2011年08月07日

日本人少年のFCバルセロナ下部組織入団について

川崎フロンターレのU-10に所属していた久保建英(たけふさ)選手が2011-12シーズンからFCバルセロナの下部組織に入団することになっています。日本人選手としては初のバルセロナ所属選手となります。

久保選手の場合は日本で行われたバルサスクールキャンプで見いだされ、バルセロナが選抜チームを編成した国際大会でもMVPに選ばれる活躍をしたのが今回の入団に繋がっています。バルセロナが13才以下の選手をカタルーニャ州外から獲得することは通常はなく、特例で入団が認められたことからもその期待の高さが窺えますね。少なくとも、1シーズンで振るい落とされる多くの選手たちよりレベルが高いと判断されたのでしょう。

実際にプロの予備軍として育成される選手はその年代で「天才」と認知されている少年たちで、数年に渡って切磋琢磨する中で「成長する選手」と「伸び悩む選手」が出てきます。久保選手には是非、大成してもらいたいですね。


■スペインでの学年の分け方

スペインでは9月にシーズンが始まり翌年の6月に終了するため、今年の6月に選手の入れ替えが行われました。学年の区切り方は「生まれた年」ごととなり、シーズンが始まる年が基準となります。したがって2001年生まれの久保選手はアレビン(10-11才)のカテゴリーになります。

本来、バルセロナは各カテゴリーに学年が違うAとBチームしか持ちませんが(アレビンの場合はAが11才、Bが10才のチーム)、1年前にカタルーニャ州でアレビン以下の年代が11人制から7人制サッカーに改正されたため、バルセロナでもアレビンが2チームから4チームに増えています。(所属選手数はさほど変わりません)

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2011年08月04日

バルサの下部組織では78選手が退団

サッカークラブでは選手の移動が付きものですが、スペインでは8才から18才の選手でもプロと同じように1年区切りでクラブを変えることができる環境があります。「変えることができる」というと能動的ですが、シーズン終了後に戦力外通告を受けて他クラブを探さなくてはいけない状況も起こるわけです。

日本のJリーグ傘下のクラブチームでは学校教育に合わせて中学1年、高校1年で入団した選手を基本的には3年間所属させる方針が多いと思いますが、スペインでは1年単位となります。

そしてFCバルセロナの場合はどうかというと、スポルト(バルセロナのスポーツ新聞)が集計を取っておりバルセロナB(サテライト)からプレ・ベンハミン(小学低学年)まで計78選手が退団、75選手が新加入しています。ユースBに至ってはチームの半数の12人が退団しています。

2シーズン前に私がオスピタレットのユースB(3部)の第2監督をした時の第1監督は11才でバルセロナに入団した経歴を持っていましたが「半年いて殆ど試合に出してもらえなかったから町クラブに戻った」そうで、実際にバルセロナの下部組織になると何シーズンにも渡って在籍すること自体が難しいようです。

今回退団した選手の中にはヨハン・クライフの孫やバルサの元選手であるグジョンセンの息子も含まれています。一方でオスピタレット(3部)で活躍したクリスティアン・ロバートがバルセロナB(2部)に獲得されています。ロバートの場合はシーズン中から移籍が内定していましたが、実際に入団が確定したのはシーズン終了後でそれまではバルサにかなり待たされたようです。

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2011年04月07日

スペインの練習の根底にあるもの

サッカーの指導法はスペイン国内でも年々変わっていますが、「指導理論」に言及する以前に日本の状況とは根本的に違うものがあります。 

スペインではどんなに小さな子でも、実力がないと言われている層の選手でも全ての練習は週末の試合に向けたものであり、指導者にもそのための指導が求められます。 

私が所属しているクラブ、オスピタレットでも5~7歳の子供のチームがあり彼らは週に2回の練習を行った後、週末にリーグ戦を戦います。 


「基礎技術がない子供に試合ができるのか?」 


という疑問が湧くと思います。当然、最初はプレーが形にならないわけですが、毎週試合を重ねていく中でこの年代でも週単位で目に見えて上達します。 

なぜか? 


まず1つに「サッカーの試合をする」ということが選手達にとってなによりも効果的な「学びの場」となっているのです。そしてもう1つ、日本との大きな違いは指導者が「各選手の基礎技術の向上」よりも「チームプレーの構築」を目指し指導しているということ。 

例えばボールコントロールの下手な選手がいたとします。スペインではその選手のボールコントロールの向上よりも「その状況で目指すべき目的」を教える方に比重をおきます。それは「フリーの選手にパスをすること」であったり、「ドリブルをすること」であったりします。 

ボールコントロールが下手な場合、上手い選手が2タッチで行うプレーにその選手は4~5タッチかかるかもしれません。しかしここで重要なのは「何タッチを要したか?」ではなく「目的を目指したプレーができたか」という点にあります。いくらボール捌きが上手くてもこの目的を間違えドリブルをしてはいけない場面で相手に挑みボールを失っては「サッカー」にならないからです。 


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2010年08月21日

U-19では日本に軍配

今日、8月21日に静岡で行われたSBS杯のU-19日本対U-19スペインは、日本が2-0で勝利したようですね。

SBS杯公式ページ

今回のU-19スペイン代表はリーガ・エスパニョーラのトップチームに混ざってプレシーズンのトレーニングを積んでいた主力級の選手を日本に連れていっているので、日本側にとってはまたとないテストとなったはずです。

スペインがまだオフシーズンで、選手も日本の高温多湿に慣れていないという点はありますが、それが日本チームの実力を過少評価することにはならないと思います。

ただこの年代では10年以上前から日本のチームは世界大会で結果を残しています。問題は他国の選手に比べて日本の選手がプロになった後で大きく遅れをとっている現状なのではないでしょうか。

その辺の理由についてはこれから徐々にブログで書いていきます。


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2010年08月05日

スペインでの熱中症対策

日本と比べスペインの気候は湿度こそ少ないものの気温は同じなので、真夏日の午後はとても外でサッカーをする環境にありません。 

そんなスペインでの熱中症対策、それは、、、 





「サッカーをしない」こと... 





今、スペインのサッカー界はバカンス中。始動し始めたのはプロ(1~3部)やユース1部リーグのチームだけで、小中高校生のほぼ全ての選手がサッカーを完全にしていない停止期間にあります。 

ユース2部は8月10日から始動ですが彼らでさえ実質6週間のサッカー中断期間があります。私が担当するユース4部に至っては2ヶ月の休暇。 

この間、大半の選手はクラブ外でもサッカーをしていません。残りの選手はサッカーキャンプなど娯楽要素を多く取り入れた夏季限定のサッカー教室に通ったりしますが、熱中症にはならない程度の練習時間や練習密度なのでスペインではあまりサッカーをしている中での熱中症の話題が上がりません。 

そういう意味でスペインは暑さ対策については後進国といえます。日本は酷暑の中でも普通にサッカーをしますし、代表チームもW杯予選では中東での暑さ対策を行わなくてはいけません。水分補強については世界でもトップレベルの知識があるのではないでしょうか。 

スペインは暑さ対策の後進国ではありますが、一方で子供達は夏の暑い期間はサッカーは休んで家族とバカンス。プールや浜辺でくつろぎサッカーのことは忘れ、シーズン中も週3回の練習(1時間半)、そして毎週末のリーグ戦。この環境で育っても日本以上にサッカーが上手くなるなら、客観的に見て、スペインの子供はのんびり出来て良いな、と思います。 

選手の父兄は練習の日程を組みようがありませんが、日本の現場のコーチの方達は大会以外の練習や練習試合が過密日程にならないように予定を組んでも良いのではないでしょうか。 


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2010年06月22日

東大よりも難しいプロ選手への道

プロサッカー選手を目指している少年の中から厳しい競争を勝ち抜いた僅かな数の選手達がプロサッカー選手として大成します。 

「プロになるのは難しい」 

と漠然と言われる一方で努力を積み重ねてプロになった選手の話などもあり、プロ選手になれる基準が分かりづらいのも事実。特にプロを目指して努力している中高生の選手達にとっては夢を諦めて勉強一本に絞るか、サッカーに賭けるか、少ない判断材料の中で決断を迫られる難しい問題。 

プロになるための基準は数値化できるものではありませんが、スペインの例を挙げるとプロ選手としてのちにデビューして来た選手の殆どは各ポジションの特性を考慮した上で12才までに「可能性を持った選手」として周囲に認知されています。この「可能性を持った選手」というのは普通に上手い選手達の中に入ってさらに群を抜いて目立つレベルにいる選手です。 

この「可能性を持った選手」のグループに12才以降、新たに認知される選手は残念ながら僅かで、実際には年を追うごとにふるいにかけられ数が絞られていきます。 

スペインでは18才以下の選手達は2才ごとにカテゴリー分けがされており、 

フベニール(16-18才) 
カデテ(14-15才) 
インファンティル(12-13才) 
アレビン(10-11才) 
ベンハミン(8-9才) 

州毎に各カテゴリーはその中で4層からなるピラミッド構造になっています(16-18才は3学年で1カテゴリーの5部構造)。それぞれの部の間では昇降格があります。 

1部 16チームのリーグが1組 
2部 16チームのリーグが2組 
3部 16チームのリーグが12組 
4部 16チームのリーグが32組 


FCバルセロナやそれに続く強豪クラブは各カテゴリーの1年生チームを2部に、2年生チームを1部に持っていますが、前述の「可能性を持った選手」たちは12才の段階でその多くがこの1~2部でプレーをしています。 

Jリーグの下部組織は1度入ると中学であれば3年間はクビになりませんが、スペインでは毎年選抜が行われここから毎年どんどん選抜されていきます。彼らを蹴り落としているのは、12才の時点で「可能性を持った選手」と認知されたものの通学距離の関係で1~2部のクラブに通えなかった選手たちや他州、外国からスカウトされてきた選手達です。 

そして5層からなる16-18才のリーグでは彼ら「可能性を持った選手」たちは1年生(16才)ながら18才の選手達がひしめく1~3部リーグのチームに飛び級で参戦します。 

その最高峰に位置しているディビション・デ・オノール(1部)での戦いはさらに熾烈で、例えるなら日本の高校選手権の準決勝のようなレベルの試合を彼らは9ヶ月間に渡り毎週戦っています。しかしこの1部リーグに辿り着いた選手にとってもプロになるのは難しいことでありユースで最高のリーグながらこの中でも選手のランクは8段階ほどに分けることが出来ます。 

昨季、私が自分のチームと掛け持ちして第2監督を務めたオスピタレットのユースAはこのディビション・デ・オノール所属ですが、FCバルセロナと接戦を繰り広げた選手達が社会人になりどこに行ったかというと彼らですらスペインの4~6部リーグなのです。 

一方で16才の頃からユースAでプレーをしていたゴールキーパーは1部の中でもトップクラスの実力を持っていたので今季は同じリーグにいるさらに強いチームに移籍しシーズン終了後にリーガ・エスパニョーラのビジャレアルへ入団しました。 

19才で2~3部リーグで戦える選手は16才の段階でユース1~2部で戦っているのが最低条件で、リーガ・エスパニョーラにデビューできる選手というのはユースの段階で所属するプロクラブの大人の2軍や1軍に既に引き上げられています。 

エリートの中でもさらに上には上がいるこのような環境で、スペインではプロクラブのユースでプレーをしている選手でも実際にプロを目指す選手は少数で、失業率17%というスペインの厳しい社会状況を考慮してユース卒業後は堅実に一般企業に就職する選手も多いのです。彼らはユース時代にプロになる可能性のある選手と共にプレーをすることで自分の限界をシビアに判断しています。 

彼らにとって重要なのは「ただプロ選手になること」ではなく、「職業として普通の就職以上の収入をプロのキャリアで得られるかどうか」なので、一旦その可能性を諦めた場合はプレーレベルを落としてでも仕事と両立できるレベルで趣味としてサッカーをしています。 

プロ入りの厳しさは実際に新人選手にどのくらいの受け口があるか計算することでも分かります。各国のプロリーグは18チーム前後で構成されているので、各チームの定員は19才から32才まで同じ年齢の選手が2人ずつ所属しているとして28人ほど。毎年2選手が引退すると仮定して1部リーグには36人の新人枠があることになります。ここに外国人選手の参入もあるので、実力はあるものの1部リーグのクラブに入団できなかった新人選手達が2部以下のクラブにも流れます。 

大学入試で最難関とされる東京大学でさえ毎年3000人近い新入生を迎えますが、プロサッカーの場合は上記のように1部リーグでも36人。下部リーグへの入団も実際には1部から流れてくる選手たちがいるので簡単ではありません。 

日本のJリーグでは元J1出身の選手がチームから戦力外通告を受け下部リーグに流れていますが、これは不景気の影響だけではなくプロリーグの裾の根が徐々に広がっていることに関係しています。 

スペインでは1部から9部まで大人のリーグがあり前述のように高校の1部リーグでプレーをした選手の大半が卒業後、5~6部でプレーするのがやっとです。Jリーグはプロ化17年目で徐々に下層リーグを増やしていますが、今後、J1のクラブに入団するのは年々ハードルが上がり、下層リーグでは技術、身体能力、戦術眼に優れたセミプロ、アマチュアの選手が多く在籍することになるはずです。 

こういった厳しい現状を踏まえると、サッカーをプレーしている中高生の選手はプロになれる可能性の大小に関わらず一般企業への就職の可能性を閉ざさない為に勉学を疎かにしてはいけません。 

日本代表の中村俊輔選手は横浜マリノスのジュニアユースで一度戦力外となった後に高校で挽回してプロになったことが美談として有名ですが、ジュニアユースの段階で横浜マリノスにいたということで彼もこの「可能性を持った選手」の1人であったといえます。 

努力する事の大切さは子供に伝えなくてはいけません。しかし問題読解のトレーニングを積むことで上げることができる勉強の偏差値と違って、個々の才能や身体能力も関係してくる競争が激しいプロスポーツ選手への道の場合、それに要する膨大な労力の投資を、勉強を疎かにしてはいけない中高生の年代で勉強を2の次にしてでも行うことはその子供の将来の可能性に大きく影響を与えてしまいます。 


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2010年05月05日

改正されるカタルーニャ州の少年サッカー

バルセロナがあるカタルーニャ州では2010年の初めにサッカー協会の会長選挙が行われましたが、カサルス新会長の政権になり最初に着手されたのが18才以下のサッカー環境の改正です。

目的は、

・上がり過ぎた競争の緩和
・小学生への7人制サッカーの導入
・選手の均等な出場機会の確保
・広大な州内での遠征距離の縮小
・より育成を重視したシステムへの移行

この数ヶ月、論議が続けられてきたこの変更ですが地域毎に説明会が行われた末に4月28日に州内の全クラブの投票が行われ可決されたため来季(2010-11シーズン)から導入されることが決まりました。これはスペイン全土ではなくカタルーニャサッカー協会が管轄する州内のリーグが対象となります。

日本のサッカーには直接関係ないですが、参考までに解説したいと思います。


<改正される項目>

○7人制サッカー

これまでは小学3年生までが7人制でしたが、来季からは小学5年生までに対象が拡大されます。(ピッチの広さはフルコートを3分割にした広さです) 


○州内の地域分割

これまで1部リーグのチームは州全域を移動していましたが13才までのカテゴリーでは州を4分割にし移動距離の改善が行われます。


○中学1年生以下の4部制から3部制への移行

これまで「名誉あるリーグ」という名称で各カテゴリーの最上部に位置していた1部リーグが13才以下のカテゴリーで廃止されることが決まりました。
地域毎に新たな1部リーグが出来ますが従来の16チームによる1グループではなく各地域に1グループ、人口が多いバルセロナ近郊は2グループとなります。従って従来16チームに集中していた州内のエリート選手が計80チームに散らばる計算となります。


○14才以上のリーグでの2部リーグの拡大

ジュニアユース(14-15才)では1部リーグ(16チーム)が存続されますが、2グループ(計32チーム)からなっていた2部リーグが4グループ(64チーム)に拡大されます。

唯一の5層リーグであるユース(16-18才)はその階層数は維持されます。特にスペインサッカー協会の管轄である1部(16チーム×1)と2部(18チーム×1)にはカタルーニャサッカー協会は手をつけられません。しかし3部は2グループ(16チーム×2)から4グループ(16チーム×4)に変更されます。


○13才以下の試合を前後半戦から4分割制へ

13才以下のカテゴリーで前半と後半からなるサッカーの試合が4分割にされます。

・6-7才  10分×4セット
・8-9才   12分×4セット
・10-11才 15分×4セット
・12-13才 18分×4セット


○13才以下の試合での勝点の変更

勝利 :4
引分け:2
負け :1

また、5点差がついた時点で試合終了となるなど、負けたチームの選手が勝点や試合結果で落ち込まないように配慮されています。


○13才以下の試合での最低出場時間の義務つけ

各選手の出場時間を確保するために試合が4分割される13才以下の試合では「4セット目を迎えるまでに全ての選手が最低1セットでフル出場しなくてはいけない」というルールが適用されます。



現状のシステムの方がエリート選手が数チームに集中するので競技レベルの上限が引き上げられプロ予備軍を育成するには適していますが、今回の改正案は「中堅以下の大多数のサッカー選手が現状で置かれている環境を改善する」という点に重点が置かれています。

そういう状況なので各年代でトップレベルの選手達や彼らが所属している強豪クラブは今回の改正に否定的でした。

また今回の再編の影響で来季に向けた調整のため各階層の昇格チーム数が増え降格チーム数が減る処置がされています。リーグ戦では下位チームには安堵の声が、新たに昇格の可能性が出た3-4位のチームは昇格に躍起になっています。


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2010年04月26日

サッカーでの欧州と日本の根本的な違い(2)

前回、「サッカーでの欧州と日本の根本的な違い(1)」では、日本とスペインのサッカーの指導法を登山に例えました。


では、「10合目まで一度踏破するスペインの指導法」とはどういうものか。


日本で小学4年生というと「個人技術の習得」とボールを少しでも長く保持することを目的とした「パス回し」に多くの時間が割かれていると思います。

一方でスペインでは小学4年生からピラミッド状に階層分けされたリーグ戦を戦っていますが、バルセロナ市を含むカタルーニャ州では少なくとも1~2部、そして3部の優勝争いをするようなチームではプレシーズンでリーグ戦を踏まえたチーム方針を確立させます。


この方針はクラブや監督の考え方に沿って設定されるので千差万別ですが、例としてパスコースの設定を架空のチームを用い説明します。


<チームの方針>
・システムは4-3-3
・プレーのスタート位置はディフェンスライン
hospi-155986.jpg


<ステップ1>
・センターバック(4番)へ最初のパスを通す
・10番は上がり6番は開く
hospi-155987.jpg


ここで4番が出し得るパスコースはおおよそ以下のようになります。
hospi-155988.jpg


10番が敵の最終ラインまで上がっているのがポイントで、この動きに敵が対応しない場合は敵の最終ラインで4対4の状態となります。
hospi-155989.jpg


<ステップ2>
ミスを想定して通常は守備陣は1人多くするものなので、同数の状況で敵のラインの後方にスペースがあるのであればそこにパスを通します。

長い縦パスを守備ラインの裏に通すプレーを子供にさせるのは日本では「ただの蹴り合いになる」とあまり奨励されていませんが 現実のサッカーでは欠かせないプレーです。敵の最終ラインの裏を突くパスは直接ゴールチャンスを演出する他に、敵守備陣が自軍ゴールを向いた体勢でボールを処理しなくてはいけなくなるのでミスを犯す可能性が増えます。

この縦パスが有効になると敵は守備陣を増やさなくてはいけなくなるので守備的MFを最終ラインに下げます。
hospi-155990.jpg


するとこちらは中盤で数的有利を作れるようになります。


前線で5対4を作られた時のこちらの4番の選択肢は?

<答え>
敵ゴールに向けて低速のドリブルをする


<スペインでのドリブルのセオリー>
(1)敵のゴールに向かうことで仲間をマークしている敵をおびき出すことができる
(2)速度が上がるほどパスが可能な角度が減りパスミスの可能性が高くなる


すると4番の進行を止めるために2番、もしくは6番をマークしている敵が出てくるので十分に引き付けてフリーになった仲間にパスをする。この時、2番、もしくは6番は4番に近づかずパスコースを作るために数m下がる。(敵のセンターフォワードが4番に接近した場合はキーパーを経由して5番、もしくは3番にパス)


上記の条件付けはあくまでも今回の説明用に即席で準備した架空のチームの設定なので穴はあります。実際にプレッシングをかわす方法は他にもありますがここで重要なのは

「プレッシングをするには陣形をコンパクトに保つ必要があり、後方を突くパスを使うことで敵の陣形を縦に伸ばすことができ結果的に敵のプレッシングを弱めることができる」

というように敵が取ってきた方法を攻略するためにその弱点を突く方法を選手に指導するということです。


論理的な説明を選手が理解するには時間がかかる場合もありますが、最低限、指導者の頭の中では明確に整理し、選手にはプレーの中で成功体験を重ねさせることで彼らは、

'・一つの方法に偏りすぎてはいけない
・どの方法にも長所、短所がある'

ということを理屈よりも先に体で体感し身につける事ができます。


各局面への対応法を選手に最初に教え、その後で技術、戦術の精度を同時進行で高めていくことが、

「スペイン人は10合目まで一度踏破する」

ということです。


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2010年04月24日

サッカーでの欧州と日本の根本的な違い(1)

日本ではJリーグがスタートして17年が経ちましたが、国内では日本のサッカーの指導法について、


・自分達のやり方で発展させていく

という考え方と

・海外のやり方も積極的に導入していく

という2通りの方針があるかと思います。



海外のやり方に目を向ける場合、国内の指導者が海外の情報をリサーチする方法と、外国人コーチや海外から帰国した日本人コーチからもたらされる情報が現時点では大半を占めています。


ただ日本から海外の情報を探す場合、現地の事情に精通していないというデメリットがあり、外国人コーチの場合は逆に日本の状況を把握せずに日本と関わりを持った「点」の部分での情報提供となります。また海外から帰国した日本人コーチにしても経験や方針は十人十色なのでどの程度海外の指導法のポイントを日本の指導現場に反映させられているか未知数の部分があります。


今の私がスペインから情報を発信する時にまず伝えたいのは、細かな練習法以前に指導のスタートラインの再確認が必要であるということ。
サッカーは歴史が長く競技人口も多く競技レベルも常に上がっているのでそれこそ1箇所の部分を掘り下げるだけでも際限なく広がっていってしまいます。

ただスペインでのサッカーの捉えられ方に比べて、日本ではサッカーがとても難しく考えられ一方で屋台骨がしっかりと通っていないという印象を私は受けてしまいます。


もちろん細部での追求は必要不可欠な取り組みですが、そこに進む前に登山と同じく1合目から10合目までの各ポイントを明確することが必要だということです。


「日本のサッカーはボールは持てるけど攻めきれない」

と最近よく言われます。


それは日本代表だけでなく日本の小学生からプロチームまで共通した特徴で、スペインのチームと対戦した場合、その殆どの試合が


「ボールをキープする日本のチーム」「縦にシンプルにボールを運ぶスペインのチーム」

という構図になります。


勝敗で見ると、日本のチームが勝つのは戦力やコンディションでレベルが1つ上の場合で、これが同等もしくは劣る場合はあまり勝つことができません。
もちろんユース以下のレベルでは勝敗が全てではありませんが、プレースタイルがボールキープに偏っているため「試合で勝利する」ための術を施されていない傾向が全てのチームにあります。


これは登山で10合目までの10箇所のポイントを押さえる前に2合目辺りで脇道に入ってその周辺だけの知識を深めているようなものです。
一方でスペイン人はまず1合目から10合目まで踏破します。
シンプルに10ヵ所をまず回って、それが終わった後で時間が許すのであれば各合の散策を同じ割合で順次行います。


この方法の違いにより同じ期間サッカーをしていても両国の選手には明らかな差が出てきます。


サッカーでの欧州と日本の根本的な違い(2)に続く

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2010年03月22日

スペイン少年サッカー カテゴリーの分け方

スペインでは日本の高校サッカー&野球のように地方大会から勝ち抜いて全国大会に出場するような大きなトーナメントはありません。
高校世代のスポーツが全国中継される事もほとんどなくこの点でも高校世代のスポーツの位置付けが日本とは違います。

サッカーの場合、スペインではメインになるのがリーグ戦でこれは「州」単位で行われます。スペインでの「州」は日本の「県」にあたります。

スペインの州


日本では社会が4月から翌年の3月までの年度区切りですが、欧州では9月に始まり翌年の6~7月に終了、8月はバカンスとなります。

サッカーもこの社会のシーズンに連動していてリーグ戦の開始は9月からとなります。


リーグ戦では16才未満の選手達のカテゴリーを2才ずつ、ユースは16~18才で区切っています。そしてそのカテゴリーはピラミッド状に4~5層に分けられ9月から6月近くまで毎週末リーグ戦が繰り広げられるのです。

年齢別の分け方



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