2008年06月09日
第十五回 オシムへの期待
川渕三郎はなかなか愛すべき存在だ。 W杯直後の記者会見で、次期監督候補に話題が移ったそのとき、まだ交渉中の次期監督名をポロッと口にしてしまった。その失態に気付いて弱わりきった表情を浮かべて「この話、聞かなかったことにはならんだろうな」と発言した。もちろん会見場は大爆笑だったことは言うまでもない。 ジーコの後継は千葉ジェフの現監督・オシムにきまりそうである。 オシムはサラエボ生まれの六五歳。旧ユーゴスラビア代表監督として名古屋グランパスに在籍したピクシーも信頼する名監督である。 Jリーグのお荷物とまで言われた弱小ジェフ千葉」を率いて、常に上位に食い込むチームに仕立て上げた手腕は相当評価してよい。 ジェフはここ何年間、チームのスター選手を他チームに引き抜かれ、財政難でその穴を埋めるトレードもままならなかった。しかし毎年、現有勢力でコンスタントにチームの成績を維持している。 毎期、契約更新時期になるとオシムは辞めてしまうのではないかと、ファンをやきもきさせたが、そのつど踏みとどまって今日まできた。 「オシムの話」によればオシムは経済的な理由からサッカー選手になったが、周囲からは数学の教師になることを期待されていた。オシム自身も教師を目指していたくらいだから人に教えることが得意なのだろう。 数学が得意といえば中田も数学が得意だ。中田は平面のグラウンドに立っていても、立体的にパスコースが見えてくるという。数学好きの思考回路は物事を俯瞰的にとらえることができるのだろう。 四年後は六九歳のオシムの年齢を心配するむきもあるが、「オシム語録」のとおり、含蓄のあるコメントがこれから頻繁に聞かれることが楽しみだ。楽しみといえばオシムの選ぶ代表の顔ぶれである。オシムのこれからの四年間の基本的な考え方が見て取れる。 走ることをチーム作りの基本においてきたオシムは技術はあるがスピードに難点のある、小野や俊輔を選ばない可能性もある。 走り負けた日本代表の意識を変えてくれることを期待したい。 <2006年のドイツ大会期間中、私はあるブログに20回にわたり、サッカーに寄せてきた私の思いを交えながら、「これまでの四年、これからの四年」と題した話を書き綴った。 そのあとがきにはこう書いた。(一部抜粋) 「Jリーグ発足以降にサッカーの虜になった人たちは、それまでの日本サッカー受難の時代を知る由もない。この人たちになかにはワールドカップを少し、甘く見ているような気がしてならなかった。若手で人気のあるサッカー評論家の発言や著作の端々に「日本がワールドカップに出るのは当然」というニュアンスが感じ取れたのも引っ掛かっていた。マスコミの取り上げ方も、日本の実力を結果的に過大評価していたと思う。というより、正確な情報を知ろうとしなかったように感じる。この一文はその事に警鐘を鳴らすつもりで書いた」 そんな思いから2年前の6月を思い出して、当時の文章を一切手を加えず、転載させていただくことにしました。>
posted by futbolwold |14:22 |
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