2009年06月16日

テッド・タナベさん

「ある夏の日の思い出。ボクが初めてリングに足を踏み入れた日。」
 
毎日、暑い。一日に何回「暑い!」と口にしているのだろうか。
連日、30℃を超える猛暑。
 
ボクはデビューしてからというもの、ここ2年で、体重が10数キロほど増えた。日中汗をかく量が半端じゃない。
 
今や、汗を拭くために大きめのハンドタオルが手放せない有様となってしまった。
 
特に、今週滞在中のここ大阪・道頓堀は東京以上の暑さである。試合すると、体重がそれだけで、数キロ落ちるのは、選手だけではない。

試合を裁いてくれるテッド・タナベさん(レフリー)も、いつも全試合を終える頃には、暑さと疲労にやられて、顔も体もゲッソリして、控室に戻ってくる。
 
暑い、夏、大阪プロレス、そしてテッド・タナベ……。

ボクは忘れもしない、夏のある日の記憶を思い出した。
 
初めてプロレスのリングに足を踏み入れた日のことである。
 
場所は、新宿住友三角ビル前広場。この年の夏も、ひどい暑さだった。もう今のプロレスファンで当時、ここで行われたイベントを覚えている人は少ないかもしれない。

その瞬間のことは鮮明に覚えている。しかし、このイベント自体の詳細は、何しろボクもまだ小学校低学年だったので、記憶が曖昧だ。
 
確か、2週間くらいの日程で、いろんな団体が日替わりで無料で、三角ビルの広場で(野外)イベントか試合を開催する、プロレスフィスティバルというような内容であったと思う。
 
アントニオ猪木のトークショー&サイン会の整理券をもらうための抽選に外れた。

闘魂三銃士トークショーに、整理券をもらうために、早朝から並んだりもした。

2週間、うだるような暑さの中、とにかく新宿に行きまくった記憶がある。そして何より記憶に残っているのが、みちのくプロレスの日だ。
 
ボクはスペル・デルフィンさんが大好きだった。

小学校低学年にして、早くもプロレスマニアっぷりが過熱していたボクは母親に、着古されたTシャツを縫い合わせて、お手製のマスクを作ってもらっていた。(マスクといっても、袋状に縫い合わせて目と鼻と口をくり抜くように切っただけのものである。)

そこに、デルフィンのマスクのデザインを、カラフルなマジックで真似て書いて作り上げていた。全身から出る汗を拭いながら、そのお手製マスクを被って、試合を観戦した。黄色やピンクの汗がしたたり落ちてきた。
 
当時、一番下っ端だったTAKAみちのくさんがリング設営や雑用で走り回っていた。呼び止めて、一緒に写真を撮ってもらった。暑さで顔をずっとしかめてたのが、印象的だった。

売店にいたグレート・サスケさんにもサインをもらった。メインで試合を裁いたテッド・タナベレフリーが、選手よりもしんどそうに肩で息をしていた。
 
休憩中「SATO(現・ディック東郷さん)のちびっこプロレス教室」というコーナーがあった。そこでボクは、生まれて初めてプロレスのリングに上がり、リングの中から客席を見下ろす光景をみた。

歩いた、走った。ロープをまたいだ、プッシュアップをした。プロレスラーに声をかけてもらった。
 
忘れられないあのマットの感触。暑さはどこかに吹き飛んでいた。
 
引き寄せられるかのように、ボクは今、みちのくプロレスの流れを汲む、大阪プロレスのリングに上がらしてもらっている。
 
先週、大阪プロレスの控室の冷房が故障で動かなくなった。いまの時期、クーラーがなければ、はっきり言って地獄だ。

だけど、テッドさんが試合を終え、全身汗でビショビショになっている姿をみて、ボクのプロレスラーとしての本当の初心に戻れた気がしたのだ。

2008年夏 ハッスル携帯サイトに記す。


その頃、よく大阪プロレスの控え室で

「田尻君が若手の頃はね~、・・・。」
「シマヤン、野口君は元気~?」
「ユニバの頃はね~、・・・」

テッドさんとゆっくりお話ができた。

テッドさん、あの時、ファンだった頃の自分がオーバーラップしてきて、実はとても嬉しかったんです。
有難うございました。そして、お疲れ様でした。

ご冥福をお祈りいたします。

2009年6月 KUSHIDA

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posted by hustle_kushida |00:17 | コメント(3) | トラックバック(0)
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テッド・タナベさん

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2日続けての訃報。しかもプロレス界の大物です。
みちプロ時代しか知りませんが、テッドさんは名物レフェリーでした。そして名レフェリーでした。

posted by うってぃ~ | 2009-06-16 16:02

テッド・タナベさん

コメント投稿者ID :

この日、はっきり覚えています。僕は当時中学生でした。

そしてリング上で「あちー」と言ってるタナベさんの姿も覚えているんですよね。僕の中ではタナベさんというと、あの日の姿が浮かぶんです。
KUSHIDA選手のこの日記と自分の記憶がリンクし、ちょっと張りつめていた気持ちが楽になりました。

未だに信じられませんが、心からご冥福をお祈りします。

posted by ティレ | 2009-06-17 04:18

テッド・タナベさん

コメント投稿者ID :

あの日、あのリングでピョコピョコと動き回ってた子供の中に、KUSHIDA選手がいたとは!!プロレス教室、「いいなあ、子供は…」と指を咥えて見てましたよ。

あの場所は凄く暑かったですね…。
リングが組み立てられていくのを眺め、選手が練習をし、試合が行われ…もう何もかもが楽しくて、夢中になって見てました。
私は当時既に大人で、日焼けを気にしながら見ていたのに、気付いたら顔も腕も真っ赤に焼けて、次の日から数日間は職場の制服を着るたびに痛い思いをしました。
テッドさんは汗だくで試合を裁いてたっけ…欽ちゃんジャンプやったり、他の選手に振り回されたり。面白かったなあ。

あの夏の日の楽しい思い出を、誰かと共有できているというのを知ることができて嬉しかったです。
ありがとう、KUSHIDA選手。
ありがとう、テッドさん。

posted by み | 2009-06-18 10:43

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