2007年12月13日

J1J2入れ替え戦 J1 16位 サンフレッチェ広島 X J2 3位 京都サンガ

 2007年Jリーグ、最後のスケジュールJ1J2入れ替え戦。今年は、ペトロヴィッチ監督の下、昨季終盤に機能した攻撃サッカーが花開くかと予想されたが、蓋を開けてみれば年間71失点と守備陣が崩壊したサンフレッチェ広島。そして、最後までもつれたJ2上位争いを10月に入ってからの監督交代と言う荒治療で競り勝った京都サンガ。この両チームの戦いとなった。広島は日本代表の佐藤寿・駒野、五輪代表の柏木・青山らを擁するタレント集団で、戦力的にみれば広島の圧倒的有利は揺るがない。しかし、2005年から2年連続でJ2チームが勝利し、J1昇格を果たしているようにJ2チームの勢いというものは侮れない。今年も京都が加藤監督就任後、4勝3分1敗と上々の出来でシーズンを終えたのに対し、広島は9月1日の横浜FC戦以降は勝利がない。試合内容は悪くないのに勝ちきれないという、状況は選手達に大いなるストレスとプレッシャーを与えているだろう。
 戦力の広島とチームの完成度・勢いで勝る京都。来年J1の舞台に立つのはどちらになるのか。
 


第一戦


京都サンガ
GK平井
DF渡辺
DF角田
DF森岡
DF手島
MF斉藤
MF石井
MF中谷
FW中山
FWパウリーニョ
FW田原

交代
75分田原⇒西野
85分パウリーニョ⇒倉貫


サンフレッチェ広島
GK下田
DF森崎和
DFストヤノフ
DF槙野
MF戸田
MF駒野
MF服部
MF柏木
MF森崎浩
FWウェズレイ
FW佐藤

交代
45分森崎和⇒盛田
64分服部⇒李
71分ウェズレイ⇒平繁


■ 守備崩壊
 京都のホーム西京極陸上競技場で行われた第一戦。まず主導権を握ったのは広島だった。ショートパスを繋いで、京都DFを崩しにかかる。3分、佐藤がDFラインを巧みに破り、そこへスルーパスが通る。しかし、佐藤の放ったシュートは狙いすぎたか、ゴール上方へ外れる。続いて6分、15分とウェズレイが強引ながらもシュートを放ち、J屈指の破壊力を持つ2トップが京都ゴールを陥れるのは時間の問題かと思われた。しかし、20分過ぎから京都の選手がセカンドボールに対する反応で上回り始め、広島の選手が拾っても素早いプレッシャーで自由を与えない。これにより広島のパスが繋がらなくなり始め、ペースは徐々に京都へ傾き始める。そして29分。右サイド渡辺が服部を巧みなフェイントで交わしてクロスを入れる。このボールにGK下田が反応し、精一杯手を伸ばしてボールの軌道を変えた。しかし、この下田のプレーを予測していた田原がフリーで無人のゴールへヘディングシュート。田原の素晴らしいポジショニングで京都が値千金の先制点を手に入れた。
 39分。右CKを広島DFがクリア。クリアボールを拾った渡辺がアーリークロスを入れると、またも田原がDF二人の間に飛び込みながら頭で叩き込みゴールネットを揺らす。貴重な追加点となった。広島は守備の際、横からの揺さぶりに対してボールウォッチャーになりがちで、この2点とも田原のポジションはDFの視界には無かったように思われる。そして前半ロスタイムにもパウリーニョ→渡辺→中山とダイレクトで繋ぎ、中央フリーの田原へパスが通る。これは下田が体を張ってセーブし、難を逃れたが、このシーンも京都の速いパス回しにDFが混乱してしまっていた。

■ 光を繋ぐゴール
 二点のリードを許す広島は攻撃に重きを置いて点を取りに行く。それに対し、京都は中谷が左SB の位置まで下がり、5バックの形で守る。そして51分には、その前掛かりになった裏のスペースをパウリーニョがスピードで突き、中山へラストパス。中山はトラップをミスしてしまい、難しい体勢から打ったシュートはゴールポストに嫌われゴールにはならなかったが、広島は危うく試合を決められる所だった。
 64分、服部に代えて李を投入。右サイドで中谷のマークに苦しんでいた駒野を左サイドに移し、駒野を活かすと共に、積極的な攻撃参加でチャンスを生み出す渡辺を消しに出る。しかし渡辺が駒野との1対1をことごとく止めたため、駒野は左に移ってクロスの本数こそ増えたが、サイドを深くえぐってのクロスは殆ど無く、アーリークロスが多くなる。ボールとマークに付く選手を同じ視野に入れられる、前方から来るクロスなら角田・森岡・手島という各世代の代表経験者達で揃えられたCB3人にとって跳ね返すのは困難な仕事ではなく、広島の決定機はサイド攻撃から生まれず、ペナルティエリア外からのミドルシュートのみとなる。森崎浩・駒野のミドルシュートはGK平井が素早い反応でセーブ。京都がこのまま2-0で逃げ切るかと思われた88分、森崎浩が平繁にクサビのパスを送ると、これを平繁がスルーし、佐藤が受けてシュート。平井が何とか弾いたが、パスをスルーした後、走り込んでいた平繁の元へ。平繁はスライディングシュートでしっかり枠内に収めた。スコアは2-1で京都が勝利したが、広島が土壇場で貴重なアウェーゴールを得た。これにより第二戦1-0でも広島が勝てばJ1残留を決める事ができ、状況は決して悲観するものではなくなった。第二戦は一点で運命が決まるため、一瞬たりとも気が抜けない展開となるだろうと予想された。


第二戦


サンフレッチェ広島
GK下田
DF槙野
DFストヤノフ
DF盛田
MF森崎和
MF駒野
MF服部
MF柏木
MF森崎浩
FWウェズレイ
FW佐藤

交代
45分服部⇒李
71分ウェズレイ⇒平繁


京都サンガ

GK平井
DF角田
DF森岡
DF手島
MF斉藤
MF石井
MF渡辺
MF中谷
FW中山
FWパウリーニョ
FW田原

交代
55分斉藤⇒アンドレ
67分田原⇒徳重
90分パウリーニョ⇒秋田


■ 耐える京都
 初戦を勝ち取った京都は、攻撃時は3バック、守備時には両サイドの渡辺・中谷がDFラインにまで下りる5バックを採用。対する広島は勝利が絶対だが、一点を取られると窮地に立たされる事もあり、第一戦と変わらないシステムを採用。しかし、槙野・ストヤノフが積極的に攻撃参加することで第一戦以上の攻撃を披露する。10分、12分と佐藤が柏木のパスからゴールまで後一歩の所まで迫ると、15分、柏木が右サイドの裏のスペースへ駒野を走らせる。駒野はボールに追いつくと、キックフェイントで後方から来た相手を交わしてクロス。佐藤に合うが、佐藤のシュートはクロスバーに嫌われる。その後もDFラインからの積極的なビルドアップと、サイドチェンジなど、パスで京都を崩す。32分、右サイドへのボールを駒野が受け、上がってきていた盛田へパス。盛田が左足に持ち替えてクロスを上げるとファーサイドで佐藤が折り返し、柏木がダイレクトでシュート。しかし、わずかに枠を外れる。続いて35分、駒野のアーリークロスを受けた佐藤がトラップで相手DFを交わしてシュート。しかし、平井にセーブされる。43分には、柏木がウェズレイへクサビのパスを入れると、ウェズレイがヒールで落とし、森崎浩がダイレクトでミドルシュートを打ったが、枠内に飛ばない。このように前半は終始、広島が攻め、京都が耐える展開が続いた。この原因は5バックになる事で中盤でのプレスが緩くなり、広島の選手達に自由を与えてしまっているからだろう。前半は耐える事ができたが、これを90分続ける事は困難なミッションだと思われた。

■ 勝利の女神に嫌われる
 後半開始と共に京都は守備を4バックに戻し、中谷を中盤に入れて第一戦の布陣に戻す。先にビッグチャンスを得たのは京都。50分、右CK をファーで手島がヘディングシュート。これを下田が弾いた所を田原がつめたが、ストヤノフにシュートブロックされる。続いて51分、シュートコースを見つけたパウリーニョが積極果敢にシュートするも、下田がセーブし、ゴールにはならない。55分にはアンドレを投入し、完全な3トップを置いた京都は、前線からプレスをかける。これによって広島はシュートまで持っていけない攻撃が増え、京都のカウンターに苦しめられる。59分、ボールを中盤で奪った田原がカウンターで3対2の状況を作り、右でフリーのアンドレへパス。アンドレのシュートをストヤノフが体を張ってブロックし、クリアされる。62分、パウリーニョが縦パスを受けるとストヤノフと体を入れ替え、中へ切り込みアンドレへパスを送るが、アンドレは空振り。田原が流れた所をつめるが、サイドネットに外れる。3トップを当てられて以降、攻撃参加のなかった広島DF陣だったが、69分、槙野が李とのワンツーでオーバーラップし、柏木へパス。柏木はコントロールしたシュート打つが、クロスバー直撃に終わる。そして71分にウェズレイに代え、第一戦アウェーゴールを記録した平繁を投入する。しかし、ウェズレイがいなくなった事でボールの収まるFWがいなくなり、攻撃が駒野のサイド突破頼みになる。このままではJ2降格が決まる広島は攻撃的に出る。77分、左でパスを受けた駒野が中へ切れ込んでミドルシュートも僅かに枠を外す。82分、柏木が左サイドの裏のスペースへ走ると駒野がスルーパス。中で待つ佐藤に合わせたパスを送るが、中谷がギリギリの所でクリア。そして、ロスタイムのラストプレー。右サイドでFKのチャンスを得た広島。中へロングボールを入れると、一回はクリアされたが、セカンドボールを駒野が拾い、左サイドに流れたストヤノフへパス。ストヤノフは中央へクロスを入れ、これを槙野が素晴らしいオーバーヘッドで合わせたが、またもポストに嫌われた。そして試合終了。京都は3度目のJ1昇格を決め、広島が2度目のJ2降格を味わう事となった。


結果
サンフレッチェ広島 1-2 京都サンガ(二戦合計)

得点
第一戦
29分田原←渡辺
39分田原←渡辺
88分平繁


総括


■ サンフレッチェ広島
 リーグ戦の終盤。良い形で攻めるが、ゴールを奪えない試合が続いたが、この2試合も同じような試合になってしまった。第二戦などはそれが顕著で、シュート数では京都を圧倒し、前半はいつ点を奪ってもおかしくない展開だったが、得点は奪えず、試合を通してシュートが3度もポストに当たる不運にも見舞われた。J2降格に伴い代表級の主力選手が移籍する事も懸念される。試合後に佐藤はサポーターに残留宣言をしたが、その後フロントとの交渉で、戦力を維持できない場合は移籍も視野に入れると発言。駒野・柏木・ウェズレイにもオファーがあるとの報道もあり、戦力の維持は困難と思われる。しかし、高柳・高萩・李・平繁など若い選手に良い素材の選手がおり、主力の移籍で出場機会を得れば、成長することも考えられ、悲観する必要はないだろう。彼らが持っているものを全て出せば、1年でのJ1復帰は決して難しくはないはずだ。

■ 京都サンガ
 戦力的に及ばない相手に、選手が与えられた役割を全うする事で、J1昇格を勝ち取った。秋田の引退などにより、一つになったチームは素晴らしいパフォーマンスを披露。第一戦の田原・渡辺。二戦を通してハードワークした斉藤・中谷・石井の中盤など誰もが勝つための100点の動きだった。しかし、この二戦のようなハードワークを1シーズンこなす事は難しいと思われる。また、シーズンを通して札幌の守備や、東京ヴェルディの個人の力のように特にインパクトを残したものは無く、J1で闘うにはストロングポイントを作る必要があるだろう。フロント陣は補強を明言しているが、その補強のデキが来シーズンを大きく左右するだろう。

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posted by gambarca1324 |03:38 | マッチレポート | コメント(0) | トラックバック(0)
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