阿佐智の「アサスポ・ワールド・ベースボール」

イタリアリーグ・プレーオフ、ボローニャ対サンマリノ、GG佐藤登場(8月3日)

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 イタリアン・ベースボール・リーグ(IBL)のプレーオフは、8球団中のレギュラーシーズン上位4チームによる各3回の総当たり戦で行われる。1日の試合で上位3チームが同率で並ぶ中、レギュラーシーズンを同率首位で通過したユニポール・フォルティトュード・ボローニャ1953だけが2勝5敗と苦しんでいる。この日からは最後の2連戦。1つでも負ければ、ボローニャはファイナルシリーズへの可能性がなくなる。

 イタリア野球を日本におなじみのものに変えたGG佐藤(前西武)は、ボローニャの主砲としてこれまでチームを牽引してきた。イタリアへ来て4か月、イタリア語の習得にも熱心な佐藤は、すっかりチームにも溶け込んでいた。

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 彼はイタリアへ来た理由をこう語る。 「西武をクビになって引退っていう選択肢もあったんですけど、最後に野球を楽しみたいなって。日本では苦しいことばかりでしたから。プロなんだからそれも当然と言えば当然なんですけど、子供のとき好きで始めた野球じゃないですか。だから最後は、もう一度、野球を大好きになって終わりたかったんですよ。」  イタリアにプロ野球があったことは知っていたという。しかし、それがどのようなものなのかは全く知らなかった。 「イタリアには憧れみたいなものがあったんですよ。ファッションとかね。大学の先輩にボローニャで働いた経験があって、チームともコネクションを持っている人がいたんで、その人を通じて入団しました。」  試合は夜9時に始まった。野球だけでなく、オペラなどのショーもこの国は、食事をゆっくりとった後のこのくらいの時間から行われる。試合が終われば日付が変わるのが当たり前のこの開始時間にも、GGは慣れたという。  先発は、ボローニャがWBC代表左腕のパネラーティを立てれば、サンマリノも代表常連のイタリア系アメリカ人クーパーで臨んだ。
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初回、ボローニャは、イタリア球界屈指の好打者カルロス・インファンテの内野安打を足掛かりに3番リベルティアーニのレフト前ヒットで先制した。続く4番GGも、自画自賛のライト前ヒットで続いたが、後続が凡退して1点止まりに終わった。  2回にもボローニャは2点を挙げ試合を優位に進めたかに見えたが、3回に突如パネラーティが制球を乱す。先頭のビッタールに四球を与えると、2番アバニーナにカウントを整えにいった甘い球をライトフェンスオーバーされる。その後も1点を取られ、この回3四球で同点に追いつかれる。 「突然乱れるんだもん。どうなってんのって感じですよ。」と試合後、佐藤もこれにはあきれていた。    続く4回オモテにもボローニャのパネラーティは、先頭打者の四球から2点を失い、ついに逆転される。ボローニャもその直後に3回からマウンドに上がったサンマリノ、グラナドスから9番ダミコホームランを放ち追いすがった。そして、5回ウラ、3番リベルティアーニのツーベースに続き、GGがこの日3安打目になるライト前ヒットで続き、2盗を決め、ノーアウト2,3塁という絶好のチャンスを作った。しかし、この後、5番カステリッが三振に倒れ、6番バグリオのサードゴロで飛び出した3塁ランナーのリベルティアーニがあっさりタッチアウトとなった。それでもランナーを1,2塁において7番サバターニが打席に立ったが、この日、すでに2三振を喫しているサバターニは、ここでも見逃し三振に倒れ、無得点に終わった。この見逃しストライクの判定にボローニャベンチは納得がいかず、ベンチを飛び出すが、判定は覆ることはなかった。先日のネットゥーノの試合もそうだったが、この日も審判のジャッジには疑問が残るものが多く、各チームとも審判に対しては不信感を募らせているようだった。  審判のミスジャッジの極めつけは、次のサンマリノの攻撃でおこった。8番パンタレオーニのレフトへの大飛球は、フェンス上部に当たった後、視界から消えていった。必死に走るパンタレオーニを制止する3塁コーチに、腕を回す3塁塁審。GGはコンクリート製のレフトに張り付けられたラバーをはがしている。フェンス上部に当たってスタンド(はないのだが)インしたように見えた打球は、コンクリートの壁とラバーの間に挟まったようだった。
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 GGがボールを発見し、アピールする。それでも塁審は一旦下したジャッジを変えることはなかった。ボローニャ・ナンニ監督が3塁塁審のもとへ走り寄り猛抗議をするが、審判はGGから投げ渡された「証拠」のボールをボローニャベンチに向けて転がし、抗議をはねつけた。審判側としては、そのボールがパンタレオーニの放ったものかどうかの証拠はないということだろう。  この攻撃が終わったあと、ベンチに戻りながらGGは吐き捨てた。 「これがイタリアン・ベースボールだ。」  結局、ボローニャはこのあと1点を返したものの、1点差で敗れた。その意味では、「疑惑のホームラン」が、試合を決めたと言える。  GGは、ボローニャが1点を返し、なおランナー2,3塁で迎えた6回裏の第4打席は敬遠、1アウトランナー1,2塁で迎えた8回の第5打席はサードゴロに終わり、IBLのシーズンを終えた。最後の打席は、チームにとっても逆転のラストチャンスと言えたが、ここでダブルスチールが試みられ、スタートの遅れた1塁ランナーが2塁で憤死し、打席での集中力をそがれた形になった。このジャッジも、タッチを見にくいはずの3塁塁審が判定した微妙なものだったが、GGにとっては、判定自体はどうでもいいことだった。 「あの場面で、走りますかね。4番にどっしり構えて打たせないと…。今日3安打ですよ。 そういうことはこっちの選手は全く考えないですね。イタリアの野球に物申すとすればこういうことですかね。こっちの野球は、結局思い切り振って、投げて、走るだけなんですよ。彼らが見る野球と言えば、メジャーリーグだけなんですよ。テレビで見た豪快なホームランを自分も打とうと思ってやってるんでしょうけど、イタリア人選手は小柄でしょ。だからもっとアジアの野球なんかも勉強した方がいいと思います。そういう意味では、まず、自分がいい成績残して、彼らから一目置かれる選手になって、日本の野球を伝えていきたいですね。」  GGのIBLでのシーズンは、この夜で終わった。チームはこの後、リーグ戦の敗者復活戦ともいえる「コパ・イタリア」に出場するが、これには外国人選手であるGGは出場できない。しかし、この大会の後、9月初めには、欧州のクラブチャンピオンを決める「ユーロ・ファイナル4」が待っている。 「とにかく、ヨーロッパチャンピオンになって帰りたいですね。」  帰国後の予定は決めていないという。イタリアが選手生活の最後という気持ちもあるが、NPBへの復帰を考えないこともない。来年もイタリアでプレーするかもしれない。IBLへのチャレンジを「とにかく今年1年」という気持ちで乗り切った2012年シーズン、GGは存分に野球を楽しんだ。 「イタリア来てよかったですよ。自分は、やっぱり他人と同じことはやりたくない。イタリアで初めてホームラン打った日本人が僕なんですよ。2000本安打打った人はたくさんいるけど、ここでホームラン打った人間は僕だけですからね。」  では、来年は、彼にはまだまだ野球を続けてもらって、イタリア初の日本人三冠王にでもなってもらおう。




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