2007年11月06日

プロ野球選手の年俸は適正か?

サッカーの話ですが、こんな記事が。



「サッカー選手の給料は高すぎる」…英政務次官発言大論争に発展

英国の文化・メディア・スポーツ省のゲリー・サトクリフ政務次官(54)が「サッカー選手の給料は高すぎる」と発言したことに、イングランドサッカー界から2日、反論の声が上がった。

 同次官は1日、チェルシーのDFテリー(26)の週給(約15万ポンド=約3600万円)を例に挙げ、サッカー選手の給料の高騰は「不道徳で、一般大衆ファンをサッカーから遠ざける原因になる」と指摘した。これに対しチェルシーのグラント監督は「彼の貢献度を理解すべきだ」と、擁護。マンチェスターCのエリクソン監督も「サッカー選手は芸術家。高給はファンを魅了する活躍に対する報酬だ」と、反発した。

 また、マンチェスターUのファーガソン監督は「ゴルフやテニスにも、勝てないのに高額なスポンサー料をもらっている選手だっている」と、サッカー選手だけが非難されることに不満を口にしていた。


http://hochi.yomiuri.co.jp/soccer/world/news/20071104-OHT1T00088.htm




この記事だけ見ると、このサトクリフさんについては

「まあ、古臭い頭のイギリスのお偉いさんだから、サッカーは労働者スポーツと思ってバカにしていんだろう。価値観の違いかね。」

という印象を抱いてしまうわけですが、

http://sports.jp.msn.com/article/article.aspx/genreid=5/articleid=234845/

こっちを見ると、どうやら

「選手の給与高騰」に加えて「入場料の高騰に関する批判」を同時に行っているようです。

ふむ。


Jリーグが始まる頃、海外でも1億円を超える年俸の選手は稀だったと記憶しています。本格的に年俸がアメリカスポーツに近いレベルにまで高騰してきたのはやはりCLが始まり、ボスマン判決が出てから以降でしょうか。

選手の給料が高すぎるかどうかは価値観の問題ですのでなんとも言えないと思うのですが、結局それが適正なのかどうかというのはファンが決めることだと思うんですよね。個人競技で賞金を争っているようなゴルフやテニスとは根本的に違い、サッカーは各人の年俸が入場料収入にダイレクトに跳ね返ってくるわけですから。

ソースは失念しましたが、プレミアリーグのチケット代金は1992年から比較すると、15年間でなんと5倍程度に増加しているとかいう情報を目にした覚えがあります。それでも見たいと思う人がいること自体が「プレミアリーグ」のコンテンツ価値とも言えるでしょうが、その反面、以前サッカーを支えていた労働者階級の人々はスタジアムでサッカーを見る機会そのものが減ってしまっているのでしょう。

まあ、これはイギリスの話ですので、日本にいるのであればスカパーの視聴料が1000円程度上がるだけで済むわけですが、同じことが日本のプロ野球で起こったらどうでしょう?


幸いにして(?)、バブル崩壊を経験しているJリーグは、各クラブが身の丈経営をするような指導をJリーグ側がしており、少なくとも現状は年俸高騰が起きる余地はあまりなさそうではありますが、プロ野球はそうではありません。

各球団がどのような財務状況なのかは良く分かりません。しかし、例えばプレミアリーグの例とは逆の状態のはずで、かつてセリーグを支えていた巨人戦のTV放映の金は目減りして行っている状態なのは明らかです。

にもかかわらず、選手の年俸は高騰の一歩をたどっています。我が中日ドラゴンズは今シーズン、岩瀬、福留というビッグネームがFA権を取得しています。もちろん2人は大切な戦力なのだから慰留するのは当然です。でもその年俸は本当に適正な額なんでしょうか?感覚的な話ではなく、経営的に問題が無い額なんでしょうか?


親会社の中日新聞社は、相当金を持っているのは確かです。しかし新聞業界もこれから曲がり角。球団経営のツケが回ってきたりするとどうなるかは分かりません。


収入を増やす手段は色々図られるでしょうが、年間140試合強があるプロ野球であれば、入場料収入というのはダイレクトに効いてくるものです。プレミアと同じような状況になるのは考えにくいですが、それでも子供連れが簡単にこれなくなる様な値段設定になることは十分有り得る話です。

まあ、ドラゴンズの財務状況を知っているわけではないので、福留に提示されている額が妥当なのかどうかは僕には判断できません。ただし、球団体力に見合わない年俸を提示して、ツケをファンに払わせるような形にはして欲しくない、と個人的には思います。

posted by Lee |22:59 | プロ野球 | コメント(10) | トラックバック(0)
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2007年11月02日

アウトサイダー、落合博満について語る。

中日のファンなら、誰でも忘れられない試合がある。


ナゴヤ球場のマウンドには、巨人のエース、斉藤雅樹。スコアは0-3。敗戦濃厚どころか、9回1/3までノーヒットノーランに押さえ込まれている。

憮然としてTVを見ていたところ、代打、音がライト前ヒットを放ち、ノーヒットノーランは達成ならず。しかしそれだけでは終わらなかった。フォアボールのランナーを加えた後、仁村のタイムリーで1点を失い、完封も消えてしまう。バッターボックスには、4番・落合博満。

今の常識で言えば普通は交代だろう。だが、この頃からジャイアンツはリリーフの不在に苦しんでいた。(10年経っても相変わらずという気もするが・・・)

サカナの死んだような目になりながら斉藤は続投。そしてバッターボックスの落合は芸術的な右打ちで3ランを叩き込む。劇的なサヨナラ劇に爆発するベンチとは裏腹に、落合は「当然のことをしたまで」といわんばかりの態度でいつもと同じようにベースを1周する。

僕にとっては落合は「本物の4番」。落合に回して撃てなきゃしょうがない。回せば何とかしてくれる。そういうバッターだった。



当時から落合への印象は「反骨の人」「アウトサイダー」だった。

3冠王をとっても「数字的にたいしたことが無い」と揶揄されれば次の年には圧倒的な成績を残して連続3冠王。「銭ゲバ」と言われようと「プロなんだから金額が評価」「評価してくれるところに行くのが当たり前」と公言し、球界初の1億円プレイヤーとなり、2000本安打を打っても名球界入りを拒否。

キャンプでもひたすら打ち込みをしているとこはマスコミに一切見せない。本音を見せることも、リップサービスをすることもほとんど無い。

上下関係の厳しい大学野球に馴染めずドロップアウトし、プロボウラーになろうとしたエピソードはあまりにも有名だ。26才でのプロ入り。当時全く人気がなかったロッテへの入団。日の当たらない道を歩んできた落合にとって、スポットライトを浴び、人気者になることは一切魅力が無かったのかもしれない。

唯一、巨人に行った事だけは落合らしくない、と感じたが、本人曰く、長島さんを胴上げしたかったということらしい。ホントかどうかは分からないが、実際落合を取れるほど資金があったのは巨人だけだし、「プロなら金」と言い切っていた落合にとっては当たり前のことだったのかもしれない。



マスコミに良い顔をせず、派閥を作ることもせず、人に嫌われることをなんとも思っていない落合が監督として迎え入れられたのは、多分に偶然のなせる業だった。

星野仙一の後を引き継いだ山田久志が解任された後、球団サイドは高木守道をプッシュしていたと聞く。出身の岐阜方面への営業活動なども考えてのことらしい。(トーチュウドなどからは「こっちでは新聞が売れないから勘弁してくれ」と言われていたらしいが。)ファンから見ても「いまさら守道かよ」という感じであるが、それだけ次の監督候補が居なかったということだろう。それを白井オーナーの鶴の一声で落合と決まった、というのが経緯というウワサである。



監督になってからの落合も、現役時代の印象と変わらない。

開幕前からリーグ優勝、日本一を宣言して成し遂げるところは、毎年「三冠王」を公言していた現役の頃と全く変わらない。何が起こっても平然とベンチの奥に座っている姿は、堂々としながら淡々とホームランを打っていたころの姿と被る。

マスコミ受けなどカケラも考えず、特に名古屋の地元マスコミを相手にせず、全国紙やTVの記者しかまともに応対をしないとも聞く。生え抜きのスター、立浪を平気でベンチに追いやり、選手への評価も特別扱いはしない。地元でイマイチ人気がでないのは当たり前と言えば当たり前かもしれない。政治家・星野仙一とは間逆の存在だ。



物議をかもしている、例のパーフェクトピッチングを続ける山井の交代は、落合にしか出来ないことだろう。

やくみつるは「空気が読めない」といい、玉木弘之は「小心者の采配」と言っていたが、これは全く持って的外れだと思う。落合は空気を読んだ上で、あえてやっている。小心者なら、怖くて逆に変えることなど出来ない。

この交代では山井自身に嫌われようが、マスコミやファンからボロクソに言われようが、平然と構えていられるアウトサイダー、落合博満にしか成しえない。普通の感覚なら勝つとか負けるとか言う以前にそういうことが気になるものである。


史上最多の三度の三冠王、初の1億円プレイヤー。名球界入りの拒否。アウトサイダーでありながらも歴史を作ってきた落合は、中日ドラゴンズの監督として、再び歴史を作りつつある。

4年間で53年ぶりの日本シリーズの優勝。リーグ優勝2回。2位が2回。これ以上の成績を残している監督は少なくとも中日にはいない。現役時代と同じように、オレ流のアウトサイダーはナンバーワンの存在となっているのである。



ともかく、何度と無くチャレンジして適わなかった日本シリーズ優勝を叶えてくれた落合には感謝の言葉しかない。ありがとう。


ただ、それとは別で、僕は山井の完全試合を見たかったけど。近藤のノーヒットノーランを上回る快挙だったのにねえ・・・。

posted by Lee |12:20 | プロ野球 | コメント(20) | トラックバック(4)
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