阿佐智の「アサスポ・ワールド・ベースボール」

メキシカンリーグ、メキシコ系アメリカ人を巡って分裂

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ariasu (オリックス、阪神などで活躍したアメリカ人、ジョージ・アリアスもかつてはメキシカン・アメリカンとしてメキシコでプレーした)

 昨年来、メキシコでは、メキシコ系アメリカ人についての議論の火種がくすぶっている。彼らの存在はWBCなどの国際大会では強力な戦力となるが、メキシコ人的にはやはり「国産」の選手で戦いたいところもあるだろう。国内リーグ、メキシカンリーグでも彼らの扱いを巡って議論が繰り返されているようだ。  先に行われたリーグの会議で、資金力豊富で国内で選手を育成する余裕のあるメキシコシティ・ディアブロスロッホスとキンタナロー・ティグレスを中心とする8球団は彼らを「外国人」とみなすべきだと主張、それに対し、優勝チーム、プエブラ・ペリーコスやユカタン・レオーネスなど7球団は外国人扱いせず、メキシコ人選手として迎え入れるよう主張した。身売り手続き中のブロンコスは議論に入らなかったという。

 現在メキシカンリーグの外国人選手枠は6、ロースターを見る限り、メキシコ系アメリカ人はこの枠に入っていないようだ。そもそもともに二重国籍を認めているので、彼らを外国人扱いできるかという問題はあるだろう。メキシコに生まれても、高校教育はアメリカで受けている者は多いし、メジャーにまで上り詰めた選手の多くは、居をアメリカに構え、市民権を得てしまう。そういう「メキシコ系アメリカ人1世」と2世、3世を区別していいのだろうか。   彼らを「外国人」扱いすべしというディアブロス・グループは、MLB球団とも提携を図っているので、国内選手を十分に育成でき、またこの6人枠でアメリカから優良「助っ人」を獲得できるめどが立つため、メキシカン・アメリカンもこの枠で十分だと言う認識である。  これに対し、国内選手の育成に十分に金をかけることができない球団は、とにかくアメリカからギャラの安い選手をかき集めて、「当たり」を待ちたいようだ。そのことで国内選手のチャンスがなくなるが、どのみち、国内では十分にスカウティングできていないからさほどデメリットにはならない。ペリーコスもレオーネスもこのやり方で今季も好成績を残している。これに、資金豊富な球団が異議を唱えたようである。  確かに、アメリカからの人材に頼っていると国内の選手が育たず、国際大会で「純血」チームでは勝てない状況も生まれるかもしれない。  メジャーへの選手の一極集中が進む今、この問題は世界のプロリーグ全体が抱える問題である。先日、楽天の三木谷オーナーがNPBの外国人枠を撤廃すべしと発言したが、大砲不足が深刻化する日本でそれをしてしまうと、ナショナルチームから本当に主砲がいなくなる恐れもある。「そういう外からくる大砲に打ち勝つ選手を育てる」と言えば聞こえがいいが、現実にはチームの補強というのはそのチームの弱点を補うのであって、その弱点を育成で簡単に補えるのであるならば、そもそも外国からわざわざ選手を呼び寄せる必要もない。メジャーへの人材流出が国内リーグの衰退を招くのは、現在の中南米のウィンターリーグが示している。現在これらのリーグは完全にメジャーのファームと化している。     メキシコでは、これまでも、メキシカンリーグは国内プロを経由せずに直接MLB球団と契約した者に対しては、メキシコに戻ってくる際、ブラックリストに入れ、アメリカから戻る際制限をかけていたという。

 グローバル化によって国境の垣根が低くなる中、プロスポーツの世界ではこのような問題はどこででも起こるようである。

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この記事へのコメントコメント一覧

メキシカンリーグ、メキシコ系アメリカ人を巡って分裂

TCE00075737様

コメントありがとうございます。
日本の選手に例えると、ということですが、互いの国内の知名度も環境も違うのでなんとも言いにくいですね。また、メキシコなど野球の情報については、当ブログおよび、私が寄稿している、スポルティーバ、クリッピー、ベースボールチャンネルなどで入手をお願いいたします。

「メキシカンリーグ、メキシコ系アメリカ人を巡って分裂」へのコメント

阿佐様

初めまして。今回初めてブログにコメントさせていただきます。

当エントリーと直接関係ないかもしれませんが、メキシコにおけるアマダーは、今の日本における中田のような感覚なのでしょうか?

メキシカンリーグ、メキシコ系アメリカ人を巡って分裂

阿佐様

はじめまして。
メキシカンリーグの記事いつも楽しく拝見しています。

現在のメキシカンリーグの状況をもっと詳しく伺いたいのですが、メールなどでのやりとりは可能でしょうか。
お返事お待ちしております。

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