Moon Ball in the Sun

ウィンブルドン折り返し地点 少し前

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錦織選手はクズネツォフを破ってR16進出を決めました。

米国でテレビ観戦している都合上、残念ながら錦織戦は1シーンも放映されず、ジョコビッチ対クエリー戦を観ながら、ライブのスコア速報だけを追っていました。

錦織は脇腹の痛みを抱えての出場ですが、脇腹という部位(食肉みたいですみません)、プレーが出来る程度の痛みというギリギリのポイントで、自分の意気込みとプレーレベルが奇妙にバランスした状態が保てているものと推察します。痛みが増したら棄権する、このオプションを持って臨むことで「絶対に負けられない」という、テニスにおいてしばしばマイナスな心理を排除できます。今思えば全仏はこの逆だったのではないでしょうか。

まず脇腹について。

おそらくテニス選手の動きの中で、この箇所に一番の負担をかけるのはサービス、特に回転を増やすセカンドサーブではないかと思います。セカンドサーブといえば、イズナーのキックサーブのような例外を除けば、普通は決め球になりうるものではありません。イーブンな展開を目指してコースを突く、甘く入って相手のリターン強打が決まればやむなし、といった割り切りマネージをすれば影響は限定的にとどめられると思います。錦織にとっての最高のセカンドサーブと80%のスピードのセカンドサーブ、この差なら試合の帰趨を左右しない程度に影響は抑えられるにちがいない。ファンとしてはそうポジティブにとらえ、ダメならあっさり棄権することを覚悟すればリスク管理も(?)しやすいかと。

痛む箇所で言えば、足首、ふくらはぎ、手首等なら、そうそうマネージしきれるものではないと思います。ワウリンカを破ったデルポトロの古傷は左手首です。手術を乗り越え復帰したとはいえ、心身に不安がないわけではないでしょう。右利き選手のこの箇所はバックハンドストロークに影響するので、ゲームマネージ上の影響範囲はより大きい箇所だと思います。

すべての選手にとって、故障等の不安要素はもちろん無いに越したことはありませんが、軽度であれば、テーマがはっきりして集中力が増すケースが散見されます。これは数あるスポーツの中で、テニスだから許される部分もあります。極論すれば、相対的に試合全体での1ポイントが軽いこと。言い換えれば、プレーレベルを落としても許される時間帯の存在です。ラブゲームでリターンゲームを落とそうが、それは普通のサービスキープで帳消しになります。相手のグレートショットに拍手する仕草があるのもこの特徴の現れです。

そんな競技の条件としては、まず個人種目であること。サッカーやラグビーのような団体種目であれば、故障を抱えた選手はそもそも試合から外されるリスクがあります。個人種目であっても、陸上や水泳のようなタイム勝負の個人種目は万全な状態の自分を超えられるわけがありません。対人型の個人種目でも一瞬が勝負を分ける相撲やボクシングのような競技に気を抜ける時間帯などありません。また試合で練習以上の力が出ることを前提とした競技(マラソン、これも陸上か)ではダメです。テニスは、練習で決まりまくっているショットが本番で決まらない、互いに練習のマックスの何割引きかの勝負をしている。また、速度を30km/h落としても角度を10度つければエースになるといった絶妙なバランスの上で成り立っている稀有な競技だと思います。

そうこうしているうちに、サム・クエリーがジョコビッチに勝ってしまいました。今年錦織に勝った時のクエリーは、負けても構わないというアッケラカンとしたノリノリ状態で押し切りましたが、さすがに今回はグランドスラム、しかも相手はジョコビッチ、さらに途中で何度も降雨サスペンドになる展開で、相当に神経をすり減らした勝利でした。終盤でひどい勝ちビビりもありましたが、最後は挑戦者らしいリスクテイク姿勢を取り戻し、前日と合わせると勝者にふさわしいプレーをしたと思います。ジョコビッチが悪すぎたのは確かですが、サム・クエリーだからこそ出来たアップセットです。

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