2009年05月10日

イタリア指導者研修④「どういったときに叱る?」

しばらく時間が空いてしまいましたが、4月に行われたイタリア指導者研修の内容がまだ残っていたので続きを書くことにします(ここのところ少し違う話題で盛り上がってましたが切り替えていきましょう・・・笑)

さて、みなさんはどういったことが起こったときにどのように子どもたちを叱りますか?(日本語というものは難しいもので、この「叱る」という言葉が正しいかどうかわかりませんが・・・)

イタリアの指導現場を見てて感じるのは、育成年代においても指導者は選手達にかなり強い口調で「こうしろ」「ああしろ」といったことを言う人が多いです。
一見それは指導者の押し付けであったり、またあまりにも強すぎる口調から日本の子どもだったらこう言われたら萎縮してしまうのではないかなと最初は思っていましたが、イタリア人の性格を理解していくとその謎はとけていきました。

イタリア人の子どもはとにかく気が強く多少のことを言われたくらいではへこたれません。相手が何かを言ってくればそれが大人相手であろうと自分の意見をぶつけてきます。それは単に言い逃れとしての言い訳でしかないこともありますが、とにかくただ言われたことを黙って受け入れるような人はほとんどいません。
そんな選手達を相手にする指導者も何か自分の意見を伝えるときはかなり強い口調で言わないと選手達は言うことを聞かないのです。
逆に選手達に「このコーチは強く言ってこない」と判断されるともうそれはやりたい放題で収集がつかなくなる可能性が非常に高いです。

ですので現場ではきちんと「指導者」と「選手」の立場の理解を示すためにも指導者は威厳を見せなければいけなく、それに必要なのがこの「叱責」する能力なのです。
ただこれだけを聞くと大人の力だけで押さえつけているようにも見えますが決して指導者の気分の良し悪しで叱るようなことはなく、上手い指導者になればなるほどその叱り方も非常に上手く、時には理論的なことを述べたり、時には最後に冗談を交えてわだかまりをなくしたりと指導者によってそのやり方も異なります。
ただ共通して言えることは非常に口の達者な指導者が多いという印象を私は受けています。

しかし先にも書いたように、日本の子供達相手にいくら口がうまくてもイタリア人のような強い口調で叱っていては萎縮してしまう子も多いなと感じているのですが、イタリア人の指導を見ててこれは日本人相手でも活用できるなと思うのが、「どんな時に、またはどういったことが起こったときに選手を叱るか」という場面やタイミングの考え方についてです。

指導者の気分次第だったり、また単にミスをしただけで叱るなんてことはあってはならないことだと思います。それでは選手は単に力で押さえつけられてると感じたり、またミスを恐れてチャレンジすることを恐れてしまいます。

この研修の3日目に訪れたブレシアのジュニアユースの監督はこのように言っていました。
「指導者が選手に対してできるだろうと思ったことができなかったとき、またはしなかった(チャレンジしなかった)時に叱る」と。
つまり単純なミスや失敗も、失敗してはいけない状況(例えばプレッシャーのない状態でのプレー)で起こったものなら厳しく言う、またできることをチャレンジしなかったことに対しても叱るといったことです。

これには指導者は自分達の選手は何ができて何ができないのかを知る必要があり、そこには選手を見る「目」が重要になってきます。
単に指導者の思い込みで「これはできるはず」「これはできない」と決め付けてはいけません。選手達の能力をきちんと把握した上で行うことが重要です。
そのためにはしっかりと選手達のプレーを見ることが重要だと言っています。
チーム「全体」をみながらも「個」もしっかりと見てそれを見極め、それぞれの選手に対して求める能力も変わってきます。
当たり前のことのように思えますが、指導者一人で何人もの子どもを一度に練習させる中でそれをしっかり行うことは簡単なことではありません。
みなさんはしっかりと選手一人ひとりまで目が行き届いていますか?

次回は「できること」と「できないこと」を知るということについて書きたいと思います。

posted by idalia_calcio |22:18 | 指導者 | コメント(4) | トラックバック(0)
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イタリア指導者研修④「どういったときに叱る?」

コメント投稿者ID :

初めてコメントさせていただきます。
「叱る」という言葉、適切だと思います。
「良くない点を相手に伝え、咎める」というニュアンスですね。
それに対して、似た言葉で「怒る」という言葉があります。
怒るは、「自分の不満を相手にぶつける」といったニュアンスになります。

よく子供が「お母さんに怒られた」とか言いますが、お母さんが正しく接していれば、「お母さんに叱られた」となるはず。
まぁ、お母さんが感情あらわに怒っている場合もありますが。笑

ブログ楽しく読ませていただいております。
異国の地で頑張ってください!

posted by jinsa | 2009-05-11 00:14

イタリア指導者研修④「どういったときに叱る?」

コメント投稿者ID :

二度目のコメントとなります。
以前のコメントで、イタリアでの「学業指導というのは具体的にどうするのか」と質問した者です。
異なるエントリーでお礼を申し上げるのも難なのですが、その節は丁寧なご回答をありがとうございました。
大学のシステムの違い、部活のことなど、大変に興味深く拝見しました。

今回のエントリーですが、普通の生活でも他人の子供を叱るのは難しいものだと思います。
以前、友人の子供を注意したつもりだったのに、笑われて終わったことがありました。
子供の性格によって注意の仕方も変えなくてはならないでしょうし、上手に指導するには心理学の知識もあれば役に立つのかな、と単純に考えたりもします。

叱られる側に不満があって、それを口にできるだけの我があれば、叱る側も問題点を解決しやすいのですが、黙ってしまう相手は難しいですね。
日本人の子供は、黙ってしまう子のほうがまだ圧倒的に多いのではないかと思います。
社会が受動的でも生きていけるシステムになってますので仕方ないのかもしれませんが、海外へ行くとそのへんのギャップは感じます。
どちらが良い悪いということではなく、違うなあ、と。
海外へ行った時はこちらも自己主張せざるを得ないのですが、慣れていないだけに加減が分からず、苦労します。

次回のエントリーも楽しみにしています。
頑張ってください。

posted by KA | 2009-05-12 18:51

日本も同じですね

コメント投稿者ID :

どの国でも、同じような悩みを抱えているのだなぁということがわかり、安心(?)しました。

僕が指導現場で叱るのは、ルールを守らなかった時が中心です。
特に危険な行為や他人に迷惑をかけるようなルール違反は厳重に注意します。
「コーチは怒っているんだぞ!」というアピールのため、かなりオーバーに声を出しています。

posted by hao80 | 2009-05-13 10:23

イタリア指導者研修④「どういったときに叱る?」

コメント投稿者ID :

>jinsaさん
日本語とは非常に難しいものですね・・・。
でもjinsaさんのおっしゃるニュアンスとして私も捉えたつもりで今回の記事を書きました。
一方で「怒る」となると相手の行動に対してよりも自分の感情によるものが大きくなって少し違ったものになってきますよね。
これからもよろしくお願いします。

>KAさん
前回に引き続き再びのコメントありがとうございます。
確かに現在の生活の中で他人の子供を叱る行為はなかなか難しいものですね。
私の子供の時とかはまだ悪いことをすると近所のおじさんに叱られるといったことがまだありましたが、今は家庭内でも「叱る」親が減ってきて親よりも子供が強いといった事態が多く起こってると聞いたこともあります。
日本の学生時代に少年サッカーの指導をしていて、親御さんの中には「このサッカーの練習中に子供たちをどんどん叱ってやってください」と頼まれたりしたこともありました・・・。
本来家庭での役割がスポーツの現場に任されるようになっているのはいいこととは思えませんが、社会全体として大人が子供に正しいことと間違ったことをしっかりと示せるようにしないといけないと思います。
そのためには子供たちに恥じないような行動を私たち大人もとらなければいけませんね。

>hao80さん
ご無沙汰しています(ですよね?)
国や人種が違っても子供に教育的な指導を行うことや、その大変さはどこも一緒ですね。
ただしっかりと子供に「何故」そして「自分が叱られている」ということははっきり伝わらないとそれは意味をなくしてしまいますね。
「叱り方」ひとつをとっても非常に奥が深いものです。

家庭を持つ親御さんの方々の意見なんか聞かせて頂けると非常に参考になりますね。

posted by イダリア | 2009-05-15 18:45

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