2012年02月10日

四大陸選手権プレビュー

 インターハイ、全国中学生大会、国体、ユーロに全米、全加と放映されたものもされなかったものも含めて、これだけ結果を追いかけていたら、あっという間に4大陸選手権が始まってしまう。しかし、プルシェンコは凄かった。五輪以来のブランクもなんのその、危なげなく4回転を決めてあっさりユーロを制した。膝が相当悪かったようだが、ジャンプの質はバンクーバー五輪あたりより良かった気がする。「恐るべし元キング」、のインパクトだけを残し、悠然とまた休息に入った。何たる不気味な存在か。

男子は4回転次第! 
 見応えが期待できるのは男子。番狂わせがなければパトリック・チャンと高橋大輔の一騎打ちの様相で、4回転の出来が勝敗を分ける。世界選手権奪回を狙う高橋選手にとって、少なくともパトリック・チャンをできる限り追い込んでおきたいところだがろうが、今季フリーとショートでいい演技を揃えたことがない彼に対し、安定感のあるパトリックに歩あり、と見る。但し若い王者もいつも完調とは限らない。高橋選手は前組で滑るチャン選手の出来次第で戦略を変えられるだけに、チャンスは十分あるだろう。チャン選手のショートに4回転が入るか否かで、戦いの流れが変わってくる。
日本選手は他に町田 樹選手と無良崇人選手。世界選手権組を最低限にして、二人に次季グランプリ参戦権をここで自力で獲得せよ、との連盟の親心が垣間見える気がする。2強以下は拮抗しているので、彼らが実力を発揮できれば上位進出も夢ではないはず。但しここでも、4回転の成否が結果を左右することは間違いない。二人にデニス・テン、アダム・リッポン、ケビン・レイノルズといった次世代候補と言われて久しい中堅たちがしのぎを削る戦いが興味深い。

女子の見どころはマオのトリプルアクセル
 「日・米・加各国女王の戦い」というと聞こえが良いが、米加女王は少し線が細く物足らない。戦前からこんなことを言っては失礼だし、北米勢にはホームのアドバンテージも作用するだろうから一概には言えないが、転ばなければ浅田真央で決まり、な気がする。むしろ浅田陣営は後輩・村上佳菜子選手をマークしているかもしれない。他にしぶとさのあるシンシア・ファヌフ、若いアグネス・ザワツキーあたりが絡んで表彰台を争うところだろうか。今井 遥選手も練習拠点はアメリカ。フリーを最終組で迎えられれば当然これに加われる。世界選手権でトリプルアクセル成功を目論む浅田選手には格好のリハーサル。ここで回避はまず無く、このチャレンジが女子の最も大きな見どころであるのは動かいないと思う。

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2012年01月14日

ニッポンの4番手とは

 結局収まる所に収まったけど、少し物足りなかった、全日本を終え、海外派遣選手の決定を受けての実感だ。 表彰台に乗った男女シングルの面々にノーミスで終えた選手は皆無で、それぞれ何らかの「悔い」を残した筈だ。ただ世界で覇を競う人達の「収め方」が際立ち、あれだけ上位の演技が揃わぬ中、至極順当に終わってしまったのだ。あの精神状態でミスを最小限に抑えた浅田真央選手、安定感の悪さ随一だったにも関わらず4回転―3回転を決めた高橋大輔選手の二枚看板の強さは特筆ものだが、サプライズや番狂わせも考えられた展開だったのに、と今回に関しては穴派に転じていた身には少し癪なのだ。
 今井遥ちゃんや町田樹くんが表彰台を脅かしたら面白い、という戦前の目論見が潰えた。まだまだそんな、という向きが大多数なのは知りつつ、期待していた。そしていまから思えば頑張ってもくれていたのだ。
 今井遥選手は、疲労骨折で出遅れたにも関わらず、グランプリ2戦戦い抜いて全日本に登場した彼女は、見事にエレガントなシニア選手に変貌を遂げていた。今までの印象では、ジャンプやスケーティングはクセが少なく上手、但し少しはにかみ屋でじわじわ向上していたもののアピールに乏しかった。ところが、今回は視線の送り方、肩から手首など上肢のしなやかな動き、音楽の合わせ方、笑顔など、演技をまとめあげ観客に魅せるものの多くが備わった。夏のショーで片鱗には気付いていたが、あれからまた半年で大きく伸びた。有香さん効果、はそんなに早くでるものなのか、と驚くほどだ。怪我の影響からか回転不足やレベルのとりこぼしがあって点数こそ伸びなかったが、ジュニアに押されて12位に沈んだ昨季のリベンジは果たした。
 NHK杯に続いて「表彰台チャンス」を逃がした町田樹選手。どうもカラ回りする巡り合わせらしく、いい所をほとんど見せられなかったのが残念。本当はジャンプもいいし、ステファンのドンキをノーミスで舞えば、大向こうを唸らすことができる魅力もある。もっともっとできるはずなのだ。でもジャンプの軸が悉く歪んでいて、彼らしさがなかった。ただ調子は悪かったが、ミスで自滅した昨季全日本やNHK杯と異なり、何とか転ばずに演技を終えた結果、4位に残った。「強いですよ」と本田先生が呟いてくれたのは、乱れを最小限に食い止めた心身の成長を褒めてくれたのだろう。そして何より、人気選手らしい華やかなオーラが彼なりに備わってきたのも大きい。口を開けば朴訥な好青年でも、氷上の存在感は歓声に負けないキラキラしたものになってきた。みんな、期待してるんだよ。
 好みのタイプは、今回一気に大ブレイク、とはいかなかった。でも着実に一歩づつ、前に上に向いて進んでいた、としよう。だた、大きかったのは男女トップ3がそれぞれつかんでいる「世界との距離感」「世界との戦い方」だった気がする。世界へ飛び出したい気概は旺盛だったが、経験も戦略も届かず、3強に絡むことだけが目的になってしまっていなかったか。世界選手権にしろ五輪にしろ、出場枠は最大で三つ。四番手とは本当に苦しい。ただニッポンの四番手の実績・技量は他の国なら代表レベルなのだ。いきなり世界でメダル争いをできる準備・気構えを忘れないでほしい。
 四大陸選手権に駒を進めた二人は、ともに今季から開催国であるアメリカに拠点を移した。バンクーバーシーズンの大会では、ともに頭角を現して翌季のグランプリシリーズ2戦参戦権も獲得したゲンの良さもある。全日本で出し切れなかったものを示して、ここぞとばかり弾ける姿が見てみたい。それがきっと、次につながるから。

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2011年12月23日

全日本プレビュー~主役はマオ、なれど~

 出場発表ですでに決まった主役。放映キー局は時には過剰なほどドラマチックな演出をする所だし、最強のヒロインが一番の後ろ盾を失った直後というタイミングもある。注目するなと言う方がムリかも知れない。ワタシ自身、前日インタビューには泣けた。笑みさえ見せながら「フツーにきっちり」と言ってのけた精神力に。それだけスケートに賭ける情熱が凄まじいのだと。演技前の会場の異様な緊張感と演技後の歓声は今から想像がつく。ただね、ここを目指して頑張ってきたのはいつも報道される男女三強だけじゃない。他にも個性的で世界に通用する選手がキラ星の如く存在するのが、今の日本フィギュア界なのだ。メディアにはそんな層の厚さ、贅沢さを少しでも伝えて欲しいのだが。

女子は二強
優勝は鈴木明子選手か浅田真央選手の一騎打ちだろう。鈴木選手はやりにくいだろうが、今季の好調さと、ベテランの落ち着きを評価して一歩リードと見る。世界選手権代表は順当ならこの二人に村上佳菜子選手だが、怪我が完治していい演技でショートで滑り出せれば、今井遥選手が台風の目になるだろう。あとは、ジュニアのフレッシュな演技をたのしむのもお薦めなのだが。

男子は安泰選手なし
恐らくフリーで最終組に残った選手には全て世界選手権切符のチャンスがある。高橋・小塚・羽生、三強とは言われているものの、彼らに加えて海外試合を制してきた町田樹・無良崇人・村上大介、の三人も構成は引けを取らない。最終組はこの6人で固いから、四回転を決めてパーソナルベストを出す選手が現れたら、三強の牙城が崩れる可能性はたかいだろう。高難度ジャンプを決め会う男ならではの空中戦が楽しみだ。

posted by harukonomu |13:06 | 雑感 | コメント(2) | トラックバック(1)
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2011年12月08日

レベル、とは

 いよいよグランプリシリーズもファイナルを残すのみとなってしまった。この緒戦は男子なら4回転、女子ならば3回転ー3回転のコンビネーションジャンプなど、大技評価の傾向が強かったように思う。回転不足が緩和されるなど、昨季あたりからジャンプに関してはチャレンジを促す傾向にはあったが、今季は特に、決まったら技術面でのGOE加点に加えて、演技面のPCSも高く出ている気がする。この追い風に乗って台頭したのが、4回転をモノにしてファイナル進出を果たしたフェルナンデスや、ファイナルには届かなかったものの奮戦したナンソン選手が上げられる。女子のトゥクタミシュワ選手も、3回転コンビネーションあってこそ、だ。選手生活で初めて3回転トゥループのコンビネーションを決めた鈴木明子選手のNHK杯ショートも、惜しみない得点が出た。これはこれで納得がいく。大技が決まれば会場も盛り上がるし、選手自身も乗っていい演技になる。競技としても、難度の高い演技は高い評価を与えるべきだと思う。
 ところが、札幌でNHK杯を観戦して、アレっと思ったことがある。スピンでレベル4が結構出た。「あれが?」というのもあったが、スピンは回転数という厳然としたデータが必要だ。引っかかったのは回転速度だったりしたから、まぁそうだった(回った)んだろうと理解した。
 そしてロシア杯。ある若手選手のステップにレベル4がついた。よく知っている選手で、常々ステップが課題だなぁ、と思っていた。グランプリシリーズ2戦目の彼は、プログラム全体がよくまとまっていた。ロシア受けしそうなタイプでもあった。だから会場が沸いたのは想像がつく。そしてこのレベル判定は大きく、彼は僅差で初優勝を飾り、ファイナルの切符まで手に入れた。彼とは言う迄もなく羽生結弦選手。頑張った出来だったし、強運もスターの条件だから、彼の演技をどうこう言うつもりはない。何よりファイナルに日本男子2人が進出したことは嬉しい。そういえば、地元の熱狂に背中を圧されたレオノア選手にもステップでレベル4を獲得していた。大声援だったのは間違いないが、こちらもステップ巧者の部類ではないだろう。エッジの深浅、フットワークの難しさ、手や顔・頭など上肢の使い方、片足使いの時間などなど、ステップのレベル判定基準には曖昧な点が少なくない。一定のガイドラインはあるものの、複雑な組み合わせ、と、より複雑な組み合わせ、でレベルが分かれるなど、計量化が難しいのは事実だ。
 演技構成点は、会場や観衆の盛り上がりなど、その場のムードに左右されてもある程度仕方ないと思う。人間が判定しているから、技術的加点(GOE)も大会により多少は甘辛が出ることもあるだろう。ただ、レベル判定などの基礎点だけは、ルール改正の影響を除いてはブレて欲しくないものだ。採点競技でブレるなというのも難しは判っているが、歪になれば競技としての存在意義が問われかねない。演技面の評価や、現場のムードなどエモーショナルな部分の影響が少なくないからこそ、技術は技術で冷静な判断基準を持っていてほしいものだ。
 若手とベテランがバランスよく集い、楽しみなファイナル。自国開催の利は当然出てくるだろうが、純粋にその演技に酔いたいからこそ、極端に首をひねる判定はできれば観たくない。

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2011年11月23日

ワンツーフィニッシュ、それぞれ ~NHK杯~

現地で観ていて本当に良かった、と実感できた大会です。選手の演技はもちろん、会場のムード・オペレーションが最高でした。充実した観戦旅行でした。選手のみなさんお疲れさまでした。

いよいよ、の女子

頂点候補に名乗りを上げた鈴木明子
フリーでは失速したが、見事なショートを武器に逃げ切り優勝を果たした。浅田真央の好演を振り切り、この逃げ切れたこと、が大きな意味がある。
途中のブランクの影響もあってか、年齢の割に点が伸び難いタイプだった。音楽性やステップなど、演技構成点に響く強みがあるのに、だ。でも今回は地元アドバンテージもあってかフリーの演技構成点が救った。それもこれもカナダの好演のインパクトは大きさだろう。彼女のスケートは楽しい、と。シーズンオフの早いうちから渡米して仕上げた成果。技術的にもコンビネーションジャンプの種類を増やし、咋季バラついたジャンプの着氷を修正した。粘り強さは身上。ボカがあっても引きずらず、華やかにプログラムを終えることができる。伸び盛りのトゥクタミシュアという若い壁はあるが、この点この出来なら、シズニーやコストナーといったベテランとも伍して戦える。今まで日本第3に甘んじてきた彼女が、いよいよグランプリファイナル初戴冠に名乗りを上げた。

トンネルの先が見えた浅田真央
 長かった。まるまる1シーズン停滞してしまうとは思わなかったが、「新バージョン」の浅田真央の片鱗が見えた。「せめてサルコウが跳べたら」、五輪シーズン苦手ジャンプ2種類を外したバリエーションの少ないプログラム構成を見て嘆いたものだ。でも今回、ロングエッジはあったがフリーで軽々着氷した。ダブルアクセルにつけたトリプルトゥループ、セカンドの3回転がきっちり決まったのも久々だ。大技に頼らずとも点になるバランスのとれたフリー。会場を包む柔らかな真央オーラに酔えたのはいつ以来だろうか。これで次五輪で鬼に金棒の戦いをするための伏線が整ってきた。ショートでトリプルアクセルは決まらなかったが、フリーでも大技に拘泥していたら、暗闇が続いたかもしれない。まとめる、という大人な判断により、質の高いプログラムを滑れば十分戦える手応えを得た。プログラムを微笑みながら通した真央を久々に観て、心和んだ私たち。今回はそれでいい。今季はいよいよ、逆襲なのだから。

やっぱり、だった男子

底上げはばっちり、だった小塚崇彦
あまりリンクに近い席ではなかったが、客席やジャッジ席に視線を送り、肩から指先の動かし方が柔らかくなった彼を見て、健気に頑張っている努力を実感した。一生懸命になるほど棒のようにお留守になっていた昔の姿はなかった。正直今季はもう少しチャレンジングで遊んだプログラムが観たかった。未経験のラテンなど。だから余計にジャパンオープンで観たナウシカはインパクトが弱かったが、NHK杯のナウシカは、クラシック調の曲想にのびやかなスケーティングがよく合っていて、見ていて気持ちよかった。映画としては、自然環境と人類の共存問題がテーマ。振付師がそこまで深読みしていたかはわからないが、地震に遭遇した日本からのメッセージを盛り込んだ創作意図も伝わった気がした。少しづつ独り立ちしてスケーターとして確固たるものを得たい。渇望して進もうとする姿勢に胸が熱くなった。他の大会なら十分優勝できたスコア。勝つ気満々、で臨んでの結果だけにショックは大きいかもしれないが、自信は持ち続けていてほしい。

高くて厚い壁になった高橋大輔
 大技だけがフィギュアじゃない! 彼が演技で雄弁に語ってくれた。4回転なしのショートで自己最高更新。フリーで挑んだ4回転フリップは7割判定で転倒するなど万全ではなかったが、会場を自分の色に染め上げて圧巻の演技で優勝。フリーもショートも、盛り上げに欠ける難しい選曲。なのに彼の一挙手一投足に歓声や拍手が湧き、その時間が短いとさえ感じさせてしまう。でもそんな事は以前からわかっていた。昨季やや影をひそめていただけだ。怪我以降余裕がなかったジャンプの高さがもどった。だから3回転ー3回転が安定した。スケーティングスピードがグンと上がった。オフの努力はすべて好転して、若手のチャレンジをはねのけて存在感を際立たせた大会。3年計画の初っ端から、そんなに調子を上げなくても、と思うほどだ。チャンの対抗馬がやはり欲しいのか、それとも単なる自国効果か。うがった見方をしたくなるほどスコアが伸びてしまったが、やはり元気な大輔がいないとフィギュアはつまらない、ということを示した大会だった。



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2011年07月06日

ブラックスワン

 大トリに登場、氷上中央でスポットライトを浴びた彼女は、「ワタシを観て!」と言わんばかりのオーラを放っていた。プログラムはブラックスワン、今ホットな最新映画の世界を氷上で表現する。
主役に抜擢されたプリマが、その表現や技術に悩み、ライバルさえ出現する。母親の期待という重圧もあり、追い込まれもがくうちに嫉妬や脅迫観念に苛まれ、精神さえ壊しながら、自分の新たな一面を開拓していく人間臭いドラマだ。
 ジュニアから注目され、半ばアイドル扱いされながら不調時にバッシングにあう。恩師を得て女王になればまたプライベートを探られる。感情豊かなことも手伝って若くして実績を積みながら随分苦労した彼女の人生にそのまま重なる。
 今回は、圧倒的な強さを一年通し、狙って再び女王に返り咲いた。この日は脅かす存在も見当たらない。一代記のようなプログラムを披露するのに、どうだ、と雄弁になっても当然だ。
 傷つき悩むスローパートから、激しい戦いを表すアップテンポパートは三回転ジャンプを織り交ぜる。ハードなメイクの下の表情は人間の醜ささえ隠さない激しさで圧倒する。拍手さえ忘れて見入ってしまった。
 演技時間五分。確かに長いが、独り占めのこの舞台、気持ちよく演じるがいい、と見守った。
 演じ終えて中央に戻った瞬間、彼女の激しい息遣いが聞こえそうなほど静まり返った。拍手や歓声を忘れるほどの圧巻の五分間だった。
安藤美姫。18才の初戴冠から四年。何と太々しくも美しい女王に成長したことか。スタンディングオベーションに加わりながら、こちらも熱いものがこみ上げた。

posted by harukonomu |23:31 | 雑感 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2011年06月11日

まだまだ、追える喜び

すっきりしなかったが、そろそろ私も前を向きたいと思う。
先の世界選手権のフリー演技で、高橋大輔選手が靴の故障で演技を中断したとき、少し安堵している自分がいることに気づいた。おそらく、これで引退がなくなったと。連覇か納得の行く出来で表彰台なら引退、と予想していた。でも、彼の競技プログラムが見られない喪失感に怯えてもいた。アクシデントを最後にはしないだろう、とすれば、又彼の演技が楽しめるはず、という期待が沸きあがったのだ。
 ただ、壊れた靴のまま滑る「手負い」ながら、4回転をパンクしたことを忘れてしまいそうな演技の迫力に、胸がつぶれ涙が出そうだった。シーズン中なかなかクリーンに決まらなかった3回転-3回転コンビネーション、「パス」さえ多かった3連続ジャンプなど、プログラム前半に移したことも奏功してビシバシきまった。サーキュラーステップのキレがシーズン随一だったことも言うまでもない。靴の影響からサルコージャンプで転倒したものの、中断以降の迫真の演技はまさに「王者のプライド」を見せ付けるに余りあるものだったと思う。万全で滑れなかった無念と、現役続行を宣言した彼の苦しい決断を思うに、浅はかな我が身を恥じ入るばかりだ。
 母国開催での世界選手権連覇を目標に置いたものの、五輪メダリスト・世界チャンピオンと大きな達成感のあと、身の振り方の迷いやモチベーションのありようなど、難しいシーズンだったことは間違いない。ファイナル・世界選手権とアクシデントに泣かされた不運もある。でも、何回かその演技を観るに少し疑問に思ったこともあった。
 第一に、改正されたルールへの対応だ。ステップがショートでひとつ減り、フリーでも二つ中ひとつはレベル認定がされなくなった。スピンの規制も加わった。ステップが得意でスピンを得手としない彼にはアゲンスト、な環境だったがはねのけられるほどだったかどうか。シーズン後半に今まで試みなかったドーナツスピンを導入したが、遅きに失した感は否めない。
 第二に、「凝りすぎた」プログラム選定。ショートは楽しかったが、きっちりレベルを取って点を積み重ねるという意味では落ち着かない印象で、ショーでの演技のほうが彼も観衆もノれていた気がする。フリーのピアソラは「これぞ大人な彼ならではのプロ」、と期待が大きかったが残念ながら完成形を観ることができなかった。競技者(=アスリート)というより「演者(=アーティスト)」寄りに偏っていたと思う。
 実際強く・デキるからこそ、自分に課した課題や逆風が厳しくなった気がするが、来季の彼に期待したいのは、しっかりとした「勝ち方」「点の稼ぎ方」を思い出すことだ。ボルト抜き後スッキリしたようだし、久方ぶりに正統派クラシックに取り組むウレシイ噂もある。若手との戦いは熾烈だろうが、気負いから開放された彼をこれからまた3年間、追える喜びを得られた、それをかみしめながら新シーズンを楽しみに待つことにする。

posted by harukonomu |17:09 | 雑感 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2011年04月25日

世界選手権戦前予想

優勝とかメダルとか、でなくトップ6を独断で占います。やはり表彰台に上がるには、シィートをノーミスでこなしてフリーで最終組に残ることが肝要で、運も含めてそこから先は紙一重のハイレベルな争い。男女シングルのそのメンバーを考えてみます。

女子
今季安定感抜群の安藤美姫選手、1ヶ月の延期は好調維持には厳しいでしょうが、やはり優勝最右翼と見ます。尻上がりの浅田真央選手に延期は追い風と思います。かつての練習拠点でストレスなく試合を迎えられる対抗馬でしょう。この二人が頭抜けていると思います。以下アリッサ・シズニー、レイチェル・フラットの両米国勢、キーラコルピとカロリーナ・コストナーまではドングリの背比べ。フリーの最終組6人でほぼ固いと思います。
忘れていないかって?
そう、五輪金メダリスト ヨナ・キム!
全く不透明です。とりあえずメダル候補と見る向きが多いのですが、ここは私観のブログとしてお許し頂きます。やはり一年ぶりの試合は侮れず、ミスの許されないショートを乗り切れないのでは、と見ます。但し、来季以降五輪招致に注力するためのプログラム「アリラン」を高らかに舞って、フリーでは表彰台争いに食い込んでくるのではないでしょうか。それって、昨季と一緒のストーリーですね。
ヨナがショートを安定した演技で乗り切れれば、コストナーあたりがはじかれるかもしれません。また、母国開催なのでクセーニャ・マカロワあたりが残る可能性もありますね。メダルは厳しいでしょうが。
初登場の村上佳菜子選手。順位ヒト桁ならいいデビュー。最後に笑って終わって欲しいと思いますが、最終組に食い込んでいるかどうか。私は控えめに予想しておきます。
個人的には、クリアなトリプルアクセルが見たいですね。

男子
高橋・織田・小塚の日本トリオとパトリック・チャン。4人誰にも優勝のチャンスがあるでしょう。小塚崇彦選手のみ、予選に廻ったのがどう作用するか。若手だけに「肩慣らし」と割り切って臨んでくれればいいのですが、シーズン開幕当初に比べて「下り坂」で臨むのがどうなるか。ただ、当然最終組この4人。残るは二人。ブライアン・ジュベール、フローラン・アモーディオ、トマシュ・ベルネルの欧州選手権表彰台から二人と見ます。ここはマイケル競演を最終組で観たい個人的趣味で、アモーディオとベルネルとしておきます。
男子は良くも悪くも4回転次第。得点ではパトリック・チャンが一歩リードですが、それも4回転を決めてのもの。彼の場合はトリプルアクセルも苦手ですし、大舞台でそんなに決まんないよ、というのが本音です。
今季気持ちよく出来ていないマンボメドレーを、大ちゃんが着実にフィニッシュしてくれたら、力技と演技力がぶつかり合ういい大会になると思います。

ISU公式HPに名をあげられた高橋成美&マーヴィン・トラン組。懸念はジャンプだけ!!世界ジュニア、四大陸といまひとつ不本意だったでしょうから、ジュニアファイナルチャンピオンに恥じぬ若々しい演技で10位以内のデビューを飾ってほしいもの。

コーチと拠点変更であわただしかったキャシー・リード&クリス・リード組。このまま終わっては単なる「伸び悩みシーズン」。納得のいく上向き演技での終幕を望みます。苦労しているんですから。

予選開幕までもう数時間!!ゾクゾクしてきました。

posted by harukonomu |00:25 | 雑感 | コメント(0) | トラックバック(1)
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2011年04月05日

来季世界フィギュアはフランス・ニース!!

 安心しました。日本開催説があったので。
 もちろん日本人ファンとしては間近で観戦できる機会を失っただけに嬉しいけど、フィギュア好きは世界中にたくさんいる。興行面やスポンサー都合で偏るのはあまりに短絡的では、と感じていました。
 ましてや、これを花道、と考えている名選手がいるのです。ムッシュ・ジュベール!!母国開催の大舞台で、こだわり続けたクワドラブルジャンプを披露して競技生活にピリオドを打つ。今季の欧州選手権サラ・マイヤーがそうだったように、尊敬された名ジャンパーにとって、きっと温かで感動的な舞台となることでしょう。奪うことはできません。もっとも、翌年開催と引き換え条件だったようなので、フランス連盟としては彼の延命を望んでいたのかも知れませんが。
 今季代替開催も、カナダというのが一番困ったパターンでした。日本男子陣の強敵、パトリック・チャンの母国での開催はやはり恐ろしかった。ヨナ・キム出場が個人的にはサプライズでしたが、状況は心穏やかに月末のワールド開幕を迎えられるようになりました。調整は大変でしょうが、元気づけたいという意味では日本勢のモチベーションも低くないはずです。
 競技終了が現地で18時。時差は5時間。願わくば、沈みがちなムードを明るくすべく、誰もが観やすい時簡にいい放映がされますように。あ、タレント起用は自粛モードで大歓迎ですぞ。チャンネル「8」さま!!

posted by harukonomu |15:34 | 雑感 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2011年03月22日

世界フィギュア代替開催へ

 東京在の私でさえ人生初めての大きな揺れ。加えて大津波と、東北茨城各県の皆様の恐怖は量り知れません。未だに避難されてご不自由な暮らしを余儀なくされていることを思い及ぶに、小さな励ましさえ届かぬ我が微力に歯がゆいばかりですが、まず東日本大震災の被災者やそのご家族の皆様にお見舞い申し上げます。
 図らずも21日月曜日は世界フィギュア開幕の晴れやかな筈の日でしたが、あの大災害にて中止となりました。この場に合わせて調整されてきた選手の皆さんの無念を思うと、何とも言いようがありませんが、自らはさておき災害を気遣う温かなメッセージを代表各人が送ってくれています。今週は思いっきり、観戦記を上げようなどという私ごときの楽しみが潰えても仕方なし、とようやく立ち直った次第です。
 世界選手権の方は、今秋の日本開催が模索されましたが会場手配がままならず、日本連盟が権利を返上して第3国での代替開催に向かう模様です。秋開催とすると、来季は実質初戦と最終戦2回世界選手権があることになり、少し違和感がありました。新プログラムで臨む選手も大変です。ボルト抜きを控えた高橋選手の動向も気がかりですしね。これから再調整というのも容易ではないと思いますが、早いうちに開催できるのならその方がスッキリする気もします。日本で開催されずとも、日本選手が活躍できるのなら、明るいニュースで励ましになりますしね。
 災害・選手権とも行方は心騒がしいところですが、静観して待ちたいと思います。

posted by harukonomu |00:28 | 雑感 | コメント(0) | トラックバック(0)
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