2008年06月26日

ドイツ3-2トルコ ~火事場のクソ力

 ミラクルの連続で準決勝まで勝ち上がってきたけど満身創痍のトルコ、試合を重ねるにつれてドイツらしさを発揮しているドイツ。格としてもコンディションとしてもドイツ圧倒的優位なんだけど、トルコはここまで火事場のクソ力みたいなものを発揮してきたチームで、むしろ追い込まれれば追い込まれるほど強い、みたいな不気味さがある。
 というわけなのかどうなのか、立ち上がりは慎重に様子を見てきたドイツ。一方のトルコはエンジン全開。トルコが先制するまでこの展開が続くんだけど、この展開を「トルコがドイツを押し込んでる」と見るか、「ドイツが手堅く様子を見ている」と見るかは難しいところ。オレにとっては、優勢かどうかの判断基準ってのがあるんだけど、それは相手の攻撃をどこで食い止めてるか。「①中盤だけでボールを奪えてる」、「②ディフェンスラインと中盤が挟んで奪ってる」、「③中盤が突破されてディフェンスラインが耐えてる」、「④ディフェンスラインも破られてフィニッシュまで持ち込まれてる」と、後者になるに従って状況はヤバい。この試合のドイツは、いきなり②と③の中間ぐらいの状況だった。②は全然セーフで、③はかなり不穏なので、ここで押し返すことができれば良かったんだけど、時間を経るごとに状況は悪くなっていって、完全な③になり、④の状況も何度か出てくるようになった。
 解説の岡田日本代表監督が言ってたように、サッカーってのは点が入るとそれまでの状況はガラッと変わってしまうもので、どれだけチャンスを作ってても入れなきゃ仕方がないんだけど、それなら90分間試合を追う必要もないわけで。だいたい、④の状況になったら遅かれ早かれ失点するものだ。と思ってたらやっぱりトルコ先制。どうにも偶然チックなゴールだったけど、これまた岡ちゃんが言うように、「苦し紛れのシュートがバーに当たったら、トルコの選手の前にこぼれたラッキーな得点」というよりは、「スローインを入れられた時点からドイツ守備陣がぶったるんでた結果」だろう。
 トルコの良いところは、多少状況が悪くても前線の選手にボールを入れて壁パスをしようとするところだ。相手の守備が一番堅いところにボールを入れるのだから失うリスクも高いんだけど、FWがうまくボールを引き出してすぐにリターンのパスを出すのでそれほど失わない。守備陣からしたらディフェンスラインの位置、さらにはペナルティエリア内にボールを入れられるのが一番嫌なので、やはり揺さぶられる。その“陽動”がうまい。それに、ミラクルを起こすにもゴール前までボールを運ばなきゃどうにもならないので、やはり恐れず前にボールを入れていくトルコの戦いぶりは効いてるわけだ。
 それでも、失点で目を覚ましたドイツがぐわっと攻勢をかけて1点を返す。得点を奪った瞬間にカウンター気味で失点しちゃうのが、これまたトルコの可愛いトコなんだけど、右サイドを豪快に走られて、強烈なセンタリングをシュヴァインシュタイガーが点で合わせてゲット。ドイツらしい効率の良いゴールだ。今、得点者を書いたら「酒ヴァ飲酒タイガー」って出た。どれだけ飲んでんだよ。

 その後、トルコが最初の勢いを持続できなくなって膠着状態に。現地からの映像が来なくなるという、朝方にライヴで見てたら卒倒しそうなwowowの不手際もあり、見ている側のテンションは下がりまくりだ。起きてから録画を見ててホントに良かった。と思ってたらドイツ逆転。ペナルティエリア内の浅い位置へのクロスに対し、GKリシュトゥが訳の分からない突撃をカマして、クローゼが余裕でゲット。天を見上げるリシュトゥ。何やってんだオマエは。
 残り10分、こうなると状況はドイツがどうやってトルコの火事場のクソ力を出さないようにするか、ってことだ。最初にけっこうパワーを使っちゃったトルコ。膠着状態で決定機があまりなかった時間帯もディフェンスラインの前まではカウンター合戦のような感じで進めちゃうという、えらい走り合いになってたので、2-1になった時点でかなり消耗してた。でも、冒頭で書いたとおり、トルコは追い込まれれば追い込まれるほど強いチームであって、ドイツは油断できないよなあと思ってたら、ドイツが油断してたわけじゃないのに「屁のツッパリはいらんですよ」が炸裂した。これまた、右サイドを突破したはいいけど、体勢はかなり悪くて苦し紛れと言っていいようなクロスにセミフが点で合わせてゴール。何で入っちゃうんだこれ。サッカーで点を取るのってこんなに簡単だったのかよ。ドイツの何が悪かったんだろうかと考えてみたけど、ここはさっぱり分からない。サイドでの突破を許したラームなのかもしれないけど、とりあえず中を固める時間は稼いでいるし、突破された場所だってそれほど悪くはなかった。突破された瞬間だって、別に次のワンプレーでゴールが生まれるなんて気は全くしなかった。やはりこれは、火事場のクソ力としか表現のしようがない変な何かだ。
 その直後、ピッチ内に闖入者が入って試合は一時中断。国際映像は闖入者の姿を一瞬たりとも流さなかった。映すと真似するバカが拡大再生産されるからって配慮なんだろう。ツマランけど正しい配慮。大人の自制心には恐れ入る。でも、現地からの映像と音声はちゃんと届けてくれよ。言い訳はいいんだ。ちゃんとやれ。どうせEURO2008終わったら解約ですけど。

 なーんてことを考えて、心はすっかり延長戦に飛んでたんだけど、気がついたらラームがゴールを決めてた。左サイドからのカットインから、長いワンツーで突破。最後はファーサイドへシュートを撃つ構えでGKリシュトゥを倒させてから、ニアにズドン。思えばリシュトゥのバンザイ突撃を誘発したのもラームのクロスからだった。さっきの失点もラーム。後半は完全なラーム祭りだ。
 ラームが決めた時点で89分30秒。残り時間はロスタイムだけなんだけど、トルコはもう一度火事場のクソ力を出そうと前進する。でもさすがに時間が短すぎて、ミート君がリングサイドから投げ入れる例の“光る球”も出てこなかった模様。っつうかあれをラームに取られたのかもな。
 とにかく、これにてトルコの大冒険は終了。トルコにはフロックじゃない強さを感じた。ドイツ戦、満身創痍だったことなんて全く感じさせなかったじゃないか。テリムって名将なんだろうなあ。ミランはもう金がないんだったらテリムとともにトルコから3人引っ張ってくればいいんじゃないだろうか。テリムが断るだろうけど。で、追い込まれれば追い込まれるほど強いトルコを倒すには、今回のドイツがやってみせたように、ミラクルを発揮した直後にもう一度決定打を浴びせるしかなかったように思う。いやー、今大会のベストバウトになりそうな予感。相手の良さを全部引き出してやって、なおかつ倒す。まさにプロレス魂だよ。オモロかった。

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posted by gdgd2008 |10:37 | 決勝トーナメント |
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2008年06月23日

イタリア0-0スペイン ~こんなもん

 イタリアサッカー愛好者として、イタリアサッカーの結晶とも言うべきイタリアの代表チームを応援する気持ちは確かにあった。でも、今の感情をどう表現すればいいのだろうか。負けて悔いなし……いや違う。どうせこんなモンでしょ……ってトコか。今回のイタリアは、ベスト8が順当なチームだった。イタリア伝統のディフェンスの強さ、追い込まれた状況での粘り、狡猾な試合運び、なんて面はちゃんと持ってたけど、言い換えればそれ以外の何かを持っていないチームだった。
 ただし、イタリアのサッカーをよく見ている者としては、「ヘロヘロのチームが這いつくばって敗退をギリギリで逃れてるうちに、気づけば立派なチームになってた」という王道パターンを期待してしまう。友情・努力・勝利。ジャンプ三原則みたいなものは、ビッグな大会で優勝するチームには必ずあるんだけど、イタリアってのは弱ければ弱いほど、逆に芯の強さがあったりする。でも、ここで負けたってことは、そんな強さはなかったってことで。やっぱりサッカーってのは、内容はどうあれ、勝った者が強いし、負けたヤツは弱いのである。

 注目のピルロ不在状態は、案の定、ピルロ不在をほとんど感じさせなかった。代役は若いアクイラーニ。これがまた効いてなくて、才能がないのか震え上がってるのかよく分からないが、プレッシャーがかかってない状態だとボールを止めて横パス。プレッシャーをかけられてる状態だとボールを止めてバックパスという非常にチキンなプレーに終始したために、「ピルロがいない方が強い」ってオレの持論は成り立たなかった。それでも、デ・ロッシがピルロの仕事を一人で全部(しかもボディガードなしで)やっちゃうがために、ピルロの穴ってのは感じられなかった。それにしてもアクイラーニだよなあ。はっきり言って救いようがあるのはブッフォンとキエッリーニぐらいのもので、あとは全員落第なんだけど、肝心の位置にいるアクイラーニが全く効果的なプレーができなかった(しなかった)のが悔やまれる。実際、けっこうウマい選手だってのは分かってる。でも、普段は鼻っ柱の強い生意気な小僧であるところのアクイラーニがぶるっちまった。彼にとって「無難にこなせばいい試合」ではなかったはずだ。メンタル面での準備ができていなかったとしか言いようがない。ピルロもガットゥーゾもすでに絶対的な存在じゃなくなってるんだけど、2人同時に出場停止になっちゃった結果がこれだ。どう考えても早く引っ込めるべきだったんだけど、ペロッタがアクシデントで交代し、デ・ロッシがケガを抱えながらプレーしていたために、カードを切れなかった。っつうか、ここ一番ツイてなかったと思うんだけど、もう一歩踏み込んで考えると、大一番でブルっちまうような選手を呼ぶなよ馬鹿者、とも思える。肝心なところで使えないアクイラーニを呼んだドナドーニが悪いし、試合前にうまく盛り上げてやれなかったドナドーニも悪い。どっちにしても、責任を取るのは監督なのだ。
 アクイラーニがアリバイ工作(久々に使う言葉だ)に終始している間、チャンスになりかけるのは全部右サイドで、それはアンブロジーニが精力的にスペースを突いて、なおかつサイドバックの上がるスペースと時間の余裕を作ってやっていたからなんだけど、惜しむらくはアンブロジーニはアンブロジーニなので、チャンスの卵を決定機に変えるとこまで行けない。グロッソは良い形で攻撃参加してたけど、反対のザンブロッタはフォローなしで無理矢理オーバーラップしなきゃならなかった。ザンブロッタは最初は最低の出来だったけど、試合をこなすごとに調子を上げてて、このままうまく勝ち上がっていれば本調子を取り戻してたかもしれない。惜しい。
 惜しいといえばキエッリーニで、開幕前にカンナヴァーロの膝をぶっ壊してレギュラーポジションをゲットしたこの男は、最初こそ危なっかしいプレーを超連発してて、不用意なファウルでムトゥを倒してPKを献上したりとダメダメだったのだが、スペイン戦ではパーフェクトなプレーを披露した。カンナヴァーロよりもイケてたよ。この大会期間中、23歳のキエッリーニはすさまじい成長を遂げていたんだと思う。せっかくハイパー化してたこの時期があっさり終わってしまうんだから、そりゃあ泣けるよな。

 で、肝心のトーニですが、結局ノーゴールに終わりまして、オレは1万円負けることになりました。ええ、こればっかりはトーニに賭けたオレが悪い。でもさ、あれがボリエッロだったら何とかなってたかと言えば、決してそうじゃないと思うわけですよ。うわー、トーニには甘いねオレ。でもね、じゃあ誰ならあそこでゴールを奪えたんだよって話ですよ。そういう意味でも、ベスト8が順当なチームだったんだろうと思うわけで。でも中盤はもっとイケてる人材が大量にいたよな。
 いずれにしても、ドナドーニはこれにて御役御免。次の監督はリッピでしょうか。リッピ嫌だなー。面白くないもんな。再任したってどうせうまくいかないような気がするし。それならアンチェロッティの方がオモロいぜ。そう考えると今ごろ、自分への風当たりはキツいくせに全然補強してくれないミランから逃げ出したくて仕方ないアンチェロッティは、ひとしきりガッツポーズした後、協会の誰かに電話かけてるような気がする。

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posted by gdgd2008 |14:05 | 決勝トーナメント |
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2008年06月22日

オランダ1-3ロシア ~美しき敗者

 グループリーグでは圧倒的な強さを誇ったオランダがあっさり敗退。勝ってる時はとんでもなく強いと思ったけど、魔法が解けた今になって冷静に振り返れば、たった一つの武器であるところのカウンターがうまくハマってただけなのかもしれない。バカのイタリアは、「死のグループを突破するには初戦で勝ち点3を取るっきゃない」と、相手のカウンターなんて全く考えずに特攻してあっさり沈められた。もっとバカなフランスは、初戦で引き分けてたというのが第一理由なんだろうけど、イタリアが撃沈してるという事実をあまり考えないまま特攻してあっさり沈められた。要するに、オランダはうまい具合に自分たちのストロングポイントを発揮できる試合展開で勝ってきたということだ。で、今回の相手ロシアはイタリアやフランスとは正反対のチーム。タイトなサッカーと集中力と一撃必殺のカウンターでグループリーグを勝ち抜いてきた。どう考えても、脇をガラ開きにして特攻してきてくれる相手ではない。というわけで今回はオランダも苦戦するだろうなあ、と思ってたら案の定だった。それでも、カウンター同士だからってつまらない試合かと言えばそんなこともなく、見所ある攻防が随所に見られた。オモロいなあEUROって。
 序盤から、しっかり守ってくるロシア相手に攻めあぐねるオランダ。グループリーグなら、相手が守ってきた時間帯には中盤でダイレクトパスを回してる間に突破口を見つけだしたんだけど、ロシアは中盤のパス回しに付き合わず、オランダが優位な形になったら無理せず下がって、きちんとラインを敷いてから対応するって手に出た。ハーフライン付近でボールを回してもロシアは完全無視。なので攻めあぐねる、という展開。
 マズいことに、それに焦れて攻勢を強めるとロシアがカウンターで良い形を作る。前半30分に、中盤でボールを奪ったロシアが絶好のカウンターチャンスを得る。ボールを奪った瞬間にロシア4人に対しオランダのDF2人。これはロシアが一度サイドにボールを出したためにオランダの戻りが間に合って、アルシャヴィンの単独シュートで事なきを得たんだけど、絶対にやられちゃいけない形をここで作られてる。この一発で目を覚ますべきだったんだけど、何となくそのままいっちゃうオランダ。序盤、やりたいサッカーをしてるのは明らかにロシア。
 ロシアはディフェンスラインとその前の守備ブロックで堅守を見せてるんだけど、オランダの工夫のなさはマズかった。カウンターを得意とするチーム同士の対戦で、支配率で上回ってるというのは何のメリットにもならない。なのに、支配してるからといってそのペースでダラダラ前半を進めてしまった。
 打開する手がなかったわけじゃないはずだ。ファン・ニステルローイは明らかにマーカーとのマッチアップで優位をキープしてたんだから、そこをどんどん使うべきだった。この日のニステルは相当キレてたから、個人で打開してゴールまで持っていけたかもしれないし、そこで良い形をいくつか作ったらロシアも何か変更して手を打たないといけないわけで、そこから試合の流れが変わったかもしれない。いずれにしても、オランダは強引さを欠いた。可能性が少なくても突っかけていくプレー、ミドルシュートなんかが極端に少なくて、きれいなサッカーを貫こうとした印象がある。だいたい、ロシアはセットプレーでの守備に致命的な欠陥を抱えていたわけで(それは前半にも一度、けっこう致命的な形で露呈している)、もっとFKを得るような強引なプレーがあって良かったはずだ。

 後半11分、ロシアが先制。左サイドからのクロスにパヴリチェンコ。ロシアが完全に崩したわけじゃないんだけど、オランダDF陣の緩みをうまく突いた感じ。そして、オランダが慌てて攻勢に出たところをカウンターの嵐。というわけで、ロシアの時間帯がスタートする。ただし、前半から精力的に攻撃にも守備にも絡んでたパヴリチェンコとアルシャヴィンの2トップがバテ気味で、アルシャヴィンは前線でのチャンスメーク専任だからもともとゴールから遠い位置にいるし、長身パヴリチェンコもオランダのプレスに苦しむ味方の中盤からボールを引き出してやろうと常に右サイドに流れていたので、マークをかわしてチャンスの形に持っていくことはできても、ゴール前の人数が足りなくてフィニッシュできない。それでも、オランダが攻めに出てきてくれるのはロシアにとって好都合なわけで、うまく守って機会があればカウンターを狙うってロシアの望む展開が続いていく。後半30分あたりから、オランダは「このままじゃ相手の思うツボじゃね?」とようやく気づいたようで、ファン・デル・ファールトあたりがミドルシュートをガンガン打つようになった。ほとんど枠に飛ばないんで無駄なように見えるけど、ロシアにとっては「単純にエリア内を固めてればOK」という楽な試合運びができなくなる嫌な一手。ただし、オランダは気づくのが遅すぎた。この時すでに足が止まり気味だったのである。
 それでも、残り4分という土壇場で、FKからファン・ニステルローイが得点。この場面、単純にGKのギリギリ届かない位置に強烈なクロスを入れてるだけなのに、マーカーはニステルを全然捕まえられていない。ロシアは、連携して囲い込む守備はできても、一対一で掴んでおくのは相当下手なんだろうと思う。一番怖いニステルが一番怖いエリアにいるのにこれなんだから、チーム全体としても弱いってことだろう。ただし、その後のオランダにこの弱点を突くチャンスはやってこなかった。
 延長に入った時点で、追いついたオランダに精神的な勢いがあるのは当然。それに、中2日でこの試合に臨んでいるロシアに対し、中3日あって、しかもグループリーグ第3戦が消化試合だったオランダは体力的にも相当有利だと思われた。ところが、延長に入ったら走ってるのはロシアの選手だけ。これが準備によるものなのか、アドレナリン出まくってた結果なのかは分からないんだけど、とにかく延長ではロシアだけがプレーしていた。
 ロシアもフィニッシュは弱くて、これはそのままPK戦になるような予感もあったんだけど、すでにヨレヨレだったはずのエース、アルシャヴィンの苦しまぎれのクロスからトルビンスキがゴール。その後もロシアだけが走ってる展開は変わらず、アルシャヴィンがダメ押しとなる3点目をゲット。

 ロシアとしたら、オランダが特攻してきたおかげで自分たちのストロングポイントを生かして撃沈できたような試合。それでも、どうやったらあれだけのコンディショニングが可能になるんだろう。ヒディンク恐るべし、である。あと、アルシャヴィンの陰に隠れているけど、相棒のパヴリチェンコも相当イケてる。デカいのに足技があって、労を惜しまず走り回る。しかも無駄な動きが少ない。アルシャヴィン-パヴリチェンコの2トップ、揃って都会に出てくりゃいいのに。
 オランダは、「まぁ負ける時はこんなもんだろう」とみんなが思ってたとおりの負け方。ワールドサッカーキングのインタビューで、ファン・ニステルローイは言った。「オランダは、いつも最高のサッカーをして、大会途中で泣きながら帰る」。そのまんまやないかい。試合終了直後、アルシャヴィンはピッチに仰向けに倒れていたけど、喜びを爆発させるチームメートにひきずり起こされてた。ニステルも同じくピッチに仰向けに倒れて、ドクターの治療を受けてた。泣きながら帰るのは、美しいサッカーをしたチームなんだろうか? いや、泣きながら帰るのは弱いチームなのだ。

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posted by gdgd2008 |12:59 | 決勝トーナメント |
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2008年06月18日

フランス0-2イタリア ~試合巧者

 イタリアが会心の勝利で決勝トーナメントへ。フランスは10分にリベリーがケガしたのも痛かったけど、25分にアビダルがPK献上→一発退場→先制される、って大チョンボをやらかして、その後イタリアが完璧な試合運びを見せたこともあってほぼノーチャンスだった。とにかく、25分のあのファウルがすべてと言ってもいい。ピルロがディフェンスラインの裏に落とした柔らかいスルーパスを、走り込んだトーニが足を上げてトラップ。そこをアビダルが後ろから倒してPK。ファウルなのは間違いないけど、時間帯と試合の重要度を考慮すれば一発レッドはさすがに厳しかったかも。逆に言えば、純粋にファウルそのものを見れば一発レッドでも仕方ないって感じ。フランスのドメネック監督からすれば、退場&PKのダブルパンチに比べれば、あそこで素直に1点くれてやった方が全然マシだったはず。リプレーを見てもノーファウルで止められる可能性はほぼゼロだっただけに、あそこで特攻しちゃったアビダルは軽率だったとしか言いようがない(っつうか、放っといてもトーニは外したんじゃねえかと)。ピルロが危なげなく(超オレは不安だったが)決めて、イタリアが先制。
 WOWOWの実況様解説様は、その後のイタリアのモッサリ感に不平たらたらだったんだけど、オレから言わしてもらえれば、あれこそイタリアの真骨頂であって、朝からいいもの見せてもらったという感じである。先制した直後はすぐに2点目を取りに行った。10人になったフランスが大混乱に陥ってる間に、ぐわっと人数をかけて攻めたのである。トーニがもうちょっと冷静にプレーしていたら、あそこで2点目が取れてたはずだ。ところが、フランスはすぐに立ち直って反撃に出る。それがアンリがディフェンスラインの脇を突いて右からファーサイドにフリーでシュートを打った場面。あれこそアンリの一番得意なプレーで、入ってても全然おかしくなかった。
 で、ここでイタリアが偉いのは、全く躊躇せずにアンリ封じのためラインを下げたってことだ。両チームとも勝たなきゃダメって前提があって、そこで1人多くて1点リードしてるイタリアが、お互いに得意の武器を使っての殴り合いに応じたらバカタレとしか言いようがない。ラインを下げちゃえばそれでアンリは止められるわけで、他の連中にディフェンスラインの手前で何をやられたところでさほど脅威にはならない。無理する必要は皆無、省エネで十分なのである。実際、フランスは10人で攻めざるを得なくて、それで攻めてるのに攻め切れないというやるせない状況に陥ってた。ドメネックも「こりゃダメだ」の表情である。そのまま試合は62分まで進んで、デ・ロッシの追加点が生まれるんだけど、あの偶然チックなゴールがなかったと仮定したって、タイムアップが迫る中、どこかのタイミングでフランスが守備無視の猛攻に出て、そこをカウンターでスコンとやられて0-2になってた公算が大きい。ま、その前の時間帯のイタリアが、省エネというよりはガス欠になってたように見えてたのも事実だけど。っつうか、キックオフから30分だけ全力プレーして、その後15分は手を抜いて、15分休憩して後半始まったらガス欠になってたって、どんな運動不足集団なんだよな(フランスを油断させるための擬態ですよね?)。

 それにしても、アンリは気の毒なほどツイてなかった。前述のブッフォンとの一対一を外したのは自分のせいだとしても、前線にサポートがないんで必死に粘って(チャンスでもないのにガッツ浪費して)CKを取りに行けば副審がゴールキック判定するし、相棒のベンゼマは精力的に動いてるんだけど、エースである自分の動きに連動する気はゼロだし(若いから仕方ないか)、壁に入ればクリアミスして致命的な2点目になっちゃうし、そこで投入されたアネルカが入って何とかしてくれるかと思ったら、あのバカタレは早々にあきらめてて何の役にも立たない。テレビ画面での表情や振る舞いから、トルコの大逆転劇を思い出して自分を奮い立たせたであろうと思われるのはアンリだけ。どうにもならんよな。
 フランスのチャンスらしいチャンスと言えば、終盤にペナルティエリア手前からベンゼマが放ったシュートだろうけど、あれだってブッフォンは、アクションこそ派手だったけど十分に余裕を持って止めてる。GKにフェイントもかけず、ズドンならともかく巻いていくシュートをエリア外から打ってもブッフォンは破れない。確かに、ベンゼマは前評判どおりのイケてるストライカーだったけど、この試合では若さばかりが出たよなあ。サイドに開いてのチャンスメークなんて他の選手に任せて、自分はパヌッチやキエッリーニとガリガリ削り合いながらアンリをサポートすべきだったと思う。正直、フランスは普通にグループCの中で最弱だったと思う。っていうかさ、アビダルが退場して投入するDFがブームソンって、普段セリエAを見てる人からすれば失笑以外の何物でもない。なんでメクセス外してんだよなあ。

 とは言え、勝つには勝ったけどイタリアの試合内容がショボかったのも事実。先制して1人多くなった前半25分以降の戦い方はあれでいい。2-0になった後も、1点返されるとフランスが俄然ミラクルムードでノッてくるから守りでOK。問題は、85分から試合終了までのわずかな時間にロクな攻めができなかったことだ。オランダを見てみなさいよ。終盤に必ず突き放すゴールを挙げてる。ツマラン試合ぶりには慣れてるし、くどくどと前述したとおり、それがイタリアの強さだってのも分かってる。でも、そんなのが好きなマニア(サディストとしか言いようがない)以外の支持を得ようと思ったら、2-0であと数分になった時間帯で、PKやヘッポコいFK以外の形から点取ってみろって言ってんだよデクの坊め! 嘘です。結局3試合連続ノーゴールに終わったけど、トーニは十分に働いたと思う。ツイてなさすぎて怖いくらいだけど、これスペイン相手に大爆発してくれるんだろ?(1万賭けてるのです)
 世間ではさっそく、「ピルロとガットゥーゾが出場停止でイタリアピンチ!」なんてニュースが飛び交ってるけど、ピルロのヌルいプレーぶりにほとほと嫌気がさしているオレとしては、これはあの寝ぼけマナコを放逐する大チャンスと見ている。でも同時に、やっぱピルロは頼りになると思う自分もいたりする(何なんだよ)。この試合で分かったのは、デ・ロッシと組ませろってことだ。ガットゥーゾとアンブロジーニが両脇でボディガードを務めるミラン方式は、あまりにヌルすぎる。攻撃のダイナミズムは皆無だし、甘やかされたピルロがどんどんヌルくなっていく(結果、寝てる)。一方、デ・ロッシは、ピルロを守るんじゃなくて、ピルロの仕事を半分やってくれる感じ。そっちの方が相手としても対応しにくいし、どっちかが前に出てどっちかが後ろでゲームメーク、って形を確立しないとチームの成長はない。3トップをどんな組み合わせにしてもそこで点が取れてない以上、ピルロかデ・ロッシが前に出て3トップと絡まなきゃ攻撃力は上がらないのだ。
 で、ピルロが出場停止な件に戻る。ピルロが今後も司令塔でも別にいいんだけど、どっちにしたってあのヨレヨレ具合じゃ決勝までもたない。スペイン戦を休養だと考えれば、次まで(次があればの話ですが)1週間空く。いずれにしてもどこかで休ませないわけにはいかないわけで、優勝するつもりならそれは準々決勝のタイミングしかないだろうと(いやホントはグループリーグ第3戦でw)。それにしても、あれだけ流してたのにピルロは53分で交代した。ピルロ不在の準々決勝のテストとしてのアンブロジーニ投入だったのか……いやバテてたように見えたよな。いや、むしろ出場停止になったところで痛くもかゆくもない風情を漂わせているガットゥーゾが気の毒です。あの髭面以外に存在感がまるでない。W杯のヒーローだったガットゥーゾが、2年後に別に誰を使ったっていいような風に思われるとは、栄枯盛衰って激しいなあ(戸田)。でも、ガットゥーゾも放牧明けでオランダ戦なわけで(あればの話ですが)、そこで鮮やかな復活を遂げるかもしれない。どっちにしても、この2人にあんなダメ状態のまま出場されちゃこっちもゲンナリなので。出場停止になって良かったと、ファンの人も後からそう思えるようになればいいと思う次第です。

 まあ、それにしても今回のイタリアはダメだ。このフランス戦だって、相手のチョンボに乗じて試合運びの狡猾さを発揮しただけ。正直、ムトゥがあそこでPK外してくれたおかげでグループリーグを突破できたわけだ。トーニは全然枠にシュート飛ばないし(相手にとっては十分すぎる脅威だけど)、ミラン勢はクラブの天中殺ぶりをそのまま代表に持ち込んでる。カッサーノは抜群にうまいんだけど周囲とのフィットしなさ加減も抜群。手放しで称えられるのはブッフォンだけ。神様仏様ブッフォン様である。でも、世界最高GKとして並び称されるツェフがああいう散り方をしてしまっただけに、どうも不吉な予感がしてならないのだ。不吉と言えばパヌッチもそうで、パヌッチが良いプレーをしていればしているほど、どこかで大チョンボをやらかす気がして仕方ない。
 いずれにしても、今回のイタリアはよほどラッキーが続かないかぎり優勝できるチームじゃない。W杯の時の「攻守が噛み合った超高精度戦術マシーン」とは大違いのポンコツである。しかし、腐ってもイタリア(腐ってるけどね)だ。「一度は捨てたこの命」の心境で、スペイン、オランダ、ポルトガルと、「良いサッカーはするけど途中で泣きながら帰国する」系のチームをイライラさせる試合ぶりを見せてほしいものだ。


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posted by gdgd2008 |11:38 | グループリーグ |
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2008年06月17日

オーストリア0-0ドイツ ~朝メシ前

 グループB最終戦。勝たなければ終わりのオーストリアと、引き分けでもOKのドイツ。状況としては圧倒的にドイツ有利。むしろ、有利すぎる点が心配か。キックオフから、絶対に勝利が必要なオーストリアが前に出る。んだけど、「やるぞオラァ!」って気合が守備スッカスカという結果に。マリオ・ゴメスの信じられないようなミス(実際にはどフリーでのシュートの直前のイレギュラーバウンドがあった。ホームアドバンテージだ)とかでドイツ先制できず。
 前半はずっと、オーストリアがファイトを燃やして攻め続けるも、ドイツの守備陣に跳ね返され続ける、という展開。闘志燃えまくりのオーストリアは、ボールを失うことを恐れずに前に運び、サイドのアタッキングエリアにボールを運ぶところまでは非常にスムーズにやる。ところが、ペナルティエリア内には全く入れない状況。とにかく、一対一で全く勝てず、前まで行ってスペースが狭くなるとパスを繋ぐこともできなくなる。というわけで、前まで運ぶのはいいんだけど、崩す過程をすっ飛ばしてセンタリングを上げ、余裕で跳ね返される状況が続く。それでも、運動量でオーストリアが圧倒してるので、跳ね返されたボールを拾って攻め直すんだけど、どっちにしてもエリア内には入れない。一度だけオフライドトラップのかけ損ねがあって、22がGKと一対一になりかけたんだけど、足にボールがつかずシュートまで持ち込めない。あそこで先制してれば面白かったんだけどなあ。
 引き分けでもOKなドイツは安全第一。オーストリアがとにかく前に出てくるんで、それをガッチリ拒絶しつつ、チャンスがあればゴールを狙うって感じ。中盤でのプレスが全く効かず、オーストリアにほとんど支配されてるのはどうかと思うんだけど、そこが質実剛健(ゲルマン魂ってホントはこっちを指すんだとオレは思う)の本領発揮ってとこで、平然として攻められ続けていた。バラックはボールと全然関係ないところにいても必ず一人マークがつく徹底ぶり。こちらも無理しないので、前半はほとんど何もしなかったと言っていい。
 というわけで、前半は両チームに一度ずつビッグチャンスがあっただけ。でも、両チームの監督が並んでピッチサイドから自分のチームに指示を送ってたら、2人揃って退席処分になったのがウケた。「アイツもやってんだから大丈夫っしょ」って思ってたんだろうな。

 後半の立ち上がりも同じ状況。いずれ飛ばし過ぎてるオーストリアの足が止まって、それまでに何らかのミラクル(オフサイド崩れ、PK、バックパスのミスとか)で先制していない限りは、終盤にドイツが「よっこらしょ」って感じで立ち上がってトドメを刺す、って展開が濃厚である。ところが、後半始まって4分でバラックがFKズドン。まぁ豪快に叩き込んだモンだけど、壁があのコースを空けてるのが問題なのか、あそこはGKの持ち分だったのか、とにかくバラックが絶好の位置からFKを打とうとしてんのに、その守り方はないでしょ、って感じだった。それにしてもバラックはやるなあ(けっこう好きである)。実況は「ドイツの底力~!」って叫んでたけど、ドイツの底力ってのはこの5000倍も苦しい状況で発揮されるものだ。こんな形(全く無理しない形からのFK)でドイツが先制したら、あとはどう考えても余裕である。結局このまま何事もなく(早送りしたけど)、ドイツ余裕の1-0。「内容的に満足できない」と見るか、「試合巧者」と見るか。どう考えても後者だよな。巧者で後者(くだらん)。ドイツvsポルトガル、オレは普通にドイツ優位だと思います。どっちが面白いサッカーをするかといえば明白だけど、「面白いサッカーをつまらんサッカーが叩き潰す」って絵を面白いと思えないようじゃ、サッカーファンとしては中学生だよな。そして、開催国はダブルでグループリーグ敗退。まぁオーストリアとスイスだもんな。仕方あるまい。

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posted by gdgd2008 |12:08 | グループリーグ |
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2008年06月15日

オランダ4-1フランス ~圧倒的

 圧倒的じゃないか。そう思わざるを得ない圧倒的な強さ。ウイイレで言うと、初心者と大ベテランぐらいの差がある。っつうかね、中盤がどうこうとか中央とかサイドとか関係なく、あらゆる面でオランダが圧倒的。しかも相手がW杯ファイナリストの2つだってんだからもう。でも、あまりに強すぎて、決勝トーナメントに入ったらポコッとやられそうな気がする。
 で、3年とか4年前にはスカパーで放送するアヤックスの試合をすべて見ていたオレにとっては、ファン・デル・ファールトとかスネイデルが立派に育って大舞台で活躍してるのはうれしい限り。セードルフとかダーヴィッツのオランダよりよほど親近感があるんだよな。ってなわけで、若い2人の躍進は非常に喜ばしいです。ファン・デル・ファールトとスネイデルは、どっちもクラブレベルで頑張ってるんだけど、この大会でワールドクラスに駆け上がりそうな感じ。ほらオレ、アヤックスで出てきた時からあの2人はやれると思ってたから。同じ時期にブレイクしたピーナールはダメだと思ったら案の定ダメで(今何やってんだ?)、あの2人は活躍してんだから、オレの見る目も確かだよなーと、そういう喜び方がね。あ、どうでもいいですね。
 そしてフランス。全然ダメだよ。初戦で同じく3点差でボコボコにされたイタリアは、はっきり言っちゃえば誤審の先制点と、ズバッとハマってしまったとしか言いようのないカウンターで0-2にされた時点でどうしようもなくなった。でも、フランスはすべて自分のせいでボコボコにされてるから始末が悪い。特にテュラムのプレーは最悪で、キックオフからの15分くらいの間にファン・ニステルローイ相手に何もできず、自信を失ったところでファン・ペルジーにぶっちぎられて(2失点目)。マケレレも90分間振り回されっぱなし。アンリも1点は取ったけどキレが悪いのは明らかだし、アネルカもゴールの予感ゼロ。こいつはヤバいぞフランス。
 次が楽しみだけど、これはルーマニアが突破しちゃうかもなあ。

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posted by gdgd2008 |11:27 | グループリーグ |
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2008年06月14日

イタリア1-1ルーマニア ~伏兵

 イタリアにとっては厳しすぎる引き分け。ただし、ゲームプランとしては完全にルーマニアにしてやられた。ブッフォンのPKセーブがなかったら余裕で負けてたってことで、首の皮一枚つながった、ということ。
 セットプレーからの1点しか取れなかったけど(キエッリーニ→パヌッチ、ザンブロッタのミスをDF陣が取り返した感じ)、攻撃自体がそれほど悪かったとは思わない。サイドの選手が個人技を生かして突破、中央にもしっかり人数を揃えていて、トーニを中心に脅威となっていた。惜しいチャンスは山ほどあった。でも、決定力の問題というよりはルーマニア守備陣の意識がとんでもなく高かったってこと。そもそも、守備側が完璧なプレーをすれば、サッカーってのはまず点は入らないものなのだ。
 ただし、ちょっと美しく行き過ぎた感はある。もうちょっと強引な突破とか、最後のDFを抜ききってないけどわずかにできたコースから強引にシュートを打つとか、とりあえずトーニを狙って放り込んでみるとか、そういうゴリゴリした攻めを織り交ぜた方が、守る側からすれば嫌だったはず。実際、トーニがその場で真上にジャンプして放つヘッドが一番ゴールの可能性があったわけだし。シュートブロックされたボールを拾って攻め直すってだけで、案外崩れる場合もある。ルーマニアのGKロボンツは当たりまくってたけど(デ・ロッシのヘッドとかよく止めたよな)、もうちょっとミドルで揺さぶったりすれば、もっと苦しめられたはずだ。

 オランダ戦でバカタレ認定されたピルロは、この試合では多少マシな動きをしていた。ただし、前半にムトゥがスルーパスで抜け出してブッフォンと一vs一になったシーンは、中盤のルーズボールを一番近くにいたピルロが追わず、拾いにきたルーマニアの選手にプレスもかけずにザクッとスルーパスを出された。ああいうプレーはね、特にイタリアみたいなチームじゃ絶対しちゃイカンのよ。肝心の攻撃面もいまいち。試合を通じてサイドバックのオーバーラップをうまく引き出してたし、終盤はカッサーノへのロングパスをバシバシ通してて、あの辺はファンからすると「ピルロすげー!」って感じなんだろうけど、決定的な仕事かと言ったらそうでもないわけで。ミドルパスを2本繋げば同じなんだよ。
 思えば、ピルロのパスってのは受け手が相手ゴールに向かう形で渡るってとこが素敵なわけで、常に裏を狙うピッポ・インザーギだったり、スピードに乗った状態で勝負すれば無敵のカカーだったり、そういう受け手にとってはベストなパサーだけど、今のイタリアにそんな選手がいないってのが、ピルロの不幸であり、チームの不幸にもなってる。トーニは裏に抜ける動きもできるけど、それはあくまでいろんな受け方を得意としてる中の一つであって、頻繁にボールを当ててリズムに乗せてやる必要がある選手。デル・ピエロとカッサーノは止まってボールを受けたい。ピルロに合うのはスピードタイプのディ・ナターレなのかもしれないけど、オランダ戦でのディ・ナターレは精力的にスペースを突いてるのに、徹底してピルロに無視されてた。んー、噛み合わない。
 繰り返しになるけど、この試合のピルロはオランダ戦より何倍もマシだった。守備面で致命的なミスもあったし、相変わらずバテるのが早かったけど、噛み合わないながらいろいろ考えて工夫してパスを出してた姿勢は悪くない。あ、FKはガッカリだったけど。思うに、ピルロって代表ではもっと前でプレーすべきだと思う。最終ラインがボールを持ってる時、わざわざ近くまで下がってきて組み立て直してるけど、デ・ロッシがいるんだから中盤の底からサイドへの展開って仕事は任せてしまえばいいと思う。攻撃時には、最終ラインよりはトップに近い位置にいるべきだ。どうせカウンター喰らってもピルロじゃケアできないんだし、逆に高い位置で奪った時にピルロがいれば、それこそ決定的なパスを出せるはず。ミランではピッポやカカーが前のスペースを必要とするから、ピルロはできるだけ後ろで相手を引きつければいいんだけど、代表じゃ起点となる位置からして考え直した方がいいと思う。
 あと気になったのはキエッリーニがPKを取られたシーン。自分じゃビックリしてたけど、イタリアならともかく国際大会でボールに近い相手の肩に手をかけて転んじゃダメだ。全部取られっぞ。一方、良かったのはグロッソ。超ウルトラ大活躍したW杯の後は燃え尽きて廃人みたいになってたけど、代表だと俄然輝いてる。グロッソが好き勝手に良いクロスを入れてた時間帯に先制できていれば、余裕でイタリアの試合になってたかもしれないんだけどなあ。

 ルーマニアにとっては大きな勝ち点1。あの守備の集中力はマジで半端なかった。90分間のほとんどに渡って相手に主導権を取られてて、何度も決定機を作られて、先制したと思えば直後に取り返されるし、千載一遇のPKをムトゥが外してるし、キレてしまう要素はいっぱいあったはずだ。それでも、シュートを打つタイミングをしっかりと見極めてブロックし続け、DFじゃどうにもならないようなヤツはロボンツが止めた。完全なるダークホースの戦い方が徹底できてて、こりゃやりにくい相手なんだけど、カウンター一本槍かと言えばそうでもない。基本的には耐えがたきを耐え忍びがたきを忍ぶカウンター戦術なんだけど、機会を見て一気に人数をかけてゴールを狙う狡猾さも持ち合わせている。終盤、イタリアの中盤がバテてきて、走り勝てると判断した時には、それまでのカウンター一本作戦から、人数をかけたサイドアタックに切り替えて勝ちにきた。この試合のドロー、仕留め損ねたと思ってるんだろうなあ。だから、世間的には“3強1弱”と見られているこのグループを突破するためにできることを全部やっている感じ。先制されたらどうにもならないチームではあるけど、そうでない限りは相当強いぞ。

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posted by gdgd2008 |12:20 | グループリーグ |
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2008年06月12日

スイス1-2トルコ ~終戦

 試合開始前から、明らかに不穏なグレーの雲が低空に垂れ込めたバーゼルのザンクト・ヤコブ・パーク。両国とも国旗が赤なので、スタンドは真っ赤。テレビでは伝わってこないのが残念なんだけど、W杯ドイツ大会予選のプレーオフで大乱闘を演じているスイスとトルコだけに、両国のファンが仲良く肩を組んで健闘を誓ってるはずがない。どっちが本当に悪かったのは別として、あの時の乱闘ではトルコのホームだっただけに、警官隊がスイスの選手スタッフをボッコボコにしている。事件はピッチ内だけで起きただけじゃないだけに、今回のスイス国民には「3年前の恨み許すまじ」って意気込みがあったはずだ。一方、トルコとしたらあの試合に負けてW杯を逃してる(しかも悪役に仕立て上げられた)わけで、こっちもギリギリと奥歯噛み締めてピッチに上がってきたはず。そのテンションがね楽しみで、どう考えても面白そうなポルトガルvsチェコを置いといてこっちを先に見てるわけだけど、どうにもテレビじゃ伝わらない。国歌斉唱の間も選手たちは淡々としてるし、観客も真っ赤すぎてどっちがどっちだか分からず(分かれて座ってんのか、混在してるのか、どっちなんだい?)。
 スイスは初戦でケガしたフレイが、やっぱり膝のじん帯をやっていたようで今大会絶望。初戦で何の役にも立たなかったシュトレーラーもケガしたらしくベンチにも入ってない。結局、デルディヨク少年とハカン・ヤキンの2トップ。これはこれで不安なんだけど、スイスの攻撃が薄っぺらいのはFWどうこうの話じゃないので、もうこれは仕方ない話(結果は出なかったけど、デルディヨクはシュトレーラーの何倍もよく働いてたと思う)。初戦でポルトガルに競り負けたトルコは司令塔エムレがケガで離脱。

 キックオフから両チームが鋭い出足を見せる。どっちも勝たなきゃジ・エンドって状況で、消極的に行って万が一にもドローに終わったらそこでサヨナラなので、こりゃガンガン飛ばす面白い試合になるかと思いきや、すさまじい勢いで雨。野球なら瞬時に中止になるような、まさに土砂降りである。スコールみたいに数分であがればいいけど、続いたらピッチが大変なことになるなあ、なんて他人事のように思ってたら、こっちのテレビ画面もブヨブヨしてきた。おいおい、地球の反対側だし、オレは録画で見てんだから5時間遅れってタイムラグもあんのに、なんでこんなジャストタイミングで電波入らなくなるんだよ。
 ウチはスカパー経由でWOWOWに入ってる。スカパー加入者はご存知のとおり、ここの電波は雨に弱い。雷を伴うと、大気中の電磁気にやられるのかしらんが、全くダメになる。オレがグーグー寝てた5時間前、東京に雷が来てたかどうかは分からないが、とにかく映らないのだ。「電波が受信できません」の画面を見てても仕方ないので飛ばす。飛ばす。飛ばす。映像が復帰した時、ゴール前に水没したボールをヤキンが押し込むシーンが、スローモーション再生されていた。電波が途切れてたのは15分ほど。トンネルを抜けると、そこは水田だった。前半30分すぎでスイスが先制してて、雨は弱くなってたけどピッチは泥濘、グラウンダーのボールはどこで止まるのか全く分からない状態になってた。
 右サイド奥に蹴り出されたボールをベーラミが追う。普通ならどう考えても簡単にタッチラインを割るボールで、追いつけるはずもないんだけど、ベーラミはボールがぬかるみにはまることを期待して全力ダッシュ。トルコの選手がかなり遅れて追いかける。拾うことができたらブッちぎりの大チャンスだ。ところがボールは乾いたピッチを跳ねるように素直にラインを割り、ベーラミは空をチョップして怒る。「なんでぬかるんでないのよそこ!」。相変わらずアホで憎めないヤツだ。
 スイス先制(そして映像復帰)から前半終了までの15分は、ほとんどサッカーになってなかった。怖くて誰も後方で繋げないので(GKへのバックパスなんて自殺行為だ)、前にボコーンと蹴って、拾った側も怖くて繋げないのでボコーンと蹴るうちに前半終了。こりゃ全然ダメだと思ってたけど、後半になったらタッチライン沿いの一部以外は水田状態から復帰してるのである。グラウンドキーパーの魔法なのか、最新テクノロジーを満載した21世紀のスタジアムの水はけ技術がすごいのか、とにかくボールが走るようになってた。
 ま、スイスが国の威信を賭けて作ったスタジアムの水はけが、結果的にスイスの大会最速敗退決定を後押ししちゃうのは皮肉だ。ボールが完全に水没するほどの劣悪コンディションは、スイスにもトルコにも平等にプレーさせなかったんだけど、「水をたっぷり含んで重い」って程度のピッチコンディションだと、トルコに分があったようだ。っつうか、普通に考えれば重くどっしりした印象のあるトルコと、ペラペラだけど研ぎ澄まされてるナイフみたいにスパッとしたサッカーをするスイスなんだから、主馬場だったら前者が有利なのは明らかだ。スイスには泥ピッチになってすぐに舞い込んだ先制点という大きなリードがあったんだけど、それでもひっくり返されちゃうんだから実力が足りなかったとしか言いようがない。っつうか、先制の直後にあったベーラミからのセンタリングをヤキンが決めてればなあ(ハイライトで見たんだけど)。
 いずれにしても、後半の時間が進むにつれてスイスは押し込まれていった。追いつかれた後に切ったカードが、主馬場で全く良さを発揮できないタイプのフォンランテンってのが、第1戦に続き(いやそれ以上に)スイスの選手層の問題を表していると思う。ま、これがスイスの限界ですか。サックリ敗退したけど、それなりに頑張ったと思う(主に第1戦で)。ポルトガル戦は消化試合だけど、ポルトガルにとっても消化試合なんで、ここで良いトコ見せれるといいね。

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posted by gdgd2008 |12:13 | グループリーグ |
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2008年06月11日

ギリシャ0-2スウェーデン ~眠兎

 スウェーデン代表でのイブラヒモヴィッチってのは、どうしてああも大人しいのだろう。膝が痛いらしいけど、3月から休んで調整してるわけで、インテルでの試運転(セリエA最終節)での動きは良かった。あれから3週間経った本番でそんなに悪いってのは考えられない。そもそも、膝の状態が悪いのなら初戦で無理やり先発させる必要はないはずだ。そんなことを考えつつイブラを観察していると、走れてはいる。でも、プレーに腰が入っていない。当たりを避けて、シンプルにつないでいる。「らしくねーんじゃねーのか」と思う。体でゴリゴリいっときつつ、なおかつテクニックとアイデアを加えていくのがイブラヒモヴィッチ流だ。ゴリゴリいかずにシンプルにさばくイブラと、ゴリゴリ行くけど足技は全然のイブラがいるとしたら、後者の方が断然イブラっぽい。どうも、見てると膝がどうこうじゃなくてメンタルの問題だ。何があの男を弱気にさせてるんだろう。
 さて試合ですが、これはもう完璧にギリシャのペース。ピッチの使い方が尋常じゃないほどうまくて、攻めても守っても数的有利を作ってる。ただし、ペースを掴みすぎてて油断した結果がこのスコアですよ。どう考えても油断してた。っつうか、「このペースで行けば相手が勝手に崩れるだろうから無理しなくても1点は取れるだろうし、そしたら勝ちだもんね」と思ってたはずだ。で、ペースを掴んでるんだからどっかでリズムを変えてグッと攻めれば良いのに、あくまでバランス維持にこだわった。あのままスコアレスで終盤に突入したら、グワッと攻勢に出て勝負を決めるつもりだったのかもしれない。ところが、死んでたはずのイブラが一瞬だけ目覚めたわけですよ。

 スウェーデンの先制点が生まれたのは66分。すげー単純で、やや引いてボールを受けたイブラがディフェンスラインに吸収されてるラーションにクサビのパスを入れる。ラーションがさほどのプレッシャーも受けずにダイレクトで折り返す。ここでもギリシャはラインの3人がラーションを見てて、イブラについてる選手もいたのに、ラインの3人全員がラーションに行ったのが間違いだった。イブラが折り返しをそのまま右足でズドン。ゴール右側はラーションについてる3人が塞ぐ格好だったので、シュートを打つとしたら左しかなかったのに、GKが右に重心を置いてたので届かなかった。イブラからしたら、ダイレクトでシュートを打たなければ押し上げられたラインとマーカーに挟まれてどうにもならなかったはずで、あまり何も考えずに本能的に見えてるシュートコースに蹴ったんだと思う。ギリシャにとっては魔の一瞬としか言いようがないんだけど、まあサッカーじゃよくあることだ。ゴールネットを揺らした直後、両手を広げて走り出したイブラは夢の中にいるような表情だった。チームメートに囲まれるまで、何がどうなってんのか分かってないような感じ。ここでイブラは御役御免。気持ちよく第2戦に臨んでくださいってことだと思われる。
 気持ちよく寝てたら亀に追い越されてることに気づいたウサギちゃんであるところのギリシャは、これまでのポーカーフェイスをかなぐり捨てて反撃に出る……となりそうなところなんだけど、先制点の5分後にスウェーデンが追加点を挙げる。今度は信じられないようなディフェンスラインのミスで、ぽっかり空いた中央にスルーパスを通され、一度はGKが止めたものの、こぼれ球を超泥臭い形で長身DFハンソンに詰められてジ・エンド。
 
 前半終了時点では、スウェーデンが勝つ確率なんて3パーセントくらいしかないと思ってた。ドロー70、ギリシャ勝利27って感じだ。特に、ハーフタイムに「スウェーデンが2点差で勝つ」って言ってたらただの熱狂的スウェーデン好きである。それでもそうなっちゃうんだから、サッカーは面白い。ただし、別に試合は面白くなかった。今回のEURO2008、正直に言うが、盆戦続きである。フランスvsルーマニアなんて、90分見たけど書くこと何もない。今夜のスイスvsトルコには期待しておるよ(主にプレー以外の面で)。

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2008年06月10日

オランダ3-0イタリア ~運じゃない

 お待ちかねのイタリア登場。中盤から前にかけては完全に予想されていたとおりの、予選のイタリア。ところがDF陣が、カンナヴァーロのケガでザンブロッタ-マテラッツィ-バルツァーリ-パヌッチという並び。序盤からイタリアはチーム全体が一匹のけもののようにプレスをガチッと効かせててオランダに何もさせない。ただ自分の担当エリアに入ってきたボールを追いかけるだけじゃなく、一人がプレスをかけにいく瞬間にディフェンスラインがグッと押し上がる。これが苦し紛れの縦パスをオフサイドにするのと、奪いきれなくてこぼれたボールを押し上げたDFが拾うってダブル効果で、前に出るとかなりの確率で逆襲されると気づいたオランダがビビり上がってる。キックオフからの5分間で、それだけ貫禄の差が出ていた。最初の競り合いの時点で、トーニの高さにオーイェルは苦労するだろうと思えたし、アンブロジーニの出足が鋭い。ピルロも動けているようだ。こりゃ普通にイタリアだなあ、というのが序盤の印象。
 ところが、ヌルいヤツがいた。ザンブロッタである。バルサですっかりダメになったのか、体を張らなきゃいけない場面で超軽い寄せを見せてファン・ニステルローイにぶっちぎられる。これは結果的に、ブッフォンの飛び出しに引っ掛けられたニステルが踏ん張ろうとして踏ん張ったんだけどシュートを打つには至らず、倒れてたらPKっぽかったけどセーフ、って感じで助かったんだけど、その後の流れのシーンでもザンブロッタはセルフジャッジでプレーを止めてて、再びピンチを招きかけた。だいたい、サイドバックと言えどイタリアのDFがニステル相手に軽いディフェンスするってどういうことよ。一発ガツンとカマして、どっちが偉いかはっきりさせとく勢いじゃなきゃいけなかったはずだ。

 で、オランダの先制は26分。ブッフォンの浅いクリアを拾われて、角度のないところからの強引なシュート、を残ってたニステルが合わせて先制……って誰がどう見てもオフサイドで、ニステルも他のオランダの選手たちも「いやいや旗上がってねーんだけど、ホントにいいのコレ?」みたいな感じで喜んでた。本来は最初のシュートを打たせちゃいけないところ。でも、そこに一番にいなきゃいけなかったはずのパヌッチは、最初にセーブしたブッフォンと交錯して倒れてて、そこをカバーする選手がいなかった。確かにすげえ誤審なんだけど、こういうミスってのはしばしば起こるもので、そのハンデで沈んじゃうようであれば、しょせんそれだけのチームなわけだ。先制点から5分後、オランダが追加点。これは完璧なカウンターで、大きなサイドチェンジからダイレクトプレー2発でゴールまで持ち込んだオランダを褒めるべき。こりゃ止めるの無理ですわ。
 オフサイドだったはずのゴールと、どうしようもなくズバッとハマったカウンター。スコアは0-2でも、また時間は1時間あるわけで、ホントならイタリアは追いつかなきゃいけなかった。ま、0-2にされても動じる素振りを見せなかったという点でイタリアはやっぱすごかったんだけど、誤審に助けられた直後にスーパープレーが決まったオランダは、明らかに落ち着いてて、序盤のバタバタ感はなくなった。
 オランダを褒めるべきはここからで、序盤みたいにイタリアのプレスに手も足も出ないままだったら、2点のリードなんて1点返されたら逆に精神的に追い詰められる分キツいぐらいのものである。ところがここで一息入れて、自陣からすべてのプレーをダイレクト、あるいはツータッチで回してプレスを避けようとし始めた。書いてしまえば簡単なんだけど、イタリアの鬼プレスってのは、ボールを奪うだけじゃなく、心理的プレッシャーを与えてミスを誘発させ、そこを複数の選手でごっそり奪ってそのままシュートまで持ち込むって攻めの一手でもある。そんなプレスをかけられまくってるのに落ち着いてダイレクトでパスを回し、ピッチを広く使ってボールポゼッションに成功した。前半をそのまま2-0のスコアで乗り切ると、後半になってイタリアの足が鈍ってくる。53分にグロッソを入れたあたりから、すでにプレスが鈍り始めていて、その10分後にデル・ピエロを投入した時には、何人かの選手は息切れ状態にあった。それが目立ったのはザンブロッタとピルロ。特にザンブロッタの出来は最悪で、走れない守れないカバーもしないの3拍子揃っていた。グロッソが準備していた時点で、当然ザンブロッタと替えると思ってたんだけど、下げられたのはマテラッツィ。押し上げの勢いが弱まり、くさびのパスを収められてたマテラッツィの出来は悪かったけど、最初の手としてそこなのか、とは思った。結局、ザンブロッタはフル出場するけど、良いシーンは何もなかった。

 3人目のカードはカッサーノ。デル・ピエロ、トーニ、カッサーノとイタリア人が望む3トップがピッチに立ったわけだけど、中盤が完全にやられてるのでまともな形で3トップにボールが入らない。デル・ピエロは投入された直後こそゴールを予感させる積極的な姿勢を見せたけど、ゴールの意識が高すぎるのか、まともにボールを足下に収めたシーンはわずか数回で、求められた仕事ができたとは言えない。カッサーノは何をしに出てきたのか意味不明だった。スルーパスで閉塞した状況を打開しようとしてたんだろうけど、すべてのパスが一番手前の選手に引っかかってる。
 頼みのトーニにもまともなボールが入らず。ホントはトーニってのは、高くバウンドするようなボールを、DFを背負った状態でジリジリ動きながら受けさせるのが一番効率がいい。DFを背負ったまま、ゴリゴリと押していって、そのまま反転してシュートを打ったり、パスで展開することもできる。ところが、そんなボールは全く出てこない。これはなんでかっつうとピルロが質にこだわったサッカーを続けてるからで、正攻法でオランダの守備を突破できないならトーニに当てればいいのに、そんなパスはひとつも出さなかった。トーニがディフェンスラインの裏に抜けて、ファン・デル・サールを脅かすループシュートを放った場面があったけど(ボールはバーのはるか上)、トーニは裏に走らせるならもっとスペースのあるとこじゃなきゃダメだ。そりゃ前にいるデカいヤツを狙ってるだけじゃマズいんだけど、パヌッチもザンブロッタも動けないのにサイドアタックに固執したピルロはバカタレだと思う。終盤、左サイドでオーバーラップしたグロッソに絶妙なパスを送って絶好機を演出したけど、ゴールに直結するようなパスはそれだけ。ボディガードを2人もつけるほどの王様仕事をしたかと言えば全然そうじゃない。ピルロのプレースタイルってのは賛否両論あって、崇拝する人もいれば何の役にも立たないという人もいるけど、この試合のピルロはかなりイケてなかった。ザンブロッタの次にダメ、って感じ。で、チームでの重要度(と優遇されてる具合)を考えると、やっぱピルロはマズかったと思う。だいたい、スタミナ切れるの早すぎるっての。

 そして勝負を決めるオランダの3点目。これもオランダがうまく崩してカイト(この1回きりしか仕事してない)がフィニッシュにまで持ち込んで、ブッフォンが意地で一度は止めてるんだけど、そうやって時間を稼いでる間にもイタリアの選手は戻ってこれない。で、仕切り直しのクロスからファン・ブロンクホルストにやられた。イタリアはどうしてこんなに走り負けてるのだろう。ボールを走らせてるオランダと自分たちが走ってるイタリアの差(クライフ理論ですよ)なのか、単純に年齢差なのか。ガットゥーゾさえ動きにキレがなくなってて、ピルロは相変わらず長い距離は走れない(この試合、短い距離のディフェンスは精力的にやってたし、ちゃんと止めてた)、しかも3トップがあのメンツに変わってるので中盤はスッカスカ。ビハインドがあったから守備を犠牲にしたとしても、それならもうちょっと分厚い攻めをするとかないのかと。逆に、オランダは最後まで元気いっぱい。イタリアのディフェンスラインの前を動き回って撹乱してたファン・デル・ファールトは最後まで50メートル級のロングダッシュをしてた。この差は如何ともしがたいですよ。オフサイドのミスジャッジとか、そういう問題じゃないのは明らかだ。


 でも、フランスの結果があれですから。“死のグループ”って使い古された言葉だけど、やっぱ面白くなりそうな予感。やっぱりこのグループは一番オモロい。

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posted by gdgd2008 |12:12 | グループリーグ |
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2008年06月09日

ポルトガル2-0トルコ ~凡々戦

 両チームとも、組み立て段階でのイージーミスが目につく。さほどプレッシャーがかかっている場面でもないのに、不用意に横パスを相手にプレゼントしちゃっている。それでも、相手からプレゼントされた“チャンスの芽”をどう生かすかが、両チームは対照的だった。トルコはそのボールをキープしたり、あまり意味のない横パスで展開したりと、メリハリのないプレーに終始。一方のポルトガルは、高い位置で相手がボールを失った機会をはっきりとチャンスと認識して、前線の選手が一気に動き出す。最初の一手からしてゴールを予感させる選択肢をセレクトしてくる。両チームともにペースが上がらずダラダラやってるので、こういうトコの差が大きいかもなあ。と思ったらやっぱり先制点はポルトガルで、トルコのしょーもないミスからだった。ミスって慌てて味方同士の位置関係がガタガタになったところを攻撃参加したペペにかき回されて終わり。
 トルコはどうもチームに一貫性がなく、それぞれの思いつきでプレーしている感じ。これじゃダメだわ。とは言ってもポルトガルも決してネームバリューどおりの内容ではなく、上位進出のためには絶対に働かなきゃいけないセンターフォワードのヌーノ・ゴメスが頑張ってるんだけど脅威にならず(頑張ってるんだけどダメ、ってところが先行き暗い)、頼みのクリスチアーノ・ロナウドもどうやら戦術縛りがあるらしくてサイドに張り付いておとなしくしている時間がほとんど。1点を取った時点でヌーノを下げてナニを投入、ロナウドを前に持ってきたけど、機能したとは言いづらい。どうせサイドに開くかセンターライン付近まで下がらないとボールが持てないわけで、それじゃダメなのだ。その他、デコを中心にまとまってるんだけど、強いって印象は最後まで持てなかった。この日のトルコならボコボコにしてもおかしくなかったはず。グループリーグの中でも圧倒的ってわけじゃないし、グループリーグの3試合をやってるうちにチームを進化させないとベスト8止まりかも。
 最後のゴールは完全なオマケ。スコアだけ見れば完勝だけど、内容はとても満足できるレベルじゃなかった。っつうか、どっちも期待外れでつまんない試合だった。


 そして、全試合観戦の公約はここで破棄しようと思う。売れっ子なので、他にもやることがいっぱいあって、サッカーをすべてに優先させるわけにもいかないのだ。というわけで、今から楽天vs中日をBSにて観戦する。


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posted by gdgd2008 |18:53 | グループリーグ |
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2008年06月09日

スイス0-1チェコ ~足りない準備

 全試合を観戦するとか言っときつつ、開幕戦からいきなり飲んだくれてて見逃す。酩酊した脳味噌で録画セットできたのはミラクル。結局見たのは翌日昼。1日2試合ペースが当分続く。大丈夫かオレ。

 開催国で若い選手の台頭が著しいスイスと、列強国ではあるが地盤沈下の続くチェコの対戦。EURO2004のスイスが素晴らしいチームだったという理由で、スイス目線で観戦。スイスの4-4-2は、ピッチ上に均等に選手を配置して、システマチックに動かす感じ。良くも悪くも教科書どおりだけど、下がり目のセンターMFインレルが巧みにボールをさばくのと、うまくスペースを消しながらかけるプレスが効いていてチェコに主導権を渡さない。グラウンダーのパスを素早く繋いでサイドを突破していくスタイルは、見ていて気持ちいい。一方のチェコはボールを失うことを恐れず縦パスにチャレンジするチーム。縦パスが前の選手に収まる可能性は低くても、そのこぼれ球をしっかり狙ってくる。強引と言えば強引だけど、効率が良いと見ることもできる。ポゼッションではスイスが圧倒的に有利。サッカーの質でも上。でも、ゴールとなると話はまた変わってきて、スイスはサイドを崩すまではいいんだけど、その時にゴール前にいる選手の人数が少ない。一方のチェコはサイドで仕掛けるようなチャンスは少ないんだけど、その時ゴール前にはFWの他にMFが入り込んで来てる。スイスが優勢だけど、ゴールがあるとしたらFWがクロスを点で合わせる美しい形しかないだろうと思う。逆にチェコは、無理やりな形でもねじ込むかもしれない。戦い方がこうまで対照的なのは面白い。

 スイスはベーラミが張り切ってサイド突破を繰り返している。もう一人目立っているのは左サイドバックのマグニン。一対一に強くて、体を張らないといけない場面ではちゃんと張る。多少強引にいってるスライディングをきっちり当てて、ピンチを未然に防ぐ。髪型がセンシーニと同じなんだが何歳なのだろう? で、良い形で試合を進めているスイスなんだけど、やっぱり攻め切れない。淡白というか、教科書どおりに美しいサッカーをやってるというか。崩すアクションに工夫がなく、強引さもない。チェコの4バックは全員セリエAでやってるだけあって、それじゃ崩し切れない。で、崩し切れないままシュートを打っても、ツェフは越えられない。スイスの2トップはフレイとストレーラー。エースストライカーのフレイには無理してシュートを狙う覇気が見られるんだけど、やっぱりEURO2008を戦うチームの主砲としては小粒感が否めない。でもってストレーラーは何の役にも立ってない。強いわけでもないのに前に張りすぎで、ディフェンスラインに吸収されっぱなし。カウンターになった時のコース取りだけは良いんだけど、ポゼッションで優位にいる以上、あんまりカウンターのチャンスはない。そして前半終了間際にフレイが膝をケガ。ピッチを去る時に泣いちゃってる。ディフェンスラインから中盤までうまく機能してるので、あとは前線が決めるだけの状況。典型的なセンターフォワードが前できっちり仕事できれば相当強そうなんだけど、モタモタしてる間にケガ。泣きたいのはスイスファン全員だ。
 後半から出てきたのはヤキン。典型的なセンターフォワードだったフレイとは対照的に、テクニックとアイデアで攻撃のリズムに変化をつけるタイプ。これが効くのか流れを止めちゃうのか分からないけど、チームに足りないのはペナルティエリア内で仕事ができて、得点を期待できる選手なわけで、フレイかヤキンかといったら絶対に前者。そう思って見てたらやっぱりそうで、ヤキンは前に張ってる間はほとんどボールにも触れず、下がってきてボールをさばくことはできるんだけど、肝心の前にいる人数は減るばかり。他にFWはおらんのか、と思ってたらフォンランテン。これまた完全なウイングでどうにもならない。そもそもFWのメンバー構成が間違ってる。最初からフレイと心中するつもりで初戦からアクシデント発生であぼんなのか。よほどFWのメンツが弱いのか、少なくとももう一人はいなきゃいけないはずのセンターフォワードタイプがすでにケガとかしてるのか。何なんだよこのゲームプランは。

 それでも、得点の予感がしないのはチェコも同様。ちょっと体が小さくなった感じで、ニコラス・ケイジそっくりになったコラーは、デカいのはいいけどあまり動けなくなってる。動けないのか動かないのかは分からないけど、コラーの良さは決してデカさじゃなく、動き回って足下のテクニックもある上に、あの図体を最大限に生かしてるってトコだったはずだ。これが動かずに前に張りっぱなしになっちゃうとデクの坊である。中盤がスイスに振り回されっぱなしな以上、これでは得点の予感はしない。と思ってた71分、クリアボールを拾って前に入れたら、スイスのディフェンスラインが致命的なオフサイドトラップ失敗。トップの選手はオフサイドだったんだけど、2列目から飛び出したのはコラーに代わって入っていたFWスヴェイルコシュ。同サイドではあったんだけどオフサイドトラップをかいくぐったスヴェイルコシュに旗が上がることはなく、この絶好機をスヴェイルコシュが丁寧に決めてチェコが先制する。
 この時点でスタミナ切れの兆候が見えていたスイスだけど、ペースアップして反撃に出る。それでも、素早くパスをまわしてサイドを崩すけど中央を崩す過程が弱く、シュートアクションが弱いのはキックオフから一貫して変わらない。チェコのミスから、バルネッタのミドル→ツェフがセーブ→こぼれ球をフォンランテンがボレー→バー直撃、って流れもあったけど決められず。偶然生まれたと言っていい決定機を、決めたチェコと決められなかったスイス。試合の主導権を握っているだけではどうしようもない差だった。っつうかフォンランテンのボレーは決められたはずだよなあ。もうツェフは寝っ転がってるわけで、フカさなきゃ入ってた。終盤はスイスがパワープレーに入るが、これは強さに勝るチェコの思うツボ。絶望的なロングボールを入れ続けてるうちにタイムアップ。クーン監督はチーム作りはうまいのかもしれんが、指揮はダメだな。
 引き分けならOKだったスイスだけど、この敗戦でいきなり崖っぷち。次のトルコは絶対に勝たなきゃいけなくなったけど、後半に松葉杖ついてたフレイが復帰できないとなると相当苦しいはず。得点を期待できるFWがいない、ってのは致命的な弱点だけど、それならそれで戦い方がないわけじゃないはずで。バルネッタ、ベーラミの両サイドMFにもっと中央に切れ込む動きをさせるとか、インレルをもっと前でプレーさせるようにチーム全体でサポートするとか。少なくとも、バルネッタがサイドを突破しようとしてるタイミングで逆サイのベーラミがゴール前に入ってくるとか、その逆とか、勝負に行く時間帯だけでもそういう動きができれば状況は全然違ってくるはず。ファンタジスタのヤキンも、個人技がチームの動きと全く合っていなかった。EURO2004ではシャプイザがこの役割をやってて、すげえ熟練の味を出してて最高だったんだけど、ヤキンでは比べものにならない。チームに必要な役割を考えると、トップ下のプレーじゃなく、ストライカーとしてのプレーをさせるべきだ。っつうか、これくらいのことができなかったスイスにはガッカリだ。あとほんのちょっとで大化けしそうな好チームなんだけどな。


 すでに開幕3日目を迎えていますが、見たのは開幕戦の1試合のみ。夜までに3試合見ないと肝心のイタリアの試合に追いつきません。結果を知らないままでいるのもそろそろ限界か。

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posted by gdgd2008 |08:26 | グループリーグ |
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