阿佐智の「アサスポ・ワールド・ベースボール」

イタリアンベースボールリーグレポート2017(ノヴァーラ対パルマ,8月11日)

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 イタリア共和国ノヴァーラと言っても、あまりガイドブックにも載っていない町なので、訪ねる日本人も多くはないだろう。それでも、ちょっとした町ならローマ遺跡か町自慢のドォーモ(大聖堂)があって他の町との独立性を重んじるこの国にあって、この町はそれらを共に持ち、クーポラと呼ばれる高い塔が自慢の教会もある。  そして、このクーポラをユニフォームの端にデザインしたユニフォームをまとうプロ野球チームもこの町はもっている。ノヴァーラ・ベースボールクラブは今年で50周年を迎える伝統あるチームだ。 キューポラ

 と言っても、このチームが「プロ野球」チームであった歴史は決して長くない。ひょっとすると今でも純粋な「プロ野球」チームではないかもしれない。日本やアメリカのようにプロとアマの境界はヨーロッパでははっきりしないのだ。  プロリーグであるイタリアンベースボールリーグ(IBL)が発足したのは、2010年のことである。1948年発足のこの国の野球リーグは、他のスポーツと同じように、セリエAを頂点とする上下の入れ替えのあるオープンリーグとして存在していたが、ヨーロッパではどのスポーツにしても、下位レベルであっても選手に多少の手当てが支給されることは珍しくなく、野球の場合も、セリエAくらいになると、外国人選手はもちろん、国内選手にもそれなりの月給を手にするプロ選手も存在した。  そういう中、トップリーグの充実と強化を図るべく、発足したIBLは、「本格的なプロリーグ」を目指して、アマチュアリーグのセリエとは入れ替えのないクローズドリーグとし、加盟各球団に、1.ファームチームの保有(実際はアマチュアチームと契約をし、ロースターから外れた契約選を預けた)、2.全選手への報酬の支給(これも徹底はしていなかったようだ)、3.入場料の徴収を義務づけ、これに賛同したセリエAのクラブ8チームで構成された。発足3シーズンくらいまでは、試合数も週末、金曜と土曜のダブルヘッダー(日曜はサッカーと重なるので試合はなし)とし、1シーズン42試合を行うようになった。、また、投手の起用に関しては、金曜は外国人助っ人、土曜の第1試合は、ASIと呼ばれるイタリア国籍をもつ外国人選手、第2試合がイタリア人投手と制限を設け、国内選手の育成にも配慮していた。  しかし、この改革も、観客の増加を生んだわけでもなく、国から野球連盟(IBLは野球連面により運営されている)の補助金の根拠でもあった五輪競技からの脱落と復帰の見込みが立たなかったこと、などもあり、野球人気ははすます下火になり、この規定についていけない球団が毎年のように脱退していく中、規定も年々緩くなって、今ではリーグの実態は旧セリエA(現在もセリエAはアマチュアのトップとして存在している)と何ら変わらない状態になっている。  旧セリエAの常連だったノヴァーラがIBLに加盟したのは昨シーズンのことらしい。存続の危機に立たされたクラブを3年前に引き受けた地元鉄工会社を経営するシモーネ・ピリシオ氏の尽力でなんとかプロ球団としてトップリーグ復帰を果たした。  現在、唯一のチームスポンサーとなり、自ら球団のチェアマンを引きうけているシモーネ氏。どうして野球のスポンサーになったのかと尋ねると、自らは柔道をし、この町自体がイタリアの米どころとして、米作地域である台湾との関係が密接であることなど、野球の盛んな東アジアとの縁を挙げたが、決定的なのは彼の妻がドミニカ人であることだった。この妻は、試合のある日は、2人の妹とともに、球場のバルを切り盛りしている。 「チームを支え続けてきたけど、もう限界だよ。本業もあるし、休みはないね」と、シモーネ氏。来シーズンは他にスポンサーを探すという。  球場  球場は、町の北端にある駅から南西に3.5キロ。サッカースタジアムがひときわ目立つその横にひっそりとたたずんでいる。 ネット裏から1,3塁のベースの手前までに7段ほどのスタンドしかない小さなスタジアムだ。

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