2008年06月26日
世界になくて日本にあるもの
前回、このタイトルとは真逆のテーマで日本サッカーに欠けるところを書き出してみた。 “世界にあって日本に欠けるもの”の代表が「判断」のスピード、濃密なコミュニケーション、全体状況の把握、の三点である。 この三点に共通することは、サッカーという競技に特有なものではない。あらゆるスポーツに通じているかどうかは明言できないが、団体競技に限れば相当程度、重なり合う部分が多いのではないかと思う。 同時に、この点に関してはスポーツの領域のみならず、現在の日本社会全体が弱さとして抱える点であることも、“世界にあって日本に欠けるもの”に寄せていただいた多くのコメントのなかで指摘していただいた。 したがって、この3点の克服にはそれ相当の時間と知恵を要するであろう。しかしワールドカップ本大会は4年に一度、確実にやってくる。せめてサッカーという領域では早急かつ果断に弱点の克服をめざさねばならない。 サッカーというスポーツのテクニカルな領域での“世界にあって日本に欠けるもの”についてもすこし触れておかねばならない。「判断」のスピードと相関関係にあるプレーのスピードにおいて世界との差は大きい。 今回のアジア3次予選においても多くの人が指摘していたことだが、日本選手はシュートを打なすぎる、慎重すぎる、積極性がたりない、失敗を恐れすぎる、というあまたの批判のコメントをいただいたが、相当程度、批判の内容は正鵠を得ていると思う。 私自身、「シュートを打てるのにあえて打たず」パスに逃げてしまうというシーンにサポーターの一人として過去何度、天を仰いだことか。 選手のメンタルな部分に問題があるということだが、はたしてそれだけであろうか。 私は日本選手がトラップ、パス、シュートの一連の基本動作において、まだまだ精度が世界レベルに届いていないことにも問題があると考えている。 Jリーグで活躍する外国人フォワードはおしなべて基本動作が俊敏かつ迅速で確実である。どんなパスも体のあらゆる部分を使いトラップをして、シュートの体勢につなげる位置にボールをピタッと置く、この技術は日本人選手にはない基本動作である。 つまり敵がシュートコースに入る寸前に、シュートを放つのは、メンタル以前の基本技術の問題ではないだろうか。 また膝下の部分を小さな振幅でふりぬき、早くて強いシュートを打つ技術があれば、やや遠目からでもシュートを放つことが出来る。しかし日本選手にとって“ゴールが見えたらシュートを打て!”といわれてもシュートまでのモーションが大きすぎて、その間にシュートコースをふさがれてしまう。ここでもやはりメンタルな面もさることながら基本技術に大きく左右されてしまう。 フォワードの得点力不足は世界的な潮流の様子だが、南米も欧州もその原因にストリートサッカーの衰退を挙げている。1個のボールさえあれば、貧しい家庭の子供でも日がな一日、スタープレーヤーに憧れを抱きながらボールを蹴って遊んでいた。遊びのなかでサッカーに必要な基本動作が自然に身につけていった。裸足でボールに触れる感触は大人になっても皮膚感覚としてしっかり残っている。どんなボールがきても体細胞が勝手に反応する。この差は想像以上に大きい。 日本人フォワードの名誉のためにあえて弁護をすれば、フォワードというポジションは好不調の波が大きいという点において、野球における打者に似ている。好打者としての目安が確率30%とはいかにも低いが、サッカーはさらに世界の一流ストライカーでさえ得点確率は驚くほど低いものと思われる。 野球の例をもう一つ引き合いにだせば、打撃成績は相手投手によって大きく左右され、あてにならないところがあるが、走塁と守備には不調が無い、といわれる。 これをサッカーに当てはめるとどうなるか? エース級の投手を崩すには足を絡めた攻略がよく選択される。サッカーにおいては強力な相手DF陣から点を奪い取るには、相手の守備体形が整う前にゴール前にボールを運ぶことが求められる。幸い日本人選手の走力の持続性は世界になくて日本にあるものだ。後半の残り15分は相手のスピードががくんと落ちて、日本の得点チャンスは増える。 あとはフィニッシュの精度頼みだが、これが基本技術の問題で思うにまかせないところがいまのところなんとも悩ましい。 世界になくて日本にあるものの一つに日本人の小さな体形がある。意外なことと思われるかもしれないが、日本選手には大きな外国人選手には無い俊敏性が備わっている。こま鼠のような動きは玉田、大久保、そして元日本代表の森島らは大男ぞろいの欧州勢を相手にある程度機能していた。ペナルティー付近での小さな相手に対するディフェンスは意外にやりにくそうにみえる。時にファウルねらいの強引なドリブル突破を仕掛けることも必要である。 アフリカ諸国の代表監督を歴任してきたトルシエが日本代表を指揮して感じたことは、日本選手の規律性、勤勉性、理解力の速さにおいて優れている点だった。 個々の能力は劣っても、集団で成し遂げる力、集中力には見るべき点が多い。この良さは特に守備において顕著である。複数でボールをとりにいく、攻撃的な守備を徹底すればゲームをコントロールすることも可能だ。 Jリーグの中でこの戦術をとっているのが浦和レッズと今シーズンの名古屋グランパスである。今シーズン、まだデータは少ないが両チームとも少ない失点と後半勝負のゲームプランを徹底して追求している。浦和は総得点の90%弱を後半にあげている。名古屋も同じように60%が後半の得点である。相手チームの動きが鈍くなった後半に一気に勝負を決める展開で、ともにリーグ1位と2位の位置につけている。 鹿島アントラーズも同様の得点パターンを示している。堅守、後半勝負型のチームがJリーグのトップクラスを形成しているのは、「日本的サッカー」のヒントになるのではなかろうか。 フィジカル面で世界に遅れをとる日本としては、集団的規律性を前面に押し出し、1対1の不利を数的優位で補い、組織だった攻撃と守備で相手が疲れる後半に勝負をかけること、これが現時点では最も理にかなった戦術ではないだろうか?
posted by futbolwold |14:12 |
日本代表 |
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この記事に対するコメント一覧
世界になくて日本にあるもの
松井って言う選手はそれを海外でプレーして肌で感じて、実践に移した選手じゃないかなぁと思います。
昔から何かと器用な選手でしたが、壁にぶちあたって、そこで自分はどうすれば良いかって考えて得た結論が今のプレーにつながっているんでしょう。
その発想力と柔軟性って右へ習えを、教えられたこと、言われたことをひたすら実践することを美徳とする日本人には、わかっていてもなかなかできないことですが、彼は日本人にいいヒントを与えてくれてるんじゃないかなぁと、思います。
posted by ・・・ | 2008-06-26 15:15
世界になくて日本にあるもの
こんにちは。
昨日の鹿島vs大分戦後、オリヴェイラ監督がこんなことを言っています。
「どこに聞けばいいのかわかりませんが、なぜ我々が中3日ということになって、ガンバは中4日になるのか、どこか関連するところに質問して頂きたいなと思います。
やはり日本のサッカーの密度、スピードを考えたとき、かなりの負担を選手が背負う形になっていると思います。そこで回復する必要性があって、1日少ないとまったく疲労の回復具合は違ってきます。」
またJリーグで笛を吹いたドイツ人審判には「Jリーグでは前へ前へとボールを運ぼうとするから、常にボールが行ったり来たり。尋常ではない走力が要求された。走って状況を追わず、留まるほうがいい場合すらあった」<http://number.goo.ne.jp/soccer/japan/705/20080612-1-1.html>なんて言われたり。
さらに、浅田真樹氏もNumberで「日本の“せわしなさ”は本当に欠点なのか?」<http://number.goo.ne.jp/soccer/japan/to698/20080228-1-1.html>といった記事も書いています。
「せわしなさ」も、オリヴェイラ監督のように捉え方によってはマイナス面もありますが、日本独特のスタイルみたいですね。
posted by Q!Q!Q! | 2008-06-26 20:04
世界になくて日本にあるもの
EUROみていてもほとんどの得点が後半だと思いますよ。
日本の特徴は持久力といえるのでしょうか?
posted by うーん | 2008-06-26 20:13
世界になくて日本にあるもの
野球に例えられた部分は正直よく分かりませんでしたが、持久力の部分は果たして利点と見るべきかどうかは甚だ疑問です。
連夜(だった)のユーロを例に取れば分かりやすいでしょうが、ほぼどの国の代表も持久力を最後まで保持しています。尤も「あのクラスでは」かも知れませんが。
又日本人の持つ「持久力」の良さは単調なタスクをこなしていく持久力であると教えられたことがあります。つまりスピード等の変化を求められるこのスポーツに於いては致命的とも言えると思います。
逆に考えると、むしろ確実な仕事をコツコツとこなす選手が増やせれば強化につながっていくのではないかと思います。
ここで重要なのは「確実な」の部分です。
ハイボール処理が下手とか、緩いマーキングとか、遅くて高いクロスとか…そういった殆ど手つかずじゃないかと思える処を如何に工夫して精度を上げられるか、、それが出来る可能性があることが最大の利点じゃないかと思います。
posted by bluse | 2008-06-26 22:35
世界になくて日本にあるもの
スカパー入って松井を見ましょうw
彼は日本人にあって平均的な身長・体重ですが、フランスリーグで彼からボールを奪うにはファウルしないとほとんど取れません。
代表戦で2・3人に囲まれてあせりもしない松井に驚いた人も少なくないはずです。
『フィジカル負けをカバーするテクニック』
これが「世界になくて日本にあるもの」になることを望みます(ずいぶん先になりそうだなぁ)。
持久力は・・松井は無いですね。ただ、彼は走り回ってのガス欠型なのであれはスタイルとしてはアリかな。あとは山瀬に任せて・・みたいな。
日本は控え選手のタマはそろっているので持久力はあまり考えなくてもいいんじゃないでしょうか。
それよりも玉田・大久保などが見せた俊敏性に磨きかけて、疲れたらハイ交代みたいなほうが相手も同様するのでは。
すいませんシロウトで。勝手な意見でおじゃましました。
posted by とおりすがり | 2008-06-27 15:09


