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タテ×ホコ?? クレーコートのボール痕とホークアイ

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タテ×ホコ。ボール痕とホークアイのどちらが優れているか?

こう切り出すと、これは議論にすらなりません。というか、正解はボール痕でしかありません。もし議論が成り立つとすれば、それは、クレーコートにおける判定確定システムとして、ボール痕チェックシステムとホークアイシステムの2つがあり、その優劣をどう捉えるかというテーマになります。

モンテカルロMSでのナダルvsゴファン戦を受け、クレーコートでのミスジャッジ問題について少し前に投稿しましたが、認識や踏み込みに甘い部分が多々あったので、これは自戒を込めたフォロー記事になります。このテーマに詳しい方には退屈な内容なので、ここから先は読まない方がよいかもしれません。

***

選手による「チャレンジ!」のあとのホークアイ映像を思い出してください。もちろん真ん丸ではありません。普通はタテに長く伸びた楕円形であり、ドロップショットなんかは少し円に近いかもしれません。要するにこれは地面との接触面です。ホークアイが最新技術の粋を尽くして予測するのは、落下地点ではなく、ボール痕そのものです。

ホークアイという名前は、天井からの空中写真のような印象を与えますが、実際には、一つのコートに縦横10台ものカメラを設置し、気温、気圧、湿度、風、そしてボールの軌道、スピード、スピン等から落下地点のボール痕を解析していく科学技術システムです。

地面との接触面となると、地面の固さ、水分含有量、起伏といったデータのインプットも必要です。ハードコートなら不要だったデータが、グラスやクレーには必要になります。芝や土(砂?)の状態は、試合中に刻々と変わり、特にクレーコートは時間経過による状態変化が激しいと聞きます。予測精度を高めるためには、解析チームが何度も条件設定をやり直す必要があるそうです。つまりクレーでは精度が落ちる。

ホークアイ解析チームが必死の計算で追い求めるボール痕、クレーコートにはその答えがあっさりと存在します。従って、他のボール痕との混乱がないケースなら、ホークアイの出番は本来ないはずです。

いやむしろ、答え合わせの出来るクレーでは、ホークアイを導入しないことがホークアイの信頼性を守っているとも言えます。現実のボール痕とホークアイのボール痕。両者の間に見過ごせないズレがあった場合、それはホークアイ技術の不完全さ、ひいてはハードコートやグラスコートでのジャッジの威厳を損ねるものです。

でもしかし・・・。

ボール痕という証拠があるのに、クレーコートで事件は起きた。ナダルvsゴファン戦での出来事のような、誤ったボール痕でジャッジが確定した事例は過去にも少なくないと聞きます。しかし、マスターズの準決勝、人気選手の試合の重大局面で事態が発生したことで、本件は関係者とファンの記憶に鮮明に残ってしまいました。

では、どういう対策が考えうるのでしょうか?
クレーコートにおいて、ボール痕とホークアイの理想的な関係は、タテ×ホコの対立軸(二者択一)ではなく、タテ+タテの補完関係ではないかと思います。現在、何人かのプロ選手が、クレーでのホークアイ導入を主張しているそうです。恐らくそれは、ボール痕チェックシステムを全否定した内容ではないと想像しています。

補完的に導入されたら実際どんな感じでしょう。クレーの試合を観ていると、主審が審判台を降りてボール痕のチェックに入り、「そっちではなくこっち」のような議論を選手と交わしている時があります。その選択については、もちろん審判の判断が最優先されるべきですが、審判自身が複数のボール痕の選択に悩んだら、そこは勇気をもって「こっちだ」と決めるのではなく、勇気を持って「ホークアイ出動を要請!」がよいのでは?

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タテ×ホコ?? クレーコートのボール痕とホークアイ

匿名さま、

ハードコートにも時々つきますね、ボールの痕跡。ホークアイのない時代からテニスを観ていますが、本当にチャレンジ制度は大成功だと思っています。平均2㎜たらずと言われる計算誤差、平均30%とも言われるチャレンジ成功率。こういった数値はホークアイの存在価値を雄弁に物語っていますし、何よりも、選手と観客の気持ちの切り替えに成功していると思います。

ということで、個人的には大変なホークアイ信奉者であり、どんどん使おう派なのですが、クレーでは、選手の目の前のボール痕とホークアイ判定に違いが生じた時、そもそも何が真実なのか、選手はそれで気持ちを切り替えられるのか、そんな問題が気になり、今回の記事にさせていただきました。

自分が気にしているポイントが、選手や業界内部の議論のポイントとどの程度一致しているかは、今後の機会にまた確かめていこうと思います。

コメントありがとうございました。
 


タテ×ホコ?? クレーコートのボール痕とホークアイ

キリ丼様

確かに、ホークアイといえども所詮は補助システム。有利なジャッジを受けた選手と不利なジャッジを受けた選手が、システムの下に公平になるものではないですね。プレーを止めるリスク、権利が減るリスクは、不利な判定を一旦受けた側の負担ですし、ホークアイ裁定の後、そのポイントが確定かリプレイかの決断は審判に委ねられます。ご指摘のように、審判の公平な姿勢は、何よりも先にあるべき大前提ですね。

公平さというのは、審判自身に明確な悪意がなくても、選手の格や予想されるメディア反響、ジャッジへの対決姿勢、会場の空気などでバランスを欠くケースもあるのだと思います。潜在意識か顕在意識がわかりませんが、審判にはこうしたバイアス発生には十分に注意してほしいと思います。

コメントありがとうございました。

タテ×ホコ?? クレーコートのボール痕とホークアイ

そもそもハードコートでもプロレベルの回転の球であればほとんどのボールについてマークはついているわけで、だからこそサーブの跡を確認するような様子が度々見られるわけですよね。なので、クレーにもおとなしくホークアイを導入する、というのが手っ取り早い、ということだと思いますけどね。

タテ×ホコ?? クレーコートのボール痕とホークアイ

私も実際に中継を観ていましたから、ホークアイの画像も観ました。やはり、アンパイアの質が求められるのかなと感じました。プレイヤーにとって、一つの判定で全てが変わってしまうことが最も辛いことです。ましてや勝負がかかっている場面ではなおさらです。私がもっと気になったことは、アンパイアの判定がナダルよりだったことです。あのショットが他の選手のショットだったら、確認すらしなかったでしょう。ナダルの放ったショットだから確認したのだと思うのです。ホークアイを導入するかどうかの前に、公平な判定を求めます。一部の選手に偏った判定こそ、絶対あってはならないと思いました。

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