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秋季大会を振り返って~奈良編

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秋季奈良大会が閉幕。
智辯学園の10年ぶり13回目の優勝で幕を閉じた大会を総括したいと思う。
(文・氏原英明)



「夏に悔しい負けをしていたんで、この結果には正直、嬉しいですね」

そう話したのは智辯学園・小坂監督である。この夏の決勝と同じカードとなった智辯学園―天理による決勝戦を制して、指揮官は胸をなでおろした。

もともと、大会が始まる前から優勝候補に挙げられていた。二遊間を組む住谷将来と大西佑季は1年夏からのレギュラーで、この夏は一塁手だった小野山敦、1年生の中道勝士と青山大紀が試合に出場していた。経験者が多いというアドバンテージを私学の智辯学園が持っていたことは他校からも警戒されていたのだ。

そして、それら経験者がしっかりと結果を残してきた。
2年生夏までは4番だった大西が1番を打ち、智弁打線の火付け役になった。準決勝、決勝という大事な試合で、2試合連続の先頭打者本塁打。4番を打つ中道は1年生とは思えない豪快なスイングを見せ、エースで3番の青山は投打に非凡なセンスを見せた。

さらに、彼らのチーム力を高くしたのが、経験者以外も今大会で存在感を示したことだ。1年生右腕・小野耀平は制球に難があるものの、カットボールとスライダーを織り交ぜた投球は、指揮官曰く「そんなに、青山に劣るわけではない」。打線においても、野性味あふれる2番・中堅手の浦野純也は「小坂二世」ともいわれ、絶妙なタイミングで声が出る捕手・竹島康平は、1年生の投手陣を支えた。

5試合47得点もさることながら、堅守、バントをきっちり決め、危なげなく奈良大会を制した。「近畿の頂点を目指してやってきた」と指揮官が言うほど仕上がりもよく、投打に力強さを見せつけた。


■メンバーが大幅に入れ替わった新生・天理の戦い方

準優勝の天理は、この夏のレギュラーがほとんど入れ替わる中、よく結果を残したものだ。唯一のレギュラー・長谷川頌麻が絶不調というおまけもついたが、つないで得点を挙げていくスタイルを確立し、走塁の巧さで得点を重ねた。

守備は旧チームよりも整備され、大崩れはしない。投手陣もエースの西口輔、1年生左腕の中谷佳太が安定感を見せて、ロースコアの試合に持ち込んでいた。派手さはないが、それぞれが役割を果たして勝利につなげていく負けないチームを目指している。

主将の伊達星吾は「この夏と、その前のチームが打つチームだったので、プレッシャーもありますけど、自分たちはしっかり守って、機動力を使っていくチーム}と、今年のスタイルにも自信を持っている。

決勝戦にしても、この秋の時点では智辯学園との差はあるように思えたが、0-3という接戦を演じた。終盤には天理の方が攻勢に出ていたくらいで、この秋の戦いに臨みを残したと言えるだろう。伸びしろに期待が持てそうだ。



■秋を沸かせたその他の高校

3位の奈良朱雀の健闘も光った。
3回戦で高田商を競り落とすと、準々決勝では、畝傍にも粘り勝ち。準決勝では智弁学園にその差を見せつけられたが、3位決定戦では郡山に勝った。奈良県3強と言われる中、そこに穴をあけたのだ。評価されていいだろう。

奈良朱雀・中野監督はいう。

「エースの森脇翔が良く投げてくれたというのもありますし、部員全員が頑張ってくれたと思います。準決勝で敗れて、近畿大会出場がなくなりましたが、それでも気持ちを切り替えて、郡山に勝てたことはチームにプラスになると思います。私学2強との差は大きくあると思いますが、この経験をプラスにして、来年の春・夏につなげたい」

4位の郡山は、エースの木下義将を中心に、粘り強さが身上のチームだった。
この夏の初戦敗退を糧に、しっかりと練習を積んできた。安定した守備と失敗の少ないバント。やはり、3強の一角だということを示した戦い方でもあった。

この他でも、公立校の活躍は目立った。
天理に善戦した登美ヶ丘は、この夏ほどではないにしても、思いきりのいいスイングが際立っていた。
「夏のチームの財産を、よく引き継いでくれている」とは北野定雄監督である。

まだ発展途上のチームだが、秋の時点では十分な戦いをみせた。畝傍の重厚投手陣には驚いた。
森嶌勇貴に加え、長身右腕の脇田凌甫、1年生藤田秀輝も台頭。来年への期待も抱かせた。夏に続くベスト8進出の生駒も評価されていい。

智弁にまたも敗れた私学の奈良大付だが、関西中央、橿原学院を退けるあたり、このチームの積み重ねの大きさを感じるものだ。それは野球だけでなく、様々なことが力になっているのだろう。この2年半がエースの松田浩幸に頼りきりだっただけに、伸びしろは、むしろこれからに期待したい。

秋季大会は個々の能力と仕上がりの良さで勝敗は分かれると言われる。
「秋に勝つ」野球を目指したチームと「夏に勝つ」チームを目指す中で秋を迎えたチームと様々ある中で、結果が分かれた。
今大会の上位進出校は見事な力を見せたと言えるし、その一方で登美ヶ丘や3回戦で敗退した法隆寺国際、奈良北、桜井、奈良、初戦敗退の一条など、夏を目指す中でこの秋に見せた戦いには、今後に期待を抱かせるものである。

季節は収穫の秋だが、高校野球はまだ始まったばかり。試練の冬を越えて、春にどう新芽をだしてくるのか、楽しみにしたいものである。


大会総括コラム第21回 秋季大会を振り返って~奈良編(上)

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