2011年11月10日
11月9日に行われた国王杯1回戦のオスピタレットvsバルセロナは戦前の予想を裏切ることが二つありました。
一つはバルセロナが主力をスタメンに並べてきたことであり、もう一つは控えキーパーを先発させたオスピタレットが0-1と健闘したこと。
バルセロナがスタメンとして送り込んだのはプジョル、マクスウェル、ケイタ、チャビ、イニエスタ、セスク、ビジャというトップチームでもスタメンクラスの選手たち。この背景には各国代表とスペインのアンダー代表に選手を取られていたという台所事情もありますが、戦前の予想では主力の温存が予想されただけに意外なスターティングメンバーでした。一方で日曜日のビルバオ戦の疲労を引きずっているこの主力選手たちが精彩を欠いたのはしょうがないですね。
オスピタレットは守備では3ラインをコンパクトに保ちカバーリングを怠らずバルセロナにクリーンシュートをほとんど打たせなかったのは驚異的でした。イニエスタの前半42分のシュートも神業的ゴールでオスピタレット守備陣に大きなミスはなし。
実際についこの間まで交流があったオスピタレットの選手たちがバルセロナを相手に健闘したのは嬉しいことでした。第2キーパーのモラゴンは今回の活躍で今後出場機会が増えるかもしれません。
試合開始前に気付いたのですが、お金にはうるさいオスピタレットのミゲル会長ですが、長らく部分的に故障していた得点掲示板がバルセロナ戦を前にきれいに修理されているではないですか。この試合が全国放送されるということもあり奮発したようです。会場の方は3部チームの国王杯の試合としては異例の4-5千円という高額な入場料設定でバルセロナ戦にもかかわらず空席が目立つ試合となりました。
また今回の試合では「1部リーグ対3部リーグのクラブの対戦では登録選手数は16人」という国王杯限定の規定がありました。超法規的に両クラブが合意すれば18選手まで登録が認められるはずで実際にこの試合に向けて両クラブは18選手の登録で合意していましたが、審判がこれを認めずバルセロナではデウロフェウとピケがスタンド観戦となっています。
posted by hospi |20:08 |
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2011年11月09日
昨季まで3シーズンに渡ってユースの監督として私が所属していたCEオスピタレットのトップチームが今日、国王杯でFCバルセロナと対戦します。
トップチームの選手たちは特に昨季、私がミゲル・アルバレス前監督の練習や試合を見学させてもらった時に知り合いました。彼らは昨季の3部リーグで一時は下から2番目まで順位を落としていましたが、アルバレス監督が途中就任し快進撃をみせると2部への昇格圏に接近する健闘でシーズンを終えています。
アルバレス監督はクラブとの契約交渉で金銭面で合意せずマドリード地区のレガネスの監督に就任しましたが、代わりに呼ばれたのがジョルディ・ヴィニャルス監督。この監督は2年前にオスピタレットを4部から3部に昇格させましたが、シーズン後に3部のカステッリョンから呼ばれたためオスピタレットからの契約延長オファーを蹴って移籍。しかし成績不振で2カ月でクビになりフリーだったところにオスピタレットから再度お声が掛かったようです。
現在は3部リーグで2位につける健闘を見せており2~3部のクラブで行われた国王杯予選も突破しバルセロナとの対戦が実現しました。最近ではアルコルコンがペレグリーニ監督のレアル・マドリードを破る番狂わせを見せていますが、今回のオスピタレットはバルセロナ戦をここまで健闘した選手へのご褒美と位置付け勝利はあまり見込んでいないようです。
ホームでの第1戦では若手選手にチャンスを与え、カンプノウでの第2戦では主力選手を中心に戦うと見られています。このオスピタレット、監督のヴィニャルスと強化部長のカルセルが共にバルセロナのカンテラ育ち。選手でもメッシと共にプレーしたマルク・ぺドラサなどカンテラ出身者が数人います。また私が初年度にアシスタントをしたユースAからの昇格選手が2名、昨季のユースからも2選手がトップチームに昇格しているので彼らがどういうプレーを見せるか期待しています。
ちなみに国王杯の試合は通常はカタルーニャ州の監督証で無料入場できるのですが、オスピタレットの会長はそのあたりの金銭感覚が厳しく監督証も無効にするだろうと思ったので関係者に電話で確認すると案の定、無効だそうです。ということで今のところテレビ観戦が有力。。。
posted by hospi |19:20 |
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2011年07月09日
バレンシアのエメリ監督が注目する3部の名将(1)
の続き
前回は、エル・パイス紙のインタビューでウナイ・エメリ監督(バレンシア)がミゲル・アルバレス監督(スペイン3部/オスピタレット)を「現在のサッカーシーンでセットプレーでは彼がナンバー1だ」と評したとお伝えしましたが、今回はそのアルバレス監督について。
52歳になるアルバレス監督は幼少時代に南スペインからカタルーニャ州に移住し選手としてはバルセロナ市内の強豪クラブ、グラマネットのBチーム(サテライトチーム)でプレーしています。自身は「選手としてはまるっきりダメだった」と語っていますが、その後、指導者に転向し下部リーグで昇格を繰り返しキャリアを積み、2部リーグでは3チームを指揮しその他では3部リーグのチームで多くのシーズンを過ごしています。今季は3部リーグで19位に低迷していたオスピタレットを第11節から率い最終的に6位まで順位を上げシーズンを終えています。
エル・パイス紙はエメリ監督のインタビューを受けて早速アルバレス監督に電話取材をしています。これにはアルバレス監督も「1部リーグを戦うエメリ監督からそう評されるとは驚きだ」と開口一番語っています。以下はそのインタビューでの抜粋(2011年3月9日のエル・パイス紙より)
ミゲル・アルバレス監督のコメント
「正直言って、私は他の監督達がどういう練習をしているのか知らないんだ。20年間、監督業をしてきて全ての練習は自分で考えてきた。特に選手時代からセットプレーに魅力を感じていたね。ただそのセットプレーにしても、そんなに大したことはしていない。コーナーキック、サイドからのフリーキック、ゴール正面からのフリーキック、遠い位置からのフリーキックで4種類ずつ選択肢を準備しているだけだ。あとは試合によって多少の微調整をしてね。特にキックの名手がいると全てが上手く運ぶが、オスピタレットには良いキッカーがいるからセットプレーからの得点も多いんだ。」
同じクラブでユースチームを受け持っていた関係で私は彼の練習やミーティングを直に見ることが出来ましたが、その指導スタイルは他の多くの監督と異なるものでした。
自ら「監督は心理カウンセラーでなくてはいけない」と語っていましたが、他の監督であれば声を荒げて怒鳴る場面でも彼は笑いながら選手に語りかけます。しかし同時にモチベーターでもあるアルバレス監督は場の雰囲気を盛り上げる術に長け、練習に取り組む選手の集中力は常に高いレベル。セットプレーの練習も実戦を想定し、その前後のプレーを含めたプログラムでセットプレーの練習にありがちな「役割を持たない選手」が出ることを避けています。
今回はセットプレーで脚光を浴びましたが、実際には攻撃の組み立ての手腕にもすぐれリーグ戦では首位のサバデルなどを破る快進撃を見せています。オスピタレットの救世主となったアルバレス監督ですが、クラブと契約更改の交渉で合意できず、2011-12シーズンはマドリード地区のレガネスという3部の強豪を率いることになっています。彼のような監督でも1部や2部のチームを率いるチャンスはそう簡単には回って来ないようです。
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スペインサッカー 監督と練習法(ミラーサイト)
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2011年06月27日
日本に伝わるスペインサッカーの話題はどうしてもマスコミに選抜されたものになり数が限られますが、今回は3ヵ月前にスペインで話題になった報道についてご紹介します。
スペインの全国紙にエル・パイスという大手新聞社がありますが、そのスポーツ欄でウナイ・エメリ監督(バレンシア)が受けたインタビューが話題を呼びました。2011年3月8日のエル・パイス紙の電子版(スペイン語/
http://www.elpais.com/articulo/deportes/Quiero/cerca/gente/inteligente/elpepudep/20110308elpepudep_16/Tes)
エメリ監督はそのインタビューの中で1部リーグのチームを率いる難しさや自身の日々の取り組みについて語っていたのですが、戦術の話題になった時に周囲が驚くことを語っています。
エメリ監督のインタビューより抜粋
「我々はスポンジのように他人から知識を吸収できる。ベニテスのリバプールがサイドからのフリーキックに対してエリア深くに陣取り守ったのに対し、グアルディオラのバルサやビジャレアル、レバンテはラインを上げて守る方法を編み出した。私は日曜日にレバンテ戦を見に行ったんだ。彼らがどういうプレーをするか直に見たかったからね。それから家に帰ってシャルケ戦の準備をしながらアスレティック・ビルバオ対セビージャ、ラシン対レアル・マドリードのビデオを見た。」
「その2試合を見終わると時計の針は深夜の1時半を回っていたな。そして私は3部のオスピタレット対オリウエラ戦を見始めた。ミゲル・アルバレス監督(オスピタレット)のセットプレーを見るためだよ。私にとって彼は現時点でナンバーワンのセットプレーでの策士だ。1部リーグの監督達よりも彼が優れている」
このインタビューで1部リーグの監督から3部リーグの監督の名前が出たためスペインでも驚きを持って受け止められました。2010-11シーズンのオスピタレットは開幕11節を終えた時点で勝ち点9で20チーム中19位。http://www.marca.com/estadisticas/futbol/segundab/2010_11/grupo_3/jornada_11/
ここでぺドラサ前監督が解任され、フリーだったミゲル・アルバレス監督が就任します。彼は主に3部リーグのチームを渡り歩いてきた知将。
するとアルバレス監督はここからチームを立て直し16勝6分け6敗で勝ち点51を積み上げシーズンを6位で終えています。
http://www.marca.com/estadisticas/futbol/segundab/2010_11/grupo_3/jornada_38/
序盤戦では降格が濃厚だったオスピタレットは最終節には2部への昇格プレーオフに参戦する可能性を残すまで順位を上げていましたが、残念ながらプレーオフへの出場はなりませんでした。
オスピタレットの快進撃の立役者、アルバレス監督の手腕とはどういったものだったか、エル・パイス紙が本人に行ったインタビューの概要は次回、ご紹介します。
バレンシアのエメリ監督が注目する3部の名将(2)
に続く
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2008年10月01日
スペインに住みながらイタリアの事情を書くというのも変ですが、先日のバルセロナダービーでの暴徒の一件やスペインでも年々スタジアムでの暴力が問題になっているので、この問題の先輩であるイタリアの事情について当時を振り返りながら少しお伝えします。
イタリアではグランドの一方のゴール側がアウェーチームのファン用に最初から確保されているのが殆どです。
このスペースは年間チケットで販売しません。
(スペインではこの区画が確保されていなかったり、一般客の席の上の区画を割り当てたりするので、もしアウェーのファンが物を投げると一般客が被害を受ける危険性がとても高い状況です。)
そしてアウェーチームのクラブを通じてチケットを入手し遠征して来たファンは、この用意された区画で応援することになります。
この際、区画の両端はフェンスで仕切られ、さらにそのフェンスの外側には空白地帯が設けられ縦に警官が配置されます。蛇足ですが、イタリアでは客席とピッチも透明なバリケードか柵で仕切られています。(スペインとイングランドにはこれがない)
入場の際には全ての観客が持ち物検査を受けます。発煙筒はもちろん、液体を入れて投げれないようにドリンクのペットボトルのふたは没収、缶ジュースは開けていないものは持ち込みできません。こういう対策をしても苛立った観客は検査対象外の硬貨、ライターなどを投げたりします。(発煙筒は隠して持ち込まれてるようです)
試合中は警察がアウェーの観客席を中心にビデオ撮影を行っており、問題を起こした観客を特定します。試合終了後、アウェーファンがスタジアムを出るのを許されるのは30分から1時間後。会場の外で地元ファンとのトラブルを避けるためです。
試合にもよりますがアウェーファンを運ぶバスや電車に彼ら用の車両が設けられることも珍しくありません。
トリノで見た例は、フィオレンティーナのファンがフィレンツェから特別車両に詰め込まれ5時間をかけて遠征してきて、駅に着くと彼らを待ち構えていた警官隊に包囲されながらバスに乗り込み競技場まで移動。帰路もこれと同じ工程となります。
ヤジや差別用語を浴びせるのは欧州では日常茶飯事なのでJリーグのようにホームの観客のヤジなどがすぐにJリーグからの指導対象になることはありませんが、ものの投げ込みや各トラブルは一定以上の大きさになると制裁対象になり週の半ばにリーグ側から罰金や処分の通達があります。
そして今回のバルセロナダービーのように警察の御用になり要注意人物の指定を受けたファンは、サッカーの観戦を禁止され、一定期間、試合当日に警察に居場所の確認を行わなければいけない処分を受ける場合もあります。
スペイン監督日記 2008/10/1
posted by hospi |22:39 |
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2008年09月25日
<以下>バルサvsベティス戦(9/25)の内容に触れた記述があります。
アウェーのヒホン戦で大量6ゴールを奪ったバルサ。
結果だけ見ると「これでチームは復調!」と地元紙も期待していたベティス戦ですが、勝ち点3を得た以外は後味の悪い内容でした。
ヒホン戦でのポイントはいつも以上にチャビが右サイド深くに上がりセンタリングやフォワードとのパス交換を行っていた点。
「これでメッシーが有効利用していない右サイドのバランスが取れて攻撃が安定するか?」
という声もありましたが今日の試合でもチャビの動きは同じで、右サイドのアウベスのオーバーラップも加わり前半は厚い攻撃を見せた結果、2点のリードで終えることができました。しかし後半は単調な試合運びが災いしベティスの反撃を浴び一時は2-2の同点に。 主審がベティスのPKを見逃したこと、そしてベティスの守備のミスに助けられてバルサはなんとか決勝点を奪い勝ち点3を得ることができました。
バルサにとって一番重要なのはチームの基本スタイルがリーガの重要な試合やチャンピオンズリーグでの強敵相手に通用するか?ということ。 リーガで中堅以下の相手に勝つことは当然のことで、それ以上に今注目されているのはチームの機能性です。 まだ調整が足りない部分があっても良い。 大事なのはシステムの大枠がしっかりと方向付けされていること。
そういう意味で今回のベティス戦はヒホン戦の気休めの後に冷水を浴びせられたような試合。
結果こそ3-2でバルサが勝ちましたが、内容や相手のレベルを考慮すると「危ない」のひとこと。
分析を始める前に、バルサが6ゴールを挙げ週末に破ったヒホンは今節はレアル・マドリーに7点を献上しています。
そして今回の対戦相手のベティスは4試合を終えて勝ち点2。 4試合だけ消化した時点で実力を判断するのは時期尚早ですが、ベティスは攻撃時の2-3選手のコンビネーション以外はセグンダA(2部)のレベルで、守備でもボール保持者にプレッシャーをかけない(ありえない)ラインディフェンスで窮地に陥り、グジョンセンの決勝ゴールの際にはバルサの3選手に対して2人しか守備陣がいないところを突かれました。ヒホンと共にバルサの攻撃の質を計るには役不足だった感が否めません。
さて、早速分析ですが、バルサの攻撃を見ていて一番最初に感じたのが、試合を通して後方からの上がりに対してのポジションカバーがあまりされていないということ。
スペインでは戦術用語でDesdoblamiento(デス・ドブラミエント)といい、要は「ポジションを離れた仲間のポジションを他の選手が埋めてピッチ上の選手配置バランスを保つ」というもの。これ自体は特別なことじゃないですよね。万国共通です。
具体的に言うと、そもそもオーバーラップというのはチームが採用しているシステムで均衡が破れない時に、後方から「一時的に(!)」選手が加勢し数的優位を作るというもの。
オーバーラップで生じた「1人多い状態」は短時間で終わらせることが大事になってきます。
その理由は、
・時間が長くなるとフリーの選手にマーカーが追いつき数的優位ではなくなる
・前線の人数が多くなるとオープンスペースが埋まってしまい攻撃の選択肢が減る
そしてサッカーでは、
ボールを奪う→ボールを失う→ボールを奪う
というサイクルで試合が回っているため、攻撃に人数をかけ過ぎると守備時に人数不足になる、
という理由があります。
ではどういった形でポジションをフォローしあうか?
これも簡単な話で、4-4-2や4-3-3システムの右サイドバックのケースでは主に次のパターンがあります。
・中盤右の選手が、上がったサイドバックの後方をフォローする形でポジション入る
・センターバックが右のスペースを埋め中盤中央の選手がディフェンスラインに後退する
(もしくは3バックの形で右サイドバックの帰陣を待つ)
このことは基本的であると同時に、これをちゃんとしないと拮抗した戦いで相手に隙を見せることになります。
ではバルサはどうか?
図のようにメッシーにはインサイドに切り込む自由を与え他の2人のフォワードも前線にいる状態でチャビがメッシーの右をカバーし、そこに後方からアウベスが上がってくると、一時的にフォワードのラインに5選手が密集している状態になります。ヒホンやベティスのようにこれを防げない敵相手であれば良いですが、防がれてしまった時、後方は3人のディフェンダーと2人の中盤の選手だけになります。加えてこの2選手は前線の選手のパス交換のフォローにも回っているので、ボールを失った状態で実質守備につけるのは最終ラインの3選手+1~2選手のみ。
この危険な状態を作らないにはどうしたら良いか?
<システムを変えずメッシーも起用し続ける場合>
まず右サイドに2選手が上がってくるのはリスクがありすぎるので「上がるのは1人だけ」という制限を設ける。 (チャビ、もしくはアウベスが図のAlvesのポジションに入る)
加えて
・中盤のバランスを保ちたい場合
メッシーがボールを持った時点でエトーが中盤寄りに下がったポジション(図のA)を取る。エトーはこれでメッシーとパス交換をするチャンスができる。仮に敵がこのパスコースを塞ぎに来たら逆にメッシーのシュートコースが空く。加えてボールを失った際にエトーが中盤を助けることで数的不利を防げる。
・中盤の数的不利を許容する場合
エトーがメッシーとスライドし(図のB)、メッシーにシュートとラストパスの選択肢を与える
<メッシー抜きでシステムを維持する場合>
右利きの選手を右サイドに起用すれば上記のような面倒な動きをしなくても攻撃は大分シンプルになります。
<システム変更をしメッシーの中央突破を活用したい場合>
システムを4-4-2に変えメッシーを右のフォワードに起用する
※サイドハーフの最低一人はサイドに合った利き足であること(右サイドなら右利き)
現在のバルサの攻撃時の不自然さを解消しようとすると上記のような長ーい説明になってしまいますが、チームを縛っている、
・4-3-3システム
・メッシーの起用
のどちらかを放棄すれば最後に述べたように解決策は驚くほどシンプルなものになります。
ただ問題は、
・メッシーがチームのシンボルであるためベンチに置けない
・バルサは上記の4-4-2を全く考慮していないので選手が足りない
ということで最後のこの2つの解決策はあっさりボツ。
それでグアルディオラは悩んでいるわけです。
(元からベップの頭に4-4-2はないと思いますが、、、)
現実的な落とし所としては、(メッシーの負傷を除けば)メッシーを90分使わずに他選手と併用する選択がありえるのでは?と思っています。
さて、どういう形で解決するのか今後の展開に注目することにします。
スペイン監督日記 2008/9/25
posted by hospi |10:50 |
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2008年09月24日
スペインのコーチライセンス・レベル3(日本のS級に相当)を受講していた2006年の3月、当時、現役を引退して充電期間だったベップ・グアルディオラが私達にクライフ政権下の3-4-3システムの万能性を説く授業がありました。
その時は地元のユース選手を使ってピッチで各状況における対応の仕方を説明していたのですが、バルサの監督になった現在はチームが慣れ親しんだシステムと在籍する中心選手の兼ね合いで4-3-3を採用しています。
プレースタイル自体はセンターバックと中盤中央の選手を中継してショートパスとロングパスを併用するリズムの良いサッカーでグアルディオラのイメージしているスタイルだと言えます。
ただ前線に関しては事情が違ってきます。
ベップ・グアルディオラのバルサはピッチを大きく使いながら長短織り混ぜたパスで相手のディフェンスを拡散させそこに生じるオープンスペースをフォワードが突く、という基本コンセプトを持っている。
ただ、そのコンセプトがうまく機能しているのは守備ラインと中盤までの話で、前線はそのコンセプトと真逆に機能してる。
バルサは中盤からのパスの展開で相手守備陣を散らせた後、両サイドのアンリとメッシーはそこからドリブルで中央に切り込むため二つの不具合が生じる。
・ひとつは、ドリブルをすることで敵に帰陣の時間を与えていること。
・もうひとつは敵が最優先に守備を固めるゴール正面の突破を図るために攻撃が阻止される割合が高くなり、チームのボールの支配率の高さに対して決定機が少なくなること。
(図を参照:赤いエリアが各選手のプレーゾーン。黒点が敵の4バック)
ここからの説明は戦術の話で選手個人のパフォーマンスは一旦、脇に置きます。
リーガ2連覇をした当時の3トップはロナウジーニョ、エトー、ジュリーが構成しており、ロナウジーニョは外からインに入るプレーを、ジュリーは敵陣深く切り込むプレーで左右のウイングが異なる機能を果たしていました。
敵守備陣からすればロナウジーニョを止めるためにはラインディフェンスを敷きマーカーの後ろにもう一人フォローに入るのが定石です。しかしここでボールを逆に振られるとジュリーがサイド深くえぐり正確なセンタリングをあげてくる。
クロスが精度に欠け中央のフォワードも決定力が欠けるならば守備陣はゾーンを保ったままゴール正面に配置していれば良いのですが、当時のバルサはクロスの精度も中央での決定力も優れていたのでサイドバックがクロスを防ぐために引きずり出されラインディフェンスは横に伸びラインディフェンスはその効力を失います。そこに詰めるのがエトーであり、こぼれ球を決めるのがロナウジーニョ、デコといった選手でした。
ここで一般的な3トップの基本に戻りますが、通常は両サイドのフォワードは右は右利きの選手、左は左利きの選手が担います。
両サイドを広く活用できる3トップの定石はサイドからの崩しであり、相手サイドバックの後方のオープンスペースを突きそこからセンタリングを中央に送る。 しかし短所もあり、両サイドのフォワードが中央に切り込んだ場合に利き足で打てるシュートはコースが絞られ限られます。
ロナウジーニョとジュリーの時代のバルサは、右サイドはオーソドックスな従来の右ウイングの役割を演じ、右利きのロナウジーニョが担当した左サイドはセンタリングを送ることではなくインに入ってゴールを奪う役目を担っていました。右利きの選手が左サイドから中央に侵入すると、逆サイドでの同じ状況に比べてシュートコースが多くなります。
翻って現在のバルサは、右利きのアンリを左サイドに置き、左利きのメッシーを右サイドに配置しています。そして両選手ともにサイドから中央に入るプレーが得意な選手。
この結果バルサの攻撃は中央に集中してしまい攻撃に深さを欠くことになります。もちろん彼らは世界的な点取り屋なので個人技で相手守備陣を崩すこともありますが毎回それがうまくいくわけではなく、また、そのスタイルだと
「前線に辿り着くまでにピッチを広く活用したのはなぜだったのか?」
という攻撃のプロセスとの矛盾が生じます。
サイドを活用しようにも、このスタイルだとスピードに乗った状態で敵陣深くからゴール正面への正確なダイレクトパスは期待できず、メッシーもアンリも一旦止まってからボールを利き足に持ち代えるため守備陣が戻りきってしまい、敵守備陣にとって一番怖い状態、すなわち味方のゴールを向いて戻っている状態でラインとキーパーの間を突くクロスをあげることができません。
今のバルサは自分たちでお膳立てした前線深くのスペースをフィニッシュの段階で有効利用しきれていないのです。右サイドではサイドバックのアルベスがオーバーラップをしていますが、ディフェンダーの攻撃参加はベースの攻撃に加えるプラスアルファであり常に使えるわけではない。
ロナウジーニョ時代の3トップでさえ縦の突破は右翼のみに頼ったもので従来の3トップの変形でしたが、現在のように両翼が中央に閉じてしまうと相手にとって守り易く3トップの長所を生かしているとは言えなくなる。
逆に伝統の4-3-3を捨てて縦の突破に優れたサイドハーフを起用した4-4-2の方が展開力が上がる可能性すらある。
結論はエトー、アンリ、メッシーの3選手を同時に起用して各選手の長所を最大限に引き出すのは難しいのではないか? ということです。
グアルディオラ監督はチームに自身の哲学を注入することに成功しつつある反面、前線では
・スタメン級の選手の起用
・バルサ伝統である3トップ
という二つの条件を満たしながら戦わなければいけない状態でまだ最良の答えを見つけられずにいるともいえます。
私は、バルサが結果的にアンリやメッシーの個人技で得点を奪うスタイルでも構わないと思っています。ただ、その状況をお膳立てするためには敵の守備を一点に集中させないために今以上に前線でピッチを大きく深く使うことが必要なのではないか?と考えています。
かつてバレンシアに所属していたルフェーテ(現エスパニョール)はコーチングコースでのクラスメイトですが、彼が興味深いことを言っています。
ルフェーテ
「当時の監督がバレンシアでいくつもの攻撃パターンをチームに叩き込んだが、バレンシアがゴールを決めるのは中盤のバラッハからのロングフィードからの崩しが一番多かった。それはデータも証明している。でも監督が準備したその他の攻撃パターンは、バラッハのフィードがゴールに結びつく状態を作るために、敵の守備を乱れさせるために有効だったのも確かなんだ。」
スペイン監督日記 2008/9/24
posted by hospi |17:36 |
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