2008年08月07日
山本昌 ~逆理の投手~
【ゲームも達人】 中日・山本昌投手198勝の続きです まずNPB史上、200勝を達成した投手は次のとおりとなっています。 ■通算勝利数 400 金田正一 350 米田哲也 322 小山正明 317 鈴木啓示 310 別所毅彦 303 ヴィクトル・スタルヒン 284 山田久志 276 稲尾和久 254 梶本隆夫 251 東尾修 237 若林忠志 237 野口二郎 222 村山実 222 工藤公康※ 221 皆川睦雄 215 杉下茂 215 村田兆治 213 北別府学 209 中尾碩志 206 江夏豊 203 堀内恒夫 201 平松政次 200 藤本英雄 200 山本昌 ※ (勝利数は2008年8月4日終了時・※は現役選手) 今回はこの偉大な投手達の中で山本昌投手について書かせてもらいたいと思います。 山本昌 (Wikipedia) 上記リンクを参考にさせて頂きました。 山本昌投手といえば、決め球はスクリューボールというイメージが強くあり技巧派投手と分類する方が多いかと思いますが 『BS-i 超・人』 というテレビ番組において調べたデータによると 2006年度の山本昌投手・全投球のうち ストレートが45% を占めていたようです その番組によれば
■2006年の全投球のうちストレートが占める割合
山本昌 45%
松坂大輔 46%
下柳剛 8%
というデータが紹介されており ストレートと遅いボールを投げる割合で、速球派か技巧派かに分類するとすれば この3投手のうち 山本昌・松坂大輔両投手が速球派 下柳剛投手が技巧派と分類できるでしょう。 ただ、松坂投手は150キロ近いストレートを頻繁に計測するのに対して 山本昌投手はMax140キロ弱、それも140キロに近い数字が計測されるようになったのは最近の話で、30代前半までは132-133キロ前後だったようです。 左投げで変則的な投球フォームの山本昌投手は一般的なスピードガンの配置位置から考えて、球速表示は出ずらい投手だと思いますが ■参考コラム 横投げはスピードが出ずらいのか? ~スピードガンから考える・その1~ やはり、球速がはやい投手とはいえないでしょう。 そんなMax130キロ前後のストレートを投げていた1997年 32歳の時に 最多奪三振・最多勝利 の二つのタイトルを獲得しています。 Max130キロ前後の投手が、何故200勝を到達するほどまでに活躍でき、更には何故 最多奪三振 のタイトルを獲得することが出来たのでしょうか?
僕はその要因の1つに 山本昌投手独特のお世辞にも綺麗とはいえないフォームから繰り出される とても綺麗なストレートを挙げたいと思います。 綺麗なストレートとよくいわれますが 一体、綺麗なストレートというものが何なのかといえば バックスピンがしっかりかかり回転軸のブレが少ない速球を綺麗なストレートだと一般にいわれているのではないかと思っています。 上記・同番組のデータによれば
■1秒間のストレートの回転数
山本昌 52回転
松坂大輔 41回転
藤川球児 45回転
通常の投手
平均 37回転
となっており 現在、最も伸びのあるボールを投げるといわれている 藤川球児投手の1秒間のストレートの回転数を、山本昌投手は上回っています。 回転数の多いバックスピンのかかったストレートを投げると一体どうなるかといえば 1つには カーブやシュートが曲がる原理と同じで イメージとして ボールの進行方向と進行方向逆向きの ボールと空気との摩擦により発生する力の違いの為 ボールに上向きに強く変化しようとする力が生じると僕は考えています。 ■参考コラム ジャイロボールの正体をあばいてみせる(第3話) ~ 『 曲がる 』 ~ 回転数の多いバックスピンのかかったストレートを投げると もう一つ 回転する物体はその回転状態を維持する という性質が経験則として存在しており 身近な例としては地球の回転軸がブレて地球がひっくり返らないのは この 回転する物体はその回転状態を維持する という性質の為だということになっているようです。 この性質を野球のボールに適応して考えれば 1秒間のストレートの回転数が多いほど そのストレートが重力によって下向きの力を受け、回転軸が変えられようとした時にそれに抵抗する力が強くなると考えられます つまり、1秒間のストレートの回転数が多いほど 落ちづらくかつ回転軸がブレない ということになるでしょう。 ■参考コラム ジャイロボールの正体をあばいてみせる(第4話) ~ 『 落ちる 』 ~ ジャイロボールの正体をあばいてみせる(第5話) ~ 『 慣れる 』 ~ ジャイロボールの正体をあばいてみせる(第6話) ~ 『 揺れる 』 ~ これらのことから 1秒間のストレートの回転数が多い投手は 平均的な投手よりも 落ちづらくイメージとして浮き上がってくるボール そして、回転軸のブレが少なく打者から見ても綺麗なボールを投げるということになるのでしょう。 更に 1秒間のストレートの回転数 が多い投手の投げる 落ちが少なく、回転軸のブレが少なくバックスピン方向で安定しているストレートは 投手がリリースしたポイントからキャチャーのミットまで他の平均的な投手に比べてボールが寄り道をせずに、最短距離に近い軌道を描くと考えられます。 1秒間のストレートの回転数 の多いボールが綺麗なストレートであるとすれば 1秒間のストレートの回転数 の少ないボール は回転数の多いボールに比して 回転数が少ないため上記した性質の為に回転軸を維持することが出来ず、回転軸にブレが生じ綺麗なバックスピンを描き続けられず、変化する方向を頻繁に変えながらキャチャーミットに向かうと考えられます。 寄り道をして遠回りをするストレート。 それが更に顕著になりボールの回転数が極端に少なくなれば それは回転軸がブレ続けるボール、寄り道だらけのボール ナックルに代表される揺れると表現されるボールになるのでしょう。 そして スピードガンの測定数値よりもスピードを感じたといった打者のコメントを聞く事がよくありますが これは、現行のスピードガンでの測定数値というのは ボールの瞬間・瞬間のスピードであり 厳密に 投手のリリースポイントからキャッチャーミットまでのボールの曲線軌道距離/その間の時間 で算出されたものではないということが大きく関わっているのでしょうね ■参考コラム ドームガン! ~メジャーを出し抜け!~ 打者にとってのボールのスピードというものは感覚的に 投手がボールをリリースしてから打者の目の前までやってくる時間の早さでしょう いくら現行のスピードガンで速く計測されるボールを投げても それはあくまで一時点でのボールの速さ スピードガンで速く計測されてもボールに回転数が不足していれば 上記した理由により回転軸にブレが生じ、寄り道をし遠回りをする軌道をボールが描く為 打者からみれば、ボールが目の前にくるまでに時間的に余裕を持て スピードガンの測定数値よりも遅く感じるのではないでしょうか 現行のスピードガンによるスピード表示と実際の球速に最も隔離がある投手は山本昌投手だと僕は思っています。 山本昌投手は30代前半まではMax130キロ前後のストレートでしたが 年を重ね30代後半からはMax140キロ近いストレートを投げ込むようになりました しかし、決して速いとはいえません 今の日本プロ野球の投手の中では球速表示としてはとても遅い部類に属する投手でしょう その投手が200勝という偉大な記録を達成したのは 低速表示でありながら 傑出したボールの回転数を誇るストレートを持っていることが大きな要因になっていると僕は観ます。 野球人生の中で遠回りを繰り返した山本昌投手 一見ぎこちないフォームから繰り出されるとても綺麗なストレートは 寄り道をすることなくキャッチャーミットに吸い込まれる。 【漫画も好き】 庶民系スーパースター・山本昌 に続きます
■関連コラム 山本昌伝説 上巻 【山本昌】復活と決別と ~カムバック~ 【山本昌】200勝へ跳ぶ!そしてクワガタブリーダー復活へ!【山崎武が願う】 【ゲームも達人】 中日・山本昌投手198勝 ジャイロボールの正体をあばいてみせる(第3話) ~ 『 曲がる 』 ~ ジャイロボールの正体をあばいてみせる(第4話) ~ 『 落ちる 』 ~ ジャイロボールの正体をあばいてみせる(第5話) ~ 『 慣れる 』 ~ ジャイロボールの正体をあばいてみせる(第6話) ~ 『 揺れる 』 ~ ドームガン! ~メジャーを出し抜け!~ 横投げはスピードが出ずらいのか? ~スピードガンから考える・その1~ 王貞治の記録は超えられるのか?不可能!~狙った獲物は逃さない~ 野村克也・福本豊 論理と感覚 ~積才作古~ 落合博満 その打撃技術に迫る ~ホームランは狙って打つものなんだよ~ 門田博光 遅れてきた長距離砲 ~逆境を乗り越える才能~ 山本浩二 走・攻・守 ~ミスター赤ヘル~ 長嶋茂雄・イチロー 世界一の勝負強さ ~記録と記録からの記憶と~ 三冠王は電車好き? ~ブーマー・ウェルズ~ 宇野勝 ファンタジースター ~プロ野球を変えた男~ 金本知憲 ~不屈なる不惑~ 大杉勝男 ~優しい乱暴者~ 山本昌 ~逆理の投手~ 野茂英雄 トルネード投法 ~どんな短所にも長所がある~ 田村勤 with determination 落合博満 vs ランディ・ジョンソン 名勝負列伝 ~その1~ 野村克也 vs 伊原春樹 名勝負列伝 ~その2~ 岡田彰布 vs 野村克也 (前編) 名勝負列伝 ~その3~ 長島茂雄 vs 新庄剛志 名勝負列伝 ~その6~ 原辰徳・怒りの一撃 名勝負列伝 ~その7~ 嶋基宏・氷壁の盗塁刺師 名勝負列伝 ~その8~ ランディ・バース、掛布雅之、岡田彰布 vs 槙原寛己 名勝負列伝 ~その9~ 落合博満 vs 斎藤雅樹 名勝負列伝 ~その10~ 野茂英雄 vs 落合博満 名勝負列伝 ~その11~ 井川慶 vs 川上憲伸 究極のスクイズ/至高なるグラブトス 名勝負列伝 ~その12~ イチロー vs 林昌勇 天来の一打 名勝負列伝 ~その13~ 落合博満 vs 東尾修 孤高なる報復 名勝負列伝 ~その14~ 王貞治 vs 東尾修 王の真価 名勝負列伝 ~その15~ 早川大輔・卑なるバット投げ 名勝負外伝 ~その1~ 巨人はロッテより弱い 怒涛の逆転劇 名勝負外伝 ~その2~ アンディ・シーツ 微笑みのバット投げ 名勝負外伝 ~その3~ 長島茂雄超語録 長島茂雄超語録 2 長島茂雄超語録 3 長島茂雄超語録 4 長島茂雄超語録 5 長島茂雄超語録検定 長島茂雄超語録 読書感想文用 福本豊名語録 世界の盗塁王を訪ねて パンチ佐藤名語録 プロ野球名言海 ヨハン・クライフ名言録 松岡修造名言録 hk語録 王貞治伝説を訪ねて 王貞治伝説を訪ねて 2 落合博満伝説を訪ねて 伊藤文隆伝説を創ろう 井川慶伝説を訪ねて 井川慶伝説を訪ねて 2 井川慶伝説を訪ねて 3 井川慶伝説を訪ねて 4 隔週・井川慶伝説を訪ねて 5 月刊・イガワくん 6 竹原慎二伝説を創ろう ガッツ石松語録じゃ メークレジェンドを訪ねて 1 プロ野球英雄伝説 黎明篇 プロ野球英雄伝説2 策謀篇 山本昌伝説 上巻 山本昌伝説 中巻 原辰徳熱風録 長島茂雄超伝説 新庄剛志伝説を訪ねて 新庄剛志伝説を訪ねて 2 世界の盗塁王を訪ねて 外国人助っ人名鑑 1988年・セリーグ 外国人助っ人名鑑 1988年・パリーグ 阪神・外国人助っ人疾風録 その1 阪神・外国人助っ人疾風録 その2 阪神・外国人助っ人疾風録 その3 阪神・外国人助っ人疾風録 その4 阪神・外国人助っ人疾風録 その5 阪神・外国人助っ人疾風録 その6 阪神・外国人助っ人疾風録 その7 阪神・外国人助っ人雌伏外伝 その1 阪神・外国人助っ人雌伏外伝 その2 阪神・外国人助っ人雌伏外伝 その3 阪神キラーの系譜 第一譜 虎の愛人 マット・ソーントン 猛虎助っ人ダイジェスト 打者編 猛虎助っ人ダイジェスト 投手編 ヤクルトスワローズ・外国人助っ人疾風録 ヤクルトスワローズ・外国人助っ人疾風録 その2 ヤクルトスワローズ・外国人助っ人疾風録 その3 読売ジャイアンツ・外国人助っ人疾風録 その1 読売ジャイアンツ・外国人助っ人疾風録 その2 読売ジャイアンツ・外国人助っ人疾風録 その3 ダグ・デシンセイ 強い大リーガー トニー・バティスタ 進化する大リーガー ラルフ・ブライアント 衝撃型扇風機 オレステス・デストラーデ 眼鏡をかけた大リーガー 【倉さん-灼熱の解説】 解説者覇道伝説 その1 江夏豊の21秒 解説者覇道伝説 その2 岡田彰布・雌伏の刻 解説者覇道伝説 その3
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posted by hk |08:03 |
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