2008年07月20日
アジア枠をきっかけに外国人枠を再び考える
当ブログの4月29日に「Jリーグが抱える二つの課題」と題して「外国人枠」を取り上げたことがある。 オシム前日本代表監督が日本人キーパーのレベルの低さを嘆いて、「キーパー外国人枠」を唐突に提案したことを取り上げ、「外国人枠」について書いた。あれから3ヶ月もたたないうちに、早ければ来季に向けて現行の「外国人3人枠」とは別枠でアジア・サッカー連盟(AFC)加盟国・地域出身の選手を対象にしたアジア枠を設ける案が浮上、検討段階にはいっている。 そこで今回はこのアジア枠を含め、外国人枠について再度、“外国人枠拡大は日本サッカーのレベル向上に寄与するのかどうかを中期的に展望”してみたい。 一口に外国人枠拡大といっても外国人枠の「全面的制限撤廃」と「部分的制限撤廃」があり、Jリーグはいうまでもなく「部分的制限撤廃」をとっている。 外国人枠の「全面的制限撤廃」をすればアーセナルやインテルのようにスタメン全員が外国人という極端な例も出てくる。ユーロ各国あるいは各クラブで外国人枠への対応はおのおの異なるのでユーロをひとくくりには出来ないが、イギリスのように外国人枠拡大の影響で代表のレベルが低下するという声が上がっている。ただしイギリス代表のレベル低下と外国人枠拡大に確かな因果関係があるかどうかは即断出来ないが、その懸念は理解できる。 ちょうど折りしもFIFA(国際サッカー連盟)会長のブラッターの「6+5ルール」(クラブの試合で、外国籍選手の先発を5人までに制限)の提案をFIFAが支持し、UEFA(欧州サッカー連盟)も同調する気配があるという。 FIFAはこれまでサッカーの世界的普及に力を注いできた。サッカー不毛の地、アメリカをワールドカップ開催地に選び、日韓共催大会や南アフリカ大会のように各大陸持ち回りでワールドカップ開催を推進してきた。 ユーロの一極集中傾向は移籍金や選手の年俸高騰を招いたが、一方で世界的なサッカー技術の向上とサッカー人気の普及という面では功罪の「功」を担ったように思う。ユーロ・南米とそれ以外の地域との実力差は確実に縮まってきたのも「功」の部分である。 しかしここへきて世界の一流プレーヤーがユーロに一極集中することの弊害を感じ始めたのかもしれない。「6+5ルール」へのFIFAならびにUEFAの賛意はやはり「罪」のウエイトが大きいと判断したのだろう。 誰にとっての「罪」なのか、「罪」の中味はなんなのか、私自身、実はあまりよくわかっていない。(今後の課題として残しておきたい) さて、Jリーグにおけるアジア枠導入は日本サッカーのレベル向上に寄与するのかどうかを考えてみる。 まず、具体的にアジアとはどこを指すことになるのだろう。というよりアジアとは現実問題としてどこになるのであろう。中期的にはおそらく、韓国、北朝鮮、中国、オーストラリアを指すことになるだろう。東南アジアは当面はまだ日本人選手を超える有望な選手は相対的に少ない。ならば中東はどうか?身体、運動能力の高い中東の選手はアジアカップなどでもその活躍は光っていた。しかし中期的にみると中東の選手がJリーグを選択するかどうかは疑問である。その理由は潤沢なオイルマネーで有望な自国ならびに他の中東諸国の選手を引きとどめるであろうし、かつユーロが「6+5ルール」を採用すれば、世界の一流プレーヤーの多くはユーロ以外のリーグへと流れていくはずである。そのユーロ以外のリーグの可能性はオイルマネーに沸き立つ、中東各国とロシアになる可能性が高い。 アジア枠が日本サッカーに及ぼす直接的な影響は日本人選手の出場機会が失われるということである。アジア枠を含め外国人枠の増加はイコール日本人選手の締め出しを招く。しかし、プラスに考えれば日本人選手に適度な刺激を与え、競争意識とハングリー精神が育ちレベルの向上につながるという意見がある。もちろんこれとは正反対の意見も多い。 外国人枠の「全面的制限撤廃」のユーロでは、外国人スター選手の獲得によるハイレベルで魅力的な試合の展開で、入場料収入も増え、スター選手に払う年俸を上回る収入をクラブへもたらし、その再投資で更なるスター選手を獲得しているビッククラブがある。またその一方で、若手を下部組織から育て、そのなかから生え抜きのスターを作り、そこに適度な外国人スターをうまく組み合わせて経営的にうまくやっているクラブもある。 Jリーグの場合、外国人枠の「全面的制限撤廃」は中期的には可能性は薄いと私は思っている。Jリーグにおける外国人枠完全撤廃はいくつかの点でリスクが多すぎるからだ。 プロ野球の世界では外国人選手を昔から「助っ人」と呼んできた。このことからもわかるように外国人は一時的な手助け要員として考えられてきたし、多分今後ともその点は大きく変わることはないであろう。オール助っ人チームは日本人のメンタリティーにそぐわず、ファンは集まらないだろう。Jリーグが盛りあがらなければ、同時にレベルも上がらない。 適正な外国人選手の数は姑息かもしれないが、すこしづつカードを切るように現行の3人枠を広げて、その影響を見ながら判断していくのが現実的である。 反面、外国人枠の「全面的制限撤廃」をしなければ、J各クラブの対応はどうしてもユーロのような多様な選択・対応が出来にくい側面がある。 そこでJ各クラブが今回のアジア枠を世界のサッカーの潮流を考慮しながら、中期的なスパンでどう考えるかによって各クラブに対応の違いが出てくるだろう。
posted by futbolwold |10:27 |
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