2007年01月23日
☆「キックアンドラッシュ」はダメなのか?
サッカー王国、ブラジル そのサッカーの魅力は個人技の高さから繰り出されるイマジネーション豊かなプレー。 だからブラジルのサッカーが好き・・・。 「なんでブラジルを応援してるの?」 と問われて決まり文句のように答えていたセリフです。 ほんとはロベルト本郷(セルジオ越後ではありません)の影響で、ブラジルサッカーをさしたる理由もなく「信仰」してきたんです。 今でもW杯、どこを応援するのと問われれば「ブラジル」と答えるだろう僕の口からは非常に言いにくいんですが・・・正直に言います。 実はプレミアリーグのサッカーを見るのが本当は一番楽しかったりします。ワクワクします。 なーんでかなー。 マンUもチェルシーもリバプールも、ガナーズもスパーズも別に好きなクラブって訳じゃないですし、好きな海外のクラブどこですか?、と聞かれるとバルセロナと答えてきました。クラブの理念にとても共感する理想の姿があったことと、生粋のアンチ巨人である僕が、「20世紀最高のクラブ」である白い巨人を応援できる訳がないんですよね。 後はペレとカズも在籍していたサントスが好きなクラブかな。 好きなクラブはともかくとして、見ていて楽しいと感じるサッカー、そこに応援しなければならないクラブという概念が発生しないから純粋にサッカーを楽しんで見れる、ということかも知れませんが、プレミアリーグのサッカーは面白い。 いやサッカーじゃなくて、フットボールと言わないと怒られそうですが・・・。 分かりやすいからなのか? どーんと前線にロングパスを出し、前線のFWの選手がポストプレーをしてそのボールをあがってきたMFに落とし、MFがミドルシュート、またMFからサイドに張った選手へロングパス、サイドの選手から前線のFWにクロスボールを送って、FWの選手がへディングをどか~ん。 ダイレクトパスを中心としたまさに肉弾戦。 「キックアンドラッシュ」がイイのかな。 ん? イングランド伝統の「キックアンドラッシュ」って・・・。 もうプレミアリーグの強豪クラブにあなたのクラブの「キックアンドラッシュ」のサッカーが魅力的です・・・などと言ったら絶対怒られるだろうな。 うちのクラブは「キックアンドラッシュ」なんて旧時代のサッカーはやっておりません、てね。そりゃチェルシーのモウリーニョはポルトガル人だし、リヴァプールのベニテスはスペイン人だし、ガナーズのベンゲルはご存知フランス人。マンUのファーガソンは「イギリス人」ではあるが、スコットランド出身である。スコットランドのサッカーは、「キックアンドラッシュ」が伝統ではなくショートパスを繋ぐサッカーを伝統としている、らしい。 現在、僕の見ているプレミアリーグのサッカーは明らかに「キックアンドラッシュ」という表現は当てはまらないサッカーになっているようである。 「キックアンドラッシュ」のサッカーをしているイングランドが好き、という表現は現在のイングランドサッカーに対しては必ずしも適切な褒め言葉にはなっていないようだ。 かといって、伝統を重んじるお国がら。イングランドのサッカーの伝統は「キックアンドラッシュ」であることに間違いはなく、そこにサッカーの母国たる誇りを感じているようであるのだが。 じゃあ僕は何で現在のプレミアリーグのサッカーに魅力を感じるのだろう・・・。その理由がもしかしたらわかるかな、と思い林信吾著『ロングパス サッカー誕生から英国プレミアリーグまで』という本を読んでみました。 http://www.so-net.ne.jp/FW/vol_71/11page_rv1.html
サッカーを中心に据えてイギリスの社会を見通す内容となっています。興味のある方は是非一度読んでみて下さい。 この本で指摘されるイングランドサッカー界の流れを整理すると、 (1)1985年5月29日のUEFAチャンピオンズカップ決勝戦、リヴァプール 対ユヴェントスの試合で起こった「ヘイゼルの悲劇」は、イングランドのサッカー界に大きな影を落とす。この事件後にイングランドのクラブは無期限(後に5年間、リヴァプールは7年間に変更される)の国際大会への出場を禁じられる。このことが、後々のイングランド代表の低迷の一因となっていく。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%82%A4%E3%82%BC%E3%83%AB%E3%81%AE%E6%82%B2%E5%8A%87 ウィキペディア(Wikipedia)参照 (2)1992年にイングランド一部リーグの有力チームを中心に旗揚げされたプレミアリーグは、イングランドのサッカー界の低迷を打破することをも目的としていた。プレミアリーグは個人技に秀でた外国人選手を積極的に加入させ、「キックアンドラッシュ」を伝統としてきたイングランドサッカーに「文明開化」をもたらす。また再びイングランドのクラブがヨーロッパで覇権を唱えることができるように、「キックアンドラッシュ」のサッカーから脱却し、ヨーロッパ先進地域の最新の流行する戦術を取り入れていった。 (3)その結果、イングランドのサッカーは、ロングパスを主体としたものだけでなく、ショートパスやドリブルを交えたものに変化し、「キックアンドラッシュ」から、現在のプレミアリーグのような魅力的なサッカーを展開できるまでになった。 ざっと、こんな整理が可能でしょうか。但しこうした認識は著者の認識だけのものではなくて、現役の選手を除いたイングランドサッカーを取り巻く、現地の人々が感じている印象なのである。 僕は1980年代の前半以前のイングランドの「キックアンドラッシュ」のサッカーを見たことはありませんが、日本人の僕が現在のプレミアリーグのサッカーを見て感じる印象は、イングランドの現地の人々の認識とは少々違ったものがある。 現在もイングランドのリーグでプレーをしようと思えば、就労ビザを得なくてはならないが、前年度の出身国の代表試合の〇〇パーセント以上の時間に出場していなくてはならない、などの条件が課せられているし、むしろ未だに閉鎖的である、と言えるのだろうか。またこの影響からか、世界各国のリーグに個人技に秀でた選手を「輸出」し続けているブラジルの選手が過去、数えるほどしかプレーしてきていない。現在はプレミアリーグでもガナーズのジウベルト・シウバやジュリオ・バチスタなど、プレーしている選手は増えてはきているが、それでもまだまだその数は少ない。 まぁ でもガナーズではベンゲルが、スタメン11人やベンチ入り選手を含めて全て外国人だけでゲームをやったって言うんだから、抜け道はいくらでもあって、閉鎖的とは言えないかもね。ガナーズのサポーターはよく我慢できるなぁ。僕だったら決して強くても、そんなチームは応援しがいないなぁ。外国人選手がどうこういんのではなく、監督のポリシーに自分たちの文化を否定されているような気がして・・・。 イングランドのリーグだって、かつて「ドリブルの天才、神様」と呼ばれたジョージ・ベストを輩出してきた。彼はむしろ「異端」なのかも知れないが・・・。 こうした印象をもつ僕が、現在のプレミアリーグのサッカーを見て感じる魅力は、やっぱり今もロングパスなのである。 稚拙なサッカーと言う意味ではない。パス、トラップ、シュート、そしてドリブル・・・。こうした要素はサッカーをプレーする上で基本的なものであるが故に、高いレベルがいっそう求められるものであろう。 プレミアリーグのサッカーは、こうした要素が非常にシンプルかつダイナミックに組み合わされているのである。 こうしたサッカーが展開されるのも、相手の裏をかくような駆け引きを好まない、そういう国民性もあるのかも知れない。 サッカーというスポーツが、ひとつひとつのどういうプレーによって組み立てられていくものなのかが、プロの指導者ではない自分にも感じることができるのもプレミアリーグの大きな魅力である。 「うわぁ~うまい」、があまりなくても、「うわぁ~すごい」という驚きがあるのもプレミアリーグなのかも知れない。 イングランドサッカーの伝統は、僕の目には今も息づいているように思えてならない。 「キックアンドラッシュ」はダメなのか・・・。 「キックアンドラッシュ」だけではダメかも知れないが、この要素の中にサッカーの本質があるように思う。
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posted by おおちゃん |04:35 |
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Re:☆「キックアンドラッシュ」はダメなのか?
コメント投稿者ID :
カウンターは弱いチームがやる事だ!
そんな風潮と似てるね。
言葉からくるイメージの問題だと思うんだよね。
キックアンドラッシュじゃなく「速攻」って言えば皆肯定してくれるよ。
posted by dodo | 2007-01-26 13:11
Re:☆「キックアンドラッシュ」はダメなのか?
コメント投稿者ID :
ゴール前までいかに時間をかけずにもっていくか。アトランタ五輪代表は、これをテーマによく練習してましたよね。
いかに速攻をきれいに決めれるかは、ツータッチ以内のパスをいかに正確に決めれるかにかかっているようですね。82年の黄金の中盤のブラジルが体の大きい(=ストライドの長い)ソクラテスがワンタッチパス、体の小さい(=ストライドの短い)ジーコがツータッチパスを得意とし、同じ体の小さいマンUのスコールズがツータッチパスの名手と言われてると『GOAL』にありました。
体の小さくてストライドの短い日本人はツータッチパスのタイミングがいい「ため」になるようです。このツータッチ以内のパスを正確につなげる技術は見習うところがあるはずです。
posted by おおちゃん | 2007-01-26 20:56
☆「キックアンドラッシュ」はダメなのか?
コメント投稿者ID :
元来“キック&ラッシュ”とは放り込んでなだれ込むと行ったものだったのではないでしょうか?
それはイングランドのピッチが芝が長かったとことが起源となったようなそんな話を聞いたことがあります。
今のプレミアはとてもスピーディーでテクニカルで(もちろん昔よりも外国人選手が圧倒的に多い)早いプレスからのダイレクトパスによる速攻はありますが…
本来のキック&ラッシュとは根本が違うのでは…と思ってみたりします…。
とにかくプレミアリーグは面白いです★
posted by コワルスキー | 2010-01-18 07:39
☆「キックアンドラッシュ」はダメなのか?
コメント投稿者ID :
>コワルスキーさん
確かに今、プレミアリーグには外国人選手も、外国人監督もとても多いですから、いわゆるイングランド=キックアンドラッシュといわれていたサッカーとは質が違いますね。
僕がプレミアが面白いと感じるのは、ダイナミックな展開力にあるような気がしています。
ただその展開力の根本は、キックアンドラッシュの伝統が息づいているんだろうな、とは思います。
どこの国のリーグも、中堅以下のチームの試合をみれば、その国で伝統としているサッカーを垣間見ることができるのではないでしょうか。
C・ロナウドがいなくなって、注目の低下を心配していましたが、やっぱり今年もプレミアは面白いですね!
posted by おおちゃん | 2010-01-18 14:20
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