Moon Ball in the Sun

フェデラーに負けるということ、荒れる全豪場所のこと

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錦織選手がフェデラーにフルセットの激闘の末に敗れました。

同じ日、前の試合で、マレーがミーシャ・ズべレフ(スべレフ兄)に敗れたことで、正直に言うと、ファン心理としては、「勿体なさ」がこみ上げるわけですが、私としてはそれでも、昨年全仏のガスケ戦敗戦に比べると、遥かに消化がよい負けです。悔しいが、とても滋養のある、胃に染み込むような一戦でした。

好勝負でしたが、お互いに悪い時間帯はありました。フェデラーは第1セットの立ち上がり、錦織は第3セットです。第1セット観戦中、私は、「錦織は今日のフェデラーに負ける選手であってはいけない」の思いを強めました。しかし状況は急変します。フェデラーの立ち上がりが、あまりにも悪かったがゆえに、フェデラーが復調の兆しを見せた時間帯に入った直後に揺り戻しの悪影響が出ます。錦織のウォッチ(相手の球のアウトする、とプレイヤー自身が見極めること)の感覚が悪く、痛いポイントを落としことが、タイブレークに持ち込まれる一因となりました。

タイブレークの結果、錦織が何とか第1セットをもぎ取ったとはいえ、5ゲームほど余計に時間を与えたことで、第2セット開始時のフェデラーは、いつも通りのパフォーマンスが出来る状態になっていました。とはいえ、今日のフェデラーのプレーを総括すると、勝者たるに相応しいレベルであったことは明らかで、「錦織の自滅」といった悔やみ方は不要と考えます。何より、ラリーのテンポやコース選択、戦術選択など、テニス感性に親和性のあるフェデラーと錦織の間ならではの、息の詰まる攻防が繰り広げられ、大変見応えのある試合となりました。

立ち上がりからあの調子だったら、並みの選手であれば、“フェデラー・エクスプレス”に乗せられて、気付いたら終わってる・・・といったこともあると思います。流れが来ない中で、耐えに耐え、背中が痛む中でリターンゲームでは体力も温存し、その中でワンチャンスをものにした第4セット奪取は、錦織の非凡なる底力を感じさせます。

***

ちょうど良い機会なので、今日は「フェデラーに負けること」の意味を少しだけ考えてみようと思います。

フェデラーに負けることは、今のテニス界、何やら他のトップ選手に負けるのと少し違った意味合いがあるようです。ファンの思いは人それぞれですが、ネットの世界でテニスファンの声を聴く限り、フェデラーへの負けなら受け入れやすい、というニュアンスがあちこちに感じられます。

これは、「一時代を築いた選手だから尊敬されている」「人格的にも素晴らしく、たたずまいが美しい」、「攻撃的で才気あふれる華麗なプレーが純粋に好き」といった色んな要素があるでしょう。実は私もその一人なのですが、それが永遠に続かないこともわかっています。本人はあと2年ぐらいやりたい話をしていましたが、いずれかのタイミングで、世代交代の波を感じさせるような試合が、フェデラーの身に増えていくのだろうと思います。今日はその日ではありませんでしたが、お互いに敬愛しあう選手どうしだからこそ、錦織は、そういう試合を遠からずフェデラーとして欲しいと思います。

***

荒れる全豪場所。前回の記事でそんなことを書きました。

第1シードのマレーの4Rでの敗戦は、2Rでのジョコビッチの敗戦に続き、今大会を代表する大アップセット事件となりました。第1シード、第2シードがともにQFに残れなかったグランドスラムは、2004年の全仏以来です。その年の全仏は、第1シードのフェデラーが3回戦で敗れ、第2シードのロディックが2回戦で敗れています。前年度優勝のフェレーロは第4シードでしたが、これも2回戦敗退。最後に優勝をさらったのは、ノーシードのガウディオでした。まあクレー猛者が少なくなかった時期なので、他のサーフェスよりは起きやすい事件だったかもしれません。

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「フェデラーに負けるということ、荒れる全豪場所のこと」へのコメント

baru様、大変嬉しく、また興味深いコメントありがとうございます。

フェデラーの頭の中のリセット、これはありそうですね。テニスファンを自称するフェデラーですから、リハビリ期間中は、選手達の熱いゲームに胸を焦がされたことでしょう。
テニスが出来ることの喜び、ランクを落として見える景色の変化など、復活フェデラーの切れ味は、どこか、テニス道の求道者として吹っ切れたような内面世界を感じました。

私はもともと、テニスとは大変メンタル要素の強い競技だと思っています。守る物が多いほど、そして、技術的な引き出しが多いほど、「頭の疲れ」が溜まりやすいのではないでしょうか。そんな状況とフェデ ラーやナダルは長く戦ってきたわけですが、昨年は、ジョコビッチはキャリアGS達成、マレーはランキング1位到達で転機が訪れ、それまでとはメンタル面のバランスに変化が生じていそうです。

錦織戦後、フェデラーが冗談ぽく、自分もGUNだと言っていました。ラオニッチ、錦織、ディミトロフと同じように、今のトップ選手を脅かすグループという意でしょうか。この辺りにも、今の楽しんでいる心境が滲みますね。

Young Gunと言わなかったのは、自分の年齢のためか、錦織達の年齢も含めたものか、ちょっと気になりましたが、その中で、全豪ベスト8に錦織の名がないことが、今になって寂しく感じてきました。

優勝するのにドローなんて関係ないという方もいますが、今大会ほど、「関係大あり」と思ったことはありません。

フェデラーに負けるということ、荒れる全豪場所のこと

はじめまして。
halfwayvolley さんの投稿されたのを確認するといつもわくわくしながらじっくり読んでおります。

私は、技術的なことは何にも語れませんが(苦笑 
それなりにも今回の全豪からビック4を見ていろいろ思うことがあります。

昨日の錦織-フェデラー戦じりじりと錦織選手が追いつめられてゆくのを見ていて、あぁフェデラーは単純に膝のリハビリ&トレーニングだけで半年出場しなかっただけではないなぁと勝手に思ってみていました。
頭の中をリフレッシュさせるためだったのでは?と。長い間トップに居てそれを維持し続けるための精神的疲労はさすがのフェデラーでもたまっていたように思います(凡人だからか?そうおもってしまう?)あと何年か現役でプレーするためには、しっかりリセットする半年の猶予が必要だったように思います。
その間、錦織や同国のワウリンカの試合を見てボルテージを上げたり、研究にも余念がなく、、、
もしかしたら、ナダルもある程度昨年末WTF欠場などしたのは、似ているように感じてしまいます。
何気で、調子良さそう?ラオニッチも撃破???

その反対が、ジョコビッチやマレーかもしれません。
練習不足が言われていますが、練習に集中できない何か、長い間のトップからくる精神的疲れのあるジョコビッチ。。。
トップになったことで無意識のうちに精神疲労が出てきたマレー。。。

ちょっと、考えすぎでしょうか(笑

halfwayvolleyさんが過去の記事でもおっしゃっているように、おおきく変動しそうな男子テニス界が現実となりそうな気がしてきました。

楽しみだった2月のデ杯(初観戦)ですが、単純にテニスを楽しみます!
その分南米シリーズでまたわくわくする錦織選手のプレーを見たいです!

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