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9回裏の見えない打線(2017WBS準決勝 3月22日 アメリカ×日本)

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 9回裏の日本の攻撃、1人目の打者の中田はピッチャーゴロ、2人目の坂本はショートゴロ。どちらも内野安打にはなりそうもない当たりとコースのゴロでした。だから、二人とも一塁まで全速力で駆け抜けなかった。雨でぬかるんだグラウンドであっただけに、最後の力を振り絞れば怪我の可能性はゼロではない。長いペナントレースを控えたプロ選手、しかもチームの主力であるプロ選手としては当然で仕方ない走りだった。そういう見方があります。  ただ、この走りによって「打線」が切れてしまった。そういう見方もあります。

 「打線」という言葉は、打者が連続してヒットや進塁打を打った場合、特にそれが得点につながった場合に使われるものです。たとえば、「打線がつながりました!」などとアナウンサーは発します。一人一人の打者が塁に出たり、走者を進塁させた時に、「打線」という言葉は強く意識されるわけです。  言い換えるなら、攻撃側に有利な塁上の動きが「目で明らかに確認」できれば、一人一人の「打」者が「点」ではなく「線」としてつながった、という意味合いで使われています。  でも、これはちょっと違う。限定された「打線」という言葉の用法だと思うのです。なぜなら、野球は走攻守、心技体で成り立っているから。目に見えない要素もあって、打線にも該当します。

 今回の9回裏の攻撃場面で言うなら、中田と坂本の「走」です。彼らが、確実にアウトになることが分かっていても、一塁まで全速力で走れば「打線」はつながったのではないでしょうか。  つまり、前の打者の「走」という「技」が、「心」として伝播する。その「心」が、次の打者の「攻」に伝わる。そういうふうに「打線」がつながった可能性があったと思うのです。さらには、諦めない姿勢は相手チームに対して「守」のプレッシャーを及ぼすこともあり得る。結果、続く打者が出塁し得点にも結びついたかもしれません。  「打線」にも見える面と見えない面があるのです。

 9回裏の日本の攻撃、1人目の打者の中田はピッチャーゴロ、2人目の坂本はショートゴロ。どちらも内野安打にはなりそうもない当たりとコースのゴロでした。けれども、高校球児のように全速力で走ればどうだったのだろう。  選手の怪我の可能性がゼロではない、と同時に、サヨナラゲームの可能性もゼロではなかったのではないでしょうか。たとえ一塁でアウトになったとしても、一人一人の打者が打「線」となり、それが「波」となって試合を揺り動かす可能性があった。「打線」が大きな「打波」となって、相手を「打破」していた。かもしれません。



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