2009年03月03日

オーストラリア戦から見るW杯の風景

 日本代表の立ち位置を探る。

<試合結果>
day:2009.2/11
place:Yokohama (Japan)
score:Japan 0-0 Australia
<出場選手>
Japan
--  -- ⑪ --  -- 玉田
-⑧---⑨---⑩- 松井(57分⇒⑯大久保)・田中(83分⇒岡崎)・中村俊輔
---⑦-   -⑰--- 遠藤・長谷部
⑮--④--②--⑥ 長友・闘莉王・中澤・内田
--  -- ⑱ --  -- 都築
Australia
--  -- ④ --  -- ケーヒル(85分⇒⑨ケネディ)
---⑱-   -⑭--- ブレシアーノ(90分⇒⑩カーニー)・ホールマン(64分⇒⑦ガルシア)
--⑯--⑬--⑤-- バレリ・グレッラ・クリナ
⑪--③--②--⑧ チッパーフィールド・ムーア・ニール・ウィルクシャー
--  -- ① --  -- シュウォーツァー

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<序章 ~コウカイ・ヒコウカイ~>
  誰もが予想できた布陣の日本。予想外のクリスマスツリー型で試合に臨んだオーストラリア(私の知る限りクリスマスツリー型を予想していたメディアはない。私も4-4-1-1だと思っていた)。オーストラリアが非公開中心の練習をしていたならともかく・・・日本は、多少なりとも食わされた感がある。
 一方の日本は、憲剛のベンチ外というスペシャルサプライズを用意してくれていたのだが・・・

<試合開始>
 試合開始と共に十八番の猛奪守(ハイプレッシャー)を仕掛けた日本。それに対して慌てることもなく、中盤の底三人でスペースを潰しながら、最終ラインを下げずコンパクトな形を敷いてきたオーストラリア。
 ボールを持てたのか・持たされたのか、ポジションチェンジ(俊輔が下がり、長谷部が飛び出し、松井が自由に動き、田中達也が裏に抜ける)を繰り返しながら走り回るHome日本が、まずは主導権を握った。

 主導権を保持した日本だが、決定的な場面はなかなか創ることが出来なかった。田中達也を中心にコンパクトなDFラインの裏を狙っていたが、サイドにしか空間を与えないオーストラリアのディフェンス(中央をしめている)は、他のアジアのチームと決定的に違った。センターバックのクロスへの対応もさすがで、サイドからの低く早いそれもゴールを奪うまでとはいかなかった。早いタイミングで田中達也がサイドの裏に抜けても、ゴールに近い選手はトップの玉田だけなのは必然か?

<得点の匂い ~内からの飛び出し~>
 そういった意味でも今後の可能性を感じるプレーが、42分にあった。
 リスタートからのビルドアップで、中村俊輔が右サイドでボールをキープする。外側を内田が走り抜け、内側から長谷部が飛び出し、そこにパスが通り、長谷部からのマイナスクロスがゴールを匂わせた形。 外をデコイに、中(ゴールに近い位置)の飛び出しを有効に使う形。これは、EURO’08でロシアがゴールを奪うために多用していた形の一つだ(ロシアはもっとスピード感があるが)。
 体格で劣る日本が、得点を奪う(しかも1トップで)には、“飛び出し”が必須だろう。それも内側(ゴールに近い)を飛び出す、外から中の形が。。。この試合、このような形は58分にも見られた(サイドは左、以下省略)。

<仕掛ける意識とポゼッション>
 前半はその他に目立ったことはなかった。強いて挙げるならば、松井の意識の高さを挙げたい。多くの人が、彼の“守備での頑張り”を評価していたが、私は“ゴールに対して仕掛ける意識”を挙げたい。やはり彼のドリブルと一瞬のアイディアには、ゴールの可能性を感じる。事実、日本最大の得点源であるセットプレーを、一番良い位置で奪ったのも松井の仕掛けだった。
 
 後半。オーストラリアは、時間の経過と共に徐々にラインを低くしていった(特に60分過ぎから)。得点1ではなく勝ち点1を奪いにきたオーストラリアに対して、ボールを保持した日本は何が出来るのか。そこに注目すべき後半だった。

 岡田監督が率いるこのチームは、ポゼッションが許されるときに、攻撃サイドをなかなか変えないというのが特徴(特にサイドが詰まったときに)の一つである。
 サイドを突く(前線がボールを引き出しアタッキングサードに運ぶ)→ボールがパサーに戻ってくる。この一連の流れの後に、岡田監督が求める(プライオリティの高い)プレーは、“再度、同サイド攻略を試みること”なのだろう。おそらく、細かい動き直しを繰り返し、狭いエリアで連動しながらひつこく崩すというイメージ。このチームの攻撃サイドが変わるのは大体、三度四度チャレンジした後となる。これは、前身の代表チームとは明らかに違う特徴だ。
 残念ながら、その細かいエリアで繰り返されるチャレンジが実を結んだという実感が、私にはまだない。このまま追求しても、“相手に時間という余裕を与えるだけという結果”に陥りかねないとさえ思っている。

<得点の匂い ~効果的なサイドチェンジ~>
 そんな中、一筋の光が見えたプレーがあった。
 69分。田中達也が左サイド(やや低い位置)でボールを受け、戻す。俊輔と遠藤を中心に、もう一度、同サイドにチャレンジする(二度目。この瞬間、遠藤は逆サイドの内田の位置を確認している)。再びボールが戻ってくる(人数を懸け深い位置まで運んだ後)。遠藤はサイドチェンジを選択。そのボールを受けた内田が中に切れ込み、逆サイドから中央に走りこんだ遠藤にパス。パスを受けた遠藤はダイレクトでシュートを放った場面(シュートは強烈だったがキーパ正面)。
 この一連のプレーはとても効果的だった。少ないタッチ数でボールを深い位置まで運び、比較的早いタイミングでサイドチェンジを行う。フィニッシュは、創り出した中央の空間を利用する形。この一連のプレーに得点の匂いを感じたのは、遠藤のサイドチェンジがベストなタイミングで正確に行われたことが大きいだろう。

<田中達也と日本の守備> 
 この試合先にも述べた通り、田中達也は前線からとにかくボールを追い回していた。こういった前線からの守備は確かに大切だ。しかし彼は、後半60分を過ぎれば完全にガス欠状態となっていた。
 そもそも、前線からの追い回しを続けることが、オーストラリアのバックラインに対して効果的だったのだろうか。私はそう思わない。落ち着いてボールを回すオーストラリアに対して、余分な体力を消耗しただけのように感じる。
 
 では田中達也が、今後代表で追求していくべきプレーは?
 そんな問いに私は、“バイタルエリアでたくさんボールを引き出すこと”(今、行っていること)と“そこからの仕掛けの量を増やすこと”(アタッキングサードでの勝負)と、答えたい。端的に言えば、激しい動きの中で自分の最大の武器を使えるようになることだ。
 試合を通して前線から追い回し続けることが得点を奪う手段となるなら、体力を消耗してでもそれを追求すべきだろうと思うが、オーストラリアにもほぼ往なされたのだ。W杯本大会レベルの相手にも1試合通してまず通用しないのは明らかである。
 それならば今後は、相手の良さを消す意識を高めたり、ボールをどこで奪うかを明確に設定していく必要があるのではないだろうか。そんな組織の中に田中達也の運動量と俊敏性を取り入れてこそ、本当の舞台(W杯)での活躍がやっと見えてくるだろうと感じる。

 ここまで、岡田監督は、人(特にボールマン)に対する守備意識をかなり高めてきた。これかれは、次の段階だ。得点を奪うための守備・勝ち点を奪うための守備・相手の良さを消すための守備。アジア仕様の守備から対世界仕様のモノへ・・・そういった具体的かつレベルの高い組織を構築していくべきだろう。

<試合終了>
 試合終盤、それといった見せ場もなく試合は終了した。勝ち点1獲得という結果は、日本にとっても悪くはない。しかしこの一戦が、W杯で勝ち点3を挙げるための試合になったかといえば、そうではない。この試合は、あくまでW杯に出場するための試合だった。
 もちろん、オーストラリアが勝ち点1を目標にしてきたこともあるが、日本に“勝ち点1を狙う相手から勝ち点3を奪うための気概や戦術”が足りなかったことも事実だろう。
 リスクを軽減しながら、極めてスタンダードな交代だけを選択した指揮官。W杯勝ち点3獲得のためには、終盤に闘莉王を上げるだとか中村憲剛や巻で得点を取る試みを行うとか、そういった“武器”を研いでもよかったのではないかと、私は感じている。

<終章 ~すべてはW杯のために~>
 武器を使う判断とタイミングを追求することを、今後の日本は強く求めていくべきだ。見極める力がなければ、W杯での勝利はありえない。
 この試合の長谷部誠はよく走っていた。3列目から前線に何回も飛び出し攻撃に絡んでいた。しかし、あまりにも飛び出す(使われる)ことに集中しすぎて、徐々に相手にとって脅威でなくなっていったことも確かだ(最大の見せ場は、やはり42分だった)。
 日本は、様々な状況を見極めるレベルにきている。そこを追求できるようになれば、“アジア以上、世界未満”という現状を打破できるようになるのではないだろうか。
 すべてはW杯のために・・・リスクを冒す判断とタイミングの見極めについて取り組むことが最重要だと、私は考える。
 「リスクをおかせっ!!日本人よ。」そんな彼らの背中を、微力ながらも後押ししていきたい。


Japan
監督:岡田武史
フォーメーション:4-2-3-1
ビルドアップ:ショートパス
攻撃エリア:DFラインの外裏をつく(ポジションチェンジを頻繁に行う)
DFラインの高低:やや高い
マーキング方式:人への意識が強いゾーンプレス
攻守の人数バランス:攻撃55%守備45%
セットプレーの守備:マンツーとゾーンの併用
CKのキッカー 右:中村俊輔 左:遠藤
Australia
監督:ピム
フォーメーション:4-3-2-1 (クリスマスツリー)
ビルドアップ:トップに当てる
攻撃エリア:後方で組みたて、トライアングルで打開する。
DFラインの高低:普通
マーキング方式:コンパクトなゾーンを敷く
攻守の人数バランス:攻撃40%守備60%
セットプレーの守備:ゾーンを主体とする(一部マンツー)
CKのキッカー 右:ブレシアーノ 左:ブレシアーノ

※西部謙司氏の戦術リストランテ方式を一部参考にしています。(リスペクト)
※あくまで1試合のレポートなので相対的な構成となっています。


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あとがき: ドイツW杯、オーストラリア戦。「1点追いつかれたときに、『同点でいい』と切り替える力がなかった。」と、中澤は語っていた。あの試合で逆転されたのは、日本に状況を見極める力がなかったからだろう。
 このオーストラリア戦。勝ち点1獲得という相手の目的に、簡単に合わせてよかったのだろうか。いずれにしても、本大会で後悔だけはしたくない。ドイツのときのように・・・

posted by オクジョー |16:37 | 日本代表 | コメント(1) | トラックバック(0)
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オーストラリア戦からの考察 (W杯最終予選)

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posted by 奥城 | 2009-03-03 17:03

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