2009年03月22日

夢と希望をのせた「フットボール・ドリーム号」

AFCチャンピオンズリーグ(ACL)は18日、各地でグループ・リーグ第2戦が行われ、G組の鹿島はホームで中国超級リーグ2位の上海申花と対戦し、2-0で快勝。通算成績を1勝1敗とした。公式戦に初先発した大型ルーキー大迫勇也は、野沢拓也の先制ゴールをアシストし、後半35分には自身の左足で追加点を挙げるなど1ゴール・1アシストの活躍を魅せた。オリヴェイラ監督は、「素晴らしい能力を持った選手。将来的には日本を背負う選手になるかもしれない。ただし、彼は18歳。プロ1年目の選手という事で、空気、雰囲気に慣れさせなければいけない。それを大切にしていかなければいけないと思います。彼の成長にあたって、いろいろな妨げがあり、それが彼に悪影響を及ぼさない事を願っております。扱う側がどう接するのか、どう彼を扱うかによって、彼がどう伸びるのか。逆に、この素晴らしい逸材が伸びないで悩むのか。我々だけでなくて、報道各社の皆様にも責任があると考えております」と大迫の成長に期待を寄せる一方で、報道陣に対しては理解を求めた。

鹿島は上海申花戦で一つの形を具現化した。それは「若手の突き上げ」である。翌朝、この試合の関連記事に目を通すと大迫ばかりが目立っているが、パク・チュホの存在も忘れてはならない。不調の新井場徹に代わってスタメン入りしたパク・チュホは、90分間、攻守で質の高いプレー、素晴らしい運動量を魅せてくれた。SBの攻撃力を一つの武器とする鹿島にとって、新たな選手が頭角を現したのはとても喜ばしい。連携面での課題はあるようだが、今後の成長が楽しみな選手だ。後半には、田代有三、増田誓志、佐々木竜太らが途中出場し、ピッチを駆け回った。ゴール前での惜しいプレーもあったが、メンバーが代わっても最後までチームの総合力は衰えず、貪欲にゴールを狙い続ける。誰がピッチに立っても鹿島は鹿島。湧き上がる新しい力。これこそが鹿島の勝利の原動力である。

頼りになる男が帰ってきた。昨年9月20日の第25節・柏戦で左膝半月板および前十字靱帯を損傷し、全治6ヶ月の重傷を負った小笠原満男が、179日ぶりの先発をフル出場で飾った。まだ本来の力は発揮できていないが、有機的に連動したサッカーを創造する戦術眼と、激しいプレスをはねのけるボールキープ力、チームに対する献身性は、選手全員に落ち着きを与え、攻守に安定感が生まれる。勝負強さといった鹿島のメンタリティーを体現する小笠原の復帰は非常に心強い。錨を上げた「FOOTBALL DREAM号」はまだ出港したばかり。今季も闘志溢れるプレーで荒波に立ち向かって欲しい。鹿島は夢と希望を叶える為に存在するのだから。

さて、21日付けの上海地元紙「新民晩報」で、興味深い記事があったので意訳して紹介しようと思う。タイトルは「カシマスタジアムでの素晴らしい経験」。これは、カシマスタジアムのピッチを囲むスタンドにスポットを当てた特集記事である。まず最初に上海の記者が驚いたのは、選手紹介時に映し出された大型スクリーンだ。鹿島の選手紹介になると、一気にボルテージが上がり、さまざまな映像が映し出される。日本武士の未来戦士(鹿島の剣豪・塚原卜伝)が登場し、大きな剣を威勢よく振るいながら選手一人ひとりが紹介された。「物凄い。アニメを見ているようだ」と。沢山のゲーフラやフラッグ、横断幕にも圧倒され、試合開始前から深く感銘を受けていたようだ。サポーターの応援も、一斉に沸き上がる声、規律のとれた拍手など、ゴール裏は力強く律動。「普段から訓練しているのだろう」と推測していた。

試合終了後、鹿島には独特な儀式があると強調。これは活躍した選手がマイクを持ってサポーターに挨拶しているその光景を「勝利の儀式」と説明していた。サポーターの呼びかけに選手が応じると、警備員が小さなハシゴを用意し、選手がそれを使ってゴール裏スタンドに上り、感謝の挨拶。それが終わると選手とサポーターは大きな声でチャントを唄い始めた。「このチームには不思議な一体感がある」。面積や人口などを較べても、鹿嶋市は上海市の一つの行政区にも及ばない。「でも、サッカーが文化として根付いている、この街、このクラブは、私の想像を遥かに超えたものであった」と述べて、この記事の結びとしていた。

22日、J1第3節・広島戦がカシマスタジアムで行われる。平日開催のACLは仕事の都合で参戦できないので、週末のリーグ戦は是非とも選手達を後押ししたいと思っている。若い力の台頭と、大黒柱の活躍に沸くなかで迎える広島戦。「ここで負けたら元に戻ってしまうので、勝ち星を続ける事が大事」と小笠原は気を引き締める。「連勝」。聖地カシマをディープ・レッドに染め上げれば、上海申花戦以上のサッカーで私達を魅了してくれるに違いない。今夜はそんな夢を見ながら目覚めの良い朝を迎えようと思う。

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2009年03月18日

【ACL2009】「雄鹿の角を折れ!」

「折雄鹿角」。日本語で「雄鹿の角を折れ」という意味だが、これは中国側のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)関連記事の見出しである。上海申花はグループ・リーグ初戦でシンガポールのアームド・フォーシズFCを4-1で破り、幸先の良いスタートを切ったが、第2戦の鹿島戦も、熱烈な声援と拍手で雄鹿の角を折ると中国のメディアは気勢を上げている。個人的には聞き捨てならぬ言葉が並んで不快だが、今項は、中国のメディアは鹿島対上海申花戦をどう伝えたのか。上海申花ジャ・シュクアン監督のコメントを中心に簡単にまとめてみました。でも、邪道な記事なので、あまり参考にならないかもしれません。

グループ・リーグ第2戦で鹿島と対戦する上海申花は、16日午後、日本に到着した。初戦で水原三星に惨敗し、15日に行われたJ1第2節・新潟戦でも1-2と敗れた鹿島は、短期間で2連敗を喫し、すでに追い詰められた状況になっている。これに対し上海申花ジャ・シュクアン監督は、「これらの情報は心理的な影響を考慮し、選手達には伝えていない。我々はアウェーでも勝点3を獲得するという目標に変わりはなく、相手がどうであれ、上海申花のサッカーを最後まで貫きたい。初戦で2チーム(山東魯能、天津泰達)が日本のクラブに敗れているが、怖れる事は何もない。私達はしっかり準備ができている」と。

さらに、「上海申花が18日の鹿島戦で勝利する事ができたら、グループ・リーグ突破に向けて大きな前進となる。同グループのもう1試合、水原三星対シンガポール・アームド・フォーシズFC戦では、おそらく水原三星が勝利し、勝点を6に伸ばしてくるだろう。我々も鹿島戦で勝点3を獲得する事ができれば、順位的、数的優位が生まれる。そうなれば今後、ある程度、計算しながら戦う事もできる。でも、数字の上でゲーム遊びをするつもりはないので、全ての試合でベストを尽くしたい」と話していた。

Jリーグ王者の鹿島は初のアジア制覇を目指しているが、18日、もし、ホームで上海申花を抑える事ができなかったら、グループ・リーグ突破に黄信号が点る。しかし、過去に9回、日本のクラブと対戦している上海申花の戦績は、2勝4分3敗で、優位性は存在しない。今回の試合も粘り強く戦わなければならない。ただ、アジアのクラブチームのレベルの開きは大きいものではないので、闘争心を持って戦えば上海申花にも勝機はある。2007年6月のA3チャンピオンズカップで浦和に3-1で勝利し、上海申花は3ヶ国の覇者となったが、同年のACLで浦和が広大なアジアの王となった。これを機に、日本のクラブチームはACL出場を目指すようになり、鹿島もアジア制覇をクラブ史に刻もうとしている。18日のACLグループ・リーグ第2戦、上海申花は敵地日本での戦いとなるが、初戦のシンガポール・アームド・フォーシズFC戦とは異なり、相手に押し込まれる時間帯が長く続くと思う。守りに徹するだけでは勝点1も奪えず、山東魯能と天津泰達のような同じ過ちを繰り返すだろう。


以上、上海申花ジャ・シュクアン監督インタビューと、中国メディアが綴った鹿島対上海申花戦の関連記事でした。 (意訳:鹿太郎)

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2009年03月16日

【2009Jリーグ】我等はまだ何も失っていない

【J1第2節:新潟vs鹿島 オリヴェイラ監督(鹿島)記者会見コメント】
●オズワルド・オリヴェイラ監督(鹿島):
Q:後半の開始から、興梠選手と新井場選手を交代させた理由は?
「去年は幸いな事に45分で2人を代えるような采配は必要としなかったが、私の1年目は今回のように交代させた事もある。当然の事ながら、交代をしなければならないという部分は、本来、交代させられた選手が期待されたパフォーマンスができていない為、交代せざるをえないという事でもあり、また、スコア的に0-2というビハインドを考えればショック療法をとらなければならなかった。新しい血を、流れを雰囲気的に入れなければいけなかった。そういう面で小笠原選手と田代選手の投入という部分で後半に関しては少しは良くなったのではないかと思う。特に戦う姿勢を見せる事ができたと思っています。小笠原に関しては徐々に試合に慣れさせるつもり。昨年9月から公式戦の感覚を持っていないのだから。開幕の浦和戦では10分、先日のACLでは25分、今回は45分出そうと考えていた。彼がチームにフィットする為にそういったプロセスを踏んでいこうと考えています」。

Q:ACLに続いて短い時間で失点したが、メンタル面の影響は?
「同じように、自分達が短い時間で得点する事もあるのであって、試合をやる以上、得点する事もあるし、失点する事もある。常にプラスの結果を求めてやっているが、今日に関しては相手のメリットが多かった。数少ないチャンスを得点に結び付ける事のメリットが多くあったのではないかと思う。特別に集中力、注意力が欠けているのではなくて、今日に関しては相手のメリットが多かったのではないかと思います」。

【J1第2節:新潟vs鹿島 試合終了後の各選手(鹿島)コメント】
●岩政大樹選手(鹿島):
「前半の立ち上がりの失点がすべて。僕が1点を返したも無意味でしたね。負けたがコンディションは悪くない。今の状態を打開する事が大切。中盤、FWを含めて全員がボールに絡んで動いていけるようにしたい」。

●内田篤人選手(鹿島):
「勝てないですね。勝てない時は我慢するしかない。ACLで4失点、今日も2失点。『今日もか』と思った。疲れはないと思うし、自分自身も疲れてはいない」。

●大迫勇也選手(鹿島):
「力不足を痛感した。もっと自分で仕掛けてシュートを打ちたかったです」。

以上が、J1第2節・新潟戦後のコメントである。オリヴェイラ監督は、ゼロックス・スーパー杯・G大阪戦と、J1開幕節・浦和戦、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)GL第1戦・水原三星戦を、「我々にに与えられた試練」と捉えていたが、先日、喫した無残な敗北を、リーグ戦で払拭する事はできなかった。水原三星戦後、小笠原満男は「負けて引き締まる事はない。勝って勢いに乗った方が良い。今年も同じなら成長していない。ここでズルズルいかないように立て直す事が大事」とチームを引き締める一方で、「気持ちの持ちようで、どうにでもなるのに」と、負けない気持ち、強いメンタルが重要であると語っていた。

オリヴェイラ監督の目指すサッカーに迷いはなく、チーム内に不協和音が生まれている訳でもなく、やるべき事は何も変わらない。でも、もしかしたら、神様は偉業を成し遂げる為に試練を与えたのかもしれない。歴史の創造者になる為にはまず己に克つ事だと。鹿島はそれを乗り越えてこそ、偉大な未来が切り拓かれるのかもしれない。己の敵は己の心中にあり。すべての大会で「優勝」の二文字が宿命とされる鹿島は、毎シーズン、期待が大きいが故にそれが成せなかった時の失望も大きい。だが、この2連敗を悲観する必要はない。敵は強く、鹿島は小さなボタンを掛け違えただけ。前を向こう。希望を持って歩き続けよう。我等はまだ何も失っていないのだから。

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2009年03月07日

【2009Jリーグ】Um criador da história

3月7日、Jリーグ2009シーズンが開幕する。鹿島がJリーグ史上初の3連覇と、念願のアジア制覇を成し遂げる為には、相手が誰であろうが、充実した戦力をフルに活用しなければならない。鈴木満取締役強化部長は「新しい芽というか、下からの突き上げ。そこに大いに期待したいし、それがなければ非常に苦しいシーズンになる。少しずつチャンスを掴みつつある若手の突き上げが優勝を狙っていく上で欠かせない」と述べている。今季もスタメンに名を連ねるのは、昨季の主力メンバーが中心となるだろう。熟成の度合いが確実に高まっているなかで、オリヴェイラ監督も敢えて手を加える必要はない。だが、未来への青写真は描かれている。「リーグ制覇の自信はある。『今年だけじゃない』」。これは、チームのベースとなるフォア・ザ・チームの精神や、選手・監督との共通理解、若手を含めた組織力などが非常に高いレベルである事を意味している。

鹿島は“ファミリー”と呼ばれる事がある。これは、選手・監督・クラブスタッフは勿論、アントラーズに携わってきた歴代OBやスポンサー、ホームタウン、サポーターなど全てを指す。「一人はみんなの為に、みんなは一人の為に」と、当時、鹿島を常勝軍団に導いたジーコの言葉にもあるように、鹿島はチームの為にプレーする事が徹底され、全員で勝利の為に結束する。利己的なプレーは少なく、ピッチに立った11人が献身的に走り、誰一人として手を抜かずにゴールを貪欲に目指す。これが鹿島の選手に求められる姿勢であり、スピリッツである。監督や選手、クラブスタッフが代わっても変わらないもの。豊富な資金力だけでは手に入れる事ができないもの。鹿島はクラブ創設以来、勝利への探究と、継続の営みにブレはない。

オリヴェイラ監督は成熟のさらなる成熟を推し進める一方で、浦和は今季、ドイツ人のフォルカーフィンケ氏を新たに招聘し、屈辱からの再興を図ろうとしている。新たな一歩を踏み出そうとする浦和は、システムを3バックから4バックに変更し、流動的にポジション・チェンジを繰り返しながら、パスワークで攻撃を組み立てる組織的なサッカーを目指す。なんだか、これらのキーワードは鹿島と酷似しているようにもみえる。しかし、築いた牙城、意識、力には相違がある。鹿島は監督が代わっても方向性は変わらない。常に安定した力を発揮できるのはこれが大きな要因といえる。鹿島は選手育成を基本路線とし、補強は飽くまでピンポイント。「地道な身の丈経営」を信条とする鹿島こそ、Jリーグの模範生だと思っている。大金を叩いて掻き集めた選手達をピッチの上に並べるだけではサッカーは勝てない。チームを有機的に一体化させるには、監督の采配や年月、さらにそれを継続するには、一貫した「不変のスピリッツ」が枢要であったりするのだ。

【J1第1節:浦和戦前日、オリヴェイラ監督インタビュー】
Q:浦和戦への意気込みについて
「今日は、そういった質問はあるだろうと予想していました。明日は開幕戦で、対戦相手が浦和レッズですが、我々はホームですのでしっかり勝ちにいきたいと思っています」。

Q:浦和の印象について
「システムが大きく変わっているのは誰もが解っている。選手は基本的に入れ替わっていないが、元々個人の能力が高いチームなので手強い相手になると思います」。

Q:チームの状態について
「良い仕上がりだ。最初の公式戦が非常に良かったと思いますし、今までは順調に、良い準備ができたのではないかと思っています」。

Q:勝点を得る為に重要な事は?
「パーセンテージという表現は難しいかもしれませんが、他クラブに較べ、チームの連携、連動の成熟は進んでいるかと思いますし、逆に試合が重なっていく事によって、さらに成熟、高揚していくと思っています。この前の試合(ゼロックス・スーパー杯G大阪戦)でも、多少、人の位置が変わっても、連携や連動で上手く機能していたと思います。あとは一つひとつ試合に対して、対戦相手の特徴で戦い方も変わってくるので、必ずしも全ての試合でウチが主導権を握ったり、自分達のサッカーができるかは予測できない。対戦相手の戦い方を含めて、どうなるのかは実際に試合をやってみないと分からないと思います。また明日(笑)チャオ!」。

以上は浦和戦前日のオリヴェイラ監督インタビューである。開幕戦の7日は、どんな一日になるのだろうか。最高の土曜日にアクセントを添えるのは、もちろん鹿島の勝利だが・・・。浦和戦では快勝を期待しているが、最後の最後まで目が離せない展開になるのも悪くはない。3月の鹿嶋はまだ寒いが、脳内温度はヒートアップするだろう。一つひとつの戦いに勝つ事の尊さ、一緒に勝つ事の素晴らしさを味わいたい。でも、超満員に膨れ上がった聖地が勝たせてくれるだろう、我等の鹿島を。「Um criador da história」。歴史の創造者を目指すシーズンが始まる。

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2009年03月03日

【2009Jリーグ】ヴェルメーリャ・ダービー

カシマスタジアムで行われる鹿島対浦和戦をヴェルメーリャ(ポルトガル語で「赤」の意味)ダービーと呼ぶ。一般的にダービーマッチは、歴史的な因縁や同一地域、又は国を代表するクラブチーム同士が対戦する試合などを指すが、鹿島と浦和の関係は「色」である。これは両チームのユニフォーム・カラーが赤色系統によるもの。以前は「レッド・ダービー」などと呼ばれていた時期もあったが、2008シーズン(第19節)、全ての公式戦で50回目の対戦となり、これを記念して、カシマで行われる浦和戦をヴェルメーリャ・ダービー(赤い決戦)と称した。かつて覇を競ったV川崎や磐田に代わって、近年、頭角を現した浦和との対戦は国内有数のビッグマッチとなっている。

Jリーグ発足当初はV川崎と横浜Mの存在感が極めて大きく、ナショナル・ダービーと呼ぶに相応しい内実を伴っていた。しかし、90年代後半になると両チームとも成績が低迷し、このカードはナショナル・ダービーの色彩が殆どなくなってしまう。その2クラブに代わって頭角を現したのが、鹿島と磐田だ。90年代後半から00年代初頭まで二強時代を築き、Jリーグ優勝シャーレを7年間、両チームが独占していた。ともに地方の小都市をホームとしながら名門としての威厳を保ち続けた一戦は、「日本のクラシコ」とも呼ばれるビッグマッチとなる。その後は横浜FMが連覇し、G大阪や浦和が新たに台頭するも、特定の強豪クラブ同士が長年月、覇を競う事はなく、Jリーグは群雄割拠の戦国時代を迎えている。

3月7日、Jリーグは17シーズン目を迎える。鹿島は先日、シーズンの開幕を告げる富士ゼロックス・スーパー杯で、2008年アジア王者のG大阪を3-0で破り、10年ぶり4度目の優勝を果たした。昨年のスーパー杯・広島戦では、勝利チームよりも主審が大会の主役となり、さらには愚行事件にまで発展するなど、なんとも形容し難いゲームとなってしまった。しかし今年は、鹿島の結束力や、局面での集中力、勝負強さなどを発揮し、今シーズン初のタイトルを獲得する事ができた。試合後の会見でオリヴェイラ監督は、「今日に関しては、我々が良い形での試合運び、ゲーム・マネジメントができた。だが、シーズンは長いのでこの結果に浮かれる事無く、しっかり準備していきたい。浦和に関しては個の能力がずば抜けていて、まとまった時は良いものになると思うし、我々も謙虚に、相手にも力があるという上で真剣に緻密にやっていきたい」と変わらぬ「DESAFIO(挑戦)」の精神と、リーグ開幕戦への引き締めを図っていた。

一方の浦和はドイツ人監督のフォルカー・フィンケ氏を新たに招聘し、屈辱からの再興を図ろうとしている。「チームの中で11人のベストな選手を選ぶのではなくて、ピッチの上で結果を残せる11人を選ぶ」。個より組織を重要視するフィンケ監督が、豊かな個の力に組織力+αといった青写真を具現化すれば、「Japanese Red Devil」は目を覚まし、鹿島の3連覇阻止にかかってくる。選手全員がフィンケ哲学を共有し、一人ひとりの点を線で繋ぎ、人心掌握術でチームを鼓舞すれば、そうなったら・・・今の段階で今後の展開を深読みするのは止めておくが、浦和がどう変貌したかはやはり気になるところだ。鹿島と浦和は同一地域でもなく、宗教や民族性などに裏付けられた歴史的な背景はない。しかし、この対戦カードはユニフォーム・カラーの「色」ダービー以上にどこか因縁めいたものを感じる。先日のスーパー杯では、終始、鳥肌が立ったままになっていたが、7日のリーグ開幕戦は、聖地カシマで、私はいったいどうなる事やら。

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