阿佐智の「アサスポ・ワールド・ベースボール」

拡大するベースボールのネットワーク―2015年世界プロ野球の国別ロースターから10:送出国側からみたベースボールのプロ化の広がり 後編

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アジア・オセアニア:野球界の「ブルーオーシャン」  東アジアを除くアジア、オーストラリアを除くオセアニアはいまだ「野球不毛の地」と言ってよい。それでも中国、インド、タイ、ミャンマー、ニュージーランド、グアムから「プロ野球選手」が出現している。アメリカ領であり、かつて読売巨人軍が春期キャンプを行っていたグァムや北京五輪にも出場した中国からMLB傘下のマイナーリーグに人材が供給されるのはある意味当然とも言えるが、その他の地域にも野球は確実に広がりつつある。  インド人選手については、現地テレビ局の企画で行われたスカウティングが、映画『ミリオンダラーアーム』の題材となったことを知っている人も多いだろう。今回の調査で見つかったマイナーリーガーは、この映画の主人公のモデル、リンク・シンである。しかし、この企画後、インド人プロ野球選手が誕生していないことは、クリケット、カバディというナショナル・スポーツが、グローバル・スポーツであるサッカーをも駆逐しているこの国での現状以上の野球普及が難しいことを示している。  2人いた東南アジア出身者は、ともに日本の独立リーグに在籍していた。そのうちミャンマー人選手はアフリカ同様、日本人による普及活動の結果、独立リーグ入りを果たしている。このことはプロリーグとしては比較的プレーレベルの低い日本の独立リーグが、野球新興国のトップレベルの選手の目指す場所となっていることを示している。   中南米カリブ:アメリカの後背地の拡大  プロのウィンターリーグが存在する国とキューバ以外は、サッカーが国技となっていると思われているこの地域だが、野球の組織化は次第に進んでいるようである。  今や国際大会の強豪となったオランダナショナルチームを支えるキュラソーをはじめとするカリブ領出身者は、2008年と比較すると、26人(2008年)から45人と激増している(冬季リーグにおいては変化なし)。  先般、『中南米野球はなぜ強いのか』を上梓した中島大輔によると、この地域では1990年代前半まではサッカー人気が野球人気を凌いでいたという。この状況は、アンドリュー・ジョーンズのメジャー昇格とその後の活躍により、大きく変わり、キュラソーは今や人口比ではドミニカを凌ぐ「メジャーリーガー製造工場」となっているという。  オランダ領カリブだけではない。ブラジル出身者の数も、夏季リーグで6人から17人と激増している。この国は2013年WBCで予選を通過し、本選出場を決めるなど、国際大会においても着実に実力を伸ばしているが、この背景には、MLBのスカウト活動の活発化とそれに伴う国内での育成システムの整備の結果として国外のプロリーグに移動する選手の増加があると考えられる。  このほか、今回の調査の後のことにはなるが、近年、カリブ海の小国、バハマで野球場が造られたり、グアテマラのナショナルチームがメキシコのウィンターリーグのひとつ、リガ・エスタータル・インビエルノ・ベラクルスと交流試合を行う(2017年)、ホンジュラス、エルサルバドルのアマチュアリーグに、各々の国出身のマイナーリーガープレーするなど、 MLBの影響の元、中南米カリブ地域の「野球不毛の地」にも着実に野球の種が蒔かれ、プロ化が進んでいることがうかがえる。  今後も、この地域にはプロリーグがない国が多いものの、国外でのプレーを選手が目指 した選手の流出の波は続くであろう。 tiuki



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