阿佐智の「アサスポ・ワールド・ベースボール」

アジアシリーズ2012・プサンの悪夢

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 参加5か国、6チームとなった今大会のフォーマットは、2グループに分かれて総当たり戦の予選を行ったあと、各グループのトップチームがアジア王者をかけた決勝に臨むというものになった。
 韓国の2チームはそれぞれ別のグループに振り分けられ、ゲスト参加のロッテは優勝候補筆頭の巨人と同じグループに入って、オーストラリアチャンピオンのパースとリーグ戦を行い、韓国チャンピオンのサムソンは、台湾王者のラミーゴ、チャイナスターズと同じグループに入った。つまり、主催者側の目論見としては、「安全パイ」の中国とオーストラリアをそれぞれのグループに振り分け、ロッテ対巨人、サムソン対ラミーゴで決勝進出を争い、最終的には、日韓のチャンピオンがアジアナンバーワンをかけて決勝で雌雄を決するという絵を描いていたのだろう。

 ただ、予選2試合というのは、1つでも星を落とすとその時点で、決勝への道は絶たれる可能性が高い。その実力差からパースとチャイナが星を挙げることは考えにくく、ということは、巨人にしても、サムソンにしても「万が一」ということは当然考えられる。

 そして、その「万が一」が起こってしまった。
 2日目、デーゲームで初登場となった巨人は順当にパースを破った。スコア的には「楽勝」だったが、実際は5回まで両軍無得点で、6回表には巨人はパースに先制を許している。これに原監督もたまらず、「代打の切り札」、阿部を打席に送った。日本シリーズで痛めた膝の不安があり、この日はベンチスタートとなった阿部は、この起用に見事応え、決勝タイムリーを放ち、これをきっかけに終盤巨人が得点を重ねた結果、7対1というスコアになったが、メジャー経験もある先発クラゲットの前に5回まで打線は沈黙していた。最終的にはオーストラリア野球の弱点であるリリーフ投手の弱さが露呈して終盤の大量得点となったが、打線はみずもの、好投手が踏ん張れば短期決戦はどう転ぶかわからない。

 なお、パースの4番手には、この大会のためにシドニーから「レンタル移籍」してきたク・デソンが登板したが、オーストラリアで余生を楽しむ元メジャーリーガーの球は、往年と比べるまでもなく、巨人打線の餌食になり、3失点(自責点1)でワンアウトしかとれず、凱旋登板を飾ることはできなかった。

 悲劇は、ナイターで起こった。決勝進出の大本命、サムソンがラミーゴに完封負けを喫したのだ。今年途中までアメリカ独立リーグ・アトランティク・リーグでプレーしていたマイケル・ローリー(雷力)にサムソン打線が封じ込まれたのだ。台湾は、これまでもアジアシリーズに対して「本気前回モード」で外国人選手も基本的に帯同させる。日本や韓国と違い、まだまだ資金力に乏しいリーグ事情を反映して、台湾の助っ人外国人は、せいぜい2Aか、最近はアメリカ独立リーグの選手も多い。彼らにとっては、アジアシリーズはまたとないショーケースで、韓国や日本で契約を勝ち取るべく、目の色を変えてプレーする。サムソンは、この気迫に圧倒され、ついに得点をあげることができなかたのだ。すっかり古巣巨人と対戦するつもりでいたイ・スンヨプも4タコに終わり、明日のチャイナ戦を前に、大会最多の4度の出場を誇るサムソンの予選敗退が早くも決定してしまった。

 それにしても、昨年に続き、地元のチームが決勝に進まないという事態は、主催者側から見れば悩ましいことだろう。今日巨人にロッテが勝てば、熱狂的な地元ファンで決勝のスタンドは埋まるのかもしれないが、「本命」の巨人が出ないことには、やはり盛り上がりに欠ける。そういうわけで、今日の試合は、決勝を前に今大会のクライマックスになってしまいそうな予感がする。

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