2011年11月01日

【2011Jリーグ杯】one spirit, one team, 15 trophies

9年ぶりに聖杯を持ち上げた鹿島アントラーズ。このタイトルで、Jリーグ杯最多優勝、国内通算15冠、国内3大タイトル優勝回数「単独3冠王」、オリヴェイラ歴代監督最多6冠、5年連続タイトル獲得とまた新たな金字塔を打ち建てた。今回はそんな史上初の余韻に浸りながら先日の決勝戦を振り返ってみようと思っていたが、鹿島信者は不思議な民族、否、私だけかもしれないが、一晩美酒に酔うとその翌日は次の戴冠式を思い描く。つまり、手にしたタイトルに酔いしれる時間は一朝一夕。同志の掲げる横断幕の如く「王者とは、誰よりも勝利に飢えた獣」。鹿島とはそんなクラブだ。

とはいえ、今年な大震災が起き、鹿島にとって特別な年となった。発災数カ月後、被災した仙台市や気仙沼市を訪れたが、東北沿岸の津波被害においては言葉で言い表せないほどの惨劇だった。鹿島の本拠、鹿行地域も例外ではない。津波は痕跡高約7メートルまで達した地域もあり、発災後は街中の至るところで電柱が傾き、道路は隆起陥没、液状化現象もさまざまな場所で起きた。また被災地であるにも関わらず最初の計画停電実施区域となり、避難生活はさらに困窮。その後も福島第一原発の放射能漏れによる風評被害で三重、四重、五重苦と心身ともに追い込まれていた。

そんななか、チームを鼓舞し続けたオリヴェイラ監督。自身もおそらく、M9.0級の巨大地震は初めての経験だろう。記事によると、オリヴェイラ監督は発災当時、ライフラインが止まっても「練習をするぞ」と大声で叫んでいたそうだ。それに対し選手会は練習ができる状況ではないと主張。言い争いにまで発展したという。最終的に2週間の活動中止となったが、「悔いが残る。違う場所で練習していれば、結果は違っていたかもしれない」。リーグ戦でJ2降格圏まで落ちた時期は「どうすれば勝てるか、朝まで考え抜いた時もある」と自問自答する日々だったようだ。

多くの困難を乗り越えた先の今季初戴冠。本来であれば、このタイトルの余韻に浸りながらひとまず安堵したと言いたいところだろう。私も正直なところ、そういう気持ちは無いわけではない。大震災、原発事故でクラブが被災した2011シーズンはやはり特別な感情がある。だが、その余韻に浸るのは一晩で十分。タイトルへの飽くなき執念である。次の、連覇のかかる天皇杯は、ACL出場権を獲得するのと同時に、鹿島の未来予想図を思い描くに重要な大会である。狙うはダブルクラウン。振り返るのはそのあとでいい。

最後に、クラブからサポーターへ送るメッセージを綴って2011Jリーグ・ナビスコ杯の幕を閉じようと思う。

「one spirit, one team, 15 trophies」

叫び続けてくれてありがとう

あきらめないでくれてありがとう

ひとつになってくれてありがとう

これからも同じ夢を追いかけよう

あなたの応援に感謝します

鹿島アントラーズFC

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2011年10月29日

【2011Jリーグ杯】敵は強い。俺たちの次に

今年は3月11日に発災した東日本大震災の影響でレギュレーションが大幅に変更されたJリーグ・ナビスコ杯だが、ようやく決勝戦までたどり着いた。大会関係者の方たちは、あと1試合残しているとはいえ、さぞかし胸を撫で下ろしていることだろう。自身も被災した鹿島アントラーズとともにこの日を迎えられるのは欣快至極。5年ぶりに訪れる晩秋の国立で、聖杯の行方を見守りたい。Jリーグ、天皇杯と並んで国内3大タイトルの一つと称され、そのビッグタイトルの口火を切るJリーグ・ナビスコ杯。歓喜の戴冠は浦和か鹿島か。2011年Jリーグ・ナビスコ杯決勝がいよいよ本日、国立霞ヶ丘競技場で行われる。

さて、シーズンが終盤戦に差しかかるこの時期は、ACL出場圏内、賞金圏内、1ケタ順位、J1残留など各クラブは現実的な目標を設定する。鹿島はすでに優勝戦線から遠のき、ACL出場権を得る3位以内も厳しい状勢となった。現実的には現在の6位を維持しながら、一つでも順位を上げるのが妥当な目標といえるだろう。一方、対する浦和は前節の横浜FMに勝利し降格回避ラインの15位に浮上したものの、今季最大の目標は紛れもなく「J1残留」。今季は残り5試合目にして福岡の降格が決まり、山形もJ1残留が絶望的で、3つ目の椅子争いは浦和と甲府で一騎打ちの様相を呈している。

そんな時期に行われるJリーグ杯の行方は、終盤戦の置かれている状況がものを言うときがある。「1998年10月末にチームの合併消滅が発覚後、リーグ戦・天皇杯ともに無敗で元日決戦を制した横浜フリューゲルスを引き合いに、『逆にチームがまとまることもある』」。と今の浦和に警戒を強める本山雅志の記事があった。浦和が崖っぷち立たされたときの底力と、ユースから昇格した新監督のもとチームが一丸となったときに生みだす高い士気が敵将に重圧を放つか否か未知数だが、やはり勢いにのると怖い存在だ。

冒頭で述べたとおり、今年は甚大な被害をもたらした東日本大震災が発災。その影響により、鹿島は一時無期限で活動休止。本拠カシマスタジアムも損壊し、記念すべき創設20周年は未曾有の国難に瀕した。被災地の岩手県出身でもある小笠原満男は先日、「勝てば、被災地で喜んでくれる人がいる。震災の影響で結果が出ないと言われるのが嫌だし、歯がゆい。優勝するチャンスがあるので勝ちたい」と。オリヴェイラ監督は2007年に監督就任後、リーグ戦3回(2007-2009)、天皇杯2回(2007・2010)優勝に導いたが、まだ手にしていない国内タイトルがこのJリーグ・ナビスコ杯だ。「監督業はタイトルの数、結果で評価される。私は勝つために呼ばれた。全力を尽くす」とコメントしていた。

今年は鹿島にとって特別な年となった。が、無冠でシーズンを終えるのはあまりにもらしくない。「Jリーグ杯歴代最多優勝」「国内主要タイトル15冠」「国内3冠王」「J監督史上最多タイトルホルダー」。この大会で聖杯を持ち上げたときの偉業は以上にのぼる。クラブ創設20周年となる節目の2011年は、15冠目のタイトル獲得で天皇杯連覇のダブルクラウンへとつなげていきたい。苦杯を喫した5年前のJリーグ杯決勝、対千葉戦での新井場徹の言葉を思い出す。「敵は強い。俺たちの次に」。今度こそ具現化せよ。

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2011年10月15日

【2011Jリーグ杯】決勝組み合わせ

■2011年Jリーグ杯決勝(10月29日@国立霞ヶ丘競技場)
○浦和レッズ(7年ぶり4回目の決勝進出) vs 鹿島アントラーズ(5年ぶり7回目の決勝進出)

■準決勝結果(10月9日)
○浦和レッズ 2-1 ガンバ大阪(埼玉)

○鹿島アントラーズ 2-1 名古屋グランパス(瑞穂陸)

「澄み切った秋の日差しに眩しく輝く赤と赤です。アントラーズの深い赤。それはどんなに選手が疲れて傷ついたときも常勝軍団の誇りを支え続けたサポーターのプライドの色。レッズの鮮やかな赤。それは名門がどんなに迷ってもがき苦しんでも時には怒り、時には泣き、しかしとにかくずっと信じ栄光の時を待ち続けたサポーターのプライドの色。ずっとこのチームとともに歩んできて本当に良かった。そんな歓びに国立は満ち溢れています」。(2002年Jリーグ杯決勝、浦和対鹿島[フジテレビ青嶋達也])

上記は2002年のJリーグ杯決勝で、当時実況を務めた青嶋達也氏の有名な文言である。両チームの赤と赤を的確に表現した素晴らしい名実況であるが、早いものであれから9年が経った。あの頃を振り返ってみると、鹿島と浦和は同大会決勝で、2年連続(2002・2003)で同じ対戦カードとなったが、なぜか記憶に残るのは鹿島が国内主要タイトル9冠を飾った2002年大会ではなく、鹿島が浦和に0-4で大敗した2003年大会である。浦和はこれがクラブ史上初のタイトルを手にしたわけだが、いま思えば「お荷物」と揶揄されていた浦和が頭角を現す、その姿ををまざまざと見せつけられたのが2003年大会だった。鹿島はその後、2006年まで浦和の陰に隠れ、一方の浦和はエメルソンやワシントンら強烈な助っ人外国人とともに難攻不落の城塞を築いていく。

さて、決勝進出が決まった翌日、三菱重工時代から「浦和」を見守ってきた職場の友人が声をかけてきた。「浦和はナビスコでは良いチームですが、そう長くは続かないですから。鹿島は若い選手(大迫勇也、柴崎岳)が育ってますね」と。彼とは以前から鹿島・浦和談義で時折り華を咲かせていたが、最近はそれがめっきり減ってしまった。数年前のリーグ戦のように、両軍が上位で対峙していないのも一つの要因だろう。短い時間ではあったが、久しぶりに楽しい時間だった。

国内3大タイトルの一つ、Jリーグ・ナビスコ杯の決勝戦が2週間後の10月29日、国立霞ヶ丘競技場で行われる。鹿島は5年ぶり7回目の決勝進出で大会史上最多となる4回目の優勝を目指し、浦和は7年ぶり4回目の決勝進出で2回目の優勝を狙う。両者は決勝で過去に2度対戦しているが、そのときは、特に2003年は鹿島の一時代に終わりを告げ、浦和の黄金時代に幕を開けた大会でもあった。カップ戦の決勝は一発勝負で天地を分けるがゆえに勝者と敗者のコントラストは対照的にピッチに映し出されるが、2011年大会の決勝で期待するのは両者の復活である。

今季のリーグ戦では鹿島も浦和も元気がない。鹿島は優勝戦線から遠のき、浦和はJ1の崖っぷちに立たされている。話は逸れるが両者を2文字で表現すると、「(鹿島の)質と(浦和の)量」。粗い表現で浦和信者の方たちを不愉快にさせてしまうかもしれないが、鹿島信者の私としては浦和のその量を嫉むときもあれば、羨ましく思うこともある。毎回異様な雰囲気に包まれるこのカードは両サポーターのいざこざも絶えないが、29日は2002年大会決勝の青嶋氏の実況の如く、「ずっとこのチームとともに歩んできて本当に良かった。そんな歓びに国立は満ち溢れています」といった素晴らしい雰囲気に包まれることを期待している。でも、どちらのクラブに聖杯を持ち上げてほしいかはここでは言わない。言うと叶わなくなりそうだから(笑)。

■歴代大会決勝戦の結果
1992年:ヴェルディ川崎 1-0 清水エスパルス
1993年:ヴェルディ川崎 2-1 清水エスパルス
1994年:ヴェルディ川崎 2-0 ジュビロ磐田
1995年:開催せず
1996年:清水エスパルス 3(PK5-4)3 ヴェルディ川崎
1997年:鹿島アントラーズ 7-2 ジュビロ磐田
1998年:ジュビロ磐田 4-0 ジェフ市原
1999年:柏レイソル 2(PK5-4)2 鹿島アントラーズ
2000年:鹿島アントラーズ 2-0 川崎フロンターレ
2001年:横浜F・マリノス 0(PK3-1)0 ジュビロ磐田
2002年:鹿島アントラーズ 1-0 浦和レッズ
2003年:浦和レッズ 4-0 鹿島アントラーズ
2004年:FC東京 0(PK4-2)0 浦和レッズ
2005年:ジェフ千葉 0(PK5-4)0 ガンバ大阪
2006年:ジェフ千葉 2-0 鹿島アントラーズ
2007年:ガンバ大阪 1-0 川崎フロンターレ
2008年:大分トリニータ 2-0 清水エスパルス
2009年:FC東京 2-0 川崎フロンターレ
2010年:ジュビロ磐田 5-3 サンフレッチェ広島
2011年:???
※1997年決勝はホーム・アンド・アウェイ方式で、2試合の合計得点

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2011年10月08日

【2011Jリーグ杯】準決勝組み合わせ

■準決勝組み合わせ(10月9日)
○浦和レッズ vs ガンバ大阪(埼玉)

○名古屋グランパス vs 鹿島アントラーズ(瑞穂陸)

■準々決勝結果(10月5日)
○浦和レッズ 2-1 セレッソ大阪(長居)

○ガンバ大阪 3-1 ジュビロ磐田(万博)

○名古屋グランパス 5-3 アルビレックス新潟(瑞穂陸)

○鹿島アントラーズ 3-2 横浜F・マリノス(カシマ)

浦和、G大阪、名古屋、鹿島。以上がJリーグ杯4強進出クラブだ。近年のJリーグはそれぞれ黄金期は違えども、この4クラブで一時代を築いたのは疑う余地もなく、興味深い組み合わせになったと思っている。振り返れば、浦和の黄金期はそれこそ2003年のこの大会から始まり、G大阪はJリーグ(2005)、Jリーグ杯(2007)、ACL(2008)での初タイトルや、天皇杯連覇(2008-2009)。名古屋においては昨季、「シーズン23勝」「勝ち点72」「2位との勝ち点差10」など1シーズン制移行後最高の記録で初のJリーグ・シャーレを持ち上げ、鹿島は第3次黄金時代として、J史上初のリーグ3連覇を成し遂げた。

Jリーグを代表する4クラブはそれぞれ時を変えて黄金期を築いてきたが、不思議なもので一堂に覇を競ったことは一度もない。今季のリーグ戦をみても分かるようにG大阪と名古屋が上位争いを演じる一方で、鹿島は優勝戦線から遠のき、浦和はJ1の崖っぷちに立たされている。Jリーグの歴史が浅いのも一つの要因だが、この4クラブが「Jのビッグ4」などと称されたことはない。Jリーグは何かと欧州主要リーグに比較されがちだが、そんなところが「日本らしさ」なのだろう。

さて、2007年以来4年ぶり4強進出を決めた鹿島は、4度目の聖杯、国内主要タイトル15冠獲得へ向け、昨季リーグ王者の名古屋と対戦する。もう一試合は当時、日本版ナショナルダービーとして期待された浦和対G大阪だ。今大会の準決勝は現在やかつての常勝軍団が一堂に会するカードになったが、カップ戦における一発勝負はその戦い方を熟知する「経験」がものをいうときがある。それぞれ各クラブの指揮官の采配にも注目したい。J杯準決勝は日本代表戦に隠れ陽の目が当たることもそう多くはないが、非常に興味深いカードが明日、浦和美園と名古屋瑞穂で行われることもぜひ覚えておいてほしい。

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2011年09月29日

【2011Jリーグ杯】準々決勝組み合わせ

Jリーグ・ナビスコ杯の決勝戦に足を運んだのは、2006年大会の鹿島アントラーズ対ジェフ千葉戦までさかのぼる。当時鹿島はJ史上初の国内主要タイトル10冠にあと一つと迫りながらも、なかなか手が届かない苦しいシーズンを送っていた。対する千葉は、イビチャ・オシム監督の下、阿部勇樹、巻誠一郎、水野晃樹、羽生直剛ら千葉の黄金期ともいえるタレントが名をつらね、その、イビチャの哲学を体現し、この試合でJ杯連覇を飾った。あれから早、5年が経つ。

今年で19大会目となるJリーグ・ナビスコ杯において、ヴェルディとともに過去最多優勝を誇る鹿島が、Jの聖杯を持ち上げたのは9年前の2002年大会(鹿島1-0浦和)。もう一昔前の話になろうとしている。今季のリーグ戦は、残り7試合で首位との勝ち点差13。数字だけで判断するのはあまり好きではないが、上位争いを演じるにはやはり相当厳しい状況にある。とはいえ、タイトルを獲らずしてシーズンを終えるのはあまりにも寂しく、また鹿島らしくない。今年こそは晩秋の国立に久しく響いていない深紅の歓喜の唄を、ぜひ、9年ぶりにと期待する。まずはここ数年の鬼門である準々決勝を突破をせよ。そこから国内主要15冠への物語が始まると希う。組み合わせは以下のとおり。

■準々決勝組み合わせ
[1] セレッソ大阪 vs 浦和レッズ(長居)

[2] ガンバ大阪 vs ジュビロ磐田(万博)

[3] 名古屋グランパス vs アルビレックス新潟(瑞穂陸)

[4] 鹿島アントラーズ vs 横浜F・マリノス(カシマ)

■準決勝
[5] [1]の勝者 vs [2]の勝者

[6] [3]の勝者 vs [4]の勝者

■決勝
[7] [5]の勝者 vs [6]の勝者(国立)

あらためて今大会のレギュレーションを確認しておく。東日本大震災の影響で、2011年大会は予選リーグを中止し、全試合トーナメント制となった。1、2回戦はホーム・アンド・アウェイ方式の2試合の合計得点で勝者を決め、準々決勝から決勝までは一発勝負のトーナメント方式で争う。全試合がトーナメント方式となったのは、2001年大会以来10年ぶり。今後の日程は準々決勝は10月5日、準決勝は10月9日、決勝戦は2001年以来の10月決勝となる10月29日に開催する。AFCチャンピオンズリーグ2011に出場の名古屋、G大阪、C大阪、鹿島の4チームは、当初の予定通り準々決勝からの出場となる。

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2011年04月25日

【2011Jリーグ】気になる選手たちとの距離感

東日本大震災の影響により、第1節を終えた時点で中断していたJリーグが、4月23日と24日、約40日ぶりに再開した。鹿島アントラーズの本拠カシマスタジアムは現在、損壊した観客席、スタンド補修などの応急工事が行われているため、代替地を国立競技場に移し横浜FMを迎え撃った。天候は冷たい雨が降っては止み、降っては止みを繰り返す最悪なコンディションで、時折り、太陽がうっすら顔を見せるものの、節電のスタジアムを手助けするまでには至らなかった。そんな悪天候のなかでも鹿島側スタンドには多くのサポーターが詰めかけた。試合開始前には、横浜FMの選手たちが「WITH HOPE」の横断幕を持って鹿島サポーターを激励。粋なはからいに大きな拍手で応える私たち。天候は最悪でも、ホーム国立の雰囲気は最高だった。

試合開始前には被災地へ黙とうを捧げ、キックオフの笛が鳴る。だが、この日の鹿島は立ち上がりから集中力を欠き、前半3分に失点。卓越した運動量、敵のパスを中盤でカットする読みの鋭さと、中盤で奪ったボールを鹿島の攻撃に素早く綺麗につなぐセンス、こう着した戦況を打開するためのアイデアや、正しい状況判断に必要な冷静さが欠乏し、ボールが、意思が、ピッチ上で思うようにつながらない。終わってみれば、シュート4本で3得点を決めた横浜FMに対し、鹿島はシュート13本で無得点。最後まで高い集中力を維持したのは横浜FM。屈辱的大敗を喫した鹿島は、どん底からの再スタートとなった。

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J1リーグ第7節、鹿島アントラーズ対横浜F・マリノス。時おり横殴りの冷たい雨が降る最悪な天候にもかかわらず、この日は多くのサポーターがスタンドに詰めかけた。国立競技場は、東日本大震災の犠牲者への哀悼の意を込めて半旗が掲げられた。


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横浜F・マリノスの選手たちが「WITH HOPE」の横断幕を持って鹿島サポーターを激励。両チームの選手たちがウォーミングアップを開始し、スタジアムのヴォルテージが徐々に高まる。43日ぶりのJ再開で、国立は心地よい緊張感に包まれていた。


鹿島はクラブ創設20周年の節目を迎えた2011年、チームは新たなサイクル、ノンフットボールによる新たな事業展開など伝統を守りながらもクラブは新たな時代へ突き進もうとしていた。そんな新シーズンの目標を掲げた矢先に発生した東日本大震災。チームは地震発生後、一時解散を余儀なくされ、約2週間ぶりに選手たちが集結しても、原発事故による風評被害や、大きな余震はおさまらない。「アジアのタイトルを獲って、リーグ戦で優勝することが復興の証明」と語った茨城県笠間市出身の野沢拓也のコメントが印象的だった。

どんな窮地に陥ってもチームの結束が揺るぐことはないだろう。ただ、プロフェッショナルとはいえ、いまだかつてない過酷な状況のなかで、常に気丈に振る舞う選手たちが気がかりでならない。今まで数々の困難に立ち向かいそれを乗り越えてきた鹿島アントラーズだが、数百年に一度と言われる巨大地震でホームタウンが被災し、そんななかでチームは新たなサイクルを創り、浮き沈みを極力抑えてすべてのタイトルを狙おうとしている。余震は多少減りつつあるが、まだまた平時に戻るには多くの時間が必要である。それでも選手たちは身体を休めることなく、地域復興に少しでも貢献しようとあらゆる場所に顔を出し、それは地元住民に多くの勇気をもたらすが、選手たちのメンタル・フィジカルは極限に達しているのではないかと危惧している。

横浜FM戦で屈辱的な大敗を喫したが、試合終了後、ゴール裏に挨拶に来る選手たちと、私たちに距離感があるように思えた。不甲斐ない試合に罵声が飛び交うのは致し方ない。それは非難しない。ただ、今シーズン、鹿島の抱える課題は例年以上に少なくない。ある鹿島サポーターによると、ゴール裏の声量が、1993年のJ開幕当初に比べて約3分の1ほどに減少したという。残念な話だが、私も同等の意見だ。いまだかつてない困難に、今、選手たちは必死に立ち向かっている。アントラーズファミリーとはなにか? 絆とはなにか? いろいろ考えさせられる試合だった。


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2011年03月09日

19シーズン目のJリーグ開幕

19シーズン目となるJリーグが3月5日、全国各地で開幕した。各紙の展望をみると、昨季J1初制覇を果たした名古屋と、2季ぶりの王座奪還を目指す鹿島が今季の2強となり、G大阪、C大阪、川崎、浦和がそれを追う展開となっている。また台風の眼になりそうなのが、上田康太、渡邉大剛ら主力級選手の補強に成功し新たな攻撃スタイルが期待できる大宮や、元鹿島のエースストライカーマルキーニョスや柳沢敦、チョ・ビョングクなどを加えた仙台、さらに2009年の広島、2010年のC大阪と近年のJリーグでは昇格チームの躍進が目立つなかで、昨季J2を圧倒的な強さで制した柏も上位を脅かすポテンシャルを十分に持っている。

さて、今季もっとも警戒される名古屋。昨季タイトルを獲ったその成績は23勝3分8敗。積み上げた勝ち点は「72」で、2位につけた勝点差は「10」。これは2005年に18クラブによる1シーズン制となって以降、勝利数「23」と2位につけた勝ち点差は史上最多で、勝ち点「72」も歴代最多タイだった。今季も昨季のベースを維持しながら、新たに藤本淳吾や永井謙佑ら代表クラスの選手が加わったことで、高さ、スピード、セットプレーなどその破壊力が格段に上がること必至である。開幕節の横浜FM戦でみた永井謙佑の韋駄天のごときスピードと、DFの裏を取る技術は非凡な才能を持つ。昨季得点王の長身ケネディと、スピードスター永井が融合してゴールを量産する光景を、心情的にはあまり見たくはないが、守護神・楢崎正剛や、田中マルクス闘莉王と増川隆洋が並ぶ最終ラインをみてもその牙城を破るのは容易ではなく、今季も名古屋の総合力は群を抜いている。

そして鹿島。昨季のベースを継続しながらチームの成熟を目指すのが名古屋なら、鹿島は新たなサイクルへ移行する元年と位置づける。オフシーズンにクラブ史上初ともいえる大幅な選手の入れ替えを敢行し、ここ3年間、挑み続けながらなかなか果たせずにいる悲願を最大の目標として掲げた。昨季は3年ぶり4度目の天皇杯を制し4季連続でタイトルを獲得したものの、Jリーグは4位、ACLはラウンド16で敗退と悲願達成は叶わなかった。今季は新たなサイクル移行と全冠制覇という非常に難しいミッションに臨むわけだが、小笠原満男、中田浩二、本山雅志、新井場徹、曽ヶ端準といったチームの大黒柱を乗り越えない限り、新たなサイクルはおろかチームの成長もみえてこない。「79年組」という非常に高くて厚い壁を乗り越えるために、次代の突き上げがどれだけあるのか。ミッションを達成するための大きなカギがそれであるのは言うまでもない。

鹿島はゼロックス・スーパー杯の名古屋戦、ACLグループリーグ初戦の上海申花戦、Jリーグ開幕節の大宮戦と公式戦3試合を消化した。昨季の主力をベースに置きつつ、ボランチには青木剛がスタメン入りし、マルキーニョスの抜けた穴を大迫勇也が、ジウトン、宮崎智彦の抜けた穴をアレックスが埋める陣容で2011シーズンの船出を切った。今季も優勝候補の一角に挙がる鹿島だが、その理由の一つに、半シーズンとはいえポルトガルリーグ得点ランキング2位の実績を持つカルロス・アレシャンドレ・デ・ソウザ・シウヴァことカルロンの存在がある。各スポーツ紙の鹿島への高い評価は、彼が折り紙つきであることが前提の記事が少なくない。

興梠慎三や大迫勇也、田代有三といった国産FWもそれぞれタイプが異なる逸材であるが、カルロンがベールに包まれたままでは、Jリーグ、ACLが一区切りつく5月下旬までの序盤戦は千辛万苦である。調整が遅れているようだが、一日も早く日本の文化に慣れ、鹿島のサッカーに慣れ、覚醒する日を待ちわびる。今季鹿島は、ダブルスタンダードが可能な選手層になった。今年は例年以上にクラブハウスへ足を運び、紅白戦や練習試合を観る機会が増えるだろう。私はそこでし烈な競争原理を目に焼きつけたい。

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2010年12月05日

【2010Jリーグ】Evolução(第四章)

■J1リーグ順位表(全日程終了)
1位:名古屋 【勝点72】23勝3分8敗 得失点差+17
2位:G大阪 【勝点62】18勝8分8敗 得失点差+21
3位:C大阪 【勝点61】17勝10分7敗 得失点差+26
4位:鹿島 【勝点60】16勝12分6敗 得失点差+20
5位:川崎 【勝点54】15勝9分10敗 得失点差+14
※上位5チームのみ掲載

2010J1リーグは全日程が終了し、名古屋が創設19年目にして初のリーグ王者に輝いた。最終節も広島から勝ち点3を奪い、2005年に18チーム制になって以来、最多となる23勝を挙げ、勝ち点も最多記録に並ぶ72に伸ばし、有終の美を飾った。これで、7チーム目のJリーグ王者が誕生したことになる。参考まで歴代優勝チームを以下に記しておくが、近年のJ1リーグは群雄割拠の様相を呈しているため、優勝争いは最終節までもつれていた。しかし、今季は残り3試合を残して名古屋が載冠。シーズン前半は鹿島、清水も上位争いを演じていたが、両チームとも、南アW杯以降の夏場に失速。リーグタイトルを手にするチームは、3連覇を遂げた鹿島がそうだったように、劇的な勝利や、崖っぷちの局面でも必ず勝ち切る巧さがある。今季、終わってみれば名古屋がそうだった。終盤戦でも取りこぼしを最小限に抑え、確実に勝ち点を積み上げる強かさで悲願の初冠。改めて祝福の意を述べたい。

■Jリーグ歴代優勝チーム
1993年 ヴェルディ川崎
1994年 ヴェルディ川崎
1995年 横浜マリノス
1996年 鹿島アントラーズ
1997年 ジュビロ磐田
1998年 鹿島アントラーズ
1999年 ジュビロ磐田
2000年 鹿島アントラーズ
2001年 鹿島アントラーズ
2002年 ジュビロ磐田
2003年 横浜F・マリノス
2004年 横浜F・マリノス
2005年 ガンバ大阪
2006年 浦和レッズ
2007年 鹿島アントラーズ
2008年 鹿島アントラーズ
2009年 鹿島アントラーズ
2010年 名古屋グランパス

Jリーグが開幕して17シーズン目を迎える今季、鹿島は成熟の集大成ともいうべき気概を持って、前人未踏のリーグ4連覇と、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)初タイトルに挑んだ。韓国代表DFイ・ジョンス、「天使」の愛称を持つフェリペ・ガブリエル、オリヴェイラ監督一押しの若きサイドアタッカー、ジウトン・ヒベイロ。すべては国内、アジアを勝ち抜くためのピンポイント補強だ。今年のチームスローガンは「新化」。主要選手が高齢化しつつあり、過渡期を迎えているなか、就任4年目のオリヴェイラ監督がどう導くのか。「種を蒔き、水を与え、芽が出て、実になる。そして、『今が一番美味しい』という時に食べる。選手の『旬』を見逃さない」。選手を果物に例えたオズの魔法の言葉。あれから3年が経つ。

2010年、旬かどうかは別にして、少なくとも芽が出た選手がいる。FW大迫勇也、攻撃的MF遠藤康、SB宮崎智彦、DF伊野波雅彦らだ。その中でも特筆すべきは伊野波。今季後半スタメンに定着し、岩政大樹とともに守備の要として、リーグ最少失点に貢献。南アW杯後、イ・ジョンスの抜けた穴を、否、大きく成長しながら定位置に返り咲くその過程にはイ・ジョンスの存在があり、今季、メンタルともに最も成長した選手が伊野波だったように思う。スタメンから外れても、中田浩二や本山雅志から鹿島のメンタリティを学ぶことで、決して腐ることはなかった。挫けずに練習に取り組めるのは、手本となる先輩が身近にいるから。チームスピリットを受け継ぎ、その自覚と責任を持つ伊野波。来季、海外移籍との噂もあるが、入団3年目にしてチームの主軸となりつつある。

Jリーグ4連覇、ACL初冠の夢は潰え、残るタイトルは天皇杯のみとなった。今季リーグ戦は4位で終わったため、来季アジア最高峰の舞台で戦うには天皇杯で優勝するしかない。シーズンの土壇場で今年のチームスローガン「新化」が問われることになった。最近、79年組不要論の声が聞こえてくるが、それは目先のことしか見えていないナンセンスな発想だ。鹿島というチームは、主力選手が衰えたからといって、ごっそり選手を入れ替えるようなことはしない。ベテランを大切にしながら、常に次世代選手を育てるというチームの信念と考え方を持っているのだ。浮き沈みを極力少なくして次世代へつなぐ。79年組は目に見えないものを多く持ち、鹿島の「新化」の原動力はそこにある。興梠慎三曰く、「もう天皇杯しか残っていない。本当にやばい」。それを感じるのであれば、鹿島の闘将となってゴールを奪え。引っ張られても、削られても主審の笛を待つのではなく、牙を剥いた獣となれ。なぜなら、鹿島NO.13が次世代の象徴なのだから。Evolução新化は天皇杯へと続く。

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2010年11月15日

【2010Jリーグ】Evolução(第三章)

■J1リーグ順位表(第30節終了時)
1位:名古屋 【勝点63】20勝3分7敗 得失点差+15
2位:鹿島 【勝点55】15勝10分5敗 得失点差+20
3位:G大阪 【勝点53】15勝8分7敗 得失点差+17
4位:C大阪 【勝点49】13勝10分7敗 得失点差+15
5位:川崎 【勝点49】14勝7分9敗 得失点差+14
※上位5チームのみ掲載

「(等々力競技場)ここでの試合は厳しいゲームになるとみんな分かっている。選手たちは騙されたと思って、私の言ったことを信じてくれれば、最後に良いことが起きる。この3年間、そうやってきたのでこれからもクラブ全体で信じてやって欲しい。自力だけでは優勝できないので他(名古屋)の結果も大切だが、ここ数試合で見せた精神力や、やり抜く意思というものが一番重要だと思う。やるべきことをしっかりやって勝利を手にしたゲームだった」(鹿島・オリヴェイラ監督)

今からひと昔前の2000年3月18日、Jリーグ1stステージ第2節・鹿島vs川崎F。鹿島のスタメンは、GK・高桑大二朗、DF・相馬直樹、ファビアーノ、秋田豊、名良橋晃、MF・ビスマルク、小笠原満男、中田浩二、本田泰人、FW・柳沢敦、ベベット。サブには曽ヶ端準、羽田憲司、熊谷浩二、増田忠俊、平瀬智行らが控えていた。J1で初対決となった川崎Fには奥野僚右、鈴木隆行、マジーニョら元鹿島の選手たちが所属。この年、大量補強による機能不全に陥った川崎だが、当時鹿島から多くの選手が移籍した。他にも2000年から2004年までの間で、鬼木達、アウグスト、相馬直樹らを獲得し、鹿島でコーチを務めていた関塚隆を監督として招聘している。

さて話を戻すが、当時若手だった小笠原満男や中田浩二、曽ヶ端準らは今やチームを牽引し、さらに世代交代を押し進めようとしている。今シーズンはまだ終わっておらず総括するのは時期尚早だが、10年勝てなかった等々力で勝利したこと、不名誉な記録を断ち切ったことはひとつの「新化」だと思う。近年は、特にナビスコ杯での等々力戦では終盤に追いつかれ逆転されるという最悪な結末が少なくなかった。長丁場のシーズンにおいて、等々力での白星は単なる1勝なのかもしれない。でも、このブログで静かに残しておこうと思う。100%以上の力を出して戦ったチームとゴール裏のために。

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2010年11月13日

【2010Jリーグ】Evolução(第二章)

■J1リーグ順位表(第29節終了時)
1位:名古屋 【勝点60】19勝3分7敗 得失点差+14
2位:鹿島 【勝点52】14勝10分5敗 得失点差+19
3位:G大阪 【勝点50】14勝8分7敗 得失点差+15
4位:川崎 【勝点49】14勝7分8敗 得失点差+15
5位:C大阪 【勝点48】13勝9分7敗 得失点差+15
※上位5チームのみ掲載

「いろんなことがシーズン終盤に起きている。特にこの3年間、Jリーグでは終盤にどこが勝ってもおかしくない状況をみている。天気予報や交通情報は技術の進歩とともに、明日雨が降るのかどうか分かるようになったし、渋滞かどうかも分かるようになった。ただし、サッカーというスポーツは不思議なことに、なにか機械で明日の結果が分かるようなものではありません」(鹿島・オリヴェイラ監督)

「今日の結果(名古屋0-1鹿島)がこういうものであっても、我々のするサッカーは変わりません。運命は私たちが決めるということです。他に決めるものはありません。私たちが運命を決めて、最終的には成功したいと思います」(名古屋・ストイコビッチ監督)

敗北は終焉を意味し、引き分けでも優勝の2文字が遠のく鹿島は前節、首位・名古屋との直接対決を制し前人未踏のリーグ4連覇へ望みをつなげた。これで首位・名古屋との勝点差は「8」。また、来季のACL出場権争いもし烈で、2位・鹿島から勝点4差に5チームがひしめく大混戦。3年連続出場を狙う4位・川崎、6年ぶりのアジア舞台を目指す6位・横浜FMにも、十分に逆転のチャンスがある。今シーズンも例年同様、群雄割拠の様相を呈しているが、覇権・残留争い、ACL出場権争いなど実力拮抗のJ1で、もっともカオス化するのがこの終盤戦だ。長きシーズンも残り5試合。今もJのイニシアチブを握るのは名古屋だが、「技術が発達して、天気や渋滞は予想できるけど、サッカーはいつの時代になっても予測できない」とオリヴェイラ監督。J1第30節はAFCチャンピオンズリーグ決勝の翌日、14日に行われる。

鹿島はオリヴェイラ監督就任以来、11月以降の通算成績は12勝1分で無敗。苦手な夏場に落とした勝点を、この終盤戦で獲り返し一気に頂点へ上り詰めるのが鹿島の優勝パターンだ。「終盤戦の戦い方は分かっている」と新井場徹が語るように、勝者のメンタリティと、挑戦者のメンタリティをうまく使い分けながら確実に勝点3を奪う術を、選手一人ひとりが熟知する。首位との勝点差を逆転するには残り5試合5連勝と敗北と引き分けは終焉を意味する鹿島だが、名古屋も田中マルクス闘莉王が戦線離脱、負傷欠場中の金崎夢生の復帰もまだ、さらにケネディが累積警告のために出場停止など試練を迎えている。とはいえ、前節の名古屋戦後、東京駅へ向かうバスの中で、「グランパスの優勝は(11月)月末かな?」と初タイトルを待ち望む名古屋サポーターの会話が聞こえてきた。崖っぷちに追い込まれている私の心情とは裏腹に、名古屋サポーターは勝点の開きからかまだ余裕さえ感じられる。

今節鹿島は、2000年3月以降勝ちのない鬼門等々力に乗り込む。前節はホームで名古屋との大一番、今節は難関敵地で川崎戦を迎える。現在川崎は勝点49で4位。勝てば鹿島と勝点が並ぶが、負ければ6位まで順位を落とす可能性があり、来季のACL出場を目指す川崎にとっても今節は大一番だ。

・・・鹿島アントラーズの選手を乗せたバスがスタジアムに到着したとき、最初に目につくであろう横断幕にはこう書かれている。

「王者とは誰よりも勝利に飢える獣」

残り5試合。どんなことがあっても、ともに苦しみ、ともに歓び、ともに乗り越える。今、私たちができることは等々力をホームの雰囲気に変えること。2000年以降、10年間白星がない鬼門・等々力にもそろそろ終止符。試合後には勝利の凱歌「オブラディ・オブラダ」と、「奇跡を起こせ」が等々力緑地すべてに響き渡る。それが2010年11月14日であることを願っている。

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