フィギュアスケート・メモ

プリンスアイスワールドで町田樹さんの心揺さぶる演技に感涙

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 プリンスアイスワールド横浜公演を観に行って来た。印象に残ったスケーターの演技は沢山あって書ききれないが、何とか絞り込んでみる。  まずは、本田真凜選手。残念ながらジャンプの軸が曲がったな、と思ったら案の定転倒する場面もあった。それでも、魅力ある選手だ。世界のトップレベルの若い選手たちの中には、凄いジャンプが跳べても動きがどこか機械仕掛けの人形のように感じる子たちも結構いる。だが、本多真凜選手は違う。よく「華がある」と言われている通り、可愛らしいだけでなく、14歳にして実にしなやかで優美な舞いを見せてくれる。思わず見とれてしまう魅力がある。シニアデビューはまだ先だろうが、2年後のオリンピックシーズンに向けて、高難度ジャンプに取り組まざるをえない。マスコミに追い回されてプレッシャーで潰れませんように。  次に、宇野昌磨選手。シーズン最後に史上初の4回転フリップを成功させた宇野選手は、今回は残念ながらジャンプで転倒があったものの、オーラが凄かった。1年前にはまだ初々しさがあったのに、今やすっかり凛々しく頼もしい表情に変わり、日本をしょって立つ一人のプライドが垣間見える。宇野選手と本田真凜選手が2人で滑って、2人同時にジャンプするというお宝のように絵になるシーンもあった。  本郷理香選手は、2015-16シーズのSPの「シルク・ド・ソレイユ『キダム』」を披露して観客を沸かせた。こういうカッコいい曲は、スケート選手としては大柄な本郷選手によく似合う。

 そして、この公演で最大の喝采を浴びたのは、引退して1年半になる町田樹さんの圧巻のアーティスティックな舞いだった。オープニングの群舞でのスピンから、町田さんは誰よりも超本気で、猛スピードで美しいフォームを見せてくれた。  そしてソロの舞いは、松田聖子の「あなたに逢いたくて」を松田聖子の歌入り曲で披露した。松田聖子氏本人と楽曲の権利を有する事務所に使用許可を願い、快諾された、と彼は自身の公式HPで述べている。一般論だが、流れてくる曲の歌唱が素晴らしいと、聴衆の関心が歌に向いて演技が歌に負けてしまうリスクがある。しかし、町田さんは圧巻の舞だった。  実際、町田さんの今回の演技は表現力において、2014年3月の世界選手権のSP「エデンの東」、現役最後の試合となった2015年12月の全日本選手権のSP「ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲」に匹敵する、心を揺さぶられる感動的な舞だった。細身のしなやかな体、揺れる髪、表情、指先の細かな動きまで、全身で恋の切なさや苦悶を表現する、実にアーティスティックな演技だった。曲の世界観を見事に作り上げて観客を引き込む、本当に類まれな表現力だ。 今の現役男子シングルは競技会での4回転ジャンプの種類が増して、町田さんの選手時代とは異次元の世界になりつつある。それでも、筆者は町田樹の前にも後にも、町田樹ほどの卓越した氷上の表現者を見たことがない。本当はもう少し現役の町田選手を続けて欲しかったが、彼は男子シングル選手として肉体・技術的なピークに差し掛かるのとほぼ同時期に電撃引退して、自らの美学を貫いた。おかげでこちらは突然の喪失感に苛まれた。会場には今なお熱心な町田樹ファンが多数いたが、熱心なファンでなくても、彼の演技の素晴らしさには皆目を奪われていた。演技が終わった後はもちろんスタンディングオベーションで、会場は騒然とし、筆者も思わず涙ぐんだ。これからもまだまだ、極上の舞で我々を魅了してください、町田さん。



町田樹公式HPでのプログラム説明

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