2012年02月11日

息詰まる男子ショート

 「日本男子二人が表彰台の可能性がある」、思いながら記せなかったわが身の自信のなさに呆れた。無良崇人・町田 樹両選手、ともにベストな演技を見せて4回転ジャンプで転倒したエース高橋を挟んでチャン包囲網を形づくった。1点強の差に3人が並んだスタートは、来季の活躍の場を得んがために必死の二人の奮戦によるもの。ともに魅せてくれた今季一番の演技に胸が熱くなった。わずかに2位と4位に分かれてしまったが、著名どころが失敗した4回転をそれもコンビネーションで決めた無良選手と、4回転抜きながらチャン・高橋に次ぐ演技構成点を獲得して作品としてのまとまりを評価された町田選手は、大きな自信とチャンスをつかんだ思う。
 とはいえまだ大会の半分が終わったばかりで健闘と手放しで喜ぶまい。チャン追い落とし筆頭候補として、高橋選手は「転んでる場合じゃないよ」と言いたいし、無良・町田両選手にはフリーでも気を抜かずにベストを尽くしてほしい。表彰台はともあれ、日本勢全員の「エキシ残り」の可能性はずいぶん高くなった。もっとも、デニスにアダム、ナンソン、ケビンと、実力者も挽回を期して来る。喜びの涙腺決壊の前に、どれだけハラハラするのだろうか。そして数時間後には女子ショート。後ろから二つ目の組に図らずも日本勢3人が固まった。こちらはショートとあって男子ほど心配しなくてすみそうだが、眠って放映を待てるかどうか。

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2012年02月10日

四大陸選手権プレビュー

 インターハイ、全国中学生大会、国体、ユーロに全米、全加と放映されたものもされなかったものも含めて、これだけ結果を追いかけていたら、あっという間に4大陸選手権が始まってしまう。しかし、プルシェンコは凄かった。五輪以来のブランクもなんのその、危なげなく4回転を決めてあっさりユーロを制した。膝が相当悪かったようだが、ジャンプの質はバンクーバー五輪あたりより良かった気がする。「恐るべし元キング」、のインパクトだけを残し、悠然とまた休息に入った。何たる不気味な存在か。

男子は4回転次第! 
 見応えが期待できるのは男子。番狂わせがなければパトリック・チャンと高橋大輔の一騎打ちの様相で、4回転の出来が勝敗を分ける。世界選手権奪回を狙う高橋選手にとって、少なくともパトリック・チャンをできる限り追い込んでおきたいところだがろうが、今季フリーとショートでいい演技を揃えたことがない彼に対し、安定感のあるパトリックに歩あり、と見る。但し若い王者もいつも完調とは限らない。高橋選手は前組で滑るチャン選手の出来次第で戦略を変えられるだけに、チャンスは十分あるだろう。チャン選手のショートに4回転が入るか否かで、戦いの流れが変わってくる。
日本選手は他に町田 樹選手と無良崇人選手。世界選手権組を最低限にして、二人に次季グランプリ参戦権をここで自力で獲得せよ、との連盟の親心が垣間見える気がする。2強以下は拮抗しているので、彼らが実力を発揮できれば上位進出も夢ではないはず。但しここでも、4回転の成否が結果を左右することは間違いない。二人にデニス・テン、アダム・リッポン、ケビン・レイノルズといった次世代候補と言われて久しい中堅たちがしのぎを削る戦いが興味深い。

女子の見どころはマオのトリプルアクセル
 「日・米・加各国女王の戦い」というと聞こえが良いが、米加女王は少し線が細く物足らない。戦前からこんなことを言っては失礼だし、北米勢にはホームのアドバンテージも作用するだろうから一概には言えないが、転ばなければ浅田真央で決まり、な気がする。むしろ浅田陣営は後輩・村上佳菜子選手をマークしているかもしれない。他にしぶとさのあるシンシア・ファヌフ、若いアグネス・ザワツキーあたりが絡んで表彰台を争うところだろうか。今井 遥選手も練習拠点はアメリカ。フリーを最終組で迎えられれば当然これに加われる。世界選手権でトリプルアクセル成功を目論む浅田選手には格好のリハーサル。ここで回避はまず無く、このチャレンジが女子の最も大きな見どころであるのは動かいないと思う。

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2012年01月23日

スターズオンアイス2012 ~個性いっぱい~

 一番楽しみなアイスショーを今年も観てきた。トッドにカート、ジェフにサーシャの御馴染みのメンバーそれぞれが魅せてくれるショーナンバーはもちろん、メンバーの個性が融合してひとつの世界を作り上げるグループナンバーが大好きだ。今回は、サーシャが少年に扮してカートとトッド両兄貴に絡むプログラムが秀逸だった。アイスショーといえばつい足元ばかりに目が行ってしまうが、空中を飛ぶカイトと風船を小道具に使うことで、立体的で深みのある出し物になったし、なによりサーシャが可愛かった。最近はふっくらと女らしくなってしまったが、その柔軟性で現役時代は中性的な演目も得意だった気がする。意地悪したお兄ちゃんとの追いかけっこ、実はみんな難しいステップ゜を踏んでいるのに、笑いを誘えるその創りこみ。お洒落で気が利いていて、3人の個性がぶつかり合うこれぞエンターテイメント!!と身を乗り出していた。みんな、自分を知り尽くした上での化学反応、たがら惹きつけて離さない。勿論、日本人スケーターも多数参加。敬愛する物スケーターに囲まれて、大いに刺激を受けたろう。
引き算美姫ちゃん
 名古屋で観たばかりだから、ブラックスワンでは重たいなあ、と内心ビクビクしていたら昨季のしっとりエキシナンバー。もっと柔らかな動きが得意な選手はいるけれど、露出の多い衣装やお化粧などのインパクトを落とすだけで、彼女なりのしっとりとした雰囲気を醸し出す。いつも作りこんでいる世界を裏切る、良い意味での「引き算」の効果で芸域に幅が出る。これは自分を判っていないとできない芸当だと思う。
真央は真央
 前日は決まったというフリップーループの3回転3回転ジャンプに挑戦。軸の歪んだフリップを見て、「今日はダメだ」と思ったのに、踏ん張って2回転をつけた意地。シーズン後半に向け、難度を上げたい気持ちが痛いほど伝わった。アラブの王妃を演じようが、舞踏会デビュタントに扮しようが、何色にも染まらない妖精マオ。そういえば国民的と語られるアイドルたちは皆そう。この日も天女さながらジュピターを舞うけど、そこには真央がいるのみ。でも彼女を観ながら、でも表現力がないとは少しも思わない。氷上で唯一無二の存在、それに接するだけで観る側が満たされるからだ。それが彼女の個性。
25歳のロクサーヌ
 これを20歳前に演じていたというのだからやはり驚く。フィニッシュのポーズに射抜かれ、スタンディングオベーションに加わった。タンゴ、ラテンといえば高橋大輔、のイメージを定着させた名作プログラム、実は恥ずかしながらの初見に遠くてサイドを間違えた自分の席を悔やんだりした。初演当時のガツガツとした滑りだったら、勝ち星を重ねてステップアップを続ける勢いとあいまって、観る側は鷲掴みに心を奪い去られていく感覚だったろう。そして今回。滑らかな滑りとなった彼からにじみ出ていたものは、欲望や情熱を内包しながら周囲をも巻き込んでいく包容力。艱難辛苦を乗り越えた彼だからこその味わいだ。大人の、なんて軽く言い放ちたくない。人生そのもの、のスケートだから実感できるエンターテイメントだ。
小塚クンは ジワジワ派?
 困ったな、というのが今季芸術性に覚醒したという彼。崇拝するカートブラウニングとのコラボレーションプロ、楽しそうには踊っていたのだが…。二人で向き合って同じ動きをするお洒落な「ミラー」。カートは彼を引き立てようとしているのに、粋な間合いやタメの作り方にどうしても目がいってしまう。小塚くんも楽しそうについて行ってはいるが、余裕が無く可哀想に思えたのは私だけだろうか。なんか違うなぁ、と思ったのも束の間、咋季のプロは堪能。客席への視線の送り方や、手指の使い方、よくなっているのが歴然。滑りだけ見ていても充足する滑らかさで、別人の如き輝きだった。カートは現役時代から「魅せる」ことのでき、今なら恐らくミスをしても演技点で補える選手だったはず。小塚選手はといえば、やはり、精度の高さで叩き出す技術点に釣られて演技点が上がっていくタイプ。憧れとお手本は違うのかも、というのが実感。備わってしまっている人の真似をしても付け焼刃で、「芸術性」なんて言葉だけに囚われてカラ回りしていないか、少し心配になった。今季の積み重ね効果は出てきているし、にいいところはたくさんあるのだから、もう少し自分の個性に自信を持って、経験とともに「これぞ」というものを備えていけばいのに、という気がする。

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2012年01月16日

ジャパンスーパーチャレンジ2012

 仕事のスケジュールで観覧しにくかったジャパンスーパーチャレンジ。年明けの最終抽選機会で当選し、今回は仕事を振り切って名古屋に行ってきた。
 ジュニア・ノービスの男女チャンピオンにシニアトップが男女4人、2チームに分かれての「盛り上げたモノ」勝ちの勝負。エキシビションナンバーを中心に、観客までが採点に加わるそれは、選手も観る側も小難しいルールから開放されて、結果はともあれ大いに楽しかった。
 ともにグランプリファイナル表彰台を経験し、フレッシュ、とばかりも言えなくなった村上佳菜子・羽生結弦の17歳コンビが皮切り。新春に相応しい、勢いあるところからのスタート。当日朝、名子役がダブルサルコウ跳んでいるのに舌を巻いたが、夕刻にはそのお兄ちゃんがアメリカ仕込みの新プロを披露。同じリンクだけに内容知っている高橋主将が「道具を使う」と、ネタばらしするおとぼけもあった。同じ濱田門下の宮原知子ちゃんも傘を上手に操った。ジュニア・ノービスを制した二人を要するチーム濱田(&岳斗)、充実ぶりが窺える。
 ドリームオンアイス以来の日野龍樹選手の「太陽にほえろ」。ご両親さえリアルに知っている世代ではないだろうに、よくぞという感じ。表情の硬さも個性に映る、彼にもって来いのプログラムはツボにはまった人が多かったろう。
 さすが、だったのは中締めの鈴木明子・町田 樹両選手。鈴木選手がバーレスクで唯一の「お色気路線」で盛り上げれば、マゲで前触れから期待させていた町田選手も特筆ものだった。アランフェス仕事人。氷上で時代劇の世界を演じるだけで面白いのに、ステップもジャンプも秀逸。「盛り上げ」趣旨を十二分に掴んで観衆の心をわし掴みにした。全日本では発揮しきれなかったが、上手くなったなあと実感する。小塚・高橋を食う出来だったから、是非見て欲しかったので放映でダイジェストにならずに安心した。今度は国際試合のエキシビションで大暴れして欲しい。
 トリ前は小塚崇彦選手と安藤美姫さん。製氷をはさんだとは言えインパクト大だった明子バーレスクと美姫スワンに挟まれては、小塚選手は薄味だった印象。単体で観るとカッコいいし上手いのだろうけど、記憶に残りにくいのは私だけだろうか。疲れていて元気がなかったのかもしれない。表彰式の戯れで、同じチームの町田君に斬られていたけど、エンターティナーぶりが備わってきた後輩に、「表現力に悩むのも仕方ないけど、グズグズしてると本当に斬られるよ」と肩を叩いてやりたい心境だった。迷いがあったら、少し重症かも。美姫ちゃんのブラックスワンはひときわ長かったけれど、濃さも随一。明るい曲想ではないけれど、ある意味「盛り上げ」は間違いないところ。初めてだったら、葉加瀬氏ならずとも驚くでしょう。
 トリは高橋大輔・浅田真央の2枚看板。クライシスとジュピターでは少ししんみり終わってしまうなあと思っていたら、大ちゃんはショートを披露。ジャンプはコケコケだったけど、競技プロのサービスならば許す、というところ。コメントで場を和ませてくれるキャプテン、の役割に徹したところか。びっくりしたのは浅田選手の取り入れた3回転フリップー3回転ループのコンビネーション。ここ数年跳んでいなかったのに、見事に着氷。久々のチャレンジに回転数を心配するのは無粋でしょう。前向きで強靭な選手だ。ノーミスできっちり「締めて」、チームを勝利に導いた。

 ほぼ笑いっぱなしの2時間。私の席は遠かったが、客席とのコミュニケーションにも時間を割いていて、正月らしい楽しい「エキシビションマッチ」だった。

posted by harukonomu |14:56 | EX | コメント(0) | トラックバック(0)
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2012年01月14日

ニッポンの4番手とは

 結局収まる所に収まったけど、少し物足りなかった、全日本を終え、海外派遣選手の決定を受けての実感だ。 表彰台に乗った男女シングルの面々にノーミスで終えた選手は皆無で、それぞれ何らかの「悔い」を残した筈だ。ただ世界で覇を競う人達の「収め方」が際立ち、あれだけ上位の演技が揃わぬ中、至極順当に終わってしまったのだ。あの精神状態でミスを最小限に抑えた浅田真央選手、安定感の悪さ随一だったにも関わらず4回転―3回転を決めた高橋大輔選手の二枚看板の強さは特筆ものだが、サプライズや番狂わせも考えられた展開だったのに、と今回に関しては穴派に転じていた身には少し癪なのだ。
 今井遥ちゃんや町田樹くんが表彰台を脅かしたら面白い、という戦前の目論見が潰えた。まだまだそんな、という向きが大多数なのは知りつつ、期待していた。そしていまから思えば頑張ってもくれていたのだ。
 今井遥選手は、疲労骨折で出遅れたにも関わらず、グランプリ2戦戦い抜いて全日本に登場した彼女は、見事にエレガントなシニア選手に変貌を遂げていた。今までの印象では、ジャンプやスケーティングはクセが少なく上手、但し少しはにかみ屋でじわじわ向上していたもののアピールに乏しかった。ところが、今回は視線の送り方、肩から手首など上肢のしなやかな動き、音楽の合わせ方、笑顔など、演技をまとめあげ観客に魅せるものの多くが備わった。夏のショーで片鱗には気付いていたが、あれからまた半年で大きく伸びた。有香さん効果、はそんなに早くでるものなのか、と驚くほどだ。怪我の影響からか回転不足やレベルのとりこぼしがあって点数こそ伸びなかったが、ジュニアに押されて12位に沈んだ昨季のリベンジは果たした。
 NHK杯に続いて「表彰台チャンス」を逃がした町田樹選手。どうもカラ回りする巡り合わせらしく、いい所をほとんど見せられなかったのが残念。本当はジャンプもいいし、ステファンのドンキをノーミスで舞えば、大向こうを唸らすことができる魅力もある。もっともっとできるはずなのだ。でもジャンプの軸が悉く歪んでいて、彼らしさがなかった。ただ調子は悪かったが、ミスで自滅した昨季全日本やNHK杯と異なり、何とか転ばずに演技を終えた結果、4位に残った。「強いですよ」と本田先生が呟いてくれたのは、乱れを最小限に食い止めた心身の成長を褒めてくれたのだろう。そして何より、人気選手らしい華やかなオーラが彼なりに備わってきたのも大きい。口を開けば朴訥な好青年でも、氷上の存在感は歓声に負けないキラキラしたものになってきた。みんな、期待してるんだよ。
 好みのタイプは、今回一気に大ブレイク、とはいかなかった。でも着実に一歩づつ、前に上に向いて進んでいた、としよう。だた、大きかったのは男女トップ3がそれぞれつかんでいる「世界との距離感」「世界との戦い方」だった気がする。世界へ飛び出したい気概は旺盛だったが、経験も戦略も届かず、3強に絡むことだけが目的になってしまっていなかったか。世界選手権にしろ五輪にしろ、出場枠は最大で三つ。四番手とは本当に苦しい。ただニッポンの四番手の実績・技量は他の国なら代表レベルなのだ。いきなり世界でメダル争いをできる準備・気構えを忘れないでほしい。
 四大陸選手権に駒を進めた二人は、ともに今季から開催国であるアメリカに拠点を移した。バンクーバーシーズンの大会では、ともに頭角を現して翌季のグランプリシリーズ2戦参戦権も獲得したゲンの良さもある。全日本で出し切れなかったものを示して、ここぞとばかり弾ける姿が見てみたい。それがきっと、次につながるから。

posted by harukonomu |01:43 | 雑感 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2011年12月31日

いきいきジュニア~全日本第3日~

 勝っても負けても主役のはずのマオ、が本当に2年ぶりの優勝を飾りました。調整や体調管理の難しい時、ほっそりというよりぺちゃんこに薄くなった痩せた身体で臨んでいたにも関わらず、では改めてスゴイ選手になったと実感した。

3人3様
 会場滞留12時間の翌日とあって、正直睡魔と戦う時間帯があった。その眠気を覚ましてくれたのが宮原知子選手。確か二年前の長野のショーの時から、振りに緩急があって表現力の可能性を感じていた。ショートは失敗したがフリーはルッツ・トゥループトリプルコンビネーションはじめジャンプがポンポン決まり、追いかけているうちこちらの目が覚めた次第。
 さらに佐藤未生選手。ショートは早い滑走順だったため約2組、トップに居座った。伊藤みどり選手が五輪メダルを獲得した縁あるラフマニノフでデビューとは、チーム山田期待の大器というところ。
 ショートは悔しかった庄司理紗選手も冒頭の3―3―2連続ジャンプを決めて波に乗る。易しい曲調ではないが、持ち前の表現力で自然の情景を演じた。
 三人の共通点は、ジュニアより長い演技時間の後半に入っても殆ど乱れなかったこと。ペース配分の失敗やスタミナ切れを感じさせず、大舞台を楽しんでさえ見えた。高校生ジュニアが緊張で崩れる中、これだけ躍動されたら、世界ジュニア派遣も当然だろう。

シニアで手応え
 高校生になってなかなか結果の出なかった西野友毬選手。かつてはジャンプで崩れたらそのまま、という弱さがあったが、フリーでみだれたとはいえジャンプの失敗を持ち味のスピンやスケーティングで補う戦いができたと思う。順位以上に、シニアでの手ごたえをつかんだはずだ。美形スケーターの将来が楽しみ。

滑走順に泣く
 優勝候補筆頭、だったはずの鈴木明子選手。ショートは最終、フリーは最終組トップとプレッシャーのかかる滑走順に泣いた印象。ベテランらしく経験で乗り切れると思っていたが、連戦の疲労がそれを許さなかったようだ。勝ちたい気持ちが空回りしたのかもしれない。フリーはいつも後半のルッツが鬼門。みんなが認める良プロだけに、苦手意識が生まれなければいいのだが。

 放映は少なかったが、トライアウトを実施したと聞くアイスダンスで新たに4組が初出場。テクニックはリード姉弟に遠く及ばないが、新戦力の登場はやはり楽しい。特にシングルとダンスでダブルエントリーだった玉田裕也選手は3日間で合計4本滑走。お疲れさまでした。

posted by harukonomu |12:04 | 観戦記 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2011年12月25日

楽しい風景 ~全日本第2日~

3強と言われる人たちや、結果そのものについてはまた機会があれば発したいと思うので、現地からはメディアが伝えない直に観て感じた事を綴ろうと思います。
 
美しき姉妹
 怪我のため昨季を棒に振った村元小月選手。演技前に声援が飛んだように「さっちゃんお帰り!」という心境でした。春のショーで「全日本で」と声を掛け合った通り、久方ぶりの大舞台でほぼノーミスで滑り出が嬉しかったです。滑走順が妹の哉中選手の滑走と続いたという幸運もあり、キス&クライでは姉妹を挟んで濱田・田村両コーチとの4ショットが実現。姉妹ともの好演技を見届けたほのぼのとしたシーンでした。

注目ジュニアは緊張か
 昨季の庄司理紗選手、今季の宮原知子選手の新旧全日本ジュニア女王。シニアでのポジションが注目されるところですが、ともに演技に固さがあり、若手らしく「のびのび」とは行かなかったようです。しかしながら、宮原知子選手は、失敗のカバーを取り返そうとするガッツを見せました。小学生の頃から、独特の表現力を持った上手な選手、という印象がありましたが、お嬢様タイプの多い女子選手には珍しく負けん気が全身から溢れ出ていて、これからの戦いが期待できそうです。

ひと皮むけそう、な予感
 ジュニア前半でよく跳び回っても、だんだんできなくなる。女子は体型変化という避けて通れない壁に当たって克服できない選手を何人も見届けることになります。西野友毬選手もそんな一人。ローティーン時代は真央2世ともてはやされながら、当時以上の結果はなかなか出ないことが続いてきました。今回のショートは会心の演技。ジュニアではお姉さん格の年齢になった今、スケーティングや表現力がさらに備わってきて、氷上の存在感が増した気がします。ジュニアながら4位発進。ポテンシャルはもともと高い選手なので、ここでフリーが揃えばセカンドブレイク、のチャンスと見ます。

期待通り、空中戦を演じた二人
 表彰台争いには加われませんでしたが、最終組の一つ前は楽しい組でした。その皮切りが4回転トゥループを決めた無良崇人選手。踊れる選手ではないので、ジャンプとジャンプの間をつなぐ工夫が必要なのですが、ガツンガツンと降りていくダイナミックなジャンプを待ちながら感じる「しびれ」、のようなものが今回は埋めてくれました。名門中京大主将に相応しい、男前な演技でこの組の会場の空気感を一変させました。そして、ジャンパーとして周知の村上大介選手。難度の高い4回転サルコウをクリーンに着氷。容姿・演技とも骨太な彼をローリーニコルが男っぽく味付けた好プログラムを演じきってくれました。両選手とも順位を上げて5位6位。私の期待にも応えてくれた格好です。

個性色々
 昨日武芸を演じた佐々木彰生選手は、今度はカントリーに乗って牧童。ここまでやるか、という弾けぶりで会場を沸かせてくれました。動きっぱなしのあのプログラム、さぞや疲れるでしょうに。私も大好きな選手の一人ですが、ファンも年々熱狂化していて、選手魂というよりショーマンシップに長けた彼に、ジャンプミスの回数に言及するのは野暮、と思いました。
 正統派は中村健人選手。長い手足に端正なマスク、伸びやかなスケーティング。誰しもが認める「二の線」スケーターです。放映されていたら知らない方はおそらく、失敗の多い選手、と思われたかもしれませんが、彼の悲しい弱点がジャンプなんです。3強演技後の異様なムードの最終滑走でよくまとめましたし、重厚なクラシックが似合うのも日本では彼くらいしか思い当たりません。よく演じきってくれたと思います。よくできた、とファンは感じた一方で、とてもくやしそううだった彼。あ、「これでまた伸びる」と頼もしく見えたのでした。
 
獅子(小子)奮迅
 宇野昌磨くん。小学生のときから出来る子でした。詳しい人たちには知られた存在です。でも、140センチ、フラワーボーイと見まがうサイズでジュニアに上がっていきなり全日本シニアまでたどり着くし、しかもその大舞台でショートはノーミス、フリーも兄貴たちに冷水をぶっかけるような鮮烈デビューを飾りました。技術や努力だけでなく、天を味方にできる「運」を持ってる、そんな新星が、またひとつステップを上がった感じです。ただ、可愛かった、のではありません。指先や視線・表情にまで気を配った、ジュニアらしからぬ大きな演技で会場を支配。バレエを学んだと聞いた気がしますが、すでに魅せる術を身に付けているのは、センス、というよりほかにないと思います。トリプルアクセルさえ入っていない構成での総合190点超えは、ミスがなかったのは勿論かなりな存在感の証し。私も思わずスタンディングオベーションに・・。その出来の良さは、山田コーチさえ「あんぐり」だったんですね。身長も伸びるし、これからトリプルアクセルも必要だけど、「持ってるショーマ」は軽々試練を越えてしまうのかも。

posted by harukonomu |10:18 | 観戦記 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2011年12月24日

4回転、なるもの~2011年全日本フィギュア初日~

 予想があえなく外れて、謝るしかない心境だ。しかし、それだけ怖いのが、4回転ジャンプなのだ。男子ショートで、構成はトップと遜色ない、と推した若手の村上大介選手・無良崇人選手は、4回転ジャンプを決めないと勝負に持ち込めなかった。だから、自己ベストが出れば、と仮定したのだ。それが、挑戦するもことごとく失敗し、残念ながら明日のフリーを最終組で迎えることができなかった。良薬にも毒にもなるのが4回転ジャンプ。あれほど安定していた羽生結弦選手さえ失敗し、4位スタートに甘んじる結果となった。でも、リカバリーできていたし、フリーはらしさを見せれば結果がついてくると思う。
 そして成功させたのは、なんと高橋大輔選手。あまりにスムーズだったから見落としそうになった位だ。全体の出来はNHK杯の方が濃かった気がするが、大きなミスもなく、これは凄い点が出る、とすぐに判った。良くも悪くも4回転、の好例をまさかこの人がこの場で体現しようとは。なんという選手なんだろう。どこまで高みに上っていくのか、想像がつかなくなってきた。
 小塚崇彦選手も悪い出来ではなかった。4回転がなかっただけだ。もっとも彼の割にスピードやキレ味が感じられず、「まとめに入った」気がしなくもない。もっと冴えた演技ができる筈、という印象だ。でも、ガッツポーズを決めた演技に対し、ライバルがそれ以上の点を出してしまってどんな心地だったことか。居直ったフリーに期待したい。
 3位に入った町田樹選手。ジャンプの着氷がすべて不完全で、決して納得出来ていないうだろう。ちらもNHK杯の方がキレていた。もっとデキることが判っているから残念だが、皮肉にも4回転がなかったことが幸いした。フリーでは試すだろうし、振付のランビエールが喜ぶような好演技で、せっかく得たチャンスをモノにして欲しいと思う。

 忍者に扮した佐々木彰生選手、ステップで魅せた中村健人選手、最年少で奮戦した宇野昌磨選手、ユダヤ舞踊の近藤琢哉選手、健気に踊った田中刑事選手など、個性的なプログラムが目白押し、とても楽しい男子ショートだった。 

 

posted by harukonomu |01:59 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2011年12月23日

全日本プレビュー~主役はマオ、なれど~

 出場発表ですでに決まった主役。放映キー局は時には過剰なほどドラマチックな演出をする所だし、最強のヒロインが一番の後ろ盾を失った直後というタイミングもある。注目するなと言う方がムリかも知れない。ワタシ自身、前日インタビューには泣けた。笑みさえ見せながら「フツーにきっちり」と言ってのけた精神力に。それだけスケートに賭ける情熱が凄まじいのだと。演技前の会場の異様な緊張感と演技後の歓声は今から想像がつく。ただね、ここを目指して頑張ってきたのはいつも報道される男女三強だけじゃない。他にも個性的で世界に通用する選手がキラ星の如く存在するのが、今の日本フィギュア界なのだ。メディアにはそんな層の厚さ、贅沢さを少しでも伝えて欲しいのだが。

女子は二強
優勝は鈴木明子選手か浅田真央選手の一騎打ちだろう。鈴木選手はやりにくいだろうが、今季の好調さと、ベテランの落ち着きを評価して一歩リードと見る。世界選手権代表は順当ならこの二人に村上佳菜子選手だが、怪我が完治していい演技でショートで滑り出せれば、今井遥選手が台風の目になるだろう。あとは、ジュニアのフレッシュな演技をたのしむのもお薦めなのだが。

男子は安泰選手なし
恐らくフリーで最終組に残った選手には全て世界選手権切符のチャンスがある。高橋・小塚・羽生、三強とは言われているものの、彼らに加えて海外試合を制してきた町田樹・無良崇人・村上大介、の三人も構成は引けを取らない。最終組はこの6人で固いから、四回転を決めてパーソナルベストを出す選手が現れたら、三強の牙城が崩れる可能性はたかいだろう。高難度ジャンプを決め会う男ならではの空中戦が楽しみだ。

posted by harukonomu |13:06 | 雑感 | コメント(2) | トラックバック(1)
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2011年12月22日

グランプリファイナル

 男女で2位を確保し、好結果を残した日本勢。今季は3戦出場が可能になって
疲れを残した選手がいたためか、ファイナルらしからぬポロポロとミスが散見された大会だった。上向いていた浅田選手の欠場は残念だったが、熱い支援を惜しまなかったお母様のご冥福を祈らずにはいられない。

絶対評価、の高さを示した鈴木明子
 もちろん優勝して欲しかった。つぶし合うように各々小さなミスが出た今大会、スコアを見る限り「勝てないはずはない」試合だっただけに私たちも悔しい。ただ、アウェーの大会ながらNHK杯同様高い演技構成点を稼いだ。五輪前後の、いい演技をしても演技構成点を抑えられていたのが嘘のようだ。大物欠場の影響もあろうがこれは心強い。今回は逃したが、今季はまだ好機をつかむだろう。年齢に触れては失礼だが、26才にしてのフリップトゥループの3回転コンビネーションジャンプ挑戦!二週間前にトゥループトゥループを成功させたばかりでのこの意欲には恐れ入る。ダブルアクセルトリプルトゥループは自信を持っているし、このバリエーションの多さは必ず身を助けるだろう。

同情票、なくとも本領発揮の羽生結弦
 4回転が安定した。ひと皮剥ける契機はコレに尽きると思う。スタミナを問われる彼がフリーの最終ジャンプで躓いたのはご愛嬌だが、ショートフリーともほぼ会心の出来だった。ロシアでの初優勝から中一週、疲労より勢いが勝った若者らしさを存分に発揮、トップと戦える存在感を示した。
 今後の体格の変化など将来はまだまだ不透明だが、私の方も苦手意識を払拭して、長く見守る覚悟をつけさせられた好演と思う。織田選手の全日本欠場、勢いのある時 は運も見方するのかも知れない。

やはり対抗馬に据えられた高橋大輔
 4回転失敗は織り込み済み。だからショートで着地に失敗したルッツが勿体なかった。セカンドジャンプを付けようとしたのかな。カナダ開催でパトリック有利は動かなかったとしても、もう少し差が詰まっていたらどうなるか判らなかった。フリーが良かったからなおさらだ。4回転こそ組み込んだものの、バタついた出来の優勝者と、決まらなかった4回転以外をまとめた2位と。フリーだけなら甲乙つけがたかった。NHK杯は少し点が出過ぎていたけど、ファイナルでここまで善戦できたのだから、対抗馬は彼、と誰しも認める存在感を発揮できた。あとはどこで3連続ジャンプ(今の構成なら恐らく後半のルッツの後?)を入れるかとか、追いついてきた4回転の出来だけ。一か月遅れのスターとを思えば順調。あと3か月あれば十分戦えることがはっきりして、安心した。

 せっかく出場を果たしながら、ペアの高橋&トラン組の演技は放映なし。緊張からか本来の出来ではなかったようだが、あのメンツに加われただけでも意義深かった大会。せめてサワリだけでも観たかったのに。毎々ながら時間割には不満が残ってしまう。

 アップが遅くなってもう全日本ウィーク!!リード姉弟に織田選手。欠場を強いられる残念なニュースがある一方で浅田選手は健気に参戦。きっとまた彼女の滑走直前は、異様な緊張感が会場を包み込むに違いない。 

posted by harukonomu |00:29 | 観戦記 | コメント(2) | トラックバック(0)
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