2009年02月20日

誰がパンドラの箱を開け放つのか?積み残された課題

引き分け狙いのオーストラリアを攻め続けた日本、しかし相手の思惑通り堅い守備を崩せず無得点に終わった先の試合。

得点力不足という日本の大きな課題がまたしても積み残されたままだ。得点力不足の要因はすでに言い尽くされているが、あえて繰り返しになることを承知であげてみると・・・

1、シュートの正確性・確実性不足
2、攻めにかける人数不足
3、攻めのアイデア、バライティ不足
4、決定的なストライカー不足

思いつくまま、書き出してみたが勿論これ以外にあげられる要因はまだあると思う。
たとえば、ペナルティエリア近くにボールを運ぶまでの時間の問題がある。
相手守備陣が体制を整える前に攻めのスピードを上げられるかどうか、ということがあるだろう。

オーストラリア戦の前か後か失念したが、俊輔がTVのインタビューで興味深いことを話していた。
それはオーストラリアの守りの堅さを突き崩すための手段として、攻めを早くするというアイデアに対する俊輔の答えが「NO」だったことである。

オーストラリアだけではなく、日本が負ける、あるいは失点するパターンは攻め急ぎすぎて、精度の低いパス、センタリングを前線に放り込み、相手の高い守備に跳ね返され、そのセカンドボールを拾われ、一気にカウンターを食うという過去の例を持ち出したこと。
自分なら攻撃の確実性を重視して、組織としてスペースを探したり、スペースを作るような動きをしながら、得点を狙うことを選択したいという主張である。

良くも悪くも現在の日本代表は俊輔頼みのチームである。
攻撃のスピード性を重視するサポからすれば、俊輔頼みの代表の現状に疑問と不満を抱くであろう。
しかしどんな組織でも、核となる選手を据えて、その核のよさを引き出し、活かしている。
チーム戦術とは核となる選手(一人とは限らないが)の特徴を活かすために、周りの選手との相性、連動性を考えることである。

先ごろ日本サッカー協会の理事会が開かれ、技術委員会の見直し、変更が決まった。

技術委員会はこれまで強化・育成の二つの仕事を担当し、技術委員長は小野剛が就いていた。
今回の決定で組織名を技術本部と改め、本部長に大仁副会長が就任し、強化と育成担当を分離した。強化担当を原博美、育成担当を小野剛がつとめる。

その新任の原強化委員長が就任前の2008年9月発行の「サッカー批評」のなかで「戦術とは何か」というテーマで話をしていた。

「並べ方やシステムよりも実は出場している選手の特徴とか、監督がやりたいことのほうが戦術的には大きな意味を持っています。―中略― 並びが同じとしても、選手を入れ替えることでガラリとサッカーが変わる」

監督が理想とするサッカーがまずありきで、それを具現化できる選手を代表に選ぶ。監督は手持ちの駒(選手)のなかから最も輝いている駒を選び、その駒の特徴を最大限に引き出す、幾通りかの組み合わせを考える。システムとはその組み合わせ結果にすぎない。

私たちは引いた相手を崩すのは容易でないことを、過去の経験から学んでいる。
「マイアミの奇跡」といわれた対ブラジル戦の日本代表が選択した戦術は、徹底して守り抜くことだった。ブラジルの繰り出すシュートを神がかり的に防いだGK川口を中心に、日本は全員が守りに徹した。あのブラジルでさえ、日本の守備を崩すことができなかった。

日本がプレミアリーグなどで鍛えられたオーストラリアの守備陣を崩せなかったのもある程度理解できる。
しかし結果としてオーストラリアの堅守の前に冒頭に挙げた日本が抱える4つの問題点が鮮明に浮き彫りになった。

最も簡単な解決策は4番目の決定的な仕事をする天才的ストライカーが現れるのをじっと待つことである。
しかし、天才の出現をじっと待つというのも間抜けな話だ。
その前にやるべきことはある。そのヒントはラクビーの平尾元日本代表監督が常々言っていることである。

海外の選手はプレイのモチベーションが自分自身の「極めたい」という探究心にあるが、日本選手の場合は先生に叱られるから、他人に見られて恥ずかしいから、あるいは先輩などにあれこれ言われるから、だから仕方なくやる、という感覚である。
モチベーションの持ち方に決定的な差があると平尾は言う。

少し長いが平尾の言葉を引用してみる。

「海外のトッププレーヤーは苦しい競り合いになったときに、その競り合いを楽しんでいるかのように見えます。自分自身をどこまで追い込んでいけるのか、自ら賭けを楽しんでいるかのようなのです。しかし日本の選手は自分自身に対するモチベーションが低いですから、極限の競り合いになると諦めが早く、失敗した後の言い訳ばかり上手になります。自分自身に対して律することより、人に説明することにばかりエネルギーを使うのです。」

過去のラクビーの試合でよく出くわした光景だが、ゲームが切迫しているとき、日本人選手は必ずといっていいほどイージーミスをする。
ラインがそろい、絶好のパスがわたった、と思った次の瞬間、信じられないノッコンをする。

サッカーも同じボールゲームとして同じようなシーンを目にしてきた。日本人選手のテクニックは年々磨かれてきているが、厳しいマークのなかで同じように精度の高いプレーができるかどうか。
プレッシャーが強くかかっている場面で練習時のような基本的動作における確実性、精度、正確性を実践で発揮できているかどうか。

平尾によれば、選手、コーチ全員が日常的なサッカーへのかかわり方を変えない限り、根源的な解決方法はないと言っている。
しかし見方を変えれば、モチベーションを自分自身の領域・問題として捉えていれば、誰もが優秀なストライカーになれる可能性があるということになる。
100年に一度の天才を待たなくていいのである。

とは言うものの、人がその考え方を根底から変えるというのも、結構時間がかかる。事後的に考えれば簡単なことでも、そう決断し、実行に移すというのは難しい。

日本の得点力不足の解消方法で、小手先的変革のそしりは免れないが、ひとつ手はある。

それは日本の中盤にはタレントが豊富であるという特色を強調した方法である。
攻めに関していえば、中盤の選手に積極的に点を取らせるよう意識付けをすることである。つまり、ワントップ、あるいはツートップという固定概念から自由になり、前の5人がフォワードと中盤を兼務し、ポジションを固定しないことをチームの約束事として、とにかく5人で点を取るという意識付けである。
2列目が前に飛び出しシュートを狙う、という意味合いとも違う。列という考え方そのものから自由になるというイメージである。

まあ~これは素人の考えることだから、これをうまく実践につなげるにはさまざまな障害、矛盾が出てくるだろう。

それは専門家に任せておくとして、いいたいことはパンドラの箱を誰かが開け放たなければ、いつまでたっても課題が課題として残ったままの状況が続くということだけは断言できよう。

posted by futbolwold |15:56 | 日本代表 | コメント(6) | トラックバック(1)
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誰がパンドラの箱を開け放つのか?積み残された課題

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かつてオランダは世界一内容あるサッカーをしている国、だけど優勝できない国、といわれてました。その教訓から現在は勝つためのサッカーをしようと大転換の最中と聞いています。
「いつまで経っても決定力不足だけを問題にするのはいかがものかと思いますね。」
サッカーは柔道のように優勢勝ちで決まるスポーツではありません。ボール支配率の高さでサッカーの勝負は決まりません。1点を取るスポーツです。最終的に決定率を上げなければ、世界に追いつきません。

posted by 管理人 | 2009-02-21 09:50

誰がパンドラの箱を開け放つのか?積み残された課題

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決定力不足なんじゃなくて単に世界レベルではまだまだなだけじゃない??

ってゆうか、実際他の国(たとえば韓国)と比べて点が取れていないのかな。データとか持ち合わせてないから、正確にはわからんけど、多分今の日本に相応の得点率じゃないかな。

課題を挙げなければ、成長しないんだろうけどいつまで経っても決定力不足だけを問題にするのはいかがものかと思いますね。
まぁストライカーが不足しているのは事実だと思うけど。

posted by ロスじゃくなくてアトランタ | 2009-02-20 22:59

誰がパンドラの箱を開け放つのか?積み残された課題

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「パンドラの箱」という表現を使ったのは、既成概念を根底からひっくり返さないと、日本の抱える課題がいつまでたっても解決できないというニュアンスです。
ひっくり返すのが森本なのか、外国人監督なのか、誰かはわかりませんが、日本サッカーがあるきっかけで、突然ジャンプアップすることを期待したい、という願いを込めたものです。

「FWよりもMFの方が決定力があると思う」とはまったく思ってはいません。決定力不足のひとつの原因はゴール前に人数が足りていないという事例はオーストラリア戦でも見られたように、事実としてあります。

FW、MFという役割分担的な考え方ではなく点を取れる人が、取れるチャンスに取ろうという、チームとしての合意事項を作ったらどうなのか?という提案です。

posted by 管理人 | 2009-02-20 21:56

誰がパンドラの箱を開け放つのか?積み残された課題

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よく日本の場合は相対的に見てFWよりもMFの方がタレントが豊富だから、FWではなくMFに点を取らせようという意見をたまに見ますが、FWよりもMFの方が決定力があると思う根拠はどこにあるのでしょうか?
意識付けだけで得点力が上がるなら、FWの決定力不足という問題なんて出てこないと思いますが。

posted by   | 2009-02-20 18:11

誰がパンドラの箱を開け放つのか?積み残された課題

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話が脱線しますが、この場合「パンドラの箱」とは何ですか? 最近、言葉の意味が変わってきていますか? 「目からウロコ」や「すべからく」のように。

posted by 教えて | 2009-02-20 17:11

誰がパンドラの箱を開け放つのか?積み残された課題

コメント投稿者ID :

森本がきっと開けてくれますよ。着々と力をつけてきてます。11年にピークを迎えきっと玉田にとって代わってくれているでしょう…

posted by いますよ | 2009-02-20 17:01

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