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現行採点システムの限界を迎えてきている

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NHK杯に引き続き世界歴代最高得点の更新に期待が掛かっていたが、あの2週間前の素晴らしい滑りよりも4点以上更新すると予想出来た人は果たしているのだろうか。 何度も何度も繰り返しになるが。羽生結弦という男はどこまで我々の予想を突き抜けてくれるのだろうか。 あの日本中が衝撃に包まれたNHK杯からわずか2週間後に迎えたバルセロナの地でのGPファイナル。 そのSPで羽生が記録した数字は110.95というまたしても日本中いや世界中に再び興奮の渦を巻き起こした。

まず昨日のSPを軽く振り返ろう。 まず技術点の面ではNHK杯の時よりも4Sをクリーンに着氷出来た事によってGOE+3という満点を獲得出来たのが非常に大きい。 ステップでレベル3に留まってしまった事は惜しいが、仮にステップでレベル4を獲得出来ていれば、今シーズンの羽生のSPの基礎点は満点になる事になってくる。 演技構成点はNHK杯の時に比べ2.5点近く得点を記録したが、これはNHK杯でのあの演技の賜物といっても良いだろう。 やはり採点するのは機械ではなく人間なので、主観的な要素が影響してくるのは確かだ。 したがってあのNHK杯の演技を魅せつけられたからには、この結果になるのは必然であると言えるのではないか。

では軽く振り返ったところで本題に移ろう。 タイトルにもある通り、この羽生の活躍も含めて今のフィギュア界の現状を考えると、現行採点システムが限界に来ているのではないかという話だ。 現行システムの得点ははそれぞれ技術点、演技構成点の大きく2つに分けられる。 技術点はジャンプ、スピン、ステップといた要素のそれぞれ難易度に基づいて設定されている基礎点に加え技の出来栄えによって加点減点なされるGOEの得点、この2つの合計が技術点になる。 演技構成点はスケーティング技術、技のつなぎ、曲の振り付け、動作/身のこなし、曲の解釈といった5つの要素を各10点満点で評価したものの合計が演技構成点となる。 FSではこの演技構成点を×2をしたものがFSの演技構成点になる。 そもそもこの2つはそれぞれの点数が近い数字になるのが理想とされているため、女子では演技構成点をSPでは×0.8、FSでは×1.6されている為、男子より低い点数になっているのだ。 しかしここ最近、羽生を含め4回転時代の進化によって技術点が演技構成点を大きく上回ってしまう現象が起こっている。 その代表的な例が羽生と金博洋である。 技術点に関してはジャンプの難易度を上げれば上げるほど基礎点が高くなり、その得点の上限は無限と言えるが、演技構成点に関してはどんなに素晴らしい演技をしたとしても50点を上回る事は出来ない。 現に羽生は今回SPの演技構成点は49.14であり、ほぼ満点、すなわちほぼ限界に近い。 フィギュアスケートというスポーツは、ただ技の難易度を競うだけではなく、芸術性も兼ね備えたスポーツである。 それぞれ選手によってジャンプが得意な選手もいれば、表現力が得意な選手も当然存在する。 しかしこのまま4回転時代がさらに進化を続けていくとなると、表現力が得意な選手が不利、もしくは表現力を武器とする選手が少なくなっていっていまう恐れがある。 具体的に例をあげるなら、仮に羽生が今後さらに素晴らしい表現力やスケート技術をどんなに磨こうとしても、SPに至ってはあと1点すら伸ばす事が許されない。 裏を返せば、そこまで究極なまでのレベルに達したとも捉えられるが、今後のモチベーション維持の低下につながりかねない。 羽生だけでなく、フィギュア界は空前の4回転時代の真っ只中であり、ジュニア世代ですらFSに4回転を4つ組み込む選手がいるくらいだ。 バンクーバ五輪あたりの時代ならば、4回転を跳ばずにライザチェックが金メダルを獲得したように、仮に4回転無くしても、全体の完成度あるいは他を凌駕する表現力があれば、世界王者になる事は可能だった。 だが今の時代そのような事は通用しない。 確かに競技である以上は難易度が高い選手が上に行くことは当然の話ではある。 ただ一概に技術といっても、それはジャンプだけではない。 スケーティング技術を初めとして、演技構成点の5つの要素も立派な技術と言える。 しかし演技構成点に限界を設けてしまえば、今まで以上にジャンプが大きなウエイトを占め、極端に言えばだがフィギュア=ジャンプになりかねない。 それでは選手それぞれの個性が無くなってきてしまう恐れだってある。

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記事カテゴリ:
フィギュアスケート
タグ:
フィギュアスケート
羽生結弦

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この記事へのコメントコメント一覧

「現行採点システムの限界を迎えてきている」へのコメント

ご意見ありがとうございます。
やはりGPファイナルに出場している選手は皆それぞれ個性がありますよね。
ただその個性が今後皆ジャンプだけになってしまわぬように、個々の様々な個性が出るようなルールになって欲しいと思います。

現行採点システムの限界を迎えてきている

興味深く記事を拝見させていただきました。他のブロガーさんでも書かれている方がいらっしゃいますが、フィギュアスケートの採点システムは考えれば際限のない問題ですよね。
競技である以上、またフィギュアスケートの醍醐味の一つであるジャンプに得点の重きが置かれるのは仕方がないことだと思います。ジャンプは出来、不出来がはっきりしていて、他の選手との比較もしやすいですし(回転不足やエッジエラーなどは「?」と思うときもありますが)。今回の羽生選手のイーグル→ステップ→4S→イーグルなんて、たとえ加点を引き出すために練られたものだったとしても、要素としてあまりに美しすぎて、私は言葉を失ってしまいました(笑)。
演技構成点の上限をなくすと、羽生選手と他の選手の差が開く一方になってしまったり、「選手としての格」という目に見えないものが今以上に影響した不可解な採点が発生してしまう可能性もありますよね。難しいです・・・。
ただ、今の段階では男子ショートを観ただけですが、チャン選手のスケーティングやステップはやっぱり違うなと思ったし、フェルナンデス選手のプログラムは色気むんむんでした。それぞれが個性を生かしたプログラムを見せてくれました。そして、羽生選手はプログラムとしての究極を突きつめたんだなと私は感じました。表現力っていわば個性ですもんね。
テレビで織田さんが「満点を取ろうなんて考えたこともなかった」とおっしゃってましたが、羽生選手はそれを狙い、限りなくそれに近付けた。羽生選手と同じステージに立つような選手が何人が出てきて、優劣の付けようがなくなってしまった時が採点システムの見直し時なのかなと個人的には感じています。
多分どのスポーツにも突出した強さを持った選手がいると思いますが、決して勝ち続けられるわけではありません。羽生選手だってミスをすれば負けます。それでも勝つための血のにじむような努力を、プレッシャーを克服する姿を、究極のプログラムとして私たちに見せてくれました。そんな彼を心から応援したいと思っています。
長文失礼いたしました。

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