Moon Ball in the Sun

テニスファンと錦織ファンの狭間で

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錦織選手が右手首の腱の裂傷により2017年シーズン残り試合の欠場を決めました。

サービス練習中に突如発した激痛に苦悶の表情を浮かべる錦織選手。その画像を見て、欠場判断は時間の問題かもしれないと覚悟していましたが、本当に残念です。大好きな全米オープンのコートに立てずに今シーズンを終える錦織選手の無念はいかほどでしょう。

このブログでは以前、錦織選手に対する長期休養必要説に関して、ハッキリした大きな怪我がなければ取り難い選択肢と書きました。そして今、期せずして、その事態が起きてしまいました。

さて、残りどれだけあるか分からない私のニューヨーク駐在生活ですが、2週間前にワシントンD.C.のシティオープンを強行観戦した判断も、今となっては皮肉なものです。ワシントンに駆けつけた理由はそのとき書きましたが、上位選手を襲う負傷リタイヤの波に、錦織選手ものみ込まれてしまいました。

テニスファンとしての私、錦織ファンとしての私。その狭間にあって、今日書くことも、綺麗事と泥臭い本音が交錯しそうですが、一つのターニングポイントなので、正直に今の思いを書きたいと思います。

これまで当ブログを読んでくださった方は薄々お気付きかと思いますが、私はレジェンド選手達に対し、事実と願望をハッキリ使い分けています。

ビッグ4には、その実績にも能力にも大変な敬意を抱いていますが、私は、「フェデラーの勇姿をもう一度見たい」、「ナダルの復活の見たい」と感じるタイプのテニスファンではありませんでした。彼らのテニスはすこぶる魅力的でしたが、既に十分に成し遂げたと思っていたし、いつかは訪れる世代交代の宿命を前向きに受け止める態度でもありました。

また、ジョコビッチやマレーがそれぞれにスランプ期を過ごす中で、「早く本来の調子を取り戻して欲しい」という声を上げなかったのも同様の理由です。結果が全てのプロスポーツの世界。「皆な頑張れ」的な応援は、私にとっては綺麗すぎて、心の声は生の声とはなりませんでした。

ちょっと自己弁護が過ぎましたかね。

この3年間、奇跡の日本人選手・錦織圭がグランドスラム制覇のネクストバッターズ・サークルに入り掛けては押し出される中、ここまで来た「奇跡ついで」に、一度だけでも勝たせて欲しいと私は応援してきました。

”守備固めも求められるランク1位は望みませんので、どうかテニスの神様のご加護を! 金の斧ではなく、銀の斧でいいです。でも鉄の斧だけでは寂しいです。年上レジェンドたちの衰えと、次代のレジェンド台頭の間隙を縫ってどこかで一発・・・” というのが私の応援姿勢でしたから、レジェンドの復活に感嘆こそすれ、素直に喜べるはずもありません。もしこれまでに1回でも錦織が優勝できていたら、私のファン心理はもっと穏やかで健やかであったでしょうに。この狭量さ、ロジャーやラファには何とも申し訳ありません。でも、穏やかと健やかの対極にある、激しさと偏愛もまたスポーツ観戦の楽しみですね。

来シーズン復帰するであろう錦織選手の姿を想像すると、今から切ない思いが込み上げます。もう一度立て直して、強くなって帰って来い、そんな美しい言葉を掛けるには、私自身、アスリートの怪我の怖さを身近で見過ぎました。患部が患部だけに正直不安だらけです。

才気溢れるラケットワークの感覚は取り戻せるのか? 再発への恐怖が脳内に棲みつきプレーを大人しくしてしまうのではないか? 年下の選手が上位で足場を固め精神面のダメージを増幅しないか?

次世代レジェンド候補、A.ズベレフのことは、これまでこのブログで何度か青田買いコメントを繰り返してきましたから、今日は多くを語るのは止しましょう。シティ、モントリオールで「受け身」の強さを再認識し、成長曲線の先の到達点に末恐ろしきを感じています。確かにグランドスラムの実績はないし、現時点で足りない能力や技術を挙げることは可能ですが、ここ何年かに囁かれた「将来のナンバーワン候補」の中で、想像しうる完成形のスキのなさは異質のものです。ティエムやキリオスもいつの日かGSを獲るでしょうが、負ける試合も容易に想像がつきます。

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この記事へのコメントコメント一覧

テニスファンと錦織ファンの狭間で

halfwayvolley様、
いつも丁寧なご返信をありがとうございます。
今後も記事を楽しみにしております。

今から杉田選手のシンシナティ3回戦です。
錦織選手をきっかけにプロテニスを見るようになりましたが、杉田選手は粘りと強烈なフォアハンドが魅力ですね。日本選手、どんどん活躍してほしいです。

テニスファンと錦織ファンの狭間で

ご丁寧にご返事までいただき恐縮です。
わたしは寅さんの映画が大好きで48作すべて見ています。
「♪~ドブに落ちても根のある奴はいつかは蓮の花と咲く~♬ 」の歌詞を座右の銘にしています。
今の錦織選手の気持ちを思うと涙にくれていますが、きっと這い上がってくれると信じています。沢松さんが「神様がくれた贈り物と思って…」の言葉にも、彼女の優しさ思いやりがあふれ、私の心も穏やかになります。
来年は錦織選手のツアー巡りを真剣に考えています。バルーンを持った変なおじさんがスタンドにいたら私です。

「テニスファンと錦織ファンの狭間で」へのコメント

しゃら様

意地悪なんてとんでもないです。

「真面目」ですよね、テニスに関して私はきっと・・・。

自分の部活時代、試合中のビビリで情けない思いを何度としましたが、それも含め、この競技の心理的・技術的複雑性に完全に虜になっています。選手の特色の多様性も凄い。

そして今、感情移入できる選手がいて、つくづく感じるのは、観る真剣さでテニス脳が活性化すること。その勢いでブログまで始めてしまいました。逆に私はサッカー脳が活性化していなくて、周囲のサッカーファンからは、不真面目さをよく非難(笑)
されます。

錦織選手の復帰後に姿に関する、しゃら様のコメント、どれもあり得ることとして同感です。キャリア絶頂期近くで一息入ったことで、これまでと違う心理的境地に達すること、それが良い結果をもたらすことを願います。

コメントありがとうございました。

「テニスファンと錦織ファンの狭間で」へのコメント

バルーンおじさん様

コメントありがとうございます。

この「抑制」「良心的」というのが書き手にはなかなかの曲者でして、違う意見を持つ読み手の立場も忖度すると、尖った所がなくなって面白くなくなるな〜といつも感じながら書いています。攻撃的テニスと守備的テニスの関係のようですね。

普段、仲間とテニス談義するときは、私もここでは書けないような過激発言、決め付け発言(笑)していますが、正直に言うと、試合(ブログの投稿)は少しセーフティサイドに寄っています。

ブログもコメントも色々あって、スポナビは面白いですね。


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