2008年10月29日
中田浩二の右膝が選手生命に関わる状態にあるとの報道があった。スイス・バーゼルに所属していた2008年4月、右膝半月板損傷で手術を受けたが、鹿島に復帰した7月以降も右膝に水が溜まる症状が続き、思うようなプレーができずにいた。その後の精密検査で、右膝軟骨損傷が想像以上に悪化している事が判明。手術内容は実際に患部を開いてから執刀医が判断するというが、最悪の場合は軟骨移植手術の可能性もあるという。これはプロ野球元オリックスの清原和博も受けているが、術後も痛みが引かず、これが引退の引き金となった。復帰に半年以上を要し、完治も難しく、さらに引退をも覚悟しなければならない移植手術。29日に都内の病院で手術を受けるようだが、その知らせは寝耳に水の入るごとし。今は天に祈る思いだ。
負傷の程度はあるにしても、黄金世代といわれている79年組の悲報が相次いでいる。第25節の鹿島対柏戦で、左前十字靭帯を損傷した小笠原満男は全治6ヶ月と発表。第30節の鹿島対FC東京戦では、本山雅志が相手選手との接触プレーで腰椎捻を負い、近日中に精密検査を受ける事になっている。小笠原満男の再建手術は、3時間ほどを要したが無事終了。今は退院してチームに合流し本格的なリハビリを開始しているが、今季絶望に変わりはなく、来季を見据えたリハビリを行っている。本山雅志に関しては、「No news is good news」。便りがないのが良い便りとしてポジティブに捉えているが、攻守の要の選手であるだけに一日千秋の想いでいる。
鹿島復帰会見で「生涯アントラーズ」を宣言した中田浩二。イタリア・メッシーナから復帰して昨季、2冠の原動力となった小笠原満男。圧倒的な運動量と献身的な守備でチームを牽引するテクニシャン本山雅志。1998年に入団した優良ルーキー達も、今やベテランの域に達しチームのキャプテンシーとなった。3人3様あるとはいえ、プロの意識を背中で語れる選手まで上り詰めたのではないか。鹿島のスピリットを金科玉条とする彼等の存在感は計る事ができない。
「総合力の底上げ」。チームは確実に進化を遂げている。小笠原不在でもその穴は中後雅喜と青木剛がしっかり埋め、仮に本山が離脱しても増田誓志や野沢拓也、さらに若鹿達が後に続く。DFのポジション争いも、大岩剛や中田浩二を押し退けて伊野波雅彦が台頭した。組織で戦う全員サッカー。オリヴェイラの推し進める鹿島のサッカーにブレは無い。個に依存しないサッカーこそが、支柱が欠けてもどん底に落ちない結束力こそが、鹿島の進化であり真価なのである。今季、鹿島のスローガン「DESAFIO~挑戦~」。最大の挑戦は、もしかしたら「未来」なのかもしれない。
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2008年10月25日
今季のリーグ戦も佳境に入り、残り5試合となった。現在、鹿島が勝点2差で首位をキープしているが、群雄割拠の様相に変わりはなく、混戦状態が続いている。首位鹿島を追走するのは、リーグ初優勝を狙う名古屋・大分・川崎、さらに浦和・G大阪だ。今後、2位以下のチームが猛追すれば脅威であるが、鹿島のチームの完成度がさらに高まっているのも事実。カードの累積が気になるとしても、最後はリーグ最多優勝を誇る伝統の力がものをいうのではないか。楽観視するつもりは毛頭ないが、期待も込めてそう思っている。
伝統の力。それは、これまでクラブに携わってきた多くの人達、一人ひとりの努力の結晶の積み重ねによって創り出されていくのだが、鹿島はやはり、ブラジル人選手の存在なくしてそれを語る事はできない。「一企業のチーム強化という事だけでなく、地域起こしとしてサッカーに取り組むのであれば、グラウンド外でもいろいろと協力できるのではないか。鹿島のプロジェクトにはとても興味がある」。世界のスーパースター・ジーコ招聘である。技術力や知識だけでなく、人格者でもあったジーコ。彼の入団によって、技術・戦術はもとよりプライド・規律といったプロとしてのメンタルな部分まで、チーム全体のレベルアップを図る事ができた。否、チームだけでなく企業・地域・社会まで多大な影響を及ぼしたといっても過言ではないだろう。
鹿島の伝統の一つであり、すでにクラブのアイデンティティーであるブラジルイズム。すでにご承知の通り、クラブ誕生以来、外国籍選手はすべてブラジル人。監督・スタッフに至るまで、ブラジルカラーで染まる。小さな街をホームとする弱小チームが、当時、ブラジル人選手から学んだもの。そして今も受け継がれているもの。豊かな個の力をチームと、どう融合させるのか、またその為に何をすべきかなど、「常にチームの為に」を基本精神とするブラジルイズム。そんなイズム「SPIRIT OF KASHIMA」を一部、ここで紹介しようと思う。「ジョルジーニョが日本を去る時にチームへ送ったメッセージ」。「ジーコのエッセイ」。「そしてリーグ序盤戦、勝ち切れないチームに対して、ジーコが送った手紙」。以下、一字一句に刻まれた熱き思いは、まさに鹿島の神髄である。
【ジョルジーニョ】
チームにスターはいらない。
チームメイトを尊重し、自分の持っている力を
チームの為だけに発揮する事が大切だ。
最後まで諦めずに全力を尽くしてチームの為に戦う。
私が鹿島に残せたのは、その精神だと思っている。
【ジーコ】
8歳の頃からサッカーに親しんできた私が、最初のスパイクを手にしたのは、13歳の時でした。自分のスパイクを持つなんていうのは夢でした。だから、スパイクを貰った時は、本当に嬉しかった。真新しいスパイクを履いてみると、自分に不可能なプレーはないように思われました。私にとってスパイクは、魔法の靴だったのです。
しかし、私がサッカーの指導をする為に辿り着いた異国ニッポンのロッカールームには、泥の付いたままのスパイクが、無造作に転がっているではありませんか。私は非常に悲しくなりました。そして、同時に怒りが込み上げてきたのです。
「来週までに、ここにあるスパイクを、全部、磨いておきなさい。」
私はそう言った後、宝物のように大切に履き続けてきたた古いスパイクを鞄から取り出して、靴クリームで丁寧に磨き始めました。驚いたのは周りにいた選手達です。まさか、私がスパイクを磨くとは思ってもいなかったのでしょう。次の週からは、彼らの磨き抜かれたスパイクで、どのボックスも輝いて見えました。
私はサッカーで名声を得る事ができました。でも今も尚、スパイクをサッカーの心と想い、感謝の気持ちで磨く事に変わりはありません。そして、初めてスパイクを貰った時の、あの感動を忘れる事は出来ません。
【ジーコ】
人が我欲を捨て、1つの大きな目的に向かい足並みを揃えた時に生み出す「新秘的なパワー」。
これを具現化したのが鹿島アントラーズである。
自らの可能性を心から信じる大切さ。日々の献身。慢心せず常に高い可能性を課して突き進む勇気。状況を正確に把握する冷静な知力。様々な困難を打開する為の才知と技能。
これらは真のプロとして、また人間として悔いのない時間を過ごす為の要素であると信じる。如何に優秀な人材の集団でも、精神の強さ、謙虚さを失っていては目的の達成は難しいであろう。長年の経験から言える真実である。
物事を進める上で良い時ばかりでは無い。しかし、困難な状態で如何にもがき、苦しみ、そして結果を追求できるかで、その真価が問われるものだ。
振り返ってみると私の15年はその繰り返しであった。鹿島を心から愛する皆さんも同じであろう。苦難に屈する事無く、焦らずしっかりと足を地につけて努力を続ける。いつまでもそんな鹿島であって欲しいと心から願っている。
1991年10月1日に産声を上げた鹿島アントラーズは、今月、17歳を迎えた。短くも長いこの歳月で、鹿島は多くのタイトルを手にし強豪に相応しいクラブに伸し上がった。Jリーグ参入は99.9999%無理。6つ並んだ9が出発点のクラブに伝統が生まれ、現在も色褪せる事無く、新たな力が加わってさらなる成長を遂げようとしている。ラスト5試合。すべて決勝戦のつもりで戦う事に変わりはないが、鹿島の基本精神である「自信」「献身」「勇気」「知力」を今、改めて胸に刻み、第30節、FC東京戦もゴール裏で叫び続ける。
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2008年10月19日
昨季までの盟友、柳沢敦。
貴方は鹿島の栄光と共にあった。
そしてどんな時も、献身的なプレーで私達を魅了していた。
鹿島の歴史は貴方の歴史。
昨日のヤナギコールは、そんな感謝の気持ち。
ゴール裏の多くのサポーターが、大きな拍手と共にエールを送った。
「今まで沢山の幸せを有難う。そして古巣のカシマへようこそ」と。
試合前のヤナギコール。そして試合は13番を受け継いだ興梠慎三がゴールを決める。
感慨深い。
先発できなくても腐らず、直向きに練習する貴方の背中を見て育った若鹿が今、13番を受け継いでエースとなり、急成長を遂げている。
試合後、大型スクリーンに映るヤナギは、苦笑いで口を一文字にしていた。
その表情は、久々のカシマで精一杯やり遂げた満足感で満ち溢れているようにも見えた。
鹿島ゴール裏は、興梠コールと歓喜オブラディ・オブラダの大合唱で勝利を祝う。至福の時間。
スタジアムを出ると、冷たい浜風が舞い込んできた。
しかし私の身体の芯は、何か温かいものに触れた直後のような感じで、とてもポカポカしていた。
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2008年10月17日
■J1リーグ順位表(第28節終了時)
1位:鹿島 【勝点50】14勝8分6敗 得失点差+23
2位:名古屋 【勝点50】15勝5分8敗 得失点差+11
3位:川崎 【勝点48】14勝6分8敗 得失点差+14
4位:大分 【勝点48】14勝6分8敗 得失点差+8
5位:浦和 【勝点47】13勝8分7敗 得失点差+14
6位:東京 【勝点45】13勝6分9敗 得失点差+3
7位:大阪 【勝点44】12勝8分8敗 得失点差+4
AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝ファースト・レグ、W杯アジア最終予選ウズベキスタン戦も終わった事だし、そろそろ書いてみようかな、と。6回目のリーグ年間王者を狙う鹿島アントラーズについて。J1も終盤戦を迎え、今季、6試合を残すだけとなったが、首位から7位までが勝点6ポイントの中に犇く大混戦。この状態が続けば、最終節まで縺れる可能性は充分にある。今後、一つの勝ち負けが順位を大きく左右するのはいうまでも無いが、近年、J1クラブの実力が拮抗しているとはいえ、終盤戦にきても、群雄割拠を呈するとは全く予想していなかった。
「運も実力の内」という言葉があるが、スポーツの世界で運は実力そのものであるし、運を引き寄せる事ができるのはチームに実力がある証拠といえる。それはサッカー界に於いても例外では無い。タイトルを引き寄せる事ができるチームには勝負運をも味方にできる、何か神秘的なエネルギーがあるように思う。それはチームが、フロントが、サポーターが結束して創めて生み出す事ができるのだが、クラブの過去の成功体験の豊かさに支えられたここぞという時のチーム・スピリッツやメンタル・タフネスが神秘的なパワーを放つ原動力だったりする。
鹿島は今季、開幕5連勝を飾り幸先の良いスタートを切ったが、中盤戦は選手達のコンディション不良や故障で精彩を欠き、全員で攻守を繰り返しながらパスをつなぐ、点を線にするような有機的なサッカーができずにいた。長距離移動を伴うACLと国内リーグを並行して戦う過密日程の影響で、選手達は疲労困憊に陥り、動きにキレがなくなってしまった。90分間走りきるだけのスタミナもなく、集中力も持続しない為に凡ミスが目立つようになる。選手が怪我を治して戦列に戻って来ても、また新たな選手が離脱してしまう。一つの目標に向かって繋がる姿、チームの機能美が輝いているとは言い難い状態が続いていた。
「Sete-18ths」。ポルトガル語で18分の7という意味だ。優勝争いは18チーム中7チームに絞られた終盤戦、この混戦を抜け出すには勝点3が至上命題であるが故に、「一戦一戦を決勝戦のつもりで戦う。」というオリヴェイラの言葉がさらに重みを増す。優勝の二文字を毎シーズン目標に掲げ、常勝軍団の価値を高めようとする鹿島。J1クラブの実力が拮抗していようが、大混戦になろうが、国内王者の称号ヤタガラスのチャンピオン・マークだけは他のクラブに渡す事はできない。勝利の遺伝子をしっかりと受け継ぎ、2000年~2002年以来の黄金期を迎える為に、リーグ連覇を成し遂げる。残りあと6試合。終盤戦は昨季同様、鹿島の季節となる事を願っている。
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2008年10月02日
「DESAFIO em OUTUBRO」。ポルトガル語で「10月の挑戦」という意味だ。9月、度重なる失望で憂鬱な日々が続いた。「小笠原満男が重傷で全治6ヶ月」、「AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝敗退」、「柏戦での暴挙・愚行事件」と・・・。アジアへの挑戦は期待が凌雲していたが故に、失望も大きく、現実を受け入れるには多少の時間を要した。チームも今季最大の目標としていただけに、今後、支柱不在の中で輝きを取り戻す事はできるのか、選手達にその気力は残っているのか、微かに不安が過ぎる。しかし、J1第26節・大宮戦、第27節・清水戦といずれも気迫で圧倒し完封2連勝。ACL敗退のショックから立ち直った赤鹿軍団はリーグ連覇への道を着実に歩み始めた。小笠原満男が長期離脱となってしまったが、今のスタメンは未来への暗示。オリヴェイラの掲げる「総合力で戦うサッカー」は今、間違いなく開花しようとしている。
■J1リーグ順位表(第27節終了時)
1位:鹿島 【勝点49】14勝7分6敗 得失点差+23
2位:名古屋 【勝点49】15勝4分8敗 得失点差+11
3位:大分 【勝点48】14勝6分7敗 得失点差+11
4位:浦和 【勝点47】13勝8分6敗 得失点差+15
5位:川崎 【勝点45】13勝6分8敗 得失点差+11
■9月の試合結果
<J1リーグ>
第24節:鹿島 1-1 川崎 (9月13日/カシマスタジアム)
第25節:鹿島 1-1 柏 (9月20日/日立柏サッカー場)
第27節:鹿島 2-0 清水 (9月28日/カシマスタジアム)
<AFCチャンピオンズリーグ準々決勝>
第1戦:鹿島 1-1 アデレード・ユナイテッド (9月17日/カシマスタジアム)
第2戦:鹿島 0-1 アデレード・ユナイテッド (9月24日/ハインドマーシュスタジアム)
合計1-2。鹿島は準々決勝で敗退。
■10月の試合日程
<J1リーグ>
第26節:鹿島 2-0 大宮 (10月1日/カシマスタジアム)
第28節:鹿島 15:00 G大阪 (10月4日/万博記念競技場)
第29節:鹿島 15:00 京都 (10月18日/カシマスタジアム)
第30節:鹿島 14:00 F東京 (10月26日/味の素スタジアム)
鹿島はオリヴェイラへ続投要請するようだ。クラブ幹部は「基本的に代える理由がない。よくやっている。10月に入ったら来季の編成に関する話し合いをして、意向を確認したい」と話す。来季の戦力構想でクラブと一致するか否かが続投への鍵となるが、是非、受諾してACLのリベンジを果たして欲しいと思う。私もオズの続投を支持する。昨季はオリヴェイラ・イズムを浸透させ、リーグ戦と天皇杯のダブル・クラウンを達成。2年目は成熟のさらなる成熟を目指し現有勢力の底上げを図る。残念ながら、ACLは準々決勝で敗れるなどアジア制覇の命題は成し遂げられなかったが、気持ちを切り替えてリーグ連覇に集中。国内主要タイトル12冠、13冠を狙いながら、成熟のさらなる成熟を目指すオリヴェイラの完成形に注目していきたい。
posted by 鹿太郎 |00:00 |
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