2007年12月24日

リーガ・エスパニョーラ第17節 バルセロナvレアルマドリード

今年最後のリーガの対戦はバルセロナ。

アウェイ、カンプ・ノウでは4年間勝利がなく、苦戦が予想されたこの試合では、
普段起用しているマルセロを、守備の能力が高いエインセに替えて臨んだ。

GK:カシージャス
DF:セルヒオ・ラモス、ペペ、カンナバーロ、エインセ
MF:スナイデル、ディアラ、バティスタ
FW:ラウール、ニステル、ロビーニョ

一方のバルセロナは、ロナウジーニョやデコ、グジョンセンなどの選択肢によって、スタートメンバーの組み合わせの可能性はいくつかあったが、
結局ロナウジーニョとデコがスタートで出場。

GK:バルデス
DF:プジョル、マルケス、ミリート、アビダル
MF:シャビ、トゥーレ・ヤヤ、デコ
FW:イニエスタ、エトー、ロナウジーニョ

■マドリーの守備方法と前半の展開

マドリーとしては、前線の3人に簡単にボールを入れさせないこと、ボールを持たれても前を向かせないことがディフェンスの鉄則。
また、前線にボールを運ばせないために、最終ラインから中盤を楽に経由させないことも必要。

バルセロナ最終ラインと中盤へ高い位置でプレッシャーをかけ続けるかと思っていたが、マドリーは基本的にはラウールとニステルがヤヤを挟みながらパス出しの方向を制限し、
ディフェンシブサードに入る辺りで人数をかけようという意図に思われた。

いつもと違うのはロビーニョもかなり低い位置まで戻って相手を追いかけていた点。
攻撃の要である彼が低い位置にいては攻撃の構築はしにくいが、それだけ守備に重点を置いていたということだろう。

20分くらいまでは、バルサは左サイドの攻めが多く、ロナウジーニョを使おうという形が多く見られた。
ロナウジーニョにはセルヒオ・ラモスがぴったり張り付き、前を向かせない。
ペペも頻繁にカバーに回っているが、よくないボールの取られ方をして完全に数的不利になる状況があった。

この要因はバルセロナの前からの執拗なプレッシャーだろう。
マドリーの最終ライン周辺からのパス出しはバルセロナよりも苦しく、ディアラのパスミスが多く、ペペは不用意なプレーが何度かあって、そこからピンチを招いた。

26分、前回の招集リストの記事の時にポイントとしたロビーニョとプジョルの1対1が初めて発生した。
かなりスペースがある中での対決だったということもあり、ロビーニョがプジョルをかわせたが、
プジョルのファールでストップ。
しかしプジョルにイエローカードが出て、今後のこのマッチアップを優位に運べる。

29分、エトーが抜け出すが、カシージャスが良い飛び出しを見せ、さらにイニエスタに渡ったボールも追ってセーブ。
33分には右サイドのイニエスタが抜け出し、クロスにロナウジーニョが合わせるがこれもカシージャスがセーブ。
序盤よりもバルセロナの攻撃陣に前を向かれる回数が増え、裏に抜け出される機会が続いていて、よくない流れの時間帯。

しかしここでマドリーが一つのチャンスをものにした。
カシージャスのフリーキックが跳ね返り、ディアラへ。ディアラからニステル、ラウールとわたり、
バティスタがボールを受ける。
バティスタは浮き球のパスをニステルへ送り、ニステルはワンツーパスを選択。
マルケスを振り切ったバティスタがサイドネットへうまくボレーシュートを決め、マドリーが先制。
浮き球のワンツーを完成させ、しっかりおさえたボレーシュートを決めるという素晴らしいゴールだった。

43分、守備で懸案の1対1だったロナウジーニョとセルヒオ・ラモスのマッチアップが起こる。
こちらも26分のロビーニョとプジョルの対決同様、局面では攻撃側の勝ち。
何とかコーナーに逃れたが、やはり1対1では苦しく、不安が残った。

■前半の印象
前半は1-0で終了。
この時点でボールの支配率はバルセロナの54%と、戦前の予想通り。
シュート数はバルセロナが4本(枠内2本)、マドリーが5本(枠内3本)。
シュート数ではマドリーが上回っていたが、シュートにならなかったものも含め、チャンスはバルセロナの方が多かった印象。
バルセロナは序盤左サイドを多用したが、セルヒオ・ラモスがロナウジーニョを比較的よく守っていた。
何度か抜かれたり簡単に前を向かれたりしたが、そもそもスペースがある中で守らざるを得ないこともあって、彼だけの責任でない場面もあった。

マドリー左サイドはイニエスタとシャビ、デコがうまく絡んで攻められた。
ロビーニョが下がったり下がらなかったりで、退かない場面で人数が足りないこともある印象。

上にも書いたように、ディアラとペペの不用意なプレーがバルセロナのチャンスになりかける場面があったので、もっと簡単にプレーして良いはず。1点リードしたのだから、余計なリスクを負う必要はないだろう。

ラウールは攻撃の場面で顔を出すことが少ないが、最初のディフェンダーとしての役割はしっかりこなしている。

■後半 ―両チームの交代策と、攻めのバルサ・守りのマドリーの対照―

後半開始時点での交代はなし。
49分、早速ロビーニョ対プジョル。エインセがほとんど初めてオーバーラップするが、チャンスを作れず。

追いかけるバルセロナは人数をかけて押し込みだした。それにともなってマドリーは守備に人数を割くことになり、結果ロングボールが増えてきた。
手薄なバルセロナ守備陣をつくカウンターを狙いたいが、ボールが収まらず、苦しい時間帯。

57分、デコに替えてジオバニ・ドス・サントスが出場。
イニエスタが中盤に下がり、ドス・サントスが右のFWに入るような変更で、縦へのスピードを重視しようという交代だと思われる。

63分マドリーが右サイドで数的有利を作り、攻め込む。ファールをもらうがフリーキックが合わず。
ただ、この時間帯からマドリーのカウンターがいくつか形になりだした。
ファールも増えてきて、いい位置でのフリーキックなど、マドリーにもチャンスがありそうな雰囲気。

76分にプジョルとザンブロッタを交代。キャプテンマークはロナウジーニョに。
サイド攻撃の厚みを増すべく、攻撃能力が高いザンブロッタを起用した。
マドリーもこれに対応し、守備を固めるため、78分にスナイデルに替えてガゴ。
スナイデルを替えることで、ボールの保持よりも守備、カウンターへの志向が強まった交代だった。

81分、バルサは最後のカードを切る。シャビに替えてボヤン。
ボヤンが左のFW、ロナウジーニョが一列下がったが、攻撃に注力するため、前線は流動的。
82分に早速ボヤンがミドルシュート。
続いてコーナーがこぼれたところをヤヤがシュートするも枠外。
この時間帯は完全に攻撃のバルサ、守備のマドリーという流れ。

84分ロビーニョに替えてロッベン。
役割は替えず、そのまま置き換える交代。時間稼ぎという面もあったか。

カンプ・ノウで負けるわけにはいかないバルサが攻撃を続けるが、ラウールがよく相手を追い、時間をかけさせていた。
献身的なランニングによって、守備陣の構築の時間を稼ぎ、また最終ラインの負担を軽減することもでき、ディフェンダーにとっては非常に助かる。

87分にマドリーが最後のカードを切った。
イエローカードを既に受けていたセルヒオ・ラモスに替えてトーレス。
カードの影響で窮屈になりがちだった右サイドの守備をトーレスに替えてしのごうという意図。

88分、時間稼ぎをしたいマドリーだったが、ラウールが無理せず落ち着いてマイボールのスローインにした。
大したことのないプレーだったが、この時間帯でこうして落ち着いた判断をし、マイボールを確保できるのはさすがだろう。

ロスタイムは4分だったが、3分になってマドリーボールになったところで試合終了。
カンプ・ノウで4年ぶりとなる勝利でバルセロナとの勝ち点差を7とした。
ボール支配率はバルセロナの55%。
シュートはバルセロナが16本(枠内6本)、マドリーは9本(枠内5本)。

■試合全体の感想

65分過ぎからは攻めたいバルセロナの裏を突くカウンターが何回かあったが、追加点はならなかった。
バルセロナの攻撃は迫力があったが、残り10分ほどは自陣でギリギリの守備を展開、最終ラインをはじめとしてよく踏ん張ったと言える。
攻めを遅らせれば人数をかけ、ボールが戻ればラウールやニステルがよく追いかけるという、守備意識が統一されていた印象だった。
前線に入るボールを取ろうと相手の前に出るところを入れ変わられることが何度かあったが、最後まで集中力を切らさずに守り切った守備は評価できる。
バルセロナを無得点に抑えたことは自信につながるだろう。

また、前半よりもディアラやペペの不用意なプレーが減った。
クリアが増え、押し込まれる展開にはなったが、バルセロナの俊敏な攻撃人の速い攻めを受けなかったので、ドス・サントスやボヤンのスピードを活かさせなかったという考え方はできるだろう。

スナイデルは前半よりもボールを持ってカウンターの起点になるなどしたが、ボールがバルセロナに良く持たれていたこの試合では致し方ないというところだと思う。
代わってバティスタが良く走り、攻守によく顔を出していた。
得点を挙げた場面のように前線に現れ、守備時にはしっかり中盤へ戻って守るという両面の活躍が素晴らしかった。

次の試合は年が明けて2008年の1月2日、コパデルレイ決勝トーナメント一回戦第2戦、アリカンテとの試合。控え組主体で臨むだろうが、しっかり勝ち抜けてもらいたい。
リーガの次節は1月6日にサラゴサとの対戦。
来年は今年以上のプレーを見られることを期待している。

posted by hiro |17:17 | リーガ | コメント(13) | トラックバック(0)
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リーガ・エスパニョーラ第17節 バルセロナvレアルマドリード

セルヒオ・ラモスは怪我だと思いますよ。

posted by ドラゴンズ | 2007-12-24 21:07

リーガ・エスパニョーラ第17節 バルセロナvレアルマドリード

バティスタの調子がいいですね

posted by ray | 2007-12-24 22:07

リーガ・エスパニョーラ第17節 バルセロナvレアルマドリード

wowowの解説ではバルサへの駄目だしが多かったけど、
レアルもそれに比べて明らかに良かったと言うわけでもなかった。
ワンチャンスをものに出来たかどうか、
その事がだけが勝敗を分けたように思います。
そうは言っても好調レアルと四苦八苦なバルサという現状に相応な結果になったとは言えるかも。

posted by おっぱっぴーくりすます | 2007-12-24 22:25

リーガ・エスパニョーラ第17節 バルセロナvレアルマドリード

見事なまでにどん引きでしたね。
でも前線と中盤と最終ラインとの間のスペースは程よく保たれてて、これはよく訓練したのかなあって思いました。
毎度毎度あれだとちょっと勘弁してもらいたいですけど、今回に限って言えばシュスターはいい仕事したなあと思いましたよ。

posted by jumpin | 2007-12-25 13:29

リーガ・エスパニョーラ第17節 バルセロナvレアルマドリード

↑カンプ・ノウでのバルサ対策なだけでしょ。今シーズンはここまで引きこもってた試合は無かったし

今後CLではあるかもしれないけど・・・

posted by yopo | 2007-12-25 15:01

リーガ・エスパニョーラ第17節 バルセロナvレアルマドリード

勝って欲しいと思ってましたが勝てるとは・・・そして高い位置からプレスかけると思ったんですけど・・・いろいろと予想を裏切る感じでした。
この試合は見た目に派手さがないので批判を受けやすいと思いますが、シュスターの思い描いたとおりになったんじゃないでしょうか。そういう意味ではこの試合をコントロールしてたのはマドリーでありシュスターだと思います。
守備は組織が重要とは分かっていますが、それを差し置いてもマドリーの4人のDFは世界最高レベルかと思います。贔屓しすぎですかね。

posted by しろ | 2007-12-25 19:09

ドラゴンズさん

はじめまして、こんばんは。

仰るように怪我のようですね。
足を引きずりながらもプレーしていたので、大したことはないかと思いますが・・・
マドリーの右サイドはもちろん彼がファーストチョイスですから、今後欠場せずに済むことを祈ります。

posted by hiro | 2007-12-26 02:01

rayさん

こんばんは。

調子いいですね。得点を挙げていますし、良く走りますから、欠かせない存在です。
彼のようにハードワークする選手は素晴らしいと思います。
今後もいいプレーを見せてほしいですね。

posted by hiro | 2007-12-26 02:03

おっぱっぴーくりすますさん

はじめまして、こんばんは。

守備を優先していたため、いつものマドリーのスタイルとは違いましたが、
仰るように一つのチャンスを(しかも先に)ものにできた集中力は素晴らしかったですね。

今後も今の好調さ、そしてダメな試合でも勝ちは手にできるしたたかさが持続できればいいなと思います。

posted by hiro | 2007-12-26 02:09

jumpinさん

こんばんは。

前線が今までより良くボールを追っていたので、あまり間延びしなかったのではないかと思います。
ロビーニョも下がってまでボールを追いかけてましたから、この試合に関しては守備に関して相当話があったのではないかと想像します。

シュスターは今いろいろ調整してうまくいっていますから、監督にとっても自信になるでしょうね。

posted by hiro | 2007-12-26 02:15

yopoさん

はじめまして、こんばんは。

まず最初にお伝えしておきます。
yopoさんのコメントはjumpinさんのコメントに関してのものですが、
発言する相手に対して礼を失さないようにご注意ください。

このコメント欄において、ある程度の議論が行われることは全く構いませんし、様々な意見が出ることは歓迎いたしますが、
常識的な礼儀を欠いた発言は、荒れる原因ともなりますので、削除対象となります。

jumpinさんからの再コメントがあれば議論の端緒ともなりえますので、今回は削除いたしませんが、次回からはご注意ください。

もちろんこれは、yopoさんだけではなく、このブログを読んでくださってコメントを寄せてくださるみなさんへのお願いでもあります。
ご了承いただきますよう、お願いします。

posted by hiro | 2007-12-26 02:26

yopoさん

改めて、私の思うところを書きますね。

仰るように、CLのようにH&Aという短期決戦が続く大会では守備にプライオリティを置く戦術があり得るかもしれません。
ただ、長期的に、守って勝てるチームになるかというと、ちょっと疑問が残りますので、難しいところですね。

jumpinさんが再コメントされるようであれば、全く構いませんのでどうぞお気軽にご投稿ください。

posted by hiro | 2007-12-26 02:32

しろさん

こんばんは。

私もいろいろと予想を裏切られました。
無失点でしのぎ切れたことも、いい方向で予想を裏切ってくれたことの一つですね。

フットボリスタでも指摘されていましたが、仰るように、数字には表れない点でマドリーが主導権を握っていましたね。
守備を優先して主導権を握れるとは思いませんでしたが、チームとしてひとつ別の可能性が見られたのかもしれません。

この試合ではサイドバックの2人も上がらずに守備を頑張っていましたね。
カンナバーロとペペのコンビはかなり評価が高まったと思います。
今後に期待したいですね。

posted by hiro | 2007-12-26 02:38

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