Moon Ball in the Sun

ウィンブルドンBEST4からの戦い

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ウィンブルドン関連で3件記事を書いたので、クライマックスを迎える前に、その振り返りや現時点の思いなど記させていただきます。

まず錦織。

結果には驚いていません。錦織が万全の状態だったとしても、今回の芝チリッチはかなり厳しいと思っていましたし、脇腹の痛みと付き合う大会だったため状況次第では途中棄権も覚悟していました。リタイア後のコメントで、「3回戦まではプレーをしているうち痛みが消えた。4回戦は全く違った」という趣旨のコメントを出しています。「プレーができる程度」のケガに起こりうるステージで、アマチュア運動選手であっても、この種の経験をお持ちの方は少なくないと思います。もちろんこの「痛みが消える」というのは、麻痺、慣れ、一時的ほぐれ、試合への没頭による忘却の類で、本当の快方を意味するものでないわけです。しかし本人としては、チリッチ戦の途中までその可能性に賭けていたのだと思います。

錦織選手は、目の前の敵への敬意から先のラウンドの対戦相手について殆ど語らない選手です。従って真意のほどは測りかねますが、今回に関しては「ウィンブルドンでベスト8進出、フェデラーと戦いたい」というロマンが内心はあったと推察します。しかし、トッププロがロマンだけで玉砕するわけがありません。理性的な判断として、「痛み」に対するマネージもされていたと考えます。つまり、3回戦までの経験を踏まえたギリギリの我慢、実際の試合展開と勝算による場合分け、回復せず棄権した場合の全米までの時間・・・等々が総合判断の材料になっていて、その結果、敢えてとったリスクだと思います。

残念ながら今回のリスクテイクは目先的には失敗のように見えますが、リターンを求めてリスクテイクした選手の判断を私は尊重するし、もっと言えば、理屈ではなく本能部分でも結構納得しています。今年のデ杯、イギリス戦に出た時も、怪我や体力消耗のリスクから「出るべきでない」の声があったと記憶していますが、あのマレー戦の熱戦(敗戦)が今の錦織を強くしたという評価も多くなっています。今回のウィンブルドンも、少し長い目で見ればそういうものになるかもしれません。

さてフェデラーとチリッチ。

ジョコビッチの3回戦敗退もあり、テニスファンの間では「フェデラーの優勝が見たい」の声が更に強まりました。私の希望も実はそうなのですが、予想者としての自分は、チリッチがフェデラーに勝ってしまうイメージを強く持っていました。負傷離脱からの復帰間もないフェデラーの3回戦まで勝ち上がり方は期待以上でしたが、4回戦になって相手のレベルが急変すること、またチリッチ側も2014年全米以来の「確変」の兆候を見せ始めていたことが理由です。

実際のゲームは皆さんが目撃した通り。いやあ、両者のキャリアに燦然と輝く名勝負だったと思います。フェデラーの神がかり的なメンタルと勝負運に敗れたチリッチですが、素晴らしい敗者でした。この人もGSを複数回とれる人なのだと思いました。もちろんマレー型ではなくワウリンカ型での複数回制覇ですが。

前々回の投稿では、ジョコビッチ敗退がメンタル面でプラスに働きそうな選手として、マレー、フェデラー、ラオニッチ、ベルディヒを挙げました。そして今、奇しくもその4人が準決勝に残りました。別に予想的中という話ではありません。ジョコビッチが負けた時点でランキング通り事が運べばこうなったわけで、ここまでは一般的見方と同じと認識。問題はここから先。ジョコビッチが去った今、ここ数年彼に優勝を阻まれてきたマレーやフェデラーが最大の有資格者であることは疑いないのですが、やはり時間の経過は勢力図を少しずつ変えており、今回は違った展開を予想しています。

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ウィンブルドンBEST4からの戦い

kannsenndaisuki様、コメントありがとうございました。

選手本人とコーチは一枚岩だけど、コーチの方がより客観的であるべきで、ご意見ご尤もだと思います。


チャンコーチの記事を読みましたが、試合前は陣営全体が錦織本人と同じ考えだったこと、しかし、ゲーム中の判断には若干の違いがあったことを知り、改めてプロテニス選手とコーチの関係の微妙さ、難しさを感じました。


野球やサッカーと違ってコーチの雇い主は選手です。もちろん契約した以上は、選手のパフォーマンスを最大化するために、選手本人の意向に沿わないことも時として主張する局面があると思いますが、試合に入ってしまえば口出しできないのが規則。ボクシング等の格闘技であれば、安全管理の観点からセコンドからのタオル投入やレフェリーストップがありますが、テニスにはそれがない。恐らくですが、当事者間の契約やテニスのルールで可能ならば、チャンコーチはもっと早く行使したと推察します。


余談ですが、錦織と同じ4R、対ツォンガ戦をリタイヤしたガスケはどうだったのでしょう。彼も背中の痛みで2016年序盤を棒に振りましたが、今大会、錦織みたいにだましだましの3Rだったのか、4Rで突然痛んだのか。フランス国内のニュースを追えば詳細がわかるのでしょうが不精してすみません。テレビを見ている限り、4Rの彼も、痛みが引くことを信じてこらえながらプレーしていた時間帯がありましたが、見切りはかなり早かったように見えますね。



さて男子も残るは決勝。願いは叶わず、予想は当たり、ラオニッチ対マレーになりました。ご指摘のようにラオニッチのプレーレベルは1段階上がりましたね。地力ではランキング3位~4位ぐらいの風格を感じます。それとメンタルの成長に驚かされました。これまでは、非常に態度のよい、真っすぐな好青年という印象がやたら強く、逆に言うと勝負師としては突き抜けづらいタイプと捉えていました。ここはマッケンローの効果が即効性を持って出ているかもしれませんね。


史上最強の「GS2勝選手(今のところ)」マレーとの決勝も楽しみですね。力と勢いのある選手をいなして勝つことにかけてはジョコビッチと双璧だと思いますので、ラオニッチもゴフィン戦のように落ちると一気にやられかねません。


Kannsenndaisuki様と同じく、私も希望はマレーなのですが、予想(もしブックメイカーに行って買うなら)はラオニッチです。

ウィンブルドンBEST4からの戦い

チャンコーチのお話しが記事としてあがっていました。

「試合中に良くなることはテニスではあることなので、試合前棄権は勧めなかった」とのこと。その判断はどうなんでしょうか。
現実、この先後半戦の試合出場も危ぶまれる(まだ何もわからないですが日本で検査を受けるという事自体が心配)状態なのですから、コーチは試合前棄権を選択すべきだったのではないでしょうか。

選手としての圭くんの判断は支持しますが、コーチの判断は支持できないです。選手の状態を見極めてストップをかけるのがコーチの役目だと思うのですが。

この記事を読むと怪我をしたことも不運でかたづけてしまっているようで、不安になります。これからもフィジカルの強化をすると言っていることも不安です。フィジカル強化が怪我をしない身体づくりという意味ならば大賛成なのですが、ただ強い筋肉というようなものであればマイナスにしかならないと思ってしまいます。
最近の圭くんは強いんですけど、なにか重く感じられて、以前のようなしなやかな軽やかさが失われてきているようで心配しています。

怪我をしにくいしなやかな身体づくりを最優先して欲しいです。

チリッチさん、残念でしたが、全米の時の「確変」ではなく通常モードで強くなっている気がします。

ラオくん勝ちましたね。フェデラーさんが少し息切れだったとしてもこちらも1段階上に上がった感じですね。う~ん、ラオくんに先を越されたくないので、マレーさんになんとしても勝ってほしいです。マレーさん好きですから相手が誰でも(もちろん、圭くんは別)マレーさん応援ですが、今回は特にです。

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