Moon Ball in the Sun

2つのフェレール戦~こんな感じでよいと思うが・・・

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マドリードとローマ、錦織は立て続けに2度フェレールと戦いました。

そして思います。錦織と錦織陣営は、一般に私たちが受ける印象よりも遥かに頭脳的で戦術的であり、そして果敢であると。

マドリードのシュワルツマン戦、フェレール戦。そして、たった今終わったローマのフェレール戦。米国東部時間帯では朝の出勤前ですので、全ポイントをリアルタイムでテレビ観戦できました。この、リアルタイムというのが案外大事です。結果を知った後で録画を観ると、色んな気付きで分析深掘りが可能な面もありますが、一方で、自分の脳内の予定調和の世界が選手への感情移入を邪魔し、メンタルの変化や瞬時の思考を嗅ぎ取る力を弱めます。

マドリードのフェレール戦を観て、皆さんはどう思ったでしょう。ストロークのミスは多いがウィナーも多い。サービスは(いい意味で)嫌らしくなった。ただ長いラリーを制し切れず、ともすればやや淡白な印象もある。意表を突くドロップショットや球筋変更はある意味で錦織ワールド。正直に言いましょう。私はリアルタイムでこの試合を観て、「そうそう、こんな感じ」とうなずいていました。体力のセーブ、故障悪化リスクのセーブを企図しつつ、自らのエッジをポイントという形に還元していくスタイルはこれだと思ったのです。

2016年型錦織に比べると、ポイントを決めに行くタイミングが半歩早くなった形です。確信度70%でウィナーを叩き込みにいったのを2016年スタイルとすれば、65%でも勝負に行く。当然ミスは増えますが、それが今の錦織選手の選択なのだと感じました。ウィナーだけではなく、ラリーの主導権を先に奪って「振る側に回る」仕掛けも早くなっているように思います。

マドリードのフェレールより、ローマのフェレールの方が、錦織対策が明確で出来もよかったと思いますが、ローマの錦織の方が、精度が上でした。評価が難しいのは、フェレールが元世界3位の鉄人とはいえ、今の位置は30位の選手ということです。そう捉えれば、錦織選手にとって必ずしも100%の仕上がりを求められる相手ではないのかもしれません。実際フェレールの「らしからぬミス」に助けられた面もあります。従って、このスタイルが更なる上位選手に通じるかは未知数です。

ただ、欧州クレーコートと錦織スタイルの相性については、かつて見たことがないようなアンサンブルの予兆も感じます。ティエムのような正統派ストロングスタイルのクレーコーターがナダル相手に出来ないことが、錦織にはひょっとしたら出来てしまうのではないか。今やっていることの先行きに、そんな思いも馳せてしまいます。

以前の記事の繰り返しになりますが、私が願っていたのは、「ケガを完治させ、ケガ前と同じようなプレーを見せて欲しい」ということではなく、ケガの遠因や根本的なリスクを再評価し、それに対処する新スタイルを究めて欲しいということです。弱くなっては意味がありませんが、強さの形をランクアップではなく、ビッグタイトル獲得で表現するのなら、このアプローチの正しさを信じて疑いません。代償は、感触の悪い日のエラーマシン化(ワウリン化)、負け試合での感動創出力低下でしょうか。

冒頭に書いた錦織陣営の頭脳的・戦術的の意味するところは、ケガの状態判断と出場試合選択マネージです。マドリードのジョコビッチ戦のゲーム直前の棄権など、リスクテイク判断の最たるものです。直近、ナダルやフェデラーの長期休養成功体験があったがゆえに、「しっかり休んで治して欲しい」の声がファンの間で高まるのもわかるのですが、長期休養にも早期復帰にもリスクはある。そうしないのは、純粋にフィジカルにマネージ可能というのが大前提にあり、ATP全体の状況や相手との力関係を踏まえた「今勝ちたい、勝てる」の総合判断があるのだと思います。スポンサーやファンに対する責任とは独立した、極めてクールで果敢な判断だと思います。

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