2009年03月25日
スペインのサッカーは海外から見ると、FCバルセロナを始めとする高度なパスサッカーと攻撃的なスタイルがイメージされますが、実際には大多数のクラブが結構ガチガチなフィジカル中心のサッカーをしています。
ユース世代でもそれは同じで、まず最初に
「いかに相手ディフェンスラインの背後にパスを出すか」
という点から指導がスタートしています。
そのパスはいわゆる「スルーパス」と言われる精度の高いキラーパスではなく
自陣から相手ゴールに向けたロングパスで、狙っているポイントは
「少しでも早く、多く、味方フォワードにシュートゾーンでボールを持たせる」
ということ。
その次の段階として少しでもパスを出すのに良いポジションを得る為のショートパスの習得、ワンタッチプレーなどを教える事になりますが、そのベースには
「ボールを縦へ、縦へ」
という意識が常にあります。
日本のユース世代のサッカーに比べてスペインでは中盤でのボールタッチが少なく技術面で粗い部分もあるので初めてそれを目の当たりにする日本人の方は違和感を覚えるかもしれません。
スペインのユース世代では全体的にそういうベースがあり、そこにプラスアルファでレベルの高いチームでは
・オープンスペースをめぐる駆け引き
・長短折り混ぜたパス回しからの展開
など、より発展的な指導が施されています。
戦術的な部分では逆に日本の方が研究をしている事が多いはずです。
ただスペインではレベル別に分けられたリーグが大規模で毎週行われており
チーム内、リーグ内のレベルが拮抗しているのでそういった競争の中で自然と
「実戦で本当に通じる戦術」
が修練されていく土壌があるのも確かです。
スペイン監督日記 2009/3/25
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2009年03月16日
スペインでのプレシーズン(1)のつづき
バカンス後の始動日はチームによって異なりますが、社会全体が7~8月の間に1ヶ月のバカンスを取る習慣があるスペインでは、各家庭の事情にも配慮しこの期間は練習を組みません。監督やクラブの関係者も各々がバカンスに出かけているので、この期間はなかなか連絡がつかないという、日本ではちょっと考えられない2ヶ月間であります。
8月の最終週からシーズンがスタートするのが普通ですが、一部の強豪チームは第1~2週目からスタートします。これらのチームはエリートなのでバカンス中もランニング等の課題を課せられているケースが多いです。(4部以上の大人のチームは7月中旬からスタートします)
シーズン最初の2週間は監督にとって選手のフィジカルコンディションの調整とチームの基盤作りの大事な時期になりますが、往々にして負傷者が出てしまう事がありスケジューリングが難しい時期。(シーズン中と同じく練習日は週3日)
バカンス明けなので本来であれば十分な調整をしてから練習試合を組むべきところですが、リーグが約1ヵ月後に開幕する日程が組まれているので、バカンス明けの最初の週末から練習試合が組まれることも多々あります。
チーム作りはプレシーズンの1ヶ月では間に合わないのでリーグを戦いながら行う事になりますが、プレシーズンとは言え勝負に全くこだわらずに黒星が続くとチームのモチベーションが低下し取り組んでいるトレーニングへの確信も揺らいでくるので、この時期の練習試合からある程度勝っていく必要があります。
そこで重要視されるのが、守備ラインの整備とセットプレーの確認作業です。
守備ラインの決まり事は、チームが採用するシステムによって大きく変わるので一番最初に手が付けられます。これは小学生のチームから行われます。
ここが安定すると、プレシーズンマッチで複数の選手交代をしてもチームがバランスを崩す頻度が減り、結果的に失点率も減ります。
セットプレーは相手のフイを突くトリックプレーを数パターン練習しチームに浸透させます。このセットプレーからの得点が出てくると、プレシーズンマッチでもある程度結果が出る為、チームのモチベーションの維持に一役買うというわけです。
もちろん監督にとってはプレシーズンマッチの結果よりも実際のプレーの質が上がることが重要なのですが、20人で構成されるチーム全体に手応えを感じさせる一番シンプルな方法が勝利という結果であるのも事実なのです。
上記のような取り組みをしているとあっという間に1ヶ月が過ぎてシーズンが開幕する事になります。
<おわり>
スペイン監督日記 2009/3/16
posted by hospi |09:13 |
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2009年03月13日
今、欧州のサッカーシーズンは日程の3/4を消化したところですが、日本はこの時期(3-4月)から新シーズンがスタートなので、日本に合わせて今回はプレシーズンについて書きたいと思います。
スペインではプロでもユースでも9-10月から始まったシーズンが翌年の5-6月に終わると、各クラブでは来季に向けた監督人事が公に発表されて、最初の選手の選抜が行われます。
この時期に戦力外になった選手は他チームに移動し、新しく獲得された選手とテスト生を混ぜたチームで6月いっぱいは大小のトーナメント戦や練習試合を行い、それが終わると来季の始動日程を確認し1ヶ月強のバカンスに入ります。
スペインでのプレシーズン(2)へつづく
スペイン監督日記 2009/3/13
posted by hospi |23:55 |
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2009年03月05日
スペインでは選手の年齢に関わりなく練習中に選手が悪い態度を見せることがよくあります。それをまとめる手腕があってこその監督なのですが、そのために外せないポイントが少なくても2つあるので今回はそのテーマについて触れます。
その2つのポイントは、
(1)モラルを逸脱する選手は練習から外すこと
(2)選手の欲求を満たし競争意識を刺激すること
(1)はとても分かり易く誰にでも簡単にできる事ですが、荒くれ者が多いスペインで(1)を無闇に使うとチームの半分を練習から外すことになってしまう事態になりかねません。
もちろん態度があまりにもひどい場合は何らかの処方をしなくてはいけないのですが、練習の序盤で態度が乱れる場合は監督が用意した練習メニューの方にも改善の余地がある場合が多々あります。
同じ練習メニューを繰り返したり、練習の中にチームメイトと競争する要素がなかったり、選手自身が状況を判断する要素がないと選手のメンタルは締まらず中だるみが生じます。
そこで(2)が重要になってきます。
監督が話をする時に選手がボールを触ったり蹴ったりしていて話を聞かない状況は規律面で良くありませんが、別の視点で考えれば、サッカーが好きで練習に来ている選手がボールに触りたいのは当然のこと。
というわけで
「選手が欲求を満たせる練習メニューを組む」
という考え方も重要になってきます。
例えば最初の5分間は2m四方のエリアで4対1を行うロンド。
<ここでボールを触りたい欲求を満たさせます>
その後でボール無しのアップに移る場合も、ウォーミングアップのシンプルなメニューに1対1で競争させる内容を盛り込みます。
<ここで競争心を煽ります>
前のメニューと前後して監督が示す合図によって、選手が行う動きが条件づけられるメニューも加えます。
<選手にはここで認知、分析、判断、実行というスポーツに必要な行動プロセスのスイッチを点けてもらいます>
※なおサッカーでは聴覚よりも視覚による判断が多くを占めるので監督が練習で使う合図も音ではなく目に見えるものとします。
メインの練習にも前述のポイントを考慮したプログラムを組むと、そうでないものと比較して目に見えて変化が見られます。
一見、
「選手に練習をさせる」
という態度でトレーニングに臨んでいるように見えるサッカーの監督ですがそれは甘い顔を見せると選手がリラックスしてしまうためで、練習メニューを組み立てる際は
「どうすれば選手達が集中してくれるか?」
という方向でプログラムを考えています。
オーバーな言い方をするなら、レストランやサービス業の仕事のように
「いかにお客様(選手)に満足してもらうか?」
といったメンタリティーで練習プログラムを考えているといっても過言ではありません。
もちろん選手たちにはそんな素振りは一切見せないわけですが、、、。
スペイン監督日記 2009/3/5
posted by hospi |01:16 |
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