2009年02月23日

ポジションを決めるのは監督

ポジションへのこだわりはサッカー選手であれば誰でも持っているものですが、スペインで意外に思うのは、スペイン人は自己主張が強い一方で監督から指示されたポジションの変更に寛容的であること。

スペイン人選手は自分の意見はハッキリと言いますが、「選手と監督」という立場の違いを小さい時から尊重する環境で育っているので、監督からポジションの変更を伝えられた際に「拒絶」することがあまりありません。

もちろんその際に

「自分は経験がないからそのポジションの動きが分からない」

という訴えが出る事はありますが、そういうケースでは監督もそれを承知して指示しているので、段階を追って新しいポジションの動きを指導し選手はそれに応えます。

ラテンのお国柄ではありますが、サッカーに関しては

「監督の決定を尊重する線引き」

がしっかりとありこれは小さな驚きでもありました。


スペイン監督日記 2009/2/23

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2009年02月17日

最新の練習法よりもさらに重要なこと

サッカーの指導の現場で話題になる事の一つが練習法。

これは雑誌や講習会でも取り上げ易く

・欧州の~という名門クラブで使われている練習法
・名将~監督の指導法

といった具合に注目を浴びます。

チーム管理についてシーズンを通した明確なコンセプトを持つこと、そしてそれを実践する最適な練習法を知っている事は監督にとってとても重要な事ですが、スペインで指導をしていて気付いたのはそれよりも重要な

「集団を統率する術」

です。

これはロッカールームで選手をまとめる事から始まり、練習で選手に適切な形でそのトレーニングに取り組ませる監督の「力」を指します。


サッカーを取り囲む環境が日本とスペインで違うのは当然ですが、サッカーに限らずスペインでは子供から大人まで個人主義で人の話を黙って聞くのが苦手で、他人の話を理解しようと努力する事、練習への取り組みなど、指導者次第で彼らの動きは天と地ほど変わります。

日本でなら指導者が最適ではないやり方で練習を行っても日本人選手がそれぞれ持っている「モラル」で練習はまずまず順調に進みます。

しかしスペインでは説明の仕方、練習方法、選手への激の飛ばし方、監督としての振る舞い、その全てが上手く噛み合わないとサッカーのチームは上手く機能しません。実際に日本人がスペインの現状を見れば呆れてしまうほどのカオスがここには常にあります。

スペインでもトップレベルのチームの練習はとても整然として見えますが、それはそこに目には見えない監督の統率力が張り巡らされているからでその網の数本が切れてしまう、もしくは足りないだけでこのカオスは吹き出します。

では一見スペインとは状況が違うように見える日本では「統率力」は必要ないのか?というと、やはりその力は日本でも指導者にとってとても重要なものになると私は考えます。

日本では選手側の緩みがカオスとしては表面には出ませんが、監督が適切な統率力でチームを管理しない時、日本でもやはりそれは選手の集中力、プレーの激しさの低下に繋がっているように思えます。

しかし日本では指導者が十分な「統率力」を発揮しない時に選手側からカオスが吹き出ないので指導者がそれに気付きにくい環境があるとも言えます。
Jリーグで日本人監督にできない部分を外国人監督がやってのける時、そこにはこういう部分での経験の差があるような気がします。

カオスが吹き出ないようにするオーガナイズが結果として円滑なオーガナイズになっているという事です。

スペイン監督日記 2009/2/17

posted by hospi |20:40 | スペイン・サッカー育成 | トラックバック(0)
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2009年02月10日

パスサッカーへの移行が難しい思春期の選手

スペインでは8-9才以降は基本的に大人と同じグラウンドで大人が使っているゴールを使って試合をします。

そこで何が起きるかというと、子供なので成長具合に個人差があり体格やキック力、スピードの差が往々にして試合結果を左右します。

もちろんチーム単位としてプレーが「サッカー」になるようにポジショニングやパス交換、個人技を指導するわけですが、そういう過程を経てカデテまで成長した選手の中には「少ないタッチでボールを運ぶサッカー」にまだ適応できていない選手が少なからずいます。

特にチームの主力として今まで個人技を駆使してきた選手ほど自分のドリブルやその他の個人技の使用に修正がいれられる事に強い拒否感を示します。

傍から見るとパスサッカーへの移行はそれほど難しくないように思えてしまうのですが、彼らは「彼らのサッカー人生」でこれまで各々の個人技、スピードを武器に戦ってきてそれが通じる環境にいたのでそれを矯正するのは簡単な事ではありません。

以前のブログでも触れましたがエリートになればなるほど各カテゴリーの1年目で対戦相手は1才年上のチームになるので上の学年に上がる度に彼らは体格で勝る相手に勝たなくてはいけなくなる。

体格(フィジカル)で勝てないなら戦術面で相手を上回らなくてはいけなくなります。すると必然的にパスを中心としたプレーの発展が必要になってくる。

特にカデテになると全体的に選手の体が大人のものとなっていくので、これまで通じていたドリブルやタッチ数の多い個人プレーが通じなくなってきます。

そこでの監督の仕事は

「反抗期の選手達の無駄なプレーを剪定し、どのプレーを伸ばしていかなければいけないか教えること」

です。

この作業では精神的にも選手との折衝が多くなり、チームも個人技の誤使用の代償を払う事が少なくありません。

スペインではそういう作業をしながら監督にもリーグ戦での結果(優勝や残留)が求められるので与えられた期間内に仕事がこなせない場合はその監督がクビになり新しい監督が招聘されることが普通です。

オスピタレットではカデテAの監督をしていた強化部長が、12月の時点で結果が伴わないため監督を解雇されています(強化部長としては仕事を継続しています)。

このクラブで今季解雇された監督はこれで4人目。


スペインでもスクールではこういった事は起こりませんがリーグ戦を戦う上のレベルのクラブでは常に「結果」が求められるので「選手の育成とリーグ戦での結果の両立」ができない監督は評価されません。


スペイン監督日記 2009/2/10

posted by hospi |12:09 | スペイン・サッカー育成 | トラックバック(0)
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2009年02月09日

少年選手のピーク(2)

少年選手のピーク(1)からの続き


プロチームの下部組織の少年サッカーを見ると流れるようなパス回しに

「さすが選抜された子供達!」

と驚嘆しがちですが、彼らの多くが各プレーの判断について

「なぜそうなのか?」

という分析、理解をしっかり持っているわけではありません。
話をするとその場ではそれを理解しているように思えますが、それはクラブによって作られた

「そういうプレーを行う習慣」

の中に身を置いているからであり、その環境の外に出てしまうと驚くほどの早さでその「感覚」は失われてしまいます。

プロチームの下部組織では各年代で、技術、戦術、そして「フィジカル」の優れた子供を選抜します。

同じ実力の選手であれば体格が良い選手の方が選抜の際に有利になりますが、一時的に他の子供よりも成長が早かったその選手が数年後にも同じクラブにいられるとは限りません。

私が担当するのはカデテ(14-15才)のカテゴリーの1年生ですが、彼らの殆どは昨季、オスピタレットや他のクラブでインファンティル(12-13才)のディビジョン・デ・オノール(1部リーグ/名誉あるリーグ)を戦った選手達です。そのリーグは同い年のバルサやエスパニョールがいるスペイン最高峰のリーグですが、ではそのかれらが技術、戦術を明確に会得しているかというと、そんな事はありません。

確かに各々が得意なものを持っておりその部分では同じ年代の中でトップレベルにありますが、それをどういう状況でどのように使うのか?というテーマに関してはまだまだトレーニングを積まなくてはいけません。

特にバルサやエスパニョールの中でプレーをしている時に実践しているプレーは日々の反復とチームメイトとの力が融合した結果でているもので、その環境から出て同じような指導がなされない場合、そしてチームメイトのレベルも以前の環境よりも落ちる場合、かつて培ったプレーコンセプトは2-3シーズン後には急速に失われてしまいます。

今のチームで私が自分に課している課題は、2つ。

1つは
「高いポテンシャルを持っているもののそれを上手くいかせていない「元エリート達」を可能な限り以前いた成長の軌道に戻すこと」

そしてもう1つは
「このレベルで平均的な実力を持つ選手が次のカテゴリーでも同レベルで戦えるように鍛えること」

特にこの世代はサッカーのプレーの質が子供のものから大人のものに変化するので、子供のサッカーだけで通じていたプレーはこの時期にしっかりと剪定しなくてはいけません。

この話題はまた次回触れたいと思います。


<この項 終わり>

スペイン監督日記 2009/2/9

posted by hospi |19:34 | スペイン・サッカー育成 | トラックバック(0)
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2009年02月06日

少年選手のピーク(1)

私が携わっているオスピタレットはクラブの規模がバルセロナ市内でも大きな方なので高いレベルの選手が集まります。

しかし各選手のキャリアの軌跡を見ると、

・これからキャリアを積んでいく選手
・上のクラブから落ちてきた選手

など様々です。


14才の今からレベルアップをしてオスピタレットからバルサやエスパニョールのカンテラ(下部組織)に辿り着ける事は殆どないのですが、その逆、つまりバルサやエスパニョールの下部組織の選抜から落とされて現在オスピタレットに在籍している選手はいます。

私のチームにも元バルサ、元エスパニョールの選手が一人ずついますが彼らを見ていると少年期の「成長」に関していろいろと考えさせられます。

元バルサの選手は9-10才の2年間バルサに在籍していましたがそれから4年が経過した今、彼は現在のチームで控えに甘んじチームにギリギリいる事ができる選手にまでダウングレードしてしまいました。

エスパニョールに10-11才の2年間在籍していた別の選手は、頂上から1ランクレベルを落としたものの、ユースのリーグで1~2部に籍を置くバルセロナ市内の有力クラブを渡り歩き現在のチームでも主力選手です。

しかしこの選手もサッカーのスタイルが子供のものから大人へ変わるカデテ(14-15才)で大きな壁にぶつかっています。

<少年選手のピーク(2)につづく>

スペイン監督日記 2009/2/6

posted by hospi |12:45 | スペイン・サッカー育成 | トラックバック(0)
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