こちらも選手によってベースの個性が違います。

あと、選手個人の気性、性格も重要な要素でしょう。こちらも環境要因等である程度変化することを考慮することが大事です。運もこの内にはいるでしょうか。


「指導者の仕事は選手を作るのでなく、能力を引き出すことだ」
逆説的ですが、
選手の個性を見極めた上で、何を修飾させられるか、つまり作り上げる能力も問われるのだと思います。

posted by Same | 2008-05-17 00:10

指導者の仕事は選手を作るのでなく、能力を引き出すことだ

Sameさん>

貴重なご意見ありがとうございます。
逆説的な意見であっても私の意見が絶対だと自分でも思っていないのでいろいろ気づく参考になりますのでとてもありがたいです。
ただ私が今回のことで気づいた一番大きなことは(それを文章中にうまく表現できてなかったかもしれませんね・・・)自分の専門とするフィジカルの部分に関して、「ピラティス」のようなエクササイズを用いて、選手の身体を自然なニュートラルな状態に戻してあげることの重要性を感じたのです(人間は生活環境の様々な要因から身体が歪んでいます)そうすることによってその後につける筋肉やパワーがより発揮しやすくなったり、また身体が歪んだ状態で筋肉をつけることによって余計な負担が身体にかかり障害に繋がるといったことを防ぐことになるのではと思ったのです。

言い方を変えればSameさんの仰る作り上げる前にその準備(より効果的に作り上げるための)をするようなものでしょうか。
まあこれはフィジカルの面に関してですけどね。

長文に渡るご意見ありがとうございました。

posted by イダリア | 2008-05-17 06:28

指導者の仕事は選手を作るのでなく、能力を引き出すことだ

管理人 イダリア様

こちらこそ、長々とすみません。
丁寧な御返答ありがとうございました。

「ピラティス」のようなエクササイズの重要性を教えて頂いて大変興味深かったです。

ただ、今回のお話に違和感を覚えた部分があって書かせて頂きました。釈迦に説法だったかも知れないですね。申し訳ない。
今後とも、様々なことを教えて下さい。

posted by Same | 2008-05-17 07:06

指導者の仕事は選手を作るのでなく、能力を引き出すことだ

Sameさん>

こちらこそご指摘ありがとうございます。
ただ「ピラティス」のようなエクササイズの重要性というより、その有効性に気づいたのであって、ああいったエクササイズもきちんと身体のことを知って行わないと意味の無いものだと思います。
単に「ピラティス」はいいぞと思って見よう見まねで行っても効果は薄いと思います。きちんとポイントを押えることが重要です。
それは他のトレーニングにおいても共通することですよね。
あくまでこういったエクササイズは手段のひとつだと。

これからも何かお気づきになりましたら是非ご指摘いただければ幸いです。

posted by イダリア | 2008-05-19 06:46

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