2008年05月16日

復活と奇跡のユナイテッド、歴史の頂へ

 リバプールを迎えたオールドトラッフォードの青い空に轟いたのは「I am the resurrection」だった。The Stone Rosesが奏でるは、長年リバプールの後塵を拝してきたマンチェスターが手にした、歴史への挑戦状である。今季勝てば、通算優勝回数であと一つに迫る。
 
 マンチェスター・ユナイテッドが復活のチームとして歩みはじめてから50年、今年もまた、男達は不屈だった。

 ルーニーが負傷し、ロナウドが暴走し、スタートは最悪のものになる。攻撃陣が機能しないなら守りが耐え、何とか勝ちを拾っていった。
 潮目が変わったのはウィガン戦だろうか。テベスが噛み合いだして4得点、交代出場したアンデルソンは才能を見せつけた。彼はスコールズが離脱した間に地位を確立し、パスセンスと守備力を発揮する。特にハーグリーブスと組んだ時の安定感は抜群で、敵地でアーセナルやリバプールの攻撃力を封じた光景は、攻撃を信条とする指揮官の脳裏に焼きついたはずだ。
 2トップのコンビネーションとロナウドの爆発力が注目を集める裏で、チームは弱みを払拭しようとしていた。

 奇跡のトレブル以降ヨーロッパで勝てない。研究された両翼が行き詰まると勢いは消失、覗く脆さ。そこで二人の“Sir”はイタリアに目を向けた。ねじ伏せるよりも路線変更を選び、しかしぎこちなさは拭えなかった。
 悪影響は時折やってくる。アウェーで相手の勢いを受けてしまい、抜けきらない脆さは先制点を与え、苦しみを味わう。スパーズ戦然り、リヨン戦然り。
 それでも立ち上がることができたのは、ユナイテッドだからだ。そうとしか言えないここに宿る魂は、アルゼンチン人にも乗り移る。這い上がりのテベス。

 迎えたリバプール戦は4−3−3で慎重に臨んだ。これが今までになく機能し、テベス投入が起爆剤になることも確認すれば、いよいよチームは階段を上りきった。ファーガソンは新たなオプションを手にしたのである。
 守備的な布陣をしいたオリンピコやカンプノウで相手を手玉に取り、リバーサイドやイーウッドパークで躓けば本性を剥き出しにする。自在に戦う選手たちへの監督の信頼は高まっていった。
 高まりすぎて、決戦を軽んじた。
 チェルシーに負けて並ばれ、残り二つは落とせなくなる。近年相性が悪いウエストハム戦とアウェーのウィガン戦でぎこちなさが顔を出さないとも限らない。にもかかわらず、直後のバルセロナ戦を見据えて多少メンバーを落とした。あのメンバーでチェルシーに勝てると考えたのかもしれない。あるいは負けても連勝すればいいんだろ、と。
 いずれにしてもサー・アレックス・ファーガソンは、ユナイテッドを誰よりも信じ、勝った。またしても。

 今季はトレブル組が今一つで、よく言われるような若手とベテランのバランスが絶妙、とは思わなかった。思わなかったのだが、やはり彼らは何度でも立ち上がる。
 もう一人の“サー”、ボビー・チャールトンの出場記録に並んだ試合で優勝を確信させるゴールを挙げたギグスは、伝説を受け継ぐ抱擁を交わした。トロフィーを掲げ、帰ってくるキャプテンに激励の手渡しをするなんて出来過ぎの話だが、まだ終わらない。
 九年前に立てなかった舞台へ自らの脚で導いたスコールズは、成熟した伝説予備軍たちは、帰ってきた決勝でどんな物語を描くのか。

 ユナイテッドを迎えたアンフィールドにしばしば轟くのは“We've won it five times”というチャントだ。マンチェスターに対する歴史上での勝利宣言である。だが今季“それ”に勝てば、いよいよヨーロッパの舞台でもリバプールの後姿を捉える。

 マンチェスター・ユナイテッドが奇跡のチームとしてヨーロッパを制してから9年、今年もまた、男たちは最後まで信じる。

posted by footant10 |13:23 | 海外サッカー | コメント(1) | トラックバック(0)
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この記事に対するコメント一覧
復活と奇跡のユナイテッド、歴史の頂へ

客観的に考えて戦力はほぼ五分五分で、CLではチェルシーの勝ち上がり方がより良かったし、マンUよりタイトルに飢えていると思うので多分チェルシーが優勝するんじゃないかな。。~ 個人的な予想ですけど。

posted by ky | 2008-05-16 15:09

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