Moon Ball in the Sun

ワシントン観戦記〜錦織とサーシャ

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ヤング、デルポトロ、ポールとの連夜の熱闘にほだされて、ニューヨークからワシントンD.C.にやってきました。

東京ー名古屋ぐらいの距離とはいえ、まあまあの強行スケジュール。私はジャック・バウワー状態の一日も覚悟しました。その背中を押したのは、このところ鳴りを潜めていた錦織のミラクル創出感復活の微妙な兆し。そして、相手がサーシャ・ズベレフだったことです。錦織選手に次いで、私がいま見たい選手の一人で、ランキング50位ぐらいの時から、次代を担う選手として見込んできた逸材。「ズベレフの王道、キリオスの覇道」は、遠からぬ未来の私の隠れテーマです。

錦織にしてもサーシャにしても、あと3週間ちょっと待てばニューヨークで見れるのに?

いえいえ、そんな保証はありません。上位選手を次々に襲う負傷リタイヤの波。それを乗り切ったとしても、(私にも仕事というリアルな生活がある中)決して楽ではなかろう序盤ラウンドを無事乗り切れるかの不確実性。また、ランキング(というかシード)5位〜8位の選手どうしは、GSでは互いにベスト4まで勝ち上がらないと当たらない仕組みもあり、今回の対戦カードにはその希少性もありました。

錦織ファンとして、当ブログでは、数々の甘い期待、寛容な解釈を述べて来ましたが、まあ私も根っこではシビアなところもありまして、今回は負け試合を見る心の準備は80%ほどありました。

錦織選手、そりゃあ疲れているでしょう。深夜2時に及ぶ試合もありました。同じ米国東部時間帯で連夜テレビ観戦する身も楽ではありません。それに今のスベレフは、時間の経過と共に「勝つ選手」の要素が着実に増えています。若い選手の特権ですね。ある程度出来上がった、錦織と近い世代のラオニッチらと違い、いつか来る地力の完全な逆転も想定しての観戦になります。

深夜の激闘といえば、2014全米R16ラオニッチ戦を思い出します。深夜2時半のフルセット劇勝を私も会場で見守りましたが、その後、QFではワウリンカもナイトマッチのフルセットで振り切り、SFではジョコビッチを撃破しました。錦織選手のこれまでのキャリアで、最大の衝撃波を放っていた時期です。

今回シティOPで倒してきた相手は、デルポトロこそビッグネームですが、彼なりの現状を考えると、ヤング、ポールも含め、2014年全米を引き合いに出す場面でないことは重々承知しています。いくら死闘をモノにしたとはいえ、ヤング、ポールを相手に死闘にならざるを得なかったこと自体を厳しく問うこともできましょう。

でも、ここ数カ月のメンタル面の不調、そのベクトルは少しだけ反転し始めた感じがします。厳しいポイントを凌いだというだけではありません。ポール戦は、窮地で相手のミスに救われたというより、自ら攻めて凌ぎました。そして不幸にも顕在化したバックハンドのズレ、それに伴う組み立ての制約をフォアとサービスでカバーしました。試合中に必ずある悪い時間帯、悪い要素を得失点争いの中でどう極小化していくか、そんな戦術選択や踏ん張りが見え始め、円熟期への序章が始まったかのようです。悪いなりに勝つ。負けても不思議のなかった試合を拾う。これは強者の一側面です。

前置きが長くなりました。錦織選手が今のランクを維持する限り、元気な状態でサーシャと戦えるのは、ツアーファイナルのラウンドロビンぐらいしかないかしれません。しかし、さすがに今回は条件が過酷でしたね。

グランドスラムでの5セットマッチ1日置き日程と、その他のトーナメントでの3セットマッチ連戦。どちらが肉体的にタフか。それは選手のタイプにもよるでしょうが、体内時計を崩され、リカバリできないスケジュールという点では、今回の方がよりタフかもしれません。良質な睡眠に拘る錦織選手であれば尚更です。

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この記事へのコメントコメント一覧

「ワシントン観戦記〜錦織とサーシャ」へのコメント

ukk_chu_renさん、コメントありがとうございます。

楽天OPのチケット獲得、それほどに熾烈なのですね。これは自分の今の環境に感謝し、駐在として限られた数年間、出し惜しみ(?)しないよう頑張らねば。

フェデラーやナダルの復活、ズベレフの台頭で、錦織選手GS制覇へのパスは更に狭まったとの見方も多いでしょうが、私としては、それが消えたとも思いません。

この北米シリーズ、24歳の自分に戻るのではなく、27歳なりの戦い方で勢いを取り戻せるよう切に願っています。

感覚観戦さんブログでお書きになっているように、「研究して、策を講じる」という要素が益々重くなっていきそうですね。個別の戦略としても、全体の体力マネージとしても、私も同じよう考えます。

「ワシントン観戦記〜錦織とサーシャ」へのコメント

halfwayvolleyさん
いつも、アメリカのテニス事情を垣間見させて頂き有難うございます。
ATP500の大会といえば楽天ジャパンオープンと同じレベルの大会ですが、私は先日8/5の楽天オープン売り出しにネットで試みましたが、正に秒殺でした。全く取れる気がしません。
アメリカではGS、MSも何試合かありますし、他にもあるからでしょうか?お手軽な感じですね。日本の場合は、1大会しかなく、錦織人気のせいもあると思いますが、随分違うものだなぁと感じました。
USOPへもすぐ近くで見に行けるというのがなんとも羨ましい限りです。
また、ブログを楽しみにしています。

「ワシントン観戦記〜錦織とサーシャ」へのコメント

paichanさん、思いもよらぬ箇所へのコメントでした。

あらゆるものを受け入れる度量があるようでいて、深層には古来アメリカ的なものを愛する、案外と複雑で不思議な国ですが、仰るとおり、よいプレーをフェアに讃える素晴らしい空気がありますね。

もう1日ワシントンに留まって決勝も観ましたが、ケビンコールもなかなか熱かったですよ。

錦織戦に続いてブレークポイントすら与えぬサーシャの充実ぶりに、会場もたびたび感嘆するわけですが、劣勢に立ち向かっていくアンダーソンの姿勢も見事でした。

こういう試合を観ると、サービスが武器というのは、やはり偉大な素質だと感じてしまいますね。

コメントありがとうございました。

「ワシントン観戦記〜錦織とサーシャ」へのコメント

「米国版判官びいき」
これには笑いました!
解説者もアメリカでは負けている方を応援することが多いと話していました。
さて、前日のポール戦では、アメリカの若手選手ですから、アウェイ感が漂ってもおかしくないところです。ところが、錦織が劣勢なときは声を掛け、両者のスーパープレーには惜しみない拍手がありました。
みんなテニスが好きなんだなあと感じました。(妙なところに突っ込んで申し訳ありません。)
これからのシーズン、とても楽しみです。

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