2007年12月30日

王者の完勝

 昨日の試合を見ながら,段違いに寒かった去年の年の暮れを思い出していた。
 ナビスコ決勝で負けた後に調子を上げてJリーグ王者に挑み,一見互角の完敗を喫した。”大人な”レッズに対する敗戦は,今までの衝撃の中でも大きなものの一つである。

 王者の称号を取り戻して迎えたこの日,アントラーズは完璧なサッカーをやってのけた。田代へのロングボールで地ならしをし,本山と野沢が躍動する。守っては中盤での激しいプレスとゴール前での踏ん張りで無失点に抑えた。あの攻撃陣を相手にチャンスを作らせないのは不可能だし,優秀なキーパーの存在は強さの重要な要素だ。神々しい曽ヶ端。

 本山は際立っていた。守備で効いているといっても,彼は汗をかける天才であるべきで,ちょっとうまい汗っかき,ではない。やはりゴールに向かってこそだ。
 そんなことを各雑誌で言っていた小笠原は,かなりうまい汗っかきで,後方支援のスペシャリストと化している。中村憲剛を相当意識していて(自陣のペナ付近で股抜きを狙うほどに!),概ね完勝だった。

 それにしても。一年でこれほどまでに逞しくなれるとは,優勝の持つ意味の大きさを思い知る。
 元日に勝った時,チームはどこまで行けるのか。想像して震えるのは,勝ってから。
 優勝する難しさは,もう散々思い知ったはずだ。

posted by footant10 |16:22 | アントラーズ | コメント(6) | トラックバック(0)
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2007年12月18日

ベストイレブン1人で優勝

 カカーがバロンドールを受賞した時に、マラドーナは「ルーニーの方が上」と言っていた。
 その理由として、ミランのカカーへの依存度の高さをあげている。その理屈でいくと、彼自身の偉業にもケチがつきそうなもんだが・・・
 そもそも、マラドーナはアルゼンチン人、熱狂的なボケンセだし、事によるとそれが全てを物語っているのかもしれない。
 とはいえ、発言の主はペレやブラッターではないので、一考の余地はあるだろう。

 アントラーズからベストイレブンに選ばれたのは、たった1人だった。
 それはつまり、個への依存度が低く、個人が目立ちにくかったからではないか。誰かの出場停止が致命的になった覚えはない。
 一人を除いて。

 今回は出場数が足りずに資格外だった、小笠原満男である。
 彼が帰ってきてから、出場停止は2試合だったが、どちらも中盤の構成力を欠いて苦しんだ。やはり、個の力も大きなものなのだ。
 個人への依存度を抑えつつ、個の力を最大限に引き出す。それはチーム全員のだ。苦しんだ2試合の決勝点を挙げたのが、興梠と船山だったのが、実に示唆に富んでいる。
 この日誰もが納得した受賞者の一人は、オズワルド・オリベイラではないだろうか。

 選手もベストイレブンは嬉しいだろうし、それが岩政だけだったのは残念な気もする。
 でも、優勝するためのスタイルとしては、間違っていなかった。
 やはりアウォーズは、チーム全員で出るものだ。

posted by footant10 |16:04 | アントラーズ | コメント(10) | トラックバック(0)
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2007年12月08日

甲府のサッカーは面白いか

 まず,僕は今年の甲府を,アントラーズという色眼鏡を通して5試合と,テレビでちょっと見ただけです。そんなんで甲府のサッカーを語るのはまかりならん,という方への配慮はないのであしからず。

 優勝記念に1年ぶりに買ったサカマガに甲府についてのコラムがあった。それによると,甲府の戦術は「クローズ」といって,わざわざ狭い場所でやっているという。曰く「狭い局面なら個の能力の差が出にくい。よって金の関係もあり個の能力で劣る甲府にはピッタリだ。」それが正しいかは置いておいて,狭い局面に人数をかけ,ショートパスで突破を図っているのは間違いない。

 失礼な話だが,甲府には上手い人もいれば下手な人もそれなりにいる。狭い所に人数をかけると,下手な人がプレーに絡むことが増え,技術の拙さも目につく。個の能力の低さをカバーする戦術ではなく,わざわざ難しくしているように見えるのだ。さらに,突破に成功しても,攻撃が広がらない。そこで逆サイドに振って,数的優位を作るという発想が見られない。
 極端に言うと,ゴール無しのパスゲームをやっているようにしか見えないのである。だからまったく怖さがない。

 今日の試合でもそうだが,甲府が怖いと感じるのは,縦にアグレッシブに来た時だ。押し込まれ,ペナルティエリア付近で人数をかけて守ろうとする。そこで真骨頂が発揮され,細かいパスで突破,シュートまでいかれる。決定力に問題があったようだが,それはどうしようもない。
 また,日頃の練習で狭い局面に慣れているせいだろうが,守備時の寄せが早い。攻めで相手を狭いエリアに押し込み,奪われても人数で守れる。せっかく奪い返しても,また混沌に突っ込み,結局は相手のロングボールでリセット・・・というのが勿体ない。
 大きなサイドチェンジからオーバーラップで2対1を作りシンプルにクロス,あるいは狭い局面に押し込んだ相手からボールを奪い返し,長いパスで広い方から速く攻めるという攻撃をたまに織り交ぜるだけで,受ける印象,与える脅威は全く違うと思うのだが。

 攻めはゴールから逆算して行うもので,リスクを背負わざるを得ないものだと思う。甲府や,ちょっと前のアーセナルのような,ゴールを目指していない(ように見える)パス回し,サッカーは面白いとは思わない。これは僕の哲学である。

 甲府には甲府の哲学があるし,それはすごく大切なことだ。チームに色があるのは面白い。次の監督次第だが,また早いうちに戻ってくるだろう。
 その時は是非,甲府のサッカーを堪能できる観やすいスタジアム計画と共に。

posted by footant10 |23:53 | Jリーグ | コメント(2) | トラックバック(0)
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2007年12月05日

王者鹿島

 試合の終了が近づくにつれて、ベンチ裏にスタッフが集まりだした。2003年の出来事が頭をよぎる。震える。DAKARAのペットボトルを携えた髭の指揮官は、しかし今はいない。

 この日があの時と大きく違ったのは、鹿島がやるべきは勝つのみだったということだ。あの時、2003年の2ndSTは、大量得点が必要になるかもしれず、途中でその必要が無くなったことをピッチに伝えなければならなかった。ベンチの混乱は、ピッチにまで波及した。
 勝つことのみに集中した2007年の男達は、強かった。序盤の清水の攻勢を受け流し、プレゼントされたPKを決め、ミドルはゴールに導かれ、エースがトドメを刺した。

 あの時常勝であることを止めたチームは、今期最初の5試合にただ一つすら勝てなかった。それゆえ、例えば6節の横浜FC戦で挙げた初勝利で、例えばロスタイムの悲劇を歓喜に変えた日立台で、一つの勝利の重みを噛み締めた。タイトルは遠のいたが、勝ち続ければいい。そうして気付けばその数8、首位は1差に迫っていた。
 そして迎えた最終節も、スタンスは変えなかった。結局は一つずつ勝っていくしかない、浦和は横浜FCが相手だし気にせずに最後は勝ってシーズンを終わらせれば後悔はないだろう清水は強いし8連勝もしたらいつ止まってもおかしくはない勝てばいいそれでダメならしょうがな・・・

 ホイッスル。静寂。爆発。

 ある者は号泣し、ある者はピッチを走り回った。
選手を信じ、自らを信じさせたオリベイラと、奇跡を信じた仲間たちは、5年ぶりのタイトルを手にした。取り戻した。
 セレーゾが種を蒔き、アウトゥオリが水をやった若い才能たちは、いよいよ芽吹いたが、満開ではない。重すぎた歴史をしっかりと背負い、ようやく歩き出したにすぎない。勝つだけでなく、勝ち続けなければ。

 本山がサポーターに向かって何度も、何度もエンブレムを誇示する。それは、チャンピオンフラッグと共に戻ってきた、王者鹿島という誇りだった。

posted by footant10 |18:17 | アントラーズ | コメント(6) | トラックバック(0)
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