2008年06月10日
オランダ3-0イタリア ~運じゃない
お待ちかねのイタリア登場。中盤から前にかけては完全に予想されていたとおりの、予選のイタリア。ところがDF陣が、カンナヴァーロのケガでザンブロッタ-マテラッツィ-バルツァーリ-パヌッチという並び。序盤からイタリアはチーム全体が一匹のけもののようにプレスをガチッと効かせててオランダに何もさせない。ただ自分の担当エリアに入ってきたボールを追いかけるだけじゃなく、一人がプレスをかけにいく瞬間にディフェンスラインがグッと押し上がる。これが苦し紛れの縦パスをオフサイドにするのと、奪いきれなくてこぼれたボールを押し上げたDFが拾うってダブル効果で、前に出るとかなりの確率で逆襲されると気づいたオランダがビビり上がってる。キックオフからの5分間で、それだけ貫禄の差が出ていた。最初の競り合いの時点で、トーニの高さにオーイェルは苦労するだろうと思えたし、アンブロジーニの出足が鋭い。ピルロも動けているようだ。こりゃ普通にイタリアだなあ、というのが序盤の印象。 ところが、ヌルいヤツがいた。ザンブロッタである。バルサですっかりダメになったのか、体を張らなきゃいけない場面で超軽い寄せを見せてファン・ニステルローイにぶっちぎられる。これは結果的に、ブッフォンの飛び出しに引っ掛けられたニステルが踏ん張ろうとして踏ん張ったんだけどシュートを打つには至らず、倒れてたらPKっぽかったけどセーフ、って感じで助かったんだけど、その後の流れのシーンでもザンブロッタはセルフジャッジでプレーを止めてて、再びピンチを招きかけた。だいたい、サイドバックと言えどイタリアのDFがニステル相手に軽いディフェンスするってどういうことよ。一発ガツンとカマして、どっちが偉いかはっきりさせとく勢いじゃなきゃいけなかったはずだ。 で、オランダの先制は26分。ブッフォンの浅いクリアを拾われて、角度のないところからの強引なシュート、を残ってたニステルが合わせて先制……って誰がどう見てもオフサイドで、ニステルも他のオランダの選手たちも「いやいや旗上がってねーんだけど、ホントにいいのコレ?」みたいな感じで喜んでた。本来は最初のシュートを打たせちゃいけないところ。でも、そこに一番にいなきゃいけなかったはずのパヌッチは、最初にセーブしたブッフォンと交錯して倒れてて、そこをカバーする選手がいなかった。確かにすげえ誤審なんだけど、こういうミスってのはしばしば起こるもので、そのハンデで沈んじゃうようであれば、しょせんそれだけのチームなわけだ。先制点から5分後、オランダが追加点。これは完璧なカウンターで、大きなサイドチェンジからダイレクトプレー2発でゴールまで持ち込んだオランダを褒めるべき。こりゃ止めるの無理ですわ。 オフサイドだったはずのゴールと、どうしようもなくズバッとハマったカウンター。スコアは0-2でも、また時間は1時間あるわけで、ホントならイタリアは追いつかなきゃいけなかった。ま、0-2にされても動じる素振りを見せなかったという点でイタリアはやっぱすごかったんだけど、誤審に助けられた直後にスーパープレーが決まったオランダは、明らかに落ち着いてて、序盤のバタバタ感はなくなった。 オランダを褒めるべきはここからで、序盤みたいにイタリアのプレスに手も足も出ないままだったら、2点のリードなんて1点返されたら逆に精神的に追い詰められる分キツいぐらいのものである。ところがここで一息入れて、自陣からすべてのプレーをダイレクト、あるいはツータッチで回してプレスを避けようとし始めた。書いてしまえば簡単なんだけど、イタリアの鬼プレスってのは、ボールを奪うだけじゃなく、心理的プレッシャーを与えてミスを誘発させ、そこを複数の選手でごっそり奪ってそのままシュートまで持ち込むって攻めの一手でもある。そんなプレスをかけられまくってるのに落ち着いてダイレクトでパスを回し、ピッチを広く使ってボールポゼッションに成功した。前半をそのまま2-0のスコアで乗り切ると、後半になってイタリアの足が鈍ってくる。53分にグロッソを入れたあたりから、すでにプレスが鈍り始めていて、その10分後にデル・ピエロを投入した時には、何人かの選手は息切れ状態にあった。それが目立ったのはザンブロッタとピルロ。特にザンブロッタの出来は最悪で、走れない守れないカバーもしないの3拍子揃っていた。グロッソが準備していた時点で、当然ザンブロッタと替えると思ってたんだけど、下げられたのはマテラッツィ。押し上げの勢いが弱まり、くさびのパスを収められてたマテラッツィの出来は悪かったけど、最初の手としてそこなのか、とは思った。結局、ザンブロッタはフル出場するけど、良いシーンは何もなかった。 3人目のカードはカッサーノ。デル・ピエロ、トーニ、カッサーノとイタリア人が望む3トップがピッチに立ったわけだけど、中盤が完全にやられてるのでまともな形で3トップにボールが入らない。デル・ピエロは投入された直後こそゴールを予感させる積極的な姿勢を見せたけど、ゴールの意識が高すぎるのか、まともにボールを足下に収めたシーンはわずか数回で、求められた仕事ができたとは言えない。カッサーノは何をしに出てきたのか意味不明だった。スルーパスで閉塞した状況を打開しようとしてたんだろうけど、すべてのパスが一番手前の選手に引っかかってる。 頼みのトーニにもまともなボールが入らず。ホントはトーニってのは、高くバウンドするようなボールを、DFを背負った状態でジリジリ動きながら受けさせるのが一番効率がいい。DFを背負ったまま、ゴリゴリと押していって、そのまま反転してシュートを打ったり、パスで展開することもできる。ところが、そんなボールは全く出てこない。これはなんでかっつうとピルロが質にこだわったサッカーを続けてるからで、正攻法でオランダの守備を突破できないならトーニに当てればいいのに、そんなパスはひとつも出さなかった。トーニがディフェンスラインの裏に抜けて、ファン・デル・サールを脅かすループシュートを放った場面があったけど(ボールはバーのはるか上)、トーニは裏に走らせるならもっとスペースのあるとこじゃなきゃダメだ。そりゃ前にいるデカいヤツを狙ってるだけじゃマズいんだけど、パヌッチもザンブロッタも動けないのにサイドアタックに固執したピルロはバカタレだと思う。終盤、左サイドでオーバーラップしたグロッソに絶妙なパスを送って絶好機を演出したけど、ゴールに直結するようなパスはそれだけ。ボディガードを2人もつけるほどの王様仕事をしたかと言えば全然そうじゃない。ピルロのプレースタイルってのは賛否両論あって、崇拝する人もいれば何の役にも立たないという人もいるけど、この試合のピルロはかなりイケてなかった。ザンブロッタの次にダメ、って感じ。で、チームでの重要度(と優遇されてる具合)を考えると、やっぱピルロはマズかったと思う。だいたい、スタミナ切れるの早すぎるっての。 そして勝負を決めるオランダの3点目。これもオランダがうまく崩してカイト(この1回きりしか仕事してない)がフィニッシュにまで持ち込んで、ブッフォンが意地で一度は止めてるんだけど、そうやって時間を稼いでる間にもイタリアの選手は戻ってこれない。で、仕切り直しのクロスからファン・ブロンクホルストにやられた。イタリアはどうしてこんなに走り負けてるのだろう。ボールを走らせてるオランダと自分たちが走ってるイタリアの差(クライフ理論ですよ)なのか、単純に年齢差なのか。ガットゥーゾさえ動きにキレがなくなってて、ピルロは相変わらず長い距離は走れない(この試合、短い距離のディフェンスは精力的にやってたし、ちゃんと止めてた)、しかも3トップがあのメンツに変わってるので中盤はスッカスカ。ビハインドがあったから守備を犠牲にしたとしても、それならもうちょっと分厚い攻めをするとかないのかと。逆に、オランダは最後まで元気いっぱい。イタリアのディフェンスラインの前を動き回って撹乱してたファン・デル・ファールトは最後まで50メートル級のロングダッシュをしてた。この差は如何ともしがたいですよ。オフサイドのミスジャッジとか、そういう問題じゃないのは明らかだ。 でも、フランスの結果があれですから。“死のグループ”って使い古された言葉だけど、やっぱ面白くなりそうな予感。やっぱりこのグループは一番オモロい。
追記: 運営側が、「あれはやっぱりオフサイドじゃないよ。だいたいオフサイドのルールってね、あれは取らないようになってんだよ。素人は知らないだろうけど」って発表したそうだ。あれがセーフならさ、イタリア人なら逆手に取って悪さしそうだよな。マテラッツィがポスト脇でわざと相手選手ともつれて、相手もろとも転ぶんだけど、自分は手前側に転ぶ。その瞬間からボーナスタイム突入ですよ。フランス戦でやらねーかな。ドメネクの反応が見たい。
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posted by gdgd2008 |12:12 |
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