2008年06月13日

第最終回 ひでの引退

実は前回(その十八)でひとまず、「サッカー談義」を終えようと思っていた。そのとき、中田の突然の引退声明が飛び込んできた。
で、思い直しもう一度書くことにした。

ひでは孤高の存在としてひときわ異彩を放っていた。若者の理想とする一人として抜群の人気があった。ひではその才能から、サッカー以外でも十分成功する逸材だと思う。勝手な憶測だが、サッカーを一時忘れて別な世界で活躍するのではないか。
ひでの引退については多くの人がこれからも語るであろう。だから私は今回のW杯におけるひでの発言に的を絞って注目したい。

引退宣言の言葉で冷静なひでの発言とは思えない意外な言葉をみつけた。

「おれは今大会、日本代表の可能性はかなり大きいものと感じていた。いまの日本代表選手の技術レベルは本当に高く、そのうえスピードもある。」

その前日、事実上日本代表監督に就任したオシムの次の言葉と比べてみてほしい。
「今の日本代表はできるサッカーと、やろうとしているサッカーにギャップがありすぎる。W杯一次リーグで敗退して、みんなガッカリしている。その気持ちは分かる。だが、日本はW杯に出場できただけで満足すべきだった。なぜなら他の国も着実に力をつけているからだ。今やアジアの中でも「この国には絶対に勝てる」といえる国は少なくなっている。世界のサッカーは発展しているのだ。」

どちらが日本の現実を正確に言い表しているか一目瞭然だ。
引退という感傷的な気分が、きっとひでを支配していたのだろう。W杯以前のひではいまの日本では本大会を戦い抜く実力はない、と言い切っていたではないか。

いまとなっては遅きに失したが、ひでに望みたかったことは、彼の正しい危機感を他の選手に共有させるように努力して、そこをばねに全員で戦ってほしかった。
しかし、ひでがそれをできなかったことをひで自身が一番歯がゆく感じていたはずだ。それが引退を決断した最大の理由なのかもしれない。
  

<2006年のドイツ大会期間中、私はあるブログに20回にわたり、サッカーに寄せてきた私の思いを交えながら、「これまでの四年、これからの四年」と題した話を書き綴った。
そのあとがきにはこう書いた。(一部抜粋)
「Jリーグ発足以降にサッカーの虜になった人たちは、それまでの日本サッカー受難の時代を知る由もない。この人たちになかにはワールドカップを少し、甘く見ているような気がしてならなかった。若手で人気のあるサッカー評論家の発言や著作の端々に「日本がワールドカップに出るのは当然」というニュアンスが感じ取れたのも引っ掛かっていた。マスコミの取り上げ方も、日本の実力を結果的に過大評価していたと思う。というより、正確な情報を知ろうとしなかったように感じる。この一文はその事に警鐘を鳴らすつもりで書いた」
そんな思いから2年前の6月を思い出して、当時の文章を一切手を加えず、転載させていただくことにしました。>
                                             <終わり>

posted by futbolwold |16:05 | サッカー全般 | コメント(0) | トラックバック(0)
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