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アルゼンチンOP準優勝~一人の錦織ファンの脳内を巡る想像

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アルゼンチンオープン決勝、錦織選手は過去5戦で失セットなしの5連勝だったドルゴポロフに敗れ、準優勝で大会を終えました。

ファン心理っていうのは不思議なものです。5連勝して相性のよい相手だから、今回も勝つに違いないと思うか、そろそろ負ける巡り合わせかもな~と思うか。どちらのタイプもいると思いますが、私は圧倒的に後者のバイアスで見てしまいます。昨年の全仏オープンもそうでした。苦手だったガスケに2連勝した後すぐに全仏の4回戦で当たり、どことなく嫌な感じがしたものです。前の試合できつい勝ち方をして、心身を削られた後の錦織に対し、相手がそれ以上のコンディションとモチベーションを持って挑んでくる戦いになると、どうもそういう絵が浮かんでしまうのです。その意味で、2016年全仏は3回戦のベルダスコ戦が伏線でした。今回のドルゴポロフとの決勝も、ベルロク戦の辛勝の後で似た流れにあったように思います。

体力がきつい、調子が悪い。それは誰にでもあること。相手のサービスに対する反応がいつもに比べコンマ何秒遅い、本来のヒッティングポイントに足が20~30センチ届いていない、体がきついので相手の打ち損じを願って追わずに見送る、動きたくないのでヤマを張り外れたら動かない・・・。要するに体の切れも無ければ、勝てる精神状態にもない時です。今回のアルゼンチンオープンでは、既に準決勝のベルロク戦でその片鱗が見え隠れしており、これは決勝で、ドルゴポロフに初勝利を献上するタイミングかもなあ~と思ってしまいました。

「そう思うなら、試合前に書けよ」というご指摘もご尤もです。予測の的中精度を生業にするブログなら本当にその通りなのですが、私も錦織ファンの端くれ、そんな予感がしても勝って欲しいという別の自分がおり、自分で自分のネガティブな部分を文字化して投稿するのはどうにも気が引けてしまうのです。

ドルゴポロフ戦の錦織ですが、既に他の皆様が「覇気が感じられない」とお書きになっているように、メンタル面の負のスパイラルがどうしてこうも簡単に顔に出てしまうのだろうと思ってしまいます。悪いなりに闘争心を剥き出しにし、現状打破を図ろうという内面が見えず、ため息や舌打ちが聞こえそうな、不貞腐れた顔に見えてしまうのは勿体無いことです。恐らく内面では、自分に苛立ちながらも、いま出来ることを考えて試合しているのだと思いますが、どうせポーカーフェイスをするのなら、乗っている時に冷静さを装うのではなく、辛い時にこそポジティブな顔や姿を見せて欲しいです。ファンはそういう選手を応援します。2016年全米のマレーVS錦織戦は正にそういう試合でした。現場で観ていた私が、会場の空気の変化をはっきり証言します。

錦織ファンも応援のスタイルは様々です。私の過去の記事をお読みくださった皆様はご存知かもしれませんが、私はファンとして、世界ランク1位ではなく、グランドスラム1勝を一つのゴールとして声援を送っています。チャンコーチやダンテコーチを含め、錦織陣営が1位を目指して努力していることと、私の応援の姿勢にはギャップがあるかもしれません。でも、程度の差こそあれ、世界ランク1位が「ミスの少ない負けないテニス」を求めている時代です。そこに到達するには、まずは体格、そして柔軟性、怪我の少ないフォーム、体力を温存するサービス力などが必要なわけで、錦織には足りないピースが少なくないと考えています。

一方、上下の波こそ大きいがグランドスラムを勝ち獲った選手に視点を移すと、話は少し違ってきます。例えば、現役ではワウリンカとチリッチです。ワウリンカは既にグランドスラム3勝でマレーと並んでおり、しかもキャリアグランドスラムにリーチまで掛けています。そんな名選手と全米制覇1回のみのチリッチを一括りにしていいのかは賛否があろうと思いますが、話の単純化と思ってご容赦ください。また、グランドスラム1勝のデルポトロも、怪我さえなかりせば・・・の選手なので、このグループには入れません。ここぞのチャンスで、2週間=7試合勝ち切ったワウリンカやチリッチのような選手には、普段の不安定さ、早期敗退したグランドスラムの記憶と裏返しに、よい時には、勝つたびに鋭利になっていくエッジがあると思っています。

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この記事へのコメントコメント一覧

アルゼンチンOP準優勝~一人の錦織ファンの脳内を巡る想像

ukk_chu_ren様

コメントありがとうございました。褒めすぎですよ。

two-set-down様の記事へのコメントでお書きになっていましたが、私も2014年当時の錦織の持つ軽やかさや躍動感に、格上選手をなぎ倒すオーラを大いに感じていました。ジョコビッチのような王道テニスとは別路線の乗せたら恐いテニス。リオオープンの初戦負け(不安・・・と書きましたが、本当にそうなっちゃいました)の辛そうな姿を見ると、つい、あの頃を思い出す自分がいます。

当時との違いは、年齢か、世界ランクか、体格か、戦術か・・・。

でも、陣営の努力は間違っていないと思うし、強さは増していると私も思います。何かちょっとの歯車修正と気持ちのリセットで、自分史上最高の位置に行ける流れも感じるんですよね。

大物撃破やビッグタイトル獲得が特効薬。時間が空くことが、いい方向に作用することを祈りましょう。

ukk_chu_ren様の記事も楽しみにしています。

「アルゼンチンOP準優勝~一人の錦織ファンの脳内を巡る想像」へのコメント

実は今頃読ませて頂きました。
考えておられる事が、奥深くまた非常に明解ですね。
読む度に私もこんな風に書きたいと思いますが、それは不可能そうです。
もの書きを生業にされているのかなと思う程、文書のレベルが高いと感じます。
真似をしてもしょうがない事ですね。
私らしく、続けようと考え直しました。
ただ、今回のブログを読ませて頂いて、少し自分に反省しています。錦織選手の調子が悪かった今この時期だけを捉えて感情的に書いてしまったかな、失礼だったかなと、、それを気付かせる内容でした。
次回も是非読ませて頂きます。

「アルゼンチンOP準優勝~一人の錦織ファンの脳内を巡る想像」へのコメント

kannsenndaisuki様

「GSかMSを優勝できれば一気にーーー」私もそのように思えてなりません。

どうしても届かなかった物への呪縛から解き放たれ時、程よく力が抜け、錦織圭の良さが凝縮されたテニスが、見られるようになるのではないかと。そのためにもまずは一度、気力と体力、ドローと運の配合で流れが引き寄せてほしい。

そのあとならば、若手の台頭が一気に来ようが、圭は圭らしく、悲壮感とは無縁の、存在感のあるプレイヤーとして一線を張り続けられると思うのです。

世代間抗争でも今が踏ん張りところ。ぜひビッグタイトルを手にして欲しいでずね。

コメントありがとうございました。


アルゼンチンOP準優勝~一人の錦織ファンの脳内を巡る想像

とにもかくにも感受性が強くて繊細、対戦相手や観客ではなく自分に対して敏感、頑固。というのが私の圭くんに対するイメージです。

今回はともかくコートコンデションが悪くて、初戦でちょっとモチベーションが下がってしまったのかなと思いました。今年はGS,MSに賭ける気持ちが強くて、ここで怪我をしてはいけないというのが無意識に(あるいは意識して)あったのかなと。決勝での負けを5で止める事よりもGS、MSの方が大きいということなんだと理解しています。

2014年は挑戦者でしたからね。今は世界5位という立ち位置がひしひしとプレッシャーをかけてくるのだと思います。周りからもそうでしょうが、特に自分で自分にかけているところが大きい気がします。チャンコーチが以前「圭は勝ちたいという気持ちが強すぎる」と言っていましたが、1位が目に見えるところまできた今、その思いが強すぎて自分を追い込んでいってしまっているんじゃないかと思います。

リラックスできれば強いことは昨年のIPTLでも証明していると思うんですよ。本番でそういうわけにはいかないんでしょうけど。
ここを乗り切ってGSかMSを優勝できれば一気に突き抜けていく気もします。

あえて意識して自分を追い込んでいっているのかもと思ったりもしてしまいますが、。どうなんでしょう。書いていて、私もわからなくなってきました。

ただ、リオは勝つと思います。割と楽観しています。

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