Moon Ball in the Sun

全米OP生観戦最終回~超人ワウリンカ劇場

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2016全米オープン生観戦シリーズも今回のファイナルで最後になりました。

全米オープンの会場はいつも華やかですが、ファイナルはまだ格別です。売店の商品も少し違います。よく見ると、Tシャツに「2016 FINAL」のロゴの入った限定商品が並んでいたりします。アーサーアッシュ会場では試合開始前の恒例のセレモニー。コート1面を覆う巨大な星条旗を兵士たちが誇らしく広げ、娯楽・スポーツの祭典の中にも厳かな空気が立ち込めます。この日はあの2001年「9.11」のメモリアルデーでもあり、その日付がコートサーフェス横に大きく刻まれています。観客全員が立ち上がって国歌斉唱する中、あの日の記憶に胸を震わせていた米国人も数多くいたこととでしょう。

決勝には数多くのスターが観戦に訪れます。選手のコートチェンジの間、場内スクリーンは、観客席のVIP(マイケル.J.フォックス、ポール・サイモン、往年の名選手ロッド・レーバーなど)を次々に紹介します。全部で30人ぐらいのスターが映ったのではないでしょうか。多くの有名人が会場に花を添え、観客席を湧かせます。

さて、ジョコビッチvsワウリンカの激闘の日から4日が過ぎました。

試合がどんなものだったか。その時間ご覧になった皆様はもちろん、ご覧になれなかった皆様も、多くのメディア記事、コラム等を通じて、確たる評価やイメージが出来上がっていることでしょう。私がこれから書くことも、それを覆すようなものではありません。頂上決戦にふさわしい、手に汗を握る素晴らしい攻防でした。一人のテニスファンとして、グランドスラム決勝に立ち会うのは正に至福の時間です。この舞台に錦織選手が届かなかった無念がないと言えば200%大嘘になりますが、逆に言えば今年の決勝は、(好きな選手が敗れるかもしれないという)失う物がない安心感を持って、世界最高レベルの試合を堪能する時間となります。

今大会でのワウリンカ戦の生観戦は、マルチェンコ戦、錦織線に続いて3試合めです。3回戦エバンズ戦でマッチポイントを握られ、辛くも凌いで生還した後の試合が対マルチェンコ戦でした。あの日のワウリンカは3-1で勝利こそしたものの、集中力を欠いた凡ミスも多く、いつ誰に負けてもおかしくない状態に見えました。もっと言えば、去年の全仏優勝をピークにワウリンカのキャリアは緩やかな下降トレンドに入ったのではないか、準々決勝ではデルポトロに惨敗するのではないかとさえ思っていました。

すみませんでした。私はあなたを理解していなかった。あまりにも思考停止なバイアスをもって見過ぎていた。

多くのファンは、ワウリンカを一言で表現するとき、爆発力はあるがムラがある選手、そんな言い方をします。私もそうです。それはその通りかもしれないけれど、既にGSを2つ制した世界ランク3位の選手を「爆発力」「ムラ」「パワフル」「タフ」「はまれば強い」といった感覚表現で片付けてはいけないのではないか。技術、戦術、メンタル面の素晴らしさにもっと目を向けるべきではないかと今は反省しています。

ワウリンカのショットを横の角度から見て、改めてストロークの質の高さを感じました。フォアもバックも大きなテークバックから溜めて打つタイプなので、基本ポジションは下がりめ。ケモノ表現を借りれば膂力(りょりょく)があり、足を止めてしっかり構えれば、どこからでもエース級の球が打てる。タフによく走るが、フットワークの敏捷性で秀でたわけではなく、バックを片手打ちにすることは(大昔はダブルハンドだったと聞きます。ジュニア時代か?)、腰の旋回パワーの利用だけでなく、攻撃レンジを広げる効果があったと思う。

一般に片手バックの泣き所と云われる高い打点のショットですが、ワウリンカはそれを高いテークバックで迎撃し、厚いグリップで、きっちりスピンの掛かった落ちる球を深く打ち込む技術があります。下がった位置からこれが出来るのはワウリンカだけではないかと思います。もちろん片手バックの名手は他にもいる。フェデラーは天才的なリストワークで多彩な球を打つし、ガスケは面作りの巧さを武器にカウンター気味に左右に打ち分けるのが得意。しかし彼らも万能ではない。

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