2009年04月14日

イタリア指導者研修③「A.C Milan育成部、イタリア最高峰の育成機関」

ミラン
「イタリア最高峰の育成機関」と書きましたが、世界を見渡してもおそらくクラブでこれほどまでに設備と環境を整った育成機関も数少ないと思います。さすが世界を代表するクラブ「A.C Milan」だと感じました。

ただMilanのトップチームでトレーナーを勤めている日本人の遠藤さんともお話をさせて頂きましたが、育成機関と言っても2種類のタイプに分かれるようです。
ひとつは一般的に知られているような正に「選手を育成する」といったタイプの機関、そしてもうひとつは優秀な選手を集めより良い環境で選手をトレーニングさせる育成機関。
MilanやInterなどの強豪クラブの育成機関はその後者に当たります。
もちろんイタリアでも「青田買い」のような行為は禁止されており、14歳まではその州内の選手しか獲得できないようになっています。
しかしその後はイタリア全土にスカウトを張り巡らせ、毎年優秀な選手を獲得し、逆に競争に残れなかった選手はクラブを去っていきます。
今回コーディネートを務めてくださった方も言っていましたが、「あるクラブにおいて数年前にあるカテゴリーに所属していた選手達が今は誰一人として残っていなかった」という言葉が象徴するようにそれだけ激しい競争が毎年繰り広げられています。

このMilan育成部もそういったタイプであり、ここに集まる子供達は皆ある程度の身体能力とサッカーの技術を持った者達だとスタッフの方も言っていました。

そうして集められた子供達が下は9歳から上は17歳まで「Centro Vismara」と呼ばれる施設にてトレーニングを積んでいます。
驚くべきはその施設の設備、天然芝のグラウンド3面に人工芝グラウンド、また9人制のグラウンドやビーチのような砂のグラウンドに屋根付きのドーム型室内練習場、またトレーニングジムもありました。

この日は雨が降っていたために室内練習場でのトレーニングだったのですが、そこに併設されたある部屋に私達は通されました。

そこはいわゆるフィジカルコーチの部屋であり、なんとMilan育成部には5人ものフィジカルコーチが働いています。
その部屋のホワイトボードには全チームの週ごとに区切られたトレーニングメニューが書かれており、どのチームがどういったトレーニングをやっているのか把握できるようになっています。
ここMilanの育成部ではトップチーム(+プリマヴェーラ)が練習を行っている「ミラネッロ」と呼ばれるトレーニング施設と密に連携を取りミラネッロのトレーニングメソッドと同じやり方で(もちろん世代別にトレーニング内容は違うが)トレーニングプログラムを立てているそうです。
ここは正にいわゆる「ピッコロ・ミラネッロ(小さなミラネッロ)」と言うわけです。

また特徴的だったのが5人のフィジカルコーチ達はそれぞれ自分達の担当チームというのを持っているわけでなく、月ごとにそれぞれのコーチが順番で変わりながらトレーニングをしていくそうです。
その理由として、偏った指導にならないようにということと、「5人いれば5人の脳を使うことができる」といったより多くの視点から指導ができるということを言っていました。

その他にも常駐のドクター1人に5人のトレーナー(理学療法士やマッサージ師)がこの施設にはいるそうであり、正に環境としては恵まれた施設でありました。

またこのクラブでは定期的に体力テストを行っており、常に選手のデータは保管されておりタレント発掘のための資料として活用されています。
これまた驚いたのが選手の筋トレを始める時期を決めるための指標としてある機械を用いてその選手の実際の骨年齢を測定しそれを元にトレーニングプログラムを作っているということでした。

これだけ充実した設備でトレーニングできる選手達は正に選ばれた子供達であり、ここでは選手を「育てる」と言うよりは「篩いにかける」と言った方が意味が近いかもしれません。

この環境で勝ち抜いていった者達がイタリアを代表するような選手になっていくのです。
そうでない者たちはその後地方のクラブや下位リーグを渡り歩くといった選択肢になるのですが、A.C Milanでは正に世界を代表するクラブ「A.C Milan」で活躍する選手を探し出すといったことが一番の目的のように感じました。

歴史と伝統と栄誉とそして何より豊富な資金のあるこのクラブならではの育成スタイルを見た気がしました。


posted by idalia_calcio |20:04 | イタリアサッカー | コメント(0) | トラックバック(0)
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