2009年11月28日

【2009Jリーグ】PROGRESSO(第四章)

■J1リーグ順位表(第32節終了時)
1位:鹿島 【勝点60】18勝6分8敗 得失点差+16
2位:川崎 【勝点58】17勝7分8敗 得失点差+22
3位:G大阪 【勝点57】17勝6分9敗 得失点差+20
※上位3チームのみ掲載

■上位3チーム試合日程(第33節)
11月28日(土):鹿島 14:00 G大阪 (@カシマ)
11月28日(土):川崎 14:00 新潟 (@等々力)

J1の覇権争いは鹿島と川崎、G大阪の3チームに絞られた。前節首位に再浮上した鹿島は、次節、ホームで3位・G大阪を迎え撃つ。鹿島はG大阪との直接対決に勝ち、川崎が新潟に引き分けるか負ければ、J史上初のリーグ3連覇が決まる。一方、勝点3差で首位・鹿島を追うG大阪は、負ければ優勝の可能性がなくなるが、勝てば川崎の結果次第では首位に躍り出る可能性も残っているため、鹿島の3連覇を阻止しようと勇猛果敢に挑んでくるに違いない。対する鹿島はJ1屈指の攻撃力をいかに封じ込めるかが大きなカギといえるだろう。上位チームの覇権争いは混戦を極めているだけに、負けたら終わりの様相は変わらない。第33節はG大阪とのタイトルマッチ。いよいよクライマックスに突入する。

オリヴェイラ態勢の鹿島は終盤戦にめっぽう強い。ミスター・クライマックスことMF野沢拓也は前項(第三章)で紹介した通りだが、他にも、1シーズン制となった2005年以降、鹿島はホーム最終戦で無敗を誇る。2005シーズンは柏に4-0、2006シーズンは磐田に3-0、2007シーズンは清水に3-0、昨シーズンは磐田に1-0とすべて完封勝利。今シーズンは一時の不振を脱した第29節・磐田戦以降、リーグ戦は3勝1分け。4試合無失点で、1ヶ月負けがない。土壇場で本来の姿を取り戻した鹿島が、ホーム最終戦の連録更新を目指す。

そして、もう一つはオリヴェイラ監督だ。「オズの魔法使い」の異名をとり、それは緊迫する終盤戦で威力を発揮してきた。モチベーション・コントロールに長けるオリヴェイラ監督は、選手のみならず、私達サポーターまでも掌握する術を持っている。今季の終盤戦では「オズの魔法」は封印するようだが、選手への気配りだけは忘れていない。先日、日本代表に選出された興梠慎三に対し、「チームも、興梠も調子は上向きだが、代表に行くと調子を落としやすい。みんなで電話して、状態を維持するように言おうじゃないか」と。遠征先の南アフリカで、香港で、興梠の携帯電話が連日鳴り、「鹿島の事を忘れるな」「帰国後の事を考えとけよ」。一つひとつの何気ない会話が、選手と監督との絆をさらに強くする。

選手を信頼!V3へオズの魔法使わない
優勝に王手をかけている首位・鹿島のオズワルド・オリヴェイラ監督(58)が25日、今季はサプライズ演出封印を選手に伝えた。07、08年では終盤戦の大一番前に演出を行い、連覇へと導いてきたが、この日のミーティングで「もう演出をやらない。やるべき事は分かっているだろうし、みんなを信頼しているからだ」と訴えたという。引き分け以下でV逸だった07年11月24日の浦和戦前には、舞台慣れさせるために浦和サポーターの応援する映像を大音量で流した。08年11月23日の大分戦前には、極秘裏に撮影された選手家族からのビデオレターをサプライズ上映。演出でモチベーションを高め、大一番で競り勝って、優勝へと加速した歴史がある。今回のG大阪戦は勝利すれば優勝が決まる可能性があり、敗れれば史上初の3連覇が遠くなる天下分け目の一戦となるが、「信頼」の下に封印を決断した。DF新井場は「今まで通り1戦必勝」と指揮官の意図をくむ。鹿島が「オズの魔法」に頼らず、G大阪を撃破する。

最後に、ホーム最終戦となるG大阪戦。リーグ戦は第32節を終え、鹿島が首位に返り咲く。だが、混戦の覇権争いは1試合ごとの結果で順位が大きく変わるため予断は許されない。己の戦いに集中できなければ全てを失うだろう。最大の困難は己の心中にある。リーグ3連覇はそれを乗り越えた先にあるのだ。「人が我欲を捨て一つの大きな目的に向かい足並みを揃えた時に生み出す『神秘的なパワー』。これを具現化したのが鹿島アントラーズである」。ジーコの言葉であるが、明日、大深紅に染まったスタジアムで、一人ひとりの鹿島愛を「声」に変えて、選手や監督、クラブスタッフ、スポンサーとともに心を一つにすれば、神秘的なパワーは必ず生まれる。FOOTBALL DREAM。尽きせぬ想い「夢」を最後まで追いかけて、無上の凱歌を響かせよう。

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2009年11月23日

【2009Jリーグ】PROGRESSO(第三章)

■J1リーグ順位表(第32節終了時)
1位:鹿島 【勝点60】18勝6分8敗 得失点差+16
2位:川崎 【勝点58】17勝7分8敗 得失点差+22
3位:G大阪 【勝点57】17勝6分9敗 得失点差+20
上位3チームのみ掲載

J1優勝の行方は鹿島と川崎、G大阪の3チームに絞られた。首位の鹿島は次節、G大阪との直接対決に勝ち、川崎が新潟に引き分けるか負ければ、J史上初のリーグ3連覇が決まる。勝点2差で鹿島を追う2位・川崎は得失点差で優位のため、最終節に勝点で並べれば初優勝が濃厚。残り2試合で鹿島が1勝1分けなら、川崎は2連勝すれば得失点差で上回る公算が大きい。3位・G大阪は次の鹿島戦に負けると優勝の可能性が消える。鹿島がG大阪に引き分けるか負けた場合は、3チームが優勝の可能性を残したまま最終節を迎える。残り2節。2009シーズンがクライマックスを迎えた。

さて、終盤戦で力を発揮する「ミスター・クライマックス」こと野沢拓也を紹介しない訳にはいかない。昨季は最終節で札幌相手に優勝を決めるゴール。一昨季は第33節で10人になりながら首位・浦和相手に決勝点を挙げ、逆転Vにつなげた。プロ11年目。これまで通算35得点しているが、11、12月のリーグ戦はこれで13得点目。これは元鹿島FWアルシンドの11得点を超えるチーム歴代最多記録だ。背中で語る小笠原満男とは対照的に、野沢は愛嬌を振りまいてチームの雰囲気をなごませる。高精度のミドルシュートと意外性あふれるパス、鋭いドリブルで好機を量産する鹿島のファンタジスタ。その卓越したテクニックは、鹿島TD時代のジーコに「天才」、元鹿島監督のトニーニョ・セレーゾや、ジーコの兄であるエドゥーからは「カリオカ(リオっ子でサッカーが上手い人の意)」という最高の賛辞を送られたほど。ミスター・クライマックスの異名をとる鹿島NO.8。だが、本当のクライマックスはこれから。残り2試合もゴールを狙い続けて欲しい。我等はまだ何も手にしていないのだから。

鹿島の終盤戦は野沢だけでなく、試合毎にヒーローが誕生する。昨季は、第32節・大分戦(九石ドーム)で決めた内田篤人の値千金弾、第33節・磐田戦(カシマ)では岩政大樹の劇的ロスタイム弾、最終節の札幌戦(札幌ドーム)では野沢のミドル決勝V弾。一昨季の逆転優勝につながる怒涛の9連勝も、全員で勝ち取ったものばかり。「チーム全体で戦うのがアントラーズの戦い方」と小笠原。スピリットの種を蒔いたジーコの基本精神は“一人はみんなの為に、みんなは一人の為に”。決して色褪せる事のないアントラーズイズムを、選手達は口を揃えてこう表現する。

「チームの勝利の為に」

ACL決定で鹿島オリヴェイラ監督続投へ
史上初のリーグ3連覇を狙う鹿島が、オズワルド・オリヴェイラ監督(58)に来季の続投要請を出した。22日、クラブ幹部が明言した。21日の京都戦に勝ち、リーグ3位以内が確定。来季のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権を獲得した事で決断した。今季は悲願のアジア制覇こそ成し遂げられなかったが、リーグ戦では2試合を残し首位に浮上。3連覇が見えてきた。クラブ側はその手腕を評価。オリヴェイラ監督も来季の指揮に意欲を示しており、契約の細部を詰める今後の交渉が潤滑に進めば、年内にも続投が正式決定する見込みだ。同幹部が「来季のテーマの1つは改革」と話すように、主軸のMF小笠原、本山、中田、DF新井場、GK曽ケ端が今年で30歳を迎えており、来季は若手の育成が必要不可欠。同時にアジア制覇を狙っており、育成と結果の両方を求める。そんな「難関」に挑戦するシーズンを就任4年目となる名将に託す事になる。今夏もオイルマネーで潤沢な資金力を誇る中東のクラブから獲得のオファーを受けながら、「鹿島愛」を貫いたオリヴェイラ監督。今は前人未踏の3連覇達成へ全精力を注ぎ込む。

他にもマルキーニョス残留の記事もあり朗報が続く。このタイミングでリークするとは鹿島フロントの意図的な巧妙さを感じるが、喜ばしい知らせにモチべショーンはさらに高まる。史上初の3連覇。鹿島が首位に返り咲いても、負ければ終わりの様相に変わりはない。「タイトルを維持する難しさは、それを手にする以上に困難であると全員が肝に命じるべき」とジーコ。残り2節は偉業を手にする為の最後の試練だ。強豪・G大阪であろうと、宿敵・浦和であろうとそれが問題ではない。鹿島の最大の敵は鹿島。最大の困難は自分の心中にある。自分達を信じれば、自信を持てば必ず結果は出る。私もそれを信じてゴール裏から勇気を送り続ける。一人ひとりのわずかな声も、一つにすれば聖地は地鳴りのように沸き上がるだろう。最高の笑顔で勝利の凱歌を謳いたい。末筆余談になるが、ホーム最終戦を迎える前に、新作ボジョレー・ヌーヴォーと、グルメスタジアムのどの料理を組み合わせてそのときを待つか、至福の時間は今から悩ましい。

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2009年11月21日

【2009Jリーグ】PROGRESSO(第二章)

■J1リーグ順位表(第31節終了時)
1位:川崎 【勝点58】17勝7分7敗 得失点差+23
2位:鹿島 【勝点57】17勝6分8敗 得失点差+15
3位:G大阪 【勝点54】16勝6分9敗 得失点差+18
4位:清水 【勝点50】13勝11分7敗 得失点差+7
5位:新潟 【勝点49】13勝10分8敗 得失点差+13
※上位5チームのみ掲載

■J1得点ランキング(第30節終了時)
1位:前田遼一(磐田) 【18得点】
2位:ジュニーニョ(川崎) 【16得点】
3位:石川直宏(F東京) 【15得点】
4位:エジミウソン(浦和) 【14得点】
4位:岡崎慎司(清水) 【14得点】
6位:マルキーニョス(鹿島) 【13得点】
6位:ペドロジュニオール 【13得点】
8位:鄭大世(川崎) 【12得点】
8位:佐藤寿人(広島) 【12得点】
16位:興梠慎三(鹿島) 【9得点】

J1第31節、川崎は千葉に3-2で競り勝ち、首位を守った。2位の鹿島は山形と対戦し、Jリーグ史上初めて被シュート0本の完全試合(2-0)を達成。首位・川崎との勝点1差をキープした。3位のG大阪は京都に4-1と、上位チームはいずれも勝利を飾った。リーグ戦も残すところ3試合。群雄割拠のJ1は、カップ戦と同様、負けたら終わりの様相を呈しているため、1試合がリーグ優勝を懸けた決勝戦だ。上位3チームの今後の日程は、川崎は大分(九石ドーム)、新潟(等々力)、最終節は柏(日立柏)、鹿島は京都(西京極)、G大阪(カシマ)、最終節は浦和(埼玉)、G大阪は清水(アウスタ)、鹿島(カシマ)、最終節は千葉(万博)と、それぞれ対戦する。上位チームは次節、いずれもアウェーゲームであるが、Jのマイスター・シャーレを手にするには引き分けをも許されない。鬼門であろうが、防戦一方の展開であろうが確実に勝点3を掴むチームがまた一歩タイトルに近づく。

さて、2年ぶりの天皇杯制覇を狙う鹿島。先日14日に行われた4回戦では、岩政大樹・内田篤人・興梠慎三らが代表召集で南アフリカ遠征に、新井場徹も左太もも裏の肉離れで欠場など主力4人を欠きながら神戸に2-1で逆転勝利し、8強入りを決めた。鹿島の逆転劇は、6月28日のJ1第15節・大分戦(アウェー)以来、4ヶ月半ぶり。リーグ戦の大失速は劣勢を跳ね返せなかった事が一つの要因だった。“勝負強さ”。「鹿島はそれができるチーム」と曽ヶ端が言うように、鹿島は勝負強さで数々のタイトルを獲得してきた。先月11日の天皇杯初戦(アルテ高崎戦)から、これで公式戦5勝1分。1ヶ月無敗の流れで、残り3試合のリーグ戦に突入だ。

鹿島は今節、鬼門の西京極で京都と対戦する。京都は2005シーズンから昨シーズンまで昇格・降格を繰り返してきたチームで、通算戦績も鹿島の13勝1分5敗と相性は悪くない。だが、西京極だとその様相は様変わりする。2002年以降、西京極での公式戦は1勝4敗で鬼門の一つとなっているのだ。現在リーグ戦12位の京都はJ1残留が最低目標。次節の鹿島に勝てば降格圏を脱するだけに「鹿島の優勝を信じているけど、僕達も負けられない状況は同じ。残留を決めなければその先はない」と柳沢敦。「(鹿島には)特別な思いがある。絶対に負けられない」と闘志を漲らせるが、鹿島は大きな壁“西京極とヤナギ”を乗り越え、首位・川崎にプレッシャーをかけ続けて欲しいと願っている。京都戦は参戦できないが、東方の都から念を送り続ける。

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2009年11月08日

【2009Jリーグ】PROGRESSO(第一章)

■J1リーグ順位表(第30節終了時)
1位:川崎 【勝点55】16勝7分7敗 得失点差+22
2位:鹿島 【勝点54】16勝6分8敗 得失点差+13
3位:G大阪 【勝点51】15勝6分9敗 得失点差+15
4位:清水 【勝点50】13勝11分6敗 得失点差+12
5位:F東京 【勝点49】15勝4分11敗 得失点差+9
※上位5チームのみ掲載

■J1得点ランキング(第30節終了時)
1位:前田遼一(磐田) 【18得点】
2位:ジュニーニョ(川崎) 【16得点】
3位:石川直宏(F東京) 【15得点】
4位:岡崎慎司(清水) 【14得点】
5位:エジミウソン(浦和) 【13得点】
6位:マルキーニョス(鹿島) 【12得点】
6位:鄭大世(川崎) 【12得点】
6位:佐藤寿人(広島) 【12得点】
18位:興梠慎三(鹿島) 【8得点】

2009シーズンも残り4試合。優勝・残留争いは、いよいよ佳境に入った。この時期は、どのチームも、シーズン中で最も息があがり、体力的にも、精神的にも消耗度が高くなる。また、残り試合が少なくなるにつれ、一つひとつの試合に重みが増し、選手達にも大きなプレッシャーが圧し掛かる。総合力を競うリーグ戦で、チームの底力、強い精神力を土壇場で発揮するのはどのクラブか、疲れ切った身体の奥底から最後のエネルギーを絞り出せるのはどのクラブか。優勝・残留争いは天と地を分けるサバイバル・レース。それは“生存欲求”という人間の本能の根幹を強く刺激する為に、スタジアムは独特の雰囲気に包まれる。群雄割拠のJ1ラスト4。優勝戦線・ACL・残留を懸けた戦いが8日、各地で行われる。

「首位を奪われて恐れるものもなかった。みんなでハードワークした結果だと思う。(勝てなかったときは)甘えが出てたのかな。できるのにできていなかった。勝点差で余裕が出てしまったのかもしれない」(第30節・千葉戦後、野沢拓也)

「久しぶりだったのでゴールを決めた後の喜び方とか忘れていました。いつスタメンを外されても仕方がないと思いながらやっていた。使い続けてくれた監督には感謝したいし、また点を取りたい」(第30節・千葉戦後、興梠慎三)

「結果を残す事が一番。形もものすごく良い形で終われた。ちょっとここ数試合、縦に急ぎすぎているように見えた。オレとしては中盤でさばこうと思った。チームとして特にやり方を変えた訳じゃない。チーム全体でバランス良く戦えるかを考えていた。この結果は自分にもチームにも大きい。ゼロで抑えられたのが大きかった」(第30節・千葉戦後、中田浩二)

「勝点3を取る事は非常に重要です。いつ、という事には拘りはないし、いつも勝つ事を前提に戦っている訳であって、それを達成する事が一番理想的な形になります。ただ今日の勝利が、残り4試合に良い意味での影響を与えてくれればなという願いはあります。過去2年間、大詰めになってきたときには鹿島の強さ、伝統というものが生きて、それが試合に反映されていい結果になりましたので、またそうなってくれればなと思います。当然ながら、選手達はその圧力のなかでどうすればいいのか、過去2年間で体験している訳です。その経験を残り4試合で生かしてくれればなと考えております」(第30節・千葉戦後、オズワルド・オリヴェイラ監督)

鹿島はリーグ後半戦に入ると、クラブ・ワーストの5連敗を喫し、首位陥落となってしまったが、その差は僅か「1」。首位・川崎との勝点差は「1」である。神はまだ鹿島を見捨ててはいない。確かに自力優勝はなく、残り4試合をすべて勝たなければ3連覇は難しいが、自らの可能性を心から信じる大切さ、献身さはチームの基本精神であり、逆境を、困難を乗り越えるメンタリティは、伝統文化として今も色褪せる事はない。追うものと、追われるものの重圧は一概に計る事はできないが、一時の不調を脱しつつある鹿島がやるべき事はただ一つ。史上初の3連覇を信じて、私も目の前の勝利の為に全力を尽くす。

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