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マレーの1位奪取、錦織の今後とテニススタッツへの雑感

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全米決勝から豪快に投稿をサボってしまいました。 もちろんテニス観戦はしっかりしていました。書こうかな、と思うことは何度かありましたが、途中で長旅が入ったり、後述する「投稿ネタの挫折」があったりで2か月弱が経ってしまいました。あやうく自分のログインパスワードを忘れるところでした。

そうこうしているうちに、マレーが念願のATPランキング1位に辿り着きました。今この瞬間、一番強い選手として異論を挟む余地はなく、積み上げてきた実績は生涯最高ランク1位に相応しいものです。GS3勝と超一流としては物足りないですが、GS準優勝とマスターズ制覇数は、これまでの最高位が2位の選手としては異例の素晴らしさです。おめでとうございます。ATPランク1位獲得週は、現時点でフェデラーが302週、ジョコビッチが223週、ナダルが141週、マレー1週となりました。後世にビッグ4の時代を語る際に欠けていたピースの一つが埋まりました。また、マレーが2位になってから1位になるまでに要した7年6か月は近年では最長のようですね。

錦織のシーズン終盤の戦いも固唾を飲んで見守ってきましたが、こちらは想定内の活躍です。願望としては、良い方向に裏切って欲しかったのですが抜け出せず。またATP全体でいうと、5位以下ゾーンの浮沈も割と納得のいくものでした。かつて書きましたように、世間一般の評価に比べると、私はチリッチ、キリオス、プイユ、ズベレフ弟を割り増し方向に、ラオニッチとティエムを割り引き方向に捉える立場(単なる性分や好みかも)なので、ここへ来てのチリッチの爆発は、来るべきものが来たなという感じもします。とはいえ、チリッチも今日はイズナーに屈しましたね。

さて、直近のトーナメントのレビューは、他のブロガーの皆様がそれぞれの趣向で素晴らしいレポートを投稿されているので、今日は1~2歩下がり、普段のテニス観戦の中で感じている個人的な仮説、妄想的なテーマを2つ書かせてもらいます。

(1) 錦織選手への期待

世界ランク1位を目指して欲しいファンも多いと認識していますが、私はしつこくGS1勝で満足できる派。決して錦織の上限を軽んじているわけではありませんが、物事には順番がありますので。この先の男子テニス界、GS優勝者が毎回変わるような群雄割拠の時代に移行し、ATPポイント7,000辺りが1位攻防ラインになれば、錦織の瞬間速的な頂上到達の可能性もないでもないですが、ジョコビッチやマレーが10.000レベルで争っている間は難しいと思います。女子で言えば、GSゼロ勝のウォズニアッキが1位になった例はありますが、やはりGS優勝なしの世界ランク1位のパスは狭い。7,000ポイントといえども、1年内にGS準優勝やマスターズ優勝を相応に積み重ねる必要があるでしょう。世界ランク2位だって相当です。世界ランク2位とGS1勝の難度は前者が上かも知れませんが、後者が放つ金メダル的な達成感は何物にも代え難い。どちらか一つを選べと言われたら、私は迷わずGS1勝です。

世界ランク1位や2位の世界、すなわちGS決勝やマスターズ優勝を短期間に積み重ねる世界に入るのは途轍もなく難しい。フィジカルにも優れ7割の力でトーナメント序盤戦を勝ち上がるような選手、或いは、強力かつ高品質なサービスでフリーポイントの多い選手ならよいでしょう。しかし、錦織のようなスピード・バランス・発想力で足りないものを補う選手が、心身の消耗を抑えてトーナメント前半戦を乗り切るのは容易ではありません。特に、伸び盛りの若手の挑戦を受けたり、攻撃型選手が失うものなきことを幸いとブンブン振り回して来たりするのは厄介です。ということで、序盤の危険性はドロー運も極めて大きい。また、R16以降は実力が拮抗し、フットワークやショットで手抜きを封印させられるので、一度激闘をしてしまうと疲労が抜けづらい。心技体の充実したゲームでトップ選手を破っても次に反動が来る可能性も高まります。

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マレーの1位奪取、錦織の今後とテニススタッツへの雑感

halfwayvolleyさん

錦織に関する方向性について、そんなに違いますかね。私は錦織の目指すところを応援したい想いです。GS制覇も目指しているのでそんなに気にすることではないと思います。UEに関しては勝つための一つの課題と考えているだけです。分析については疑っているわけではなく、驚いているだけです。そこまで踏み込まれたのかという感じです。相関については必ず何かあるはずです。変量に何を取るかにもよると思います。プレースタイルが選手によって異なりますので総花的に分析すると見えてこないかもですね。スタイル毎に分析するとか、錦織にフォーカスすると違った結果はでてくるかもしれません。今後の錦織について分析するとUEが減るとFEが増加するのではないかと思います。勝手なことを言っていますが、今の私には分析するだけのパワーはないです。ご返信ありがとうございました。

「マレーの1位奪取、錦織の今後とテニススタッツへの雑感」へのコメント

私のコメントの最後の方、「敗者のFE」は「敗者のUE」の誤りですので訂正させていだきます。

むろん試合中は、誰もが勝者になるつもりでプレーしているので、これも因果関係を複雑にしていますね。

マレーの1位奪取、錦織の今後とテニススタッツへの雑感

分析についてご質問コメントをいただきましたので補足します。本分析は、錦織選手に特にフォーカスした手法はとっていません。ご指摘いただいたようにUEのデータは入手が限られ、2016年の全米と全英の公式サイトから手に入る情報を1試合1試合クリックしてEXCELに入力しました。その過程で、全米の数字を拾っていたら、2R以下はUEデータの網羅性がないことがわかりましたが、本分析の目的に網羅性は必要ないと考え、ある程度つまみ食いになっています。

挫折したと言いましたが、少しでも意味があったとすれば、下記がそれです。限られたデータの相関分析の結果ですし、散布図を見ると一目瞭然なぐらい標準偏差が大きいので、その中心傾向が意味する所は割り引いてお受け取りください。

・勝者のUEが1増える⇒ 勝者自身ウィナー+敗者FEを0.2増やし、敗者ウィナー+勝者自身FEを0.6減らす。

・敗者のUEが1増える⇒ 敗者自身ウィナー+勝者FEは横ばい、勝者ウィナー+敗者自身FEを0.5減らす

「UEを1増やすに見合う得点がない」と取るか、「意外と敵の攻撃を封じる効果がある、攻撃的UEに絞ればもっと意味があるかも」と取るか、はてまた「総得点に限りがあるので何かを増やせば何かが減るのは当たり前だ」と取るか、これだけでも様々だと思います。また、勝者と敗者で相関が異なるのは、恐らく敗者のFEにはより質の低いミス(得点から遠いもの)が含まれるのでしょう。以上、挫折した分析から一部紹介でした。

マレーの1位奪取、錦織の今後とテニススタッツへの雑感

スポナビブログの場で多くの情報・ご意見を発信されている皆様からのコメント、ありがとうございました。テニス観戦のプロ度の高い皆様は、ご自分でデータ収集・分析をなさっているので、スタッツに関する悩みを広く共有できることもわかりました。


jigyakuteki様
いつもブログ拝読しています。UEの捉え方、錦織に目指して欲しい方向性については、私と違ったお考えであることは承知しておりますが、データの組み合わせによる独自の解釈など大変興味深く、参考になります。なお、今回の分析に関する補足説明は、コメントを別に分割して掲載させていただきます。


massimogucci様
ご見識のあるコメントを各所で拝読しています。私もアメリカ大リーグ観戦の機会がありますが、確かに、日本では見たことのないようなデータ項目があり、調べては感心し、また忘れては調べるの繰り返しです。今回の分析の動機はご賢察の通りです。ご依頼いただきましたダブル投稿の削除は対応させていただきました。


ukk_chu_ren様
感覚観戦さんのテニス愛に溢れたブログ楽しく読ませていただいています。もし私の記事に共感いただけた部分があるとすれば、テニス眼や応援スタイルで共通点が少なからずあるということでしょう。その証拠に、感覚観戦さんのブログに私もよく共感していますよ。


two set down様
この場を借りて普段の感謝の意をお伝えせねばと思います。ブログでの解説、ATPポイントの詳細な解説等が、私のATP観戦をいかに豊かにしてくれたことか。またリアルタイムのツイッターも大変お世話になっております。試合観戦中でのモメンタム変化や戦術選択へのコメントは、試合結果を振り返って後から書くブログとは違う臨場感・緊張感に溢れていますね。しかも、お気に入りの選手だからと楽観トーンにせぬフェアな内容なので、試合を生で観られない時などは特に頼りにしております。今回の分析へのコメントもありがとうございます。ジョコビッチやマレーとは違う、錦織には錦織の完成形があるのだと思いますが、それをデータで補強するまでは行きませんでした。この作業は徐々に前進できればと思います。

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