2009年01月15日
クラブのサッカースタイルは誰が決めるのか?
2008年、Jリーグ最終戦のマリノス戦でこの1年の膿を出し切るような惨敗を喫して、浦和は無冠でシーズンを終えた。 永井、相馬がチームを離れ、小池、高崎ら5名の若手も期限付き移籍などで09年シーズンは浦和からいなくなる。 新加入は移籍期限満了から復帰する赤星、阪南大から野田が加わり、下から高橋、濱田、山田、永田の若手が引き上げられる。 09年シーズンは外部からの移籍を封印して、現有戦力の底上げを目標に据えたことになる。 浦和の監督は1993年から2008年までの16年間で、延べ15人が浦和の指揮を執ってきた。2004年~2006年のブッフバルトの3年間を最長にして、2007年のオフト、1995年のオジェックがそれぞれ続けて2年間、監督を務めてきたが、一人の監督がじっくりクラブを育て上げてきたという印象は少ない。 それでも、オフトがナビスコで優勝してからは、ブッフバルトで天皇杯2回、Jリー初グ優勝も成し遂げ、一昨年はオジェックのもとでACLチャンピョンになった。 この間の浦和は、堅守をベースにエメルソン、ワシントンの個人技で点を取り、勝ち抜くという「サッカースタイル」を貫き、結果を出してきた。 フォワードの個人技に頼るこれまでの「サッカースタイル」を変えようと意図していたのかどうか不明だが、08年はワシントンの代わりに高原、エジミウソンのツートップを獲得して、さらなる得点力アップと攻撃的サッカーを目指したのだろうが、結果は裏目に出てしまった。 高原とエジのツートップは互いに左右に流れすぎたり、反対に中央に二人が重なりすぎたり、ちぐはぐな動きで、特に開幕直後からしばらくは全くといっていいほど、二人は機能しなかった。 ワシントンはマークが複数ついても、うまくかわして前を向けば、高い確率で得点をあげてきた。しかし、高原とエジの二人は高い位置でボールをキープし、ためを作るタイプではない。そのため簡単にボールを奪われ、相馬、平川の両サイドは後の守備を考えて、積極的に上がることにリスクを感じ、消極的なプレーをせざるをえなかった。 攻撃がちぐはぐになると、守りの意識が強くなり、守備の負担も重くなる。カウンターを食って、堅守を誇った守備陣も失点を重ねることになる。 中盤はポンテ、長谷部、小野の欠けた穴が埋められず、前線と後方が間延びし、組織全体が機能不全に陥ってしまった。 得点力の低下、守備への過重な負担、中盤の不在、この悪循環に陥ったことへの緊急措置が守備の要のトゥーリオを上げて点を取りに行くことだった。トゥーリオの守備の穴うめを阿部にゆだねるという策だった。結果、阿部のよさが活かされないというマイナスの側面も出てきた。 しかし、チームコンセプトが崩壊したような戦い方は、当初はうまくいったように見えたが、やはり所詮付け焼刃的な戦術に過ぎず、相手に研究しつくされると、リーグ終盤でそのほころびがあらわになり、さっぱり勝てなくなった。 これが08年シーズンのおおつかみな状況である。 かたや連覇した鹿島はオリベイラ監督の下で、明確なチーム戦術のもとで結果を出した。 名古屋もヨンセンにボールを集め、その間に両サイドの上がりを待つというコンセプトがはっきりしていた。川崎は破壊力のある外国人トリオに攻撃をゆだね、大分は堅い守備からのカウンターで上位に食い込んだ。 チームコンセプトがしっかりしたところが、よい結果をもたらすという常識的な意見に落ち着く。チームコンセプトを明確にするのはやはり現場を預かる監督が中心になり、その監督をフロントやスタッフがしっかり理解して、磐石なサポートをすることだ。 選手はチームコンセプトに従い、プレーでの決め事を守り、その範囲の中で全力を尽くす。 この歯車がきちんとかみ合えばおのずと、結果は出てくる。 12番目の選手であるサポーターの要求は常に多様だ。攻撃的なサッカースタイルを好むものもいる、その反対に守備を固めてカウンタースタイルを求めるものもいる。システムにこだわるものもいる。 しかし、勝てば官軍ではないけれど、結果が出れば、サポーターはこれが「浦和のサッカー」と思うはずだ。 オジェックが一昨年、過酷な日程のなかで頑なに交代枠を残しても、固定メンバーで1年間戦い続けたことに、少なからず疑問を持ったサポーターは多いと思う。私もそのなかの一人だが、監督の仕事には当面のタイトル争い、目先の勝ち負けにこだわるのは当然としても、若手育成も大切な仕事である。 クラブの監督と代表監督の大きな相違点は「育成」である。 オジェックならびにゲルトに対して不満だったのは若手育成に関してである。 しかしオジェックとゲルトにも当然言い分はある。「育成」には時間と忍耐が求められる。チーム状態が悪ければ監督はそこまで気が廻らない。目先の勝ち負けにどうしても目がいってしまう。 したがって「育成」にはクラブ自体の明確な指針が不可欠である。 プロ野球には捨て試合という考え方がある。 長丁場だから、すべてのゲームを全力で戦うことはできない。試合の結末がある程度読めた段階で、控えの選手や若手にチャンスを与えることができる。 サッカーの場合、プロ野球の3分の1程度の試合数でなおかつ交代枠が少なく、プロ野球ほど余裕はないかもしれない。それでも監督は常に若手の底上げを図らなければならない。 幸い09年のフィンケ新監督は若手の育成に定評があるという。 有望な若手を根気よく使い続ければ必ずものになる。選手はゲームをこなしながら成長するからだ。何時間もの練習より90分の実践に勝るものはない。昨今、浦和にはユース上がりの有望選手がそろっている。 監督、フロント、選手、そしてサポーターも若手の育成ならびに現有戦力の地道な底上げという中長期的な「チームコンセプト」をたて、09年シーズンはその初年度という位置づけで考えてもらいたい。 願わくば、早ければ3年後には浦和のタイトル独占!そんな場面を思い描き、09年シーズンを楽しみたい。
posted by futbolwold |10:28 |
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